2011年6月1日から5日間に渡って、ルクセンブルクで第71回ツール・ド・ルクセンブルク(UCI2.HC)が開催された。初日から地元ルクセンブルクのレオパード・トレック所属ファビアン・カンチェラーラ(スイス)が優勝し、同チームのリーナス・ゲルデマン(ドイツ)が総合優勝に輝いた。

第1ステージ リーナス・ゲルデマン(ドイツ)、フランク・シュレク(ルクセンブルク)、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)第1ステージ リーナス・ゲルデマン(ドイツ)、フランク・シュレク(ルクセンブルク)、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック) photo:Cor Vosツール・ド・ルクセンブルクは1935年に第1回大会が開催され、今年で開催76年目、71回目を迎える歴史ある大会。多くのビッグレースにオフィシャルカーを提供するチェコの自動車メーカー「シュコダ」が冠スポンサーにつく。

ベルギーとフランス、ドイツに挟まれたルクセンブルクは、神奈川県よりも少し大きい程度の小国(面積2,586平方キロメートル)。しかし古くから有能な選手を輩出している。近年ではシュレク兄弟の活躍が目覚ましい。

第1ステージ スプリントを制したデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)第1ステージ スプリントを制したデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) photo:Cor Vosルクセンブルクのヒーローであるシュレク兄弟が今年立ち上げたレオパード・トレックは、ルクセンブルクの企業がスポンサーに名前を連ね、同国登録の純正チーム。地元最大のロードレースで奮起しないわけがない。ツール・ド・フランスに集中するアンディ・シュレクを除いた“ほぼ1軍”で挑んだレオパード・トレックは、合計ステージ2勝、そして総合優勝する活躍を見せた。

首都ルクセンブルクの旧市街にゴールする定番のプロローグでは、アルカンシェルを着るカンチェラーラが優勝。翌日もリーダージャージを守ったカンチェラーラは、第2ステージで逃げ切り勝利を飾ったチームメイトのゲルデマンに総合首位の座を譲っている。ゲルデマンは総合タイム2秒差を最後まで守り抜いた。

第2ステージ 独走でゴールするリーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)第2ステージ 独走でゴールするリーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) photo:Cor Vos「最終ステージでフランク(シュレク)が勝てば最高だった(ステージ2位)けど、みんなこの総合優勝に満足している」。ドイツ人として初の総合優勝に輝いたゲルデマンはそう語る。

「このルクセンブルクで得た大きなモチベーションを、次のレースに繋ぎたい。シーズンの中で一番重要な時期はこれからだ」。レオパード・トレックはジロ・デ・イタリアでワウテル・ウェイラント(ベルギー)を不慮の落車事故で亡くし、チームとしてのグランツール初戦を離脱した。それだけにツールに懸ける想いは強い。

レース内容や選手コメントはレース公式サイト、ならびにレオパード・トレック公式サイトより。


プロローグ アルカンシェルを着るファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)がトップタイムを叩き出すプロローグ アルカンシェルを着るファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)がトップタイムを叩き出す photo:Cor Vos第2ステージ リーダージャージを着るファビアン・カンチェラーラ(スイス)とリーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)第2ステージ リーダージャージを着るファビアン・カンチェラーラ(スイス)とリーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) photo:Cor Vos第4ステージ リーダージャージにキスするリーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)第4ステージ リーダージャージにキスするリーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) photo:Cor Vos



ツール・ド・ルクセンブルク2011結果
プロローグ ルクセンブルク 2.6km
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック) 3'42"
2位 ダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー)         +05"
3位 ジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)    +08"
4位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)     +11"
5位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)      +11"
個人総合首位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)

第1ステージ ルクセンブルク〜バシャラージュ 192.8km
1位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)         4h48'32"
2位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)
3位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)
4位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)          +03"
5位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
個人総合首位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)

第2ステージ シフランジュ〜ディフェルダンジュ 200.7km
1位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)       5h16'19"
2位 アルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ)               +09"
3位 ジェレミー・ギャラン(フランス、ソール・ソジャサン)
4位 ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)
5位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)
個人総合首位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)

第3ステージ エシュウェイラー〜ルースト 186km
1位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)       4h44'31"
2位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
3位 ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)
4位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
5位 ピーター・ファンスペイブロック(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
個人総合首位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)

第4ステージ メルシュ〜ルクセンブルク 152.1km
1位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)      3h42'06"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
3位 ピーター・ファンスペイブロック(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
4位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)
5位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ) 

個人総合成績
1位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)     18h35'32"
2位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、スキル・シマノ)        +02"
3位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)            +03"
4位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)      +05"
5位 ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)               +08"
6位 ジェレミー・ギャラン(フランス、ソール・ソジャサン)        +10"
7位 ユルゲン・ファンホーレン(ベルギー、ベランダス・ヴィレムス)    +11"
8位 ジュリアン・エルファレ(フランス、コフィディス)
9位 ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)     +12"
10位 アラン・マランゴーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)   +13"

ポイント賞
ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)

山岳賞
クリスティアン・ポース(ルクセンブルク、ディフェルダンジュ)

新人賞
アレクサンドル・ジェニエ(フランス、スキル・シマノ)

チーム総合成績
コフィディス

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos