2011/05/18(水) - 13:08
ゴール前での真っ当なスプリント勝負となったジロ・デ・イタリア第10ステージ。制したのはカヴェンディッシュ。このジロで初のステージ優勝だ。別府史之の148kmの長距離逃げには日本中が大いに沸いた。
待望の1勝をあげたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
――スプリントについて
今日のスプリントは3回しかないスプリントステージのひとつだった。最後に集団でまっすぐのやつね! 休養日明けだったから調子はよかったし、チームはアタックをすべてコントロールして、ゴール前500mのいい位置にぼくを連れて行ってくれた。残り250mでペタッキを追い抜いて、ゴールして勝てたんだ。
――エトナでの問題について。エトナの登りで車に牽いてもらってたという選手がいるようなんだけど。
(そのように主張している)ベントソの問題だと思う。やめてくれるよう、彼に頼んでもらいたいな。3年前も4年前も、いつも同じような話が出る……。フランチェスコ・キッキ(イタリア、クイックステップ)が、ぼくと一緒のグループにいたんだ。今日、キッキと話をしたんだけど、なんの問題もない言っていたよ。ぼくが毎回、時間ギリギリでゴールするたび、ぼくがトイレやホイール交換なんかで止まったときに、彼はぼくがズルしていると思うんだろう。いつも審判車とテレビがぼくの後ろにいるんだけどね。
――チームについて
正直に言うけれど、スプリントに関しては去年のチームとは勝手が違う。でもゴールに向けて集中し、全力を尽くしている。結果がそれを証明してくれてるよ。
――ジロについて
パルマでのぼくの落胆っぷりを知ってるだろ? ジロ・デ・イタリアは好きだし、今日ここで勝つことができた。だから少なくとも、あと1勝はしたいよ。
(記者会見)
イタリアで勝利することは僕にとってとても大きなことだ。この国は僕が初めてグランツールで勝利を挙げた国。パルマ(第2ステージ)で勝てなかったことは本当に残念だったけど、ジロは僕のハートに近い好きなレースの一つなんだ。
山岳(エトナ山)ではひどく苦しんだ。しかしここで勝つためになんとか耐え忍んだんだ。
僕らはこのジロに最高の経験をもつスプリントチームで臨んではいない。しかしそれでも勝ちたいという思いはいつもと変わらない。彼らは100%尽くしてくれる。それ以上望むものはないよ。
僕らは逃げを完全にコントロールした。僕はペタッキのホイールについた。彼はラスト250mで加速したけど、僕は150mで彼を追い抜いて勝ったんだ。
(HTC・ハイロード公式サイト)
2位になったフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスターチーム)
休養日はとてもいい一日だった。今朝は脚の調子がほんとうによかったんだ。少し腹立たしいのは、ラストラスが完璧に連れて行ってくれたのに、ぼくの飛び出す力が少し欠けていた点だ。
チームは今日もすばらしかった。コノヴァロヴァス、パサモンテス、ラストラス……みんなが集団内でぼくをしっかり守ってくれた。でも残り800mで少しだけ位置をはずれてしまった。するとパブロ(ラストラス)がめざましい働きをしてくれた。
彼は集団前方にぼくを牽いていき、ラスト300mでぼくを発射した。ぼくにはちょっとだけ攻撃力が欠けていた。それだけだ。そのせいで適切な位置がうまく見つからなくて追い抜かれてしまった。
2台のバイクに追いついたものの、追い越すことは不可能だった。まだ脚は残っていたんだけど。それでも2位になれたことは嬉しい。でもスプリンターにとって、2位とは敗者の中での1位なんだ。
明日はお気に入りのステージだ。でもスプリント勝負に持ち込むのは難しいだろう。スプリントステージは木曜日(第12ステージ)だけで、その後はほとんどない。(第12ステージを終えたら)その後は難しいステージになる。ミラノにたどり着くまで。でも挑戦は続けるよ。
休養日はすごく充実して過ごせた。何もしなかったんだ。トレーナーが指示したことはひとつもやらなかった。横になってよく食べたんだ。こんなふうにしたのは初めてだね。今まで何年かはいつも、外に走りに行っていたから。でも今回は自分の習慣を変えたんだ。最高だったよ。
