最終ステージ、僅差のゴールスプリントを制したのはケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)。総合優勝はアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)が獲得した。ゴール前3km地点で落車した宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)だったが、幸い大ケガには至らず自走でゴールしている。

スタート地点で演奏されたトルコ風トランペットスタート地点で演奏されたトルコ風トランペット photo:Sonoko.TANAKAグアルディーニのインタビューを見守る(?)宮澤崇史グアルディーニのインタビューを見守る(?)宮澤崇史 photo:Sonoko.TANAKA


最終日、宮澤崇史がゴール前でクラッシュ

リーダージャージを着て走るアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)リーダージャージを着て走るアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1) photo:Sonoko.TANAKAツアー・オブ・ターキー最終日となる第8ステージはトルコ南部の遺跡の街シデをスタートし、海沿いを東に進みアランヤでゴールする157.8kmの平坦コースで開催された。アランヤでは1周17kmの周回コースを5周してフィニッシュを迎える。

昨日までのステージで、総合首位はアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)でほぼ確定している。またポイント賞、山岳賞も逆転の可能性はないため、最終ステージはステージ優勝をかけたレースとなった。

集団内では頻繁にアタックがかかる集団内では頻繁にアタックがかかる photo:Sonoko.TANAKA途中何度か逃げができては吸収されることを繰り返し、アランヤの周回コースへと入った選手たち。そこでできたのが、ヤン・ウゲ(フランス、スキルシマノ)、ジュリアン・ディーン(ニュージーランド、オメガファーマ・ロット)ら6人の逃げ。

その間、集団の先頭にいたのは、リーダーチームのタイプ1、昨ステージに引き続き、グアルディーニのステージ優勝を狙いたいファルネーゼヴィーニ・ネーリ、サクソバンク・サンガードやガーミン・サーヴェロも前方に出る。逃げグループは最終周回まで先行したが、ゴールを前に集団に吸収される。

前方で集団をコントロールするファルネーゼヴィーニ・ネーリの選手たち前方で集団をコントロールするファルネーゼヴィーニ・ネーリの選手たち photo:Sonoko.TANAKA残り4.5kmの最終カーブを抜けて、各チームの位置取りが激しくなるなか、サクソバンク・サンガードやスキル・シマノ、オメガファーマ・ロットが列車を形成。ポイント賞ジャージを着るアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)も前方に上がる。

残り3kmを切って、上がってきたのが宮澤崇史がアシストするファルネーゼヴィーニ・ネーリ。集団の間を縫って、グアルディーニを前に出そうとするが、横からの幅寄せにより宮澤崇史が大きくクラッシュ。路面に倒れ込む映像が会場に映し出された。


最終日、ようやく勝利を掴んだファンヒュメル

残り100mを切って、集団の前方に上がった選手は、ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)、アレッサンドロ・ペタッキ、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)。この日も各チームのエーススプリンターによる火花散るスプリントが繰り広げられた。そしてケニーとグライペルがピッタリと横に並ぶ形でフィニッシュ。

ゴールラインを越えてガッツポーズを掲げたのはグライペル。しかし、写真判定の末、勝者はケニーとなった。今大会で何度も上位に食い込んでいたケニー。ようやく掴めた勝利に満面の笑みがこぼれた。また先頭集団から少し遅れて戻ってきたリーダージャージを着るエフィムキン。チームメイトとともに総合優勝を喜びながらゴールラインを越えた。

僅差のゴールスプリントを制したのはケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)僅差のゴールスプリントを制したのはケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) photo:Sonoko.TANAKA

今年の「ジロ出場」は叶わなかった宮澤

笑顔を見せてゴールする落車した宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)笑顔を見せてゴールする落車した宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) photo:Sonoko.TANAKA一方、落車による負傷が心配された宮澤だったが、その後立ち上がり、自走で3分28秒ほど遅れてゴールし、「大丈夫だよ〜」と言いながら笑顔をみせた。

今大会を通して、チームにとって非常にいい走りを見せた宮澤だったが、5月1日にチームが発表したジロ・デ・イタリア最終出走メンバーには、残念ながら選ばれなかった。

「やっぱりジロは自分にとって特別なレースなので出たかった。悔しいし、強ければ選ばれるというものではないから難しいんだけど……。次の大きな目標は全日本選手権の連覇になる。それに向けて、ツアー・オブ・ベルギー(5月25-29日、2・HC)やツール・ド・ルクセンブルク(6月1-5日、2・HC)に出られればいいね。全日本前には合宿もしたいし」と話す。
腕の火傷や全身の打撲など落車のあとが痛々しいが、きっと今回のことをプラスのパワーへと代えてくれることだろう。


ステージ優勝したケニー・ファンヒュメルのコメント

ステージ上位選手の表彰式ステージ上位選手の表彰式 photo:Sonoko.TANAKA「ゴールラインを越えたとき、自分が勝ったのかわからなかった。グライペルが喜んだので、彼が勝者だと思ったよ。今回はチームワークがとてもよく、いいポジションでスプリントをすることができた。チームにも感謝しているよ」


総合優勝したアレクサンドル・エフィムキンのコメント

「自分たちのチームはとても強いし、今大会でレースが進むごとに、さらに強くなったと思う。そんなモンスターみたいなチームメイトが自分のリーダージャージを守ってくれたんだ。そして、自分はそのことをすごく幸せに感じている。チームの次の大きな目標はツアー・オブ・カリフォルニア。今回の勝利を次からのレースにつなげたいと思う」



ツアー・オブ・ターキー第8ステージ結果
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
5位 ホアンパブロ・フォレロ(コロンビア、コロンビアエスパシオン・カフェデコロンビア)
6位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
7位 ステファン・ファンダイク(オランダ、ヴェランダズヴィレムス・アクセント)
8位 ジョルジオ・ブランビッラ(イタリア、デローザ・チェラミカフラミニア)
9位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
10位 ディエゴ・ミラン(スペイン、カハルラル)
135位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+3'28"

各賞ジャージ獲得選手の表彰式各賞ジャージ獲得選手の表彰式 photo:Sonoko.TANAKA総合成績
1位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)33h45'48"
2位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)+1'13"
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)+1'33"
4位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)+1'50"
5位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)+2'17"
6位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ)+11'12"
7位 エゴイ・グラシア(スペイン、カハルラル)+11'17"
8位 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、FDJ)+11'19"
9位 リカルド・チアリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+11'23"
10位 ニコラ・ウデ (フランス、コフィディス)
119位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+1h36'21"


チーム成績首位
FDJ

ポイント賞
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)

山岳賞
ルイスフェリップ・ラヴェルデ(コロンビア、コロンビアエスパシオン・カフェデコロンビア)


photo&text.Sonoko.TANAKA
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