2009/04/23(木) - 08:06
4月22日に行われたフレーシュ・ワロンヌは、スキル・シマノから別府史之と土井雪広、Bboxブイグテレコムから新城幸也と大会史上初の3人の日本選手が出場となった。この3メンバーが顔を会わせるのは、日本のレースでもまれで昨年の全日本選手権以来だ。
195.5キロで行われるこのレースの見どころは、3度通過するユイの壁。1.3キロの上りで、平均勾配は9.3%。歩いて上るのも辛いくらいの激坂が続く。このレース、別府は3回目、土井は2回目、新城は初出場となる。
レース前、別府に話を聞いたところ、「ディスカバリーに所属した2年目で出場した時には、ラスト30キロくらいでメイン集団から離れてしまったので、このレースのどこがポイントなのかは分かっています。昨年も出場したけれど、アジア選手権に出場して日本から欧州に戻って3日後だったので、監督に"リエージュを頑張りたいからやめる"と言って150キロ地点で自転車を降りたんです」
「イメージ的には距離もそんな長くないし、感じ良く走れると思います。今日のチームオーダーは、ジョナタン・イベールがリーダーで、あとの7人は最初の逃げに乗るようにと言われているので、うまく走りたいですね」と抱負を語った。
同じくスキル・シマノの土井は、アルデンヌクラシックの経験が豊富だ。「今日はチームではとりあえず誰かが逃げなきゃいけないので、そのうちの一人になれるように走ります。自分の成績は求めていません。ユイは僕にとってきついです。苦しいけれどなんとかします」と、自分の成績よりチームのためにいい走りをしたいと言う。
Bboxブイグテレコムの新城は、「今日も逃げに乗るメンバーに選ばれた。このレースでは逃げに乗るメンバーが3人決められ、自分はそのうちの1人です。アムステル・ゴールドレースもそうでしたが、今回もコースを試走していないので、ユイの壁の激坂具合は全く知りません。まぁどうにかなるでしょう、3回も上るのでっ」と、いつもながら楽天的だ。
レースはスタート開始から、各チームの選手たちが逃げようとアタックを試み、逃げては捕まる。だが7キロ地点、選手たちのアタック合戦が決まらず落ち着いたところで、カウンターアタックで集団からクリストフ・モロー(アグリチュベル)が飛び出した。これに別府史之がついて行く。
チームオーダー通り、逃げに乗った別府はモローと共に集団との差を広げ最大15分30秒差まで開いた。
1度目のユイの壁(67キロ地点)は、別府とモローの2人で上り、2度目となるユイの壁(96.5キロ地点)では、途中別府が少し遅れてしまうも、「1人で逃げきるのは厳しい」と判断したモローは別府を待ち、2人で残り100キロあるゴールを目指した。
しかし、パリ~ルーベのために体重を3キロ増やしていた別府にとって、上りをこなすのは少し辛く、通常のパワーが出せずに、ラスト78キロで一緒に走っていたモローから遅れてしまう。別府は単独で粘って走るも、ペースアップした集団にラスト55キロで捕らえられてしまった。その後、別府はリタイアとなった。
「モローとは前半からうまく回っていました。モローにも2人でベストを尽くして走って行こう、集団は気にするなって言われました。モローから離れてしまった後も、上りを越えて道が細くなるところは集団の前で行きたかったので、追いつかれないように走った。でもラスト60キロでまだ先頭と12分差あったから、集団が必死で追ってきて、その前に捕まってしまった」
「逃げたのは良かったけれど、もっと自分の本当の力を出したかった。今後は体重を落として、山のトレーニングを中心にやっていきたい」。
チームから指示された仕事を十分果たした別府は、監督からもいい仕事をしたこと大いに評価されたようだ。
集団に残った土井と新城は、10分以上開いた先頭との差を縮めるため、後半一気にペースアップした集団の速さに驚きながらも必死でくらいついて行く。だが、新城はラスト22キロ手前、最後の補給のため、あり得ないタイミングでボトルを取りに行き、ボトルを配って終わってしまったのだ。
レース後、新城幸也は「ボトルを渡して上りを上り切ったけれど、その後自分の前で中切れがあり、そこで自分のレースも終わってしまいました。その後、最後のユイの壁は上らずに、麓に停まっていたチームバスに戻って終わりました。だから、今日走ったのは180キロくらい。ユイの壁は良かったですよ。富士山を想像していたのですが、本当に富士山の上りと同じだ、と思いました」
「だんだんプロツールのレースにも慣れてきました。プロツールのレース(今回カテゴリー的にはUCIヒストリカルレース)は速いので、ワクワクします。癖になりそう。上りも速いけど、下りも速くって。今日は楽しんで走りました。バスク1