総合争いを決する最終個人タイムトライアルで、トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)が最速タイムを叩き出した。僅差の総合争いの結末は、ステージ2位のアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)に軍配。バスク地方を舞台にした6日間の闘いに幕が降ろされた。

スタート前にバイクのチェックを受けるフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)スタート前にバイクのチェックを受けるフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com2011年4月9日に行なわれたブエルタ・アル・パイスバスコ最終第6ステージ。コースはサジャを発着する24kmで、ちょうどコース中間の12km地点で標高310mの登りをクリアする。獲得標高差は435m。

このアップダウンコースでトップタイムを叩き出したのは、現ドイツTTチャンピオンのマルティンだった。総合115位(134名中)まで順位を下げていたマルティンは、早めのスタートで好タイムをマーク。他の選手たちの追随を許さず、ステージ優勝に輝いた。タイムは32分16秒。平均スピードは44.6km/h。

優勝トロフィーを受け取るトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)優勝トロフィーを受け取るトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com「今日の勝利の秘訣は、前半から全開で走らず、後半に100%の力をぶつけることだった。下りコーナーで減速し過ぎたけど、それ以外は上手く行ったんだ」。今シーズン5勝目を飾ったマルティンはレース後のインタビューでそう語る。。マルティンは今年ヴォルタ・アン・アルガルヴェパリ〜ニースの個人TTで優勝し、それぞれ総合優勝に輝いている。

「この1週間の目標は、今日の個人TTで勝利することだった。それを達成することができて嬉しく思う。パリ〜ニース終了後に休息期間を設けたので、自分が今100%のコンディションではないことを分かっていた。でもレースを進めるうちにコンディションは上昇。その証明としてこの勝利を掴むことができたんだ」。

HTC・ハイロードは、マルコ・ピノッティ(イタリア)をステージ3位に送り込むことに成功。総合争いに加わることはできなかったが、最終日にスピードチームとしての存在感を見せた。

ステージ2位のタイムをマークしたアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)ステージ2位のタイムをマークしたアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com50秒遅れのステージ3位に入り、総合3位にジャンプアップしたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)50秒遅れのステージ3位に入り、総合3位にジャンプアップしたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com1分58秒遅れのステージ28位に終わったフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)1分58秒遅れのステージ28位に終わったフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com

総合トップ3が0秒差、総合トップ11が18秒差でひしめいていた注目の闘いは、ステージ2位に食い込む走りを見せたレディオシャックのクレーデンが制した。リーダージャージを着て走ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は2分08秒遅れの33位で、総合トップ10圏外に脱落。地元バスクチームの期待を背負って走ったサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)は1分17秒遅れの13位に終わり、総合6位に順位を下げた。

チームジャージをアピールするアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)チームジャージをアピールするアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com「今日はチームカーに乗るヨハン・ブリュイネールとホセ・アセベドの的確な指示を受けながら走った。前半の登りをハイペースでクリアし、ペースを保ったままゴールまで駆け抜けた。パーフェクトだ」。

2004年と2006年のツール・ド・フランスで総合2位に入っているクレーデンは現在35歳。今シーズンはパリ〜ニースの第5ステージを制して総合2位。クリテリウム・アンテルナシオナルでは個人TTで優勝している。このブエルタ・アル・パイスバスコでは2000年に総合優勝を飾っており、11年ぶり2度目の優勝を果たした。

総合トップスリーがシャンパンを開ける総合トップスリーがシャンパンを開ける photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com「1週間に渡る厳しい闘いだった。山岳が多く設定され、アタックが繰り返される展開。11年ぶりの総合優勝だなんて、本当にアンビリーバブルだ。でも気持ちを強く保ち、良いチームに巡り会うことができれば、全てが可能へと転じる。このチームなしには有り得なかった勝利だと思う」。

レディオシャックは大会連覇を達成。昨年の総合優勝者でチームメイトのクリストファー・ホーナー(アメリカ)は総合2位でレースを終え、総合ワンツーを果たした。

総合上位陣の中で好タイムをマークしたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が総合3位に浮上し、表彰台を獲得。注目のシュレク兄弟(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は、弟アンディが1分53秒遅れの25位、兄フランクが1分58秒遅れの28位という成績を残した。

レース展開と選手コメントはチーム公式サイト、ならびにストリーミング映像より。

ブエルタ・アル・パイスバスコ2011第6ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)         32'16"
2位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)      +09"
3位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)        +24"
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)    +29"
5位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)  +42"
6位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)    +48"
7位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)          +50"
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)  +53"
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)     +55"
10位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、モビスター)       +1'00"

個人総合成績
1位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)    22h12'11"
2位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)      +47"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
4位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)         +1'03"
5位 シャビエル・トンド(スペイン、モビスター)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)        +1'08"
7位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、モビスター)          +1'28"
8位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)     +1'31"
9位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)       +1'49"
10位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、モビスター)         +1'54"


ポイント賞
アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)

スプリント賞
ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)

山岳賞
ミハエル・アルバジーニ(スイス、HTC・ハイロード)

チーム総合成績
モビスター

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, vueltapaisvasco.diariovasco.com

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