ツール・ド・スイス2011が開幕し、オープニングTTとなる第1ステージは母国期待のファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)が圧勝。リーダージャージを獲得した。

ツール・ド・フランスの前哨戦と呼ぶにはあまりに格の高い9日間のツール・ド・スイスが6月11日、開幕した。ツールを狙うオールラウンダーから名だたるスプリンターまで、世界のトップ選手が第1ステージ個人TTの地、ルガーノに集結した。

7.9kmの個人タイムトライアルは起伏に富む、総合力を問われるコースプロフィール。タイトなコーナーリングもあり、テクニックも要求されるコースだ。

序盤に9分50秒の好タイムを叩き出したのは、39番スタートのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)。オールラウンダーとして売り出し中の若手アメリカ人が、このタイムトライアルでも光る才能を見せる。

ステージ5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)ステージ5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) photo:Cor Vosメカトラで遅れたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は1分18秒遅れの147位メカトラで遅れたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は1分18秒遅れの147位 photo:Cor Vosリーダージャージを着用して走ったフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は41秒遅れの62位リーダージャージを着用して走ったフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は41秒遅れの62位 photo:Cor Vos


トップタイムを叩き出したファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)トップタイムを叩き出したファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック) photo:Cor Vos結局このヴァンガーデレンのタイムが、ながらく基準タイムとして君臨。中間計測でトップタイムを叩き出したアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)も及ばず。しかし沿道のスイス人ファンも、テレビで観戦するファンも、ヴァンガーデレンの勝利を確信するにはいたらない。

この日絶対の優勝候補、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)がアルカンシェルに身を包んで登場すると、流れは一気に変わる。ナンバー2をつけて走ったスイス超特急は、周りの期待を損なうこと無く9分41秒でトップタイムを更新。ヴァンガーデレンの勝利への希望を打ち砕く。

格の違いを見せつけたカンチェラーラの走りを脅かす選手はその後現れず、カンチェラーラがツール・ド・スイスのオープニングタイムトライアル5勝目という快挙を達成。母国に華を添える世界チャンピオンの貫禄ある結果を残し、リーダージャージを獲得した。

5度目のツール・ド・スイスオープニングTT勝利を挙げたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)5度目のツール・ド・スイスオープニングTT勝利を挙げたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック) photo:Cor Vos常に何かをするのではないか、と思わせる怪童ピーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)は力走を見せ、9分58秒の区間3位に食い込む活躍を見せた。今後のステージにも期待がかかる。

昨年の総合優勝者フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は、リーダージャージを着用して第1ステージに臨んだが、41秒遅れの62位。このタイムトライアルの結果が総合成績にどう響くか。

メカトラでバイク交換を余儀なくされたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)も、1分18秒遅れの147位と低調な滑り出しとなった。ステージ2位のヴァンガーデレン、5位のクレーデンらは総合優勝に向けて上々のスタートだと言えるだろう。

翌第2ステージは早速超級山岳が登場する。レオパード・トレックからはカンチェラーラがアシストに回る可能性も考えられる。いずれにせよ、早くも総合争いが激化するのは間違いない。


ツール・ド・スイス2011第1ステージ結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)       9'41"
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)   +9"
3位 ピーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)    +17"
4位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)       +18"
6位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)       +20"
7位 ピーター・ベリトス(スロバキア、HTC・ハイロード)        +21"
8位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)              +22"
9位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)


総合成績
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)       9'41"
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)   +9"
3位 ピーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)    +17"
4位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)       +18"
6位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)       +20"
7位 ピーター・ベリトス(スロバキア、HTC・ハイロード)        +21"
8位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)              +22"
9位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)

text:Yufta Omata
photo:Cor Vos

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