2011/05/15(日) - 16:10
噴火したエトナ山。しかし今日のジロ・デ・イタリア第9ステージはそのエトナを2度登るコースだ。1度目は北から、2度目は南から。選手たちは準備万端。いったいどうなるのか? ヴィスコンティ、ニーバリ、ティラロンゴらに取材。現地からグレゴー・ブラウンが伝える。
「ジロが通り過ぎるまで大きな噴火が起きなければいいね」。
トリノ出身だが、シチリアとはゆかりの深いイタリアチャンピオンのジョヴァンニ・ヴィスコンティ(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)は心配げだ。しかし「特別なレースになるだろうね」と言う。ヴィスコはかつてシチリアのパレルモでアマチュア時代を過ごした。
最近起こったこの活火山の噴火は、シチリア空港を封鎖させ、選手たちが空路移動する翌日のカタニアへの空路を断った。コース上の火山灰は除去され、空港も復旧してはいる。しかしレースディレクターのアンジェロ・ゾメニャン氏はこの日のステージをカットする気はないようだ。
レースがエトナ山の登りに設定されたのはじつに22年ぶりのことだ。1989年のジロでは、ポルトガルのアカシオ・ダシルバがコロンビアのルイス・ヘレラを下して優勝した。ダシルバは同時にマリアローザも獲得している。
ジロがエトナ山を初めて訪れた1967年のステージではイタリアのフランコ・ビストッジがスペインのオレリオ・ゴンザレスがを下し、ステージ優勝している。そして今年の訪問がジロ史上3度目の採用になる。
コースは61km北上した後、最初に登場する北側の登りは平均勾配6.1%で登坂距離18km。標高1631mまで登る。そこから約35kmかけて一旦海岸線近くまで下り、再び南側から標高3323mの活火山目がけて登り返す。岩肌むき出しの荒涼とした平均勾配6.2%・登坂距離19.4kmの登りの先に待つのは、標高1892mの山頂フィニッシュだ。
シチリア出身のパオロ・ティラロンゴ(アスタナ)は、これまで40回以上エトナ山に登った経験がある。でもレースで登ったことはない。ティラロンゴにコースを解説してもらった。
「最初の北側の登りの勾配はそれほどきつくはない。しかし30kmもある長い上りだ。2回目の登りは20kmだが、登り口のニコラジ(Nicolasi)まではアップダウンの繰り返しで、さらにそこから頂上までも厳しい」。
ティラロンゴはこうも言う「エトナこそがこのジロでの最初の山岳だ。もし暑くなれば、もっとハードなステージになる。おそらくいつもどおり暑くなりそうだ」。
山岳スペシャリストのティラロンゴはイタリア最北端の街のひとつであるシチリア島シラクーザ近郊のアーヴォラ(Avola)の出身だ。今日のコース沿いには彼のファンが多くいるだろうが、アスタナのエースであるロマン・クロイツィゲル(チェコ)のアシストとして走る。
「僕らのチームにはいつも先頭集団に4人ほどのクライマーが居る。モンテベルジーネのステージで見ただろう? 僕らはエトナでも見せ場を作るつもりだ。
総合優勝候補の一人、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)はシクロワイアードの取材に対してこうコメントする。
「僕にとってエトナのステージは特別なものになる。しかし、選手のセレクション(ふるい落とし)という意味ではそれほど大きな差はつかないだろうと思う。コースそのものの難易度からでなく、総合争いではまだ時期尚早。効果的なアタックをかけるにはまだ早過ぎる。
リクイガスのキャプテンであるニーバリは、シチリア島メッシーナの出身だ。コンタドールとスカルポーニと並び、このジロでは優勝候補だ。もちろん ピーター・ウェーニング(オランダ)のマリアローザを故郷の地で奪いたいに違いない。しかし、それでもまだ時期が早いと言う。
「コースのことは知り尽くしている。それはすでにアドバンテージだ。地元ファンの応援を受けれるのもそうだ。エトナステージはまさに僕向き。しかしこの厳しいジロでは体力をうまく温存することが必要になってくる。もっともハードなステージは最終週に待っている」。
ここで紹介した3人はいずれも身体を絞って、さらに最終週のことを過剰に心配して慎重になっている。しかしそんなことでファンの応援を止めることはできないだろう。
ティラロンゴは最後にアドバイスをくれた。
「シチリアでは何を注文しても美味しいよ。デザートにならグラニテ(シャーベット)かカンノーロ(シチリア発祥のペストリー菓子)がおすすめだ」。
さあ、ジロ第1週を美味しいデザートで締めくくるのは果たして誰だろう?
text:Gregor Brown in Tropea
translation:Makoto.AYANO
photo:Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
「ジロが通り過ぎるまで大きな噴火が起きなければいいね」。
トリノ出身だが、シチリアとはゆかりの深いイタリアチャンピオンのジョヴァンニ・ヴィスコンティ(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)は心配げだ。しかし「特別なレースになるだろうね」と言う。ヴィスコはかつてシチリアのパレルモでアマチュア時代を過ごした。
最近起こったこの活火山の噴火は、シチリア空港を封鎖させ、選手たちが空路移動する翌日のカタニアへの空路を断った。コース上の火山灰は除去され、空港も復旧してはいる。しかしレースディレクターのアンジェロ・ゾメニャン氏はこの日のステージをカットする気はないようだ。
レースがエトナ山の登りに設定されたのはじつに22年ぶりのことだ。1989年のジロでは、ポルトガルのアカシオ・ダシルバがコロンビアのルイス・ヘレラを下して優勝した。ダシルバは同時にマリアローザも獲得している。
ジロがエトナ山を初めて訪れた1967年のステージではイタリアのフランコ・ビストッジがスペインのオレリオ・ゴンザレスがを下し、ステージ優勝している。そして今年の訪問がジロ史上3度目の採用になる。
コースは61km北上した後、最初に登場する北側の登りは平均勾配6.1%で登坂距離18km。標高1631mまで登る。そこから約35kmかけて一旦海岸線近くまで下り、再び南側から標高3323mの活火山目がけて登り返す。岩肌むき出しの荒涼とした平均勾配6.2%・登坂距離19.4kmの登りの先に待つのは、標高1892mの山頂フィニッシュだ。
シチリア出身のパオロ・ティラロンゴ(アスタナ)は、これまで40回以上エトナ山に登った経験がある。でもレースで登ったことはない。ティラロンゴにコースを解説してもらった。
「最初の北側の登りの勾配はそれほどきつくはない。しかし30kmもある長い上りだ。2回目の登りは20kmだが、登り口のニコラジ(Nicolasi)まではアップダウンの繰り返しで、さらにそこから頂上までも厳しい」。
ティラロンゴはこうも言う「エトナこそがこのジロでの最初の山岳だ。もし暑くなれば、もっとハードなステージになる。おそらくいつもどおり暑くなりそうだ」。
山岳スペシャリストのティラロンゴはイタリア最北端の街のひとつであるシチリア島シラクーザ近郊のアーヴォラ(Avola)の出身だ。今日のコース沿いには彼のファンが多くいるだろうが、アスタナのエースであるロマン・クロイツィゲル(チェコ)のアシストとして走る。
「僕らのチームにはいつも先頭集団に4人ほどのクライマーが居る。モンテベルジーネのステージで見ただろう? 僕らはエトナでも見せ場を作るつもりだ。
総合優勝候補の一人、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)はシクロワイアードの取材に対してこうコメントする。
「僕にとってエトナのステージは特別なものになる。しかし、選手のセレクション(ふるい落とし)という意味ではそれほど大きな差はつかないだろうと思う。コースそのものの難易度からでなく、総合争いではまだ時期尚早。効果的なアタックをかけるにはまだ早過ぎる。
リクイガスのキャプテンであるニーバリは、シチリア島メッシーナの出身だ。コンタドールとスカルポーニと並び、このジロでは優勝候補だ。もちろん ピーター・ウェーニング(オランダ)のマリアローザを故郷の地で奪いたいに違いない。しかし、それでもまだ時期が早いと言う。
「コースのことは知り尽くしている。それはすでにアドバンテージだ。地元ファンの応援を受けれるのもそうだ。エトナステージはまさに僕向き。しかしこの厳しいジロでは体力をうまく温存することが必要になってくる。もっともハードなステージは最終週に待っている」。
ここで紹介した3人はいずれも身体を絞って、さらに最終週のことを過剰に心配して慎重になっている。しかしそんなことでファンの応援を止めることはできないだろう。
ティラロンゴは最後にアドバイスをくれた。
「シチリアでは何を注文しても美味しいよ。デザートにならグラニテ(シャーベット)かカンノーロ(シチリア発祥のペストリー菓子)がおすすめだ」。
さあ、ジロ第1週を美味しいデザートで締めくくるのは果たして誰だろう?
text:Gregor Brown in Tropea
translation:Makoto.AYANO
photo:Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
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