2011年3月7日、パリ〜ニース(UCIワールドツアー)第2ステージが平坦な198.5kmコースで行なわれ、落車や集団分裂が頻発する中、ゴールスプリントでグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)が勝利。トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が総合首位を守った。

リーダージャージのトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)らがスタートライン最前列に並ぶリーダージャージのトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)らがスタートライン最前列に並ぶ photo:Cor Vosパリ〜ニース2日目はパリ近郊のモンフォールラモリーからアミリーまでの198.5km。平野部を駆け抜けるコースはほぼフラットで、カテゴリー山岳は無し。パリ〜ニースで数少ない生粋のスプリントステージだ。

この日はフランスの若手3名がスタート直後に飛び出す。逃げを試みたヨアン・オフルド(フランス、FDJ)、マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)、トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)はいずれも25歳以下の若手。メイン集団とのタイム差は最大6分まで広がった。

フランス中部はこの日も快晴フランス中部はこの日も快晴 photo:Cor Vosチームの指示によりオフルドは81km地点で逃げグループを離脱。チームスカイがペースアップするメイン集団は、118km地点で1分30秒までタイム差を詰める。この向かい風区間でのペースアップによって集団は分裂したが、一つに戻ると再びペースを落とした。

153km地点のスプリントポイントに差し掛かると、メイン集団からリーダージャージのトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)がアタック。デヘントはスプリントポイントを3番手で通過してボーナスタイム1秒を獲得。首位キープに向けて強い意志を示した。

トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)とデミトリ・フォフォノフ(カザフスタン、アスタナ)トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)とデミトリ・フォフォノフ(カザフスタン、アスタナ) photo:Cor Vos160km地点で先頭のブエとギャロパンが踏切でストップ。45秒遅れのメイン集団が追いつくというトラブルが発生したが、規定により先頭2名は45秒先行して再スタート。2名は逃げを継続したが、結局ゴールまで30kmを残して吸収されることになる。

比較的スローペースで進行するメイン集団の中では落車が頻発。フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)やトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)が落車に巻き込まれたが、いずれも問題なくレースに復帰している。

逃げるトニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)とマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)逃げるトニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)とマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Cor Vosリーダージャージを着て走るトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)リーダージャージを着て走るトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor Vos集団前方で走るステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)集団前方で走るステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor Vos

踏切でストップするフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)踏切でストップするフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) photo:Cor Vosアスタナやラボバンクがメイン集団を牽引したが、スプリントステージとしてはかなり遅めのペースで進行。ラスト10kmを切ってようやくモビスターが先頭に立ってペースアップを開始。ラスト3kmが近づくとHTC・ハイロードがトレインを組んで集団先頭に上がった。

メイン集団のペースが上がったこのタイミングで、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)がパンクでストップ。結局2009年大会の覇者LLサンチェスはゴールまでに挽回できず、1分01秒遅れでゴール。しかし救済措置が適応されたためタイムロスを免れた。

メイン集団のペースを上げるラボバンクとアスタナメイン集団のペースを上げるラボバンクとアスタナ photo:Cor Vosやがてゴールまで2kmを切ると、リーダージャージのデヘントが周囲を驚かすアタックを繰り出す。しかしHTC・ハイロードはこれを吸収してゴールスプリントへ。しかしHTCトレインはメンバー不足から本来の力を発揮できず、ラスト600mでジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)に先頭を奪われる。ラスト200mでトーマスに発射されたヘンダーソンが、マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)やロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)を抑え込んで勝利した。

スプリント勝利を飾ったグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)スプリント勝利を飾ったグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ) photo:Cor Vosヘンダーソンはニュージーランド生まれのベテランスプリンター。2004年のトラック世界選手権スクラッチで優勝するなど、トラック競技にも精通している。チームHTC・コロンビア時代の2009年にはブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝。昨年チームスカイに移籍してすぐのツアー・ダウンアンダー・クリテリウムで勝利し、パリ〜ニースの第1ステージでも勝ち星を上げている。これが今シーズン1勝目。相性の良いパリ〜ニースを「自分にとって非常に大きなレース。ファンタスティックなレースであり、自分にとってエベレストのようなもの」と表現する。

リーダージャージを守ったトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)リーダージャージを守ったトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor Vos「今日は最初からモチベーションが高かったんだ。前方でレースを展開すればリーダージャージに手が届くと思っていた。この勝利はジェレイント・トーマスの完璧なリードアウトのおかげ。ただ彼の後ろについて、自分のタイミングを待ち続けただけ。かなりのロングスプリントだったけど、ゴールラインまでスピードを維持できて本当にラッキーだったよ。今日は少しクレイジーなレース展開で、神経質な状況が続いたんだ。どの選手も横風による集団分裂を警戒していて、落車も頻発した。終盤だけで落車が10回が発生するなんてクレイジーだ。だから終盤は集団前方に位置することが必須だった」。

ステージ優勝によるボーナスタイム10秒を獲得したヘンダーソンは総合2位にジャンプアップ。しかしヘンダーソン自身は総合順位に興味を示していない。第3ステージからはチームリーダーのアシスト役を買って出ると言う。「明日からはアシストに徹するよ。明日もスプリント勝利を狙うかどうかは正直分からない。これからはブラドレー・ウィギンズとマイケル・ロジャースのサポートが僕の役目だ」。

第3ステージはゴール23km手前に2級山岳ビクー峠が登場。登りでピュアスプリンターたちが脱落し、精鋭集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性が高い。

選手コメントはレース公式サイトより。

パリ〜ニース2011第2ステージ結果
1位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)     5h00'56"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)
3位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
6位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
9位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)
10位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)

個人総合成績
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)       9h05'48"
2位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)       +04"
3位 ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)                   +07"
4位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)           +08"
5位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)   +10"
7位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
8位 イェンス・フォイクト(ドイツ、レオパード・トレック)          +12"
9位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)          +13"
10位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)      +14"

ポイント賞
グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)

山岳賞
ダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー)

新人賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)

チーム総合成績
ヴァカンソレイユ・DCM

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

※LLサンチェスの救済措置について訂正しました(3月8日)

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