2011/04/30(土) - 07:31
大会最長距離かつ険しい山岳で、難易度の高いステージとなった第5ステージ。ステージ優勝は逃げ切りで宮澤崇史のチームメイト、23歳のマッテーオ・ラボティーニ(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)が制した。総合首位はトーマス・ピーターソンが獲得した。現地から田中苑子が伝える。
大会最難関となる第5ステージ
大会最長距離の218kmで開催されたツアー・オブ・ターキー第5ステージ。内陸のデニズリから海沿いのフェトヒイまでの1級山岳を2つ越える難関ステージは、昨日に引き続き暗い雲に覆われたなかでスタートを迎えた。
スタートしてすぐに、29.5km地点に設置された1級山岳に向けた登りが始まって、集団は縦に大きく伸びる。そのなかでビセンテ・レイネス(スペイン、オメガファーマ・ロット)、ローラン・ ディディエ(ルクセンブルク、サクソバンク・サンガード)がアタックをかけるも、短い時間で吸収される。
そして20km地点で、この日の決定的な10人の逃げが決まった。ケニー・デハース(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)、トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、エンリーコ・マガッツィーニ(イタリア、ランプレ・ISD)、マッテーオ・ラボティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)、ロナン・ファンザンデベーク(オランダ、スキル・シマノ)、エロイ・ルイス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)に、アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)とルーカス・ユーザー(アメリカ、スパイダーテック)が追いついた形だ。
ポツポツと雨を感じる山岳地帯を舞台に、逃げグループは集団から8分30秒ほどタイム差を稼いだ。リーダーチームであるネットアップら、逃げに乗れなかったチームが追走したがときすでに遅し。結果的に逃げを吸収することはできなかった。
プロ初勝利を掴んだラボッティーニ
ステージ優勝争いは逃げている10人に絞られた。残り5kmで最初にアタックをかけたのはアレクサンドル・エフィムキン。しかし他の選手を引き離すことはできず、残り1km地点でマッテーオ・ラボティーニが先行する。勢いよく飛び出したラボッティーニ。ゴールまで距離があったため、2番手で彼の後ろから飛び出したエフィムキンに追い上げられるも、僅差ながら先行を守りきり嬉しいプロ初勝利を掴んだ。宮澤崇史のファルネーゼヴィーニ・ネーリは今大会ステージ2勝目を挙げた。
ラボッティーニは、ネオプロ上がりの23歳、イタリア人。1986年にティレーノーアドリアティコを制したルチアーノ・ラボッティーニの息子で、アンダー23カテゴリーで多くの勝利を手にしている。チームのジロ・デ・イタリア暫定出走リストに名前があるが、あくまでも出場は未確定状態で、宮澤崇史とその枠を争う関係でもある。
マッテーオ・ラボティーニのコメント
「このツアー・オブ・ターキーで勝てたことは自分にとって嬉しいサプライズ。ケガでレースを離れていたから、今回はトレーニングのための出場と思っていたから。20km地点で風と登坂を前に逃げたことはちょっとギャンブルだったと思う。でも勝てるチャンスを信じて走り続けた。残り500mでアタックをかけたとき、たとえエフィムキンが追い上げてきても勝てると自信があったんだ。
この勝利がジロ出場へ繋がるかはわからない。ジロ出場はすべてのイタリア人にとっての夢だからね。もし、自分が呼ばれればその夢が叶うことになる。自分がどんなライダーになれるのかはまだわからないけど、ステージレースに向いていると思し、どんな場面でも活躍できるオールラウンダーの素質もありそう。これからの可能性を持っているんだ」
“ターコイズブルー”ジャージはピーターソンへ
リーダージャージはこの日も持ち主を代え、10人の逃げグループでゴールしたトーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)の手中に。ピーターソンは「このレースで勝者になれるチャンスをもっている。残っている3ステージをよく考えて走らないといけないね。でも自分のチームは本当に強いんだ。2009年のツアー・オブ・カリフォルニア以来勝てていないので、このレースの最終日である日曜日に、勝利を手にしていたいね!」と話している。
宮澤崇史のコメント 「このままジロまで走るつもりで頑張る」
宮澤崇史は今日もチームメイトの徹底アシストに回った。「自分のペースではなく、ゆっくり走ると余計に疲れますね」と笑顔を見せ、調子はいたって上々。「このままジロ・デ・イタリアを走るつもりで頑張ります」と話す。
第5ステージで、総合優勝の可能性が残る選手は上位5人にほぼ絞られた。翌第6ステージは最後の山岳ステージで、第8,第9ステージは平坦となる。明日の第7ステージが正念場となるだろう。
ツアー・オブ・ターキー第5ステージ結果
1位 マッテーオ・ラボティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
2位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
3位 エンリーコ・マガッツィーニ(イタリア、ランプレ・ISD)+03"
4位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
6位 ルーカス・ユーザー(アメリカ、スパイダーテック)
7位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)
8位 ロナン・ファンザンデベーク(オランダ、スキル・シマノ)
9位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)+14"
10位 エロイ・ルイス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)+25"
133位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+20'03"
総合成績
1位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)22h49'41"
2位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)+27"
3位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+29"
4位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)+1'42"
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)+2'02"
6位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ)+11'45"
7位 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、FDJ)+11'48"
8位 リカルド・チアリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+11'52"
9位 エゴイ・グラシア(スペイン、カハルラル)
10位 ヘスス・デル(スペイン、ネットアップ)
126位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+1h09'46"
チーム成績首位
FDJ
ポイント賞
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞
アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
photo&text.Sonoko.TANAKA
大会最難関となる第5ステージ
大会最長距離の218kmで開催されたツアー・オブ・ターキー第5ステージ。内陸のデニズリから海沿いのフェトヒイまでの1級山岳を2つ越える難関ステージは、昨日に引き続き暗い雲に覆われたなかでスタートを迎えた。
スタートしてすぐに、29.5km地点に設置された1級山岳に向けた登りが始まって、集団は縦に大きく伸びる。そのなかでビセンテ・レイネス(スペイン、オメガファーマ・ロット)、ローラン・ ディディエ(ルクセンブルク、サクソバンク・サンガード)がアタックをかけるも、短い時間で吸収される。
そして20km地点で、この日の決定的な10人の逃げが決まった。ケニー・デハース(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)、トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、エンリーコ・マガッツィーニ(イタリア、ランプレ・ISD)、マッテーオ・ラボティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)、ロナン・ファンザンデベーク(オランダ、スキル・シマノ)、エロイ・ルイス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)に、アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)とルーカス・ユーザー(アメリカ、スパイダーテック)が追いついた形だ。
ポツポツと雨を感じる山岳地帯を舞台に、逃げグループは集団から8分30秒ほどタイム差を稼いだ。リーダーチームであるネットアップら、逃げに乗れなかったチームが追走したがときすでに遅し。結果的に逃げを吸収することはできなかった。
プロ初勝利を掴んだラボッティーニ
ステージ優勝争いは逃げている10人に絞られた。残り5kmで最初にアタックをかけたのはアレクサンドル・エフィムキン。しかし他の選手を引き離すことはできず、残り1km地点でマッテーオ・ラボティーニが先行する。勢いよく飛び出したラボッティーニ。ゴールまで距離があったため、2番手で彼の後ろから飛び出したエフィムキンに追い上げられるも、僅差ながら先行を守りきり嬉しいプロ初勝利を掴んだ。宮澤崇史のファルネーゼヴィーニ・ネーリは今大会ステージ2勝目を挙げた。
ラボッティーニは、ネオプロ上がりの23歳、イタリア人。1986年にティレーノーアドリアティコを制したルチアーノ・ラボッティーニの息子で、アンダー23カテゴリーで多くの勝利を手にしている。チームのジロ・デ・イタリア暫定出走リストに名前があるが、あくまでも出場は未確定状態で、宮澤崇史とその枠を争う関係でもある。
マッテーオ・ラボティーニのコメント
「このツアー・オブ・ターキーで勝てたことは自分にとって嬉しいサプライズ。ケガでレースを離れていたから、今回はトレーニングのための出場と思っていたから。20km地点で風と登坂を前に逃げたことはちょっとギャンブルだったと思う。でも勝てるチャンスを信じて走り続けた。残り500mでアタックをかけたとき、たとえエフィムキンが追い上げてきても勝てると自信があったんだ。
この勝利がジロ出場へ繋がるかはわからない。ジロ出場はすべてのイタリア人にとっての夢だからね。もし、自分が呼ばれればその夢が叶うことになる。自分がどんなライダーになれるのかはまだわからないけど、ステージレースに向いていると思し、どんな場面でも活躍できるオールラウンダーの素質もありそう。これからの可能性を持っているんだ」
“ターコイズブルー”ジャージはピーターソンへ
リーダージャージはこの日も持ち主を代え、10人の逃げグループでゴールしたトーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)の手中に。ピーターソンは「このレースで勝者になれるチャンスをもっている。残っている3ステージをよく考えて走らないといけないね。でも自分のチームは本当に強いんだ。2009年のツアー・オブ・カリフォルニア以来勝てていないので、このレースの最終日である日曜日に、勝利を手にしていたいね!」と話している。
宮澤崇史のコメント 「このままジロまで走るつもりで頑張る」
宮澤崇史は今日もチームメイトの徹底アシストに回った。「自分のペースではなく、ゆっくり走ると余計に疲れますね」と笑顔を見せ、調子はいたって上々。「このままジロ・デ・イタリアを走るつもりで頑張ります」と話す。
第5ステージで、総合優勝の可能性が残る選手は上位5人にほぼ絞られた。翌第6ステージは最後の山岳ステージで、第8,第9ステージは平坦となる。明日の第7ステージが正念場となるだろう。
ツアー・オブ・ターキー第5ステージ結果
1位 マッテーオ・ラボティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
2位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
3位 エンリーコ・マガッツィーニ(イタリア、ランプレ・ISD)+03"
4位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
6位 ルーカス・ユーザー(アメリカ、スパイダーテック)
7位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)
8位 ロナン・ファンザンデベーク(オランダ、スキル・シマノ)
9位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)+14"
10位 エロイ・ルイス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)+25"
133位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+20'03"
総合成績
1位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)22h49'41"
2位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)+27"
3位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+29"
4位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)+1'42"
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)+2'02"
6位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ)+11'45"
7位 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、FDJ)+11'48"
8位 リカルド・チアリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+11'52"
9位 エゴイ・グラシア(スペイン、カハルラル)
10位 ヘスス・デル(スペイン、ネットアップ)
126位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+1h09'46"
チーム成績首位
FDJ
ポイント賞
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞
アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
photo&text.Sonoko.TANAKA
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