サンタ・クラリタ~サウザント・オークスの132.4kmで行われたツアー・オブ・カリフォルニアの最終第8ステージはスプリント勝負に持ち込まれ、マシュー・ゴス(オーストラリア、HTCハイロード) が勝利。磐石のレース運びをしたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)が総合優勝を飾った。

バンダナを巻くマイケル・マシューズ(ラボバンク)バンダナを巻くマイケル・マシューズ(ラボバンク) (c)CorVosBMCブルドッグ登場!BMCブルドッグ登場! (c)CorVos

山岳をこなす集団 オスカル・フレイレも勝利を狙う山岳をこなす集団 オスカル・フレイレも勝利を狙う (c)CorVosサンタ・クラリタからサウザント・オークスへのコースはアップダウンに富み、逃げるのに適したプロフィール。しかし後半40kmはサウザント・オークスでの周回コースとなるため、スプリンター向けのステージだ。
約30km地点から飛び出したのは次の4人

逃げた4人
ブラッドリー・ホワイト(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
ヤン・バルタ(チェコ、チーム・ネットアプ)
ホセ・フェルナンド・アントナ(アルゼンチン、ジェイミス・シャッターホーム)
マイケル・フリードマン(アメリカ、ケリーベネフィット)

テキサスロングホーン男は今日も登場テキサスロングホーン男は今日も登場 (c)CorVosしかしスプリント勝負に持ち込みたいHTCハイロード、リクイガスらによってメイン集団のペースはコントロールされ、逃げの最大タイム差は4分に開くことがなかった。

中盤以降、その2チームがペースを上げ、HTCはマシュー・ゴスで、リクイガスはペーターサガンで勝利を狙うために差を詰めだす。そしてスチームカイとサクソバンクもこれに同調し、サウザント・オークス市街に入って1度目のゴール地点を通過したときのタイム差は2分35秒にまで縮まっていた。リーダーのクリス・ホーナー擁するレディオシャックは前に位置しながらも、今日はレースを静観する役目だ。

レースはここから7.9キロを5周する39.5kmのサーキットレースとなる。残り3周となった時点でタイム差は約1分20秒。後方からアタックしたマーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)とマルティン・モルテンセン(デンマーク、レオパード・トレック)が逃げる4人にブリッヂ・アタックをかけて追いつく。合流する前にホワイトが脱落。プロツアー2選手の引きで抵抗を試みる5人だが、アントナとフリードマンが脱落し、チャリンギ、モルテンセン、バルタの3人に。3人は諦めずに抵抗を続けた。

平地のスピードがあるチャリンギが力強く引き続けるが、最後の一周に入る前にバルタは引けなくなって
しまう。

モルテンセン、チャリンギ、バルタの3人が抵抗を試みるモルテンセン、チャリンギ、バルタの3人が抵抗を試みる (c)CorVosラスト9.4km、リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)がメカトラに見舞われ、交換の時間を惜しんでチームメイトが自転車を差し出した。

ラスト10kmの集団を意欲的に引いたのはHTCハイロード。スカイ、サクソバンク、リクイガスも入り乱れながら代わる代わる先頭牽引に加わり、一列棒状の集団はスピードを増し続けた。ラスト1周に入る時点ですでにタイム差は10秒に過ぎず、粘った3人を残り4.9kmで飲み込んだ。

スプリントへ向けて各チームが激しく位置取り争いを展開する。ラスト1kmを切ってHTCハイロードがバランスを欠いた隙に主導権を握ったのはチームスカイ。そしてリクイガスもオスがサガンを前方に送り込んだ。

サウザント・オークスの周回コースへ入る集団サウザント・オークスの周回コースへ入る集団 (c)CorVosHTCハイロードは体制が崩壊したが、リー・ハワードがラスト200mまでマシュー・ゴス(オーストラリア、HTCハイロード)を率いて上り、ゴスを解き放った。
サガンが並びかけるが、ゴスはそのまま伸び続け、両手を上げてフィニッシュ。サガンとヘンダーソン、フレイレを下した。

ゴスは期待されながらもここまでのステージで勝利がなかったが、最終ステージにして念願の勝利だ。HTCはティジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTCハイロード)を初のリーダーとしてツアー・カリに臨んだが、ヴァンガーデレンも総合5位と新人賞を獲得した。



