2011/03/15(火) - 11:13
2011年3月14日に開催されたティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)第6ステージ。マリアアッズーラ(リーダージャージ)を着たカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が、丘陵都市マチェラータのゴールに先頭で飛び込んだ。初総合優勝に向け、エヴァンスは最後の個人TTに挑む。
丘陵都市マチェラータにゴールする最終日前日の第6ステージ。178kmのコースは序盤からアップダウンの繰り返し。最後は最大勾配18%の激坂を含む14.7kmの周回コースを3周し、マチェラータの街中にゴールする。最後の激坂バトルに注目が集まった。
平均スピードが46.8km/hをマークするハイスピードな集団から、44km地点で飛び出したのはボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)。
以後1時間に渡ってボジッチの独走が続いたが、遅れてカウンターアタックを仕掛けたベアト・グラブシュ(ドイツ、HTC・ハイロード)が89km地点で先頭に合流する。
先頭を逃げるボジッチとグラブシュ。106km地点のスプリントポイントが近づくと、6分遅れのメイン集団からポイント賞ジャージを着るタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)とエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)がアタック。ファラーはスプリントポイントを3番手通過し、ジャージキープに意欲を見せた。
メイン集団はマリアアッズーラ擁するBMCレーシングチーム、ランプレ・ISD、リクイガス・キャノンデールがコントロールし、先頭2名から4分遅れでマチェラータに到着。この起伏に富んだ1周14.7kmの周回コースでタイム差は縮小を続け、最終周回突入を前に先頭のボジッチとグラブシュは吸収された。
ランプレ・ISDがスピードを上げたメイン集団からは、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)やトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)が脱落。最終周回に入り、ラスト9kmを切るとピーター・ベリトス(スロバキア、HTC・ハイロード)がアタック。しかしBMCレーシングチームとランプレ・ISDが牽くメイン集団にベリトスはラスト7kmで吸収されてしまう。
マリアアッズーラのエヴァンスは、チームメイトのジョージ・ヒンカピー(アメリカ)とアレッサンドロ・バッラン(イタリア)の力を借りて集団前方をキープ。30名ほどに絞られたメイン集団は、ラスト2.3kmから始まる登りにハイスピードで突入した。
ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)がペースを上げると、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)を含む多くの選手が脱落する。
やがて18%急勾配区間に差し掛かるとクネゴにサポートされたミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)が先頭に立ち、マリアアッズーラのエヴァンスが食らいつく。メイン集団はイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)やダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)を含む10名に絞られた。
勾配が緩んだ箇所でアタックしたアンヘル・マドラソルイス(スペイン、モビスター)は、ラスト1kmのアーチ通過後に吸収。再び勾配が18%まで跳ね上がると、スカルポーニがアタックを仕掛け、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が反応する。
激坂で先行するスカルポーニとニーバリ。しかし大きなリードを奪えないまま激坂を終え、続けざまにジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)がロングスパートを仕掛ける。
このヴィスコンティの動きを利用して先頭に立ったエヴァンスが、力強いダンシングでゴールに向かってスプリント。他を寄せ付けない強さを見せたマリアアッズーラが、ガッツポーズでゴールを駆け抜けた。
「素晴らしいサポートで支えてくれたメンバー全員に感謝したい」。レース後、まず始めにチームメイトに感謝したエヴァンス。「最後の周回コースは非常に難易度が高かった。まだ100%のコンディションではないので、スカルポーニのアタックには手こずったよ。何とかアタックを抑え込み、こうして成功を収めることができて非常に満足している。」
エヴァンスはこれが今シーズン初勝利。最後の勝利は、泥だらけになった昨年5月ジロ・デ・イタリア第7ステージだ。
ボーナスタイムを獲得したエヴァンスは、総合2位のスカルポーニから9秒、総合3位のバッソから12秒のリードを得ている。翌日の最終ステージは、アドリア海のリゾート地サンベネデット・デル・トロントで行なわれる個人タイムトライアル。アドリア海に面したフルフラットな9.3kmコースが設定されている。
エヴァンスは「明日の個人タイムトライアルは全長が9km。短いけど決して気が抜けない。これまでのティレーノ〜アドリアティコでも、サンベネデット・デル・トロントで総合優勝の行方が変わることは度々あった」と、慎重な態度を崩さない。
マチェラータから35kmほど離れたイェージ出身のスカルポーニは、地元ファンの声援を受けて執拗に攻撃。しかしエヴァンスを切り崩すことはできず、ステージ3位に終わった。現在総合2位。連日のステージ上位入賞によりポイント賞トップに立っている。
最終個人タイムトライアルでエヴァンスの座を脅かすのは、総合2位のスカルポーニだけではない。「今シーズンは個人タイムトライアルの改善に取り組んできた。明日は良い走りをしたい」と語る総合3位のバッソや、総合4位・15秒遅れで新人賞ジャージを着るロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、そして総合5位・21秒遅れのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)らの存在も忘れてはならない。ティレーノ〜アドリアティコの総合バトルはいよいよ最終局面に入る。
選手コメントはレース公式サイトより。
ティレーノ〜アドリアティコ2011第6ステージ結果
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 4h37'58"
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
3位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
6位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
9位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)
74位 別府史之(日本、レディオシャック) +8'59"
個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 27h26'33"
2位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +09"
3位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +12"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +15"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +21"
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +24"
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +33"
8位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +42"
9位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ) +46"
10位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)
94位 別府史之(日本、レディオシャック) +47'03"
ポイント賞
ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞
ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、クイックステップ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
丘陵都市マチェラータにゴールする最終日前日の第6ステージ。178kmのコースは序盤からアップダウンの繰り返し。最後は最大勾配18%の激坂を含む14.7kmの周回コースを3周し、マチェラータの街中にゴールする。最後の激坂バトルに注目が集まった。
平均スピードが46.8km/hをマークするハイスピードな集団から、44km地点で飛び出したのはボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)。
以後1時間に渡ってボジッチの独走が続いたが、遅れてカウンターアタックを仕掛けたベアト・グラブシュ(ドイツ、HTC・ハイロード)が89km地点で先頭に合流する。
先頭を逃げるボジッチとグラブシュ。106km地点のスプリントポイントが近づくと、6分遅れのメイン集団からポイント賞ジャージを着るタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)とエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)がアタック。ファラーはスプリントポイントを3番手通過し、ジャージキープに意欲を見せた。
メイン集団はマリアアッズーラ擁するBMCレーシングチーム、ランプレ・ISD、リクイガス・キャノンデールがコントロールし、先頭2名から4分遅れでマチェラータに到着。この起伏に富んだ1周14.7kmの周回コースでタイム差は縮小を続け、最終周回突入を前に先頭のボジッチとグラブシュは吸収された。
ランプレ・ISDがスピードを上げたメイン集団からは、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)やトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)が脱落。最終周回に入り、ラスト9kmを切るとピーター・ベリトス(スロバキア、HTC・ハイロード)がアタック。しかしBMCレーシングチームとランプレ・ISDが牽くメイン集団にベリトスはラスト7kmで吸収されてしまう。
マリアアッズーラのエヴァンスは、チームメイトのジョージ・ヒンカピー(アメリカ)とアレッサンドロ・バッラン(イタリア)の力を借りて集団前方をキープ。30名ほどに絞られたメイン集団は、ラスト2.3kmから始まる登りにハイスピードで突入した。
ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)がペースを上げると、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)を含む多くの選手が脱落する。
やがて18%急勾配区間に差し掛かるとクネゴにサポートされたミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)が先頭に立ち、マリアアッズーラのエヴァンスが食らいつく。メイン集団はイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)やダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)を含む10名に絞られた。
勾配が緩んだ箇所でアタックしたアンヘル・マドラソルイス(スペイン、モビスター)は、ラスト1kmのアーチ通過後に吸収。再び勾配が18%まで跳ね上がると、スカルポーニがアタックを仕掛け、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が反応する。
激坂で先行するスカルポーニとニーバリ。しかし大きなリードを奪えないまま激坂を終え、続けざまにジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)がロングスパートを仕掛ける。
このヴィスコンティの動きを利用して先頭に立ったエヴァンスが、力強いダンシングでゴールに向かってスプリント。他を寄せ付けない強さを見せたマリアアッズーラが、ガッツポーズでゴールを駆け抜けた。
「素晴らしいサポートで支えてくれたメンバー全員に感謝したい」。レース後、まず始めにチームメイトに感謝したエヴァンス。「最後の周回コースは非常に難易度が高かった。まだ100%のコンディションではないので、スカルポーニのアタックには手こずったよ。何とかアタックを抑え込み、こうして成功を収めることができて非常に満足している。」
エヴァンスはこれが今シーズン初勝利。最後の勝利は、泥だらけになった昨年5月ジロ・デ・イタリア第7ステージだ。
ボーナスタイムを獲得したエヴァンスは、総合2位のスカルポーニから9秒、総合3位のバッソから12秒のリードを得ている。翌日の最終ステージは、アドリア海のリゾート地サンベネデット・デル・トロントで行なわれる個人タイムトライアル。アドリア海に面したフルフラットな9.3kmコースが設定されている。
エヴァンスは「明日の個人タイムトライアルは全長が9km。短いけど決して気が抜けない。これまでのティレーノ〜アドリアティコでも、サンベネデット・デル・トロントで総合優勝の行方が変わることは度々あった」と、慎重な態度を崩さない。
マチェラータから35kmほど離れたイェージ出身のスカルポーニは、地元ファンの声援を受けて執拗に攻撃。しかしエヴァンスを切り崩すことはできず、ステージ3位に終わった。現在総合2位。連日のステージ上位入賞によりポイント賞トップに立っている。
最終個人タイムトライアルでエヴァンスの座を脅かすのは、総合2位のスカルポーニだけではない。「今シーズンは個人タイムトライアルの改善に取り組んできた。明日は良い走りをしたい」と語る総合3位のバッソや、総合4位・15秒遅れで新人賞ジャージを着るロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、そして総合5位・21秒遅れのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)らの存在も忘れてはならない。ティレーノ〜アドリアティコの総合バトルはいよいよ最終局面に入る。
選手コメントはレース公式サイトより。
ティレーノ〜アドリアティコ2011第6ステージ結果
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 4h37'58"
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
3位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
6位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
9位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)
74位 別府史之(日本、レディオシャック) +8'59"
個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 27h26'33"
2位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +09"
3位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +12"
4位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +15"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +21"
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +24"
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +33"
8位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +42"
9位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ) +46"
10位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)
94位 別府史之(日本、レディオシャック) +47'03"
ポイント賞
ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞
ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、クイックステップ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
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