――第9ステージでカヴェンディッシュら数名の選手がチームカー掴まって登っていたという件について
カヴェンディッシュがやったことについて、言うことはあまりない。ぼくたちはこの目で見た。あれはフェアじゃないし、ルールは尊重されなければならないと思う。
3位に沈んだアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
スプリントに入るために支えてくれたチームメイトに感謝したい。最後の直線では仕掛けるのが早すぎた。チオレックが全力で飛び出した時はついて行かないことにしたし、実際彼のアタックはすぐに終わってしまった。それからモビスターの選手の後につけようとしたんだけど、そこでスプリントを始めてしまった。カヴェンディッシュがぼくのスリップストリームに入ってるのはわかっていたけれど、止められなかった。マークはぼくよりもすごかったから、ぼくに勝ったんだ。
初めてのマリアビアンカが嬉しいロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)
初めてジロで一日中マリアビアンカを着て走ったんだ! このジャージは気に入ってる。ジロの最終日までキープしたいね。
マリアローザを着て走ったアルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード)
――今日のステージについて
今日は逃げが成立してくれてよかった。総合成績をおびやかす心配のない選手たちだったからね。だからチームはとても落ち着いていられたんだ。スタートはちょっと大変だったけれど、逃げができて少し楽になった。ペースは速かったけれど、通常の範囲内だった。ラスト20kmだけは進行方向が変わって、風に注意する必要があったけれどね。
――マリアローザを着て走ったわけだけど?
マリアローザを守ることにこだわっていたわけじゃないけれど、HTC・ハイロードがカヴェンディッシュのスプリントゴールに備えて集団を一緒に形成してくれたおかげで、マリアローザを維持することができた。嬉しいと思っている。
――マリアローザを維持するつもり?
マリアローザを着られることはいつだって嬉しいけれど、ステージ後にいろいろとやらなければならないことができる。毎日これだと大変だ。毎日1時間半は時間をとられるし、10日続けばライバルたちに比べて回復の時間がかなり少なくなってしまう。
――エトナのアタックで、ニーバリとスカルポーニが打ち負かされたように見えた。
そうは思わない。エトナは坂のひとつに過ぎなかったし、ニーバリやスカルポーニが引き下がったとは思っていないよ。
――明日のステージについて
明日はとても難しいステージだ。クラシックレースみたいだね。逃げ切りゴールも含めて、いろいろな可能性がある。ライバルに遅れをとらないよう、細心の注意を払う必要があるだろうね。
――ジロの印象について
マリアローザを獲得できて、ほんとうに嬉しい。でもぼくの頭にあるのは、5月29日(最終日)の翌日の午後に、ミラノで自分が何を着ているかということなんだ。
148kmの逃げを見せた別府史之(日本、レディオシャック)
ラスト50キロのところから、またペースをあげてみて、最後3分差でどうなるかなと思ったんですけど、やっぱり最後追い風になって集団のほうが早かった。
でも、すごく調子もよくて、いい感じで踏めて、コンディションもよかった。あと、歯の詰め物がとれるアクシデントがあって大変でしたけど、すごいエンジョイして走れました。
――今後の逃げの機会について
そうですね。でも、これからは山のステージが多い。これから13、14、15(ステージ)ときついので、そこはちょっと様子を見て行きたいですね。
――今日逃げたキッカケについて
今日か明日か、逃げれてチャンスを掴めればなと思ったんですけど。今日のほうが涼しかったし、エトナのステージでちょっとタイム差もついてたので、まあ、見逃してくれるかなと思ったんですけど、やっぱり……。スプリンターステージも2日間しかなかったのと、だからまあ……。でも、まだ脚も残ってるので、まだいけそうです!