ゴールスプリントを制したマシュー・ゴス(オーストラリア、HTCハイロード)ゴールスプリントを制したマシュー・ゴス(オーストラリア、HTCハイロード) (c)CorVos


ステージ優勝のマシュー・ゴス(オーストラリア、HTCハイロード)のコメント
ツアーの最後を勝利で締めくくるのは素晴らしいね。ティジェイ(ヴァンガーデレン)の新人ジャージも取ることができた。チームはパーフェクトなリードアウトをしてくれた。リー(ハワード)はラスト180mで僕を解き放って、僕はただ最後のイージーなパートを受け持って勝利することができた。勝利に向けたチームのハードワークに勝利で報いることができて嬉しいよ」。


総合5位、新人賞のティジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTCハイロード)のコメント
嬉しいけれど、そんなに興奮はしていないよ。実はもっと上を狙えると思っていたんだ。でもこの結果はこれから進歩していく数年に向けて重要な基礎になったと思う。今日は最後までゴスのステージ優勝を手伝えて嬉しい。チームワークが良かったね」。


ゴールしたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)に報道陣が群がるゴールしたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)に報道陣が群がる (c)CorVosリーダージャージは難なくクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)が守りきった。第4ステージで独走勝利し、第7ステージではライプハイマーと共にワンツー・フィニッシュを決めた。山岳での力がチームリーダーのライプハイマーさえ上回り、ツアー・カリで初めての栄冠を手にした。


総合優勝のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)のコメント
一日中、祝福の声が絶えない一日だった。ここまでぼくはこの付近で沢山トレーニングを積んで備えてきた。そんなにやったのは1991年以来だ。そのとき僕は自分のキャリアの礎となるものを創り上げたんだ。ここ南カリフォルニアは僕のステップになった土地だ。
ここで山頂フィニッシュがレースに加えられたとき、それが僕のゴールになった。カリフォルニアじゅうの、そしてあの山頂の観客たちは最高だったと声を大にして言いたい。

(ツール・ド・フランスでリーダーになれるか?と聞かれて)
このチームではその答は明らかだ。ツールでは、誰が調子が良くて、誰が良くないかは明快に分かる。でも今の時期はまだ調子が100%でない今の状態。リーヴァイと僕はツールに向けて100%に仕上げるためにすべての調整を完璧に行っていく。これからは何か少しでも誤ればツールでの仕上がりに影響を及ぼす。
間違いは犯せない。レディオシャックはツールで力を発揮する選手に100%を捧げるチームだよ。ブライコヴィッチがいて、クレーデンがいる。その4人を支える5人の選手がいる。ツールの最初の山岳で、誰がリーダーになるかは明確になるだろう。このチームはすべてがうまくいく。ベストな選手をすべての選手が支えるのさ。

クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)が総合優勝。3位はトーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)が総合優勝。3位はトーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) (c)CorVos総合ワンツーを飾ったクリス・ホーナーとリーヴァイ・ライプハイマー(レディオシャック)がカリフォルニアワイン一気飲み総合ワンツーを飾ったクリス・ホーナーとリーヴァイ・ライプハイマー(レディオシャック)がカリフォルニアワイン一気飲み (c)CorVos


ツアー・オブ・カリフォルニア2011 第7ステージ 結果
1位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTCハイロード)   2h56'39" h'"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)
4位オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
5位ケヴィン・ラコンビ(カナダ、チームスパイダーテック)
6位タイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
7位ユーレ・コツィアン(スロベニア、チームタイプ1)
8位 ケン・ハンソン(アメリカ、ジェリー・ベリー)
9位 アニバルアンドレス・ボルラジョ(アルゼンチン、ジャミス・スッターホーム)
10位フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)

個人総合成績
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) 23h46'41"
2位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)  +38"
3位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +02'45"
4位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)+03'18"
5位 ティジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTCハイロード) +03'23"
6位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)      +03'26"
7位 ローリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア) +04'12"
8位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +04'33"
9位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)     +04'50"
10位 レイダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)  +06'16"


スプリント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)


山岳賞
ジョナサンパトリック・マッカーティー(アメリカ、チームスパイダーテック)


新人賞(1988年1月1日以降生まれが対象)
タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)

チーム総合成績
ガーミン・サーヴェロ


text:Makoto.AYANO
photo:CorVos