2011/03/12(土) - 22:25
3月11日、ティレーノ~アドリアティコ第3ステージは、アルゼンチン人スプリンターのフアンホセ・アエド(サクソバンク・サンガード)が昨第2ステージ優勝の タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)を抑えてステージ優勝を挙げた。別府史之は16位と健闘した。
ファラーをスプリントで下したフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) photo:Riccardo Scanferla
スタートに並んだ4勝ジャージ (c)CorVosテッラヌオーヴァ・ブラッチョリーニ~ペルージャで行われた第3ステージは、189kmの平坦基調のステージ。ラスト25km地点にカテゴリー山岳があるものの、第2ステージに続いて今大会中2ステージしかないスプリンター向けのステージだった。
この日のスタート前、日本でマグニチュード8.8という東北地方太平洋沖地震が発生し、発生した津波によって甚大な被害が出ているという情報がティレーノ出場中の別府史之(レディオシャック)のもとに届いた。
錯綜する被害情報、しかしTwitterを通して続々と伝えられる惨状に、フミは「皆さんの無事を祈りながら走ります」とtwitterに書きこんでスタートを切った。
地震のニュースを聞いて走りだした別府史之(日本、レディオシャック) photo:Riccardo Scanferla
ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド)が出走せず、158人の選手が好天のなか南へ向けて走りだした。コースは平坦基調で、ペルージャの町に入ったゴール手前20kmに標高474mの峠があるのみ。スプリンターに大きなチャンスのあるステージだ。
スタート2kmでダニエル・セスマ(スペイン、エウスカルテル)の逃げが決まり、快調にリードが広がる。20km地点を通過する頃には後続とは7分以上のタイム差、そして60km地点では最大となる9分45秒差まで開いた。
ランプレ・ISD、ガーミン・サーヴェロ、レオパード・トレック勢がゴールスプリントにむけて集団をコントロールし、差を詰めてゆく。155kmに渡ったセスマの逃げは、2つ目のスプリントポイントを先頭で越えて終わりを告げる。集団の先頭はラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)が2位通過し、2秒のボーナスタイムを獲得してバーチャルリーダーとなる。
最後の登り、ペルージャのヴァヌッチ峠ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTCハイロード)が集団からちぎれて遅れてしまう。峠はアンヘル・マドラソルイス(スペイン、モビスター)、ニック・ナイエンス(ベルギー、サクソバンク)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)の順に通過。山頂を越え、ゴールへと向かう。
アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)や別府史之(日本、レディオシャック)がアタックを見せるが、ほどなく吸収。スプリンター擁するチームの共同支配のもと、ゴールへと向かう。
天を仰ぐフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) (c)CorVosラスト1kmの印フラムルージュを越えると、昨ステージと同じように世界チャンピオンの証、マイヨ・アルカンシェルを着たトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)が先頭に躍り出る。タイラー・ファラー(アメリカ、同)が続き、ステージ連覇に向けて強力なリードアウトを見せる。
しかし発射されたファラーに、後方につけていたフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)がラスト100mで襲いかかる。アエドはファラーを交わしてゴールに飛び込んだ。
フミこと別府史之もゴールスプリントに参加し、16位でフィニッシュ。地脚をみせつけた。おそらくは朝にツィッターでつぶやいたとおり、日本への祈りの思いを込めたスプリントだった。
17位に沈んだオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)。ミラノ~サンレモは大丈夫か? (c)CorVosアエドは言う。「チームはすごい働きをしてくれた。ラスト1kmでのガーミンの走りは驚きだった。しかし僕には脚があった。ここにいる人(記者会見にいる記者に向かって)たち皆が驚いているようだが、僕にとって、そしてチームにとっては驚くことじゃない。自信はあった」と語った。
そして昨年度のドーフィネでの勝利と比べてコメントを求められると、「この勝利はひと味違う。今ここには世界最高のスプリンターが揃っているから」と、層の厚いティレーノのステージ勝利を喜んだ。
敗れたファラーは言う。「トル(フースホフト)はパーフェクトだった。しかし今日のJJ(アエド)はちょっと速すぎた」。
ステージを制したフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) (c)RCS sportsアルゼンチンはブエノスアイレスから来た背の高い30歳のスプリンターであるアエドは、昨年のシーズンで、ツアー・オブ・カリフォルニアとクリテリウム・ドーフィネ、そしてワンデイレースのルント・ウム・ケルン(ドイツ)とツール・ド・ムンバイ(インド)においてステージ優勝を飾った。カリフォルニアではポイント賞総合も獲得している。
コンタドール色の強いサクソバンクだが、スプリントでも勝負できることを証明てみせた。そしてとくに今日はカヴェンディッシュが登りで遅れたことで、続くミラノ~サンレモの優勝候補が少し変わってくる。JJアエドは早くもミラノ~サンレモの有力候補に名前を連ねることになりそうだ。
地震の惨劇が続く日本を元気づけようとハッスルしたフミこと別府史之。「心配している。僕の両親は無事だった。しかしこの悲劇で大きなダメージを受けている。そのことを思うと心が痛む」「世界中の人々が、惨事に苦しんでいる人のことをサポートしている。その声は直接は届かないだろう。でもそれを感じられることを願っている」とtwitterに記している。
新人賞はロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) (c)CorVosティレーノ~アドリアティコ2011第3ステージ結果
1位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) 4h39'45"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
3位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
4位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレISD)
5位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTCハイロード)
6位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
7位 ロイ・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 マルセル・シーベルグ(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
10位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
16位 別府史之(日本、レディオシャック)
個人総合成績首位のタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) (c)RCS sports個人総合成績
1位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) 9h53'51"
2位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) +05"
3位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) +06"
4位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) +08"
5位 トム・リーザー(オランダ、ラボバンク)
6位 ロバート・ゲシンク(オランダ、ラボバンク)
7位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)
8位 ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)
9位 ラムナス・ナバルダウスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)+15"
10位 アンドレアス・クリアー(ドイツ、ガーミン・サーヴェロ) +17"
58位 別府史之(日本、レディオシャック) +50"
ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
山岳賞
ハビエル・アラメンディア(スペイン、エウスカルテル)
チーム総合成績
ラボバンク
text:Makoto.AYANO
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos,(c)RCS Sports