ソースは現地取材、TVインタビュー、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
待望の1勝をあげたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
――スプリントについて
今日のスプリントは3回しかないスプリントステージのひとつだった。最後に集団でまっすぐのやつね! 休養日明けだったから調子はよかったし、チームはアタックをすべてコントロールして、ゴール前500mのいい位置にぼくを連れて行ってくれた。残り250mでペタッキを追い抜いて、ゴールして勝てたんだ。
――エトナでの問題について。エトナの登りで車に牽いてもらってたという選手がいるようなんだけど。
(そのように主張している)ベントソの問題だと思う。やめてくれるよう、彼に頼んでもらいたいな。3年前も4年前も、いつも同じような話が出る……。フランチェスコ・キッキ(イタリア、クイックステップ)が、ぼくと一緒のグループにいたんだ。今日、キッキと話をしたんだけど、なんの問題もない言っていたよ。ぼくが毎回、時間ギリギリでゴールするたび、ぼくがトイレやホイール交換なんかで止まったときに、彼はぼくがズルしていると思うんだろう。いつも審判車とテレビがぼくの後ろにいるんだけどね。
――チームについて
正直に言うけれど、スプリントに関しては去年のチームとは勝手が違う。でもゴールに向けて集中し、全力を尽くしている。結果がそれを証明してくれてるよ。
――ジロについて
パルマでのぼくの落胆っぷりを知ってるだろ? ジロ・デ・イタリアは好きだし、今日ここで勝つことができた。だから少なくとも、あと1勝はしたいよ。
(記者会見)
イタリアで勝利することは僕にとってとても大きなことだ。この国は僕が初めてグランツールで勝利を挙げた国。パルマ(第2ステージ)で勝てなかったことは本当に残念だったけど、ジロは僕のハートに近い好きなレースの一つなんだ。
山岳(エトナ山)ではひどく苦しんだ。しかしここで勝つためになんとか耐え忍んだんだ。
僕らはこのジロに最高の経験をもつスプリントチームで臨んではいない。しかしそれでも勝ちたいという思いはいつもと変わらない。彼らは100%尽くしてくれる。それ以上望むものはないよ。
僕らは逃げを完全にコントロールした。僕はペタッキのホイールについた。彼はラスト250mで加速したけど、僕は150mで彼を追い抜いて勝ったんだ。
(HTC・ハイロード公式サイト)
2位になったフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスターチーム)
休養日はとてもいい一日だった。今朝は脚の調子がほんとうによかったんだ。少し腹立たしいのは、ラストラスが完璧に連れて行ってくれたのに、ぼくの飛び出す力が少し欠けていた点だ。
チームは今日もすばらしかった。コノヴァロヴァス、パサモンテス、ラストラス……みんなが集団内でぼくをしっかり守ってくれた。でも残り800mで少しだけ位置をはずれてしまった。するとパブロ(ラストラス)がめざましい働きをしてくれた。
彼は集団前方にぼくを牽いていき、ラスト300mでぼくを発射した。ぼくにはちょっとだけ攻撃力が欠けていた。それだけだ。そのせいで適切な位置がうまく見つからなくて追い抜かれてしまった。
2台のバイクに追いついたものの、追い越すことは不可能だった。まだ脚は残っていたんだけど。それでも2位になれたことは嬉しい。でもスプリンターにとって、2位とは敗者の中での1位なんだ。
明日はお気に入りのステージだ。でもスプリント勝負に持ち込むのは難しいだろう。スプリントステージは木曜日(第12ステージ)だけで、その後はほとんどない。(第12ステージを終えたら)その後は難しいステージになる。ミラノにたどり着くまで。でも挑戦は続けるよ。
休養日はすごく充実して過ごせた。何もしなかったんだ。トレーナーが指示したことはひとつもやらなかった。横になってよく食べたんだ。こんなふうにしたのは初めてだね。今まで何年かはいつも、外に走りに行っていたから。でも今回は自分の習慣を変えたんだ。最高だったよ。
――第9ステージでカヴェンディッシュら数名の選手がチームカー掴まって登っていたという件について
カヴェンディッシュがやったことについて、言うことはあまりない。ぼくたちはこの目で見た。あれはフェアじゃないし、ルールは尊重されなければならないと思う。
3位に沈んだアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
スプリントに入るために支えてくれたチームメイトに感謝したい。最後の直線では仕掛けるのが早すぎた。チオレックが全力で飛び出した時はついて行かないことにしたし、実際彼のアタックはすぐに終わってしまった。それからモビスターの選手の後につけようとしたんだけど、そこでスプリントを始めてしまった。カヴェンディッシュがぼくのスリップストリームに入ってるのはわかっていたけれど、止められなかった。マークはぼくよりもすごかったから、ぼくに勝ったんだ。
初めてのマリアビアンカが嬉しいロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)
初めてジロで一日中マリアビアンカを着て走ったんだ! このジャージは気に入ってる。ジロの最終日までキープしたいね。
マリアローザを着て走ったアルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード)
――今日のステージについて
今日は逃げが成立してくれてよかった。総合成績をおびやかす心配のない選手たちだったからね。だからチームはとても落ち着いていられたんだ。スタートはちょっと大変だったけれど、逃げができて少し楽になった。ペースは速かったけれど、通常の範囲内だった。ラスト20kmだけは進行方向が変わって、風に注意する必要があったけれどね。
――マリアローザを着て走ったわけだけど?
マリアローザを守ることにこだわっていたわけじゃないけれど、HTC・ハイロードがカヴェンディッシュのスプリントゴールに備えて集団を一緒に形成してくれたおかげで、マリアローザを維持することができた。嬉しいと思っている。
――マリアローザを維持するつもり?
マリアローザを着られることはいつだって嬉しいけれど、ステージ後にいろいろとやらなければならないことができる。毎日これだと大変だ。毎日1時間半は時間をとられるし、10日続けばライバルたちに比べて回復の時間がかなり少なくなってしまう。
――エトナのアタックで、ニーバリとスカルポーニが打ち負かされたように見えた。
そうは思わない。エトナは坂のひとつに過ぎなかったし、ニーバリやスカルポーニが引き下がったとは思っていないよ。
――明日のステージについて
明日はとても難しいステージだ。クラシックレースみたいだね。逃げ切りゴールも含めて、いろいろな可能性がある。ライバルに遅れをとらないよう、細心の注意を払う必要があるだろうね。
――ジロの印象について
マリアローザを獲得できて、ほんとうに嬉しい。でもぼくの頭にあるのは、5月29日(最終日)の翌日の午後に、ミラノで自分が何を着ているかということなんだ。
148kmの逃げを見せた別府史之(日本、レディオシャック)
ラスト50キロのところから、またペースをあげてみて、最後3分差でどうなるかなと思ったんですけど、やっぱり最後追い風になって集団のほうが早かった。
でも、すごく調子もよくて、いい感じで踏めて、コンディションもよかった。あと、歯の詰め物がとれるアクシデントがあって大変でしたけど、すごいエンジョイして走れました。
――今後の逃げの機会について
そうですね。でも、これからは山のステージが多い。これから13、14、15(ステージ)ときついので、そこはちょっと様子を見て行きたいですね。
――今日逃げたキッカケについて
今日か明日か、逃げれてチャンスを掴めればなと思ったんですけど。今日のほうが涼しかったし、エトナのステージでちょっとタイム差もついてたので、まあ、見逃してくれるかなと思ったんですけど、やっぱり……。スプリンターステージも2日間しかなかったのと、だからまあ……。でも、まだ脚も残ってるので、まだいけそうです!
ソースは現地取材、TVインタビュー、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
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