この日のスタート前、日本でマグニチュード8.8という東北地方太平洋沖地震が発生し、発生した津波によって甚大な被害が出ているという情報がティレーノ出場中の別府史之(レディオシャック)のもとに届いた。
錯綜する被害情報、しかしTwitterを通して続々と伝えられる惨状に、フミは「皆さんの無事を祈りながら走ります」とtwitterに書きこんでスタートを切った。

ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド)が出走せず、158人の選手が好天のなか南へ向けて走りだした。コースは平坦基調で、ペルージャの町に入ったゴール手前20kmに標高474mの峠があるのみ。スプリンターに大きなチャンスのあるステージだ。
スタート2kmでダニエル・セスマ(スペイン、エウスカルテル)の逃げが決まり、快調にリードが広がる。20km地点を通過する頃には後続とは7分以上のタイム差、そして60km地点では最大となる9分45秒差まで開いた。
ランプレ・ISD、ガーミン・サーヴェロ、レオパード・トレック勢がゴールスプリントにむけて集団をコントロールし、差を詰めてゆく。155kmに渡ったセスマの逃げは、2つ目のスプリントポイントを先頭で越えて終わりを告げる。集団の先頭はラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)が2位通過し、2秒のボーナスタイムを獲得してバーチャルリーダーとなる。
最後の登り、ペルージャのヴァヌッチ峠ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTCハイロード)が集団からちぎれて遅れてしまう。峠はアンヘル・マドラソルイス(スペイン、モビスター)、ニック・ナイエンス(ベルギー、サクソバンク)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)の順に通過。山頂を越え、ゴールへと向かう。
アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)や別府史之(日本、レディオシャック)がアタックを見せるが、ほどなく吸収。スプリンター擁するチームの共同支配のもと、ゴールへと向かう。

しかし発射されたファラーに、後方につけていたフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)がラスト100mで襲いかかる。アエドはファラーを交わしてゴールに飛び込んだ。
フミこと別府史之もゴールスプリントに参加し、16位でフィニッシュ。地脚をみせつけた。おそらくは朝にツィッターでつぶやいたとおり、日本への祈りの思いを込めたスプリントだった。

そして昨年度のドーフィネでの勝利と比べてコメントを求められると、「この勝利はひと味違う。今ここには世界最高のスプリンターが揃っているから」と、層の厚いティレーノのステージ勝利を喜んだ。
敗れたファラーは言う。「トル(フースホフト)はパーフェクトだった。しかし今日のJJ(アエド)はちょっと速すぎた」。

コンタドール色の強いサクソバンクだが、スプリントでも勝負できることを証明てみせた。そしてとくに今日はカヴェンディッシュが登りで遅れたことで、続くミラノ~サンレモの優勝候補が少し変わってくる。JJアエドは早くもミラノ~サンレモの有力候補に名前を連ねることになりそうだ。
地震の惨劇が続く日本を元気づけようとハッスルしたフミこと別府史之。「心配している。僕の両親は無事だった。しかしこの悲劇で大きなダメージを受けている。そのことを思うと心が痛む」「世界中の人々が、惨事に苦しんでいる人のことをサポートしている。その声は直接は届かないだろう。でもそれを感じられることを願っている」とtwitterに記している。

1位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) 4h39'45"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
3位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
4位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレISD)
5位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTCハイロード)
6位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
7位 ロイ・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 マルセル・シーベルグ(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
10位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
16位 別府史之(日本、レディオシャック)

1位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) 9h53'51"
2位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) +05"
3位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) +06"
4位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) +08"
5位 トム・リーザー(オランダ、ラボバンク)
6位 ロバート・ゲシンク(オランダ、ラボバンク)
7位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)
8位 ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)
9位 ラムナス・ナバルダウスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)+15"
10位 アンドレアス・クリアー(ドイツ、ガーミン・サーヴェロ) +17"
58位 別府史之(日本、レディオシャック) +50"
ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
山岳賞
ハビエル・アラメンディア(スペイン、エウスカルテル)
チーム総合成績
ラボバンク
text:Makoto.AYANO
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos,(c)RCS Sports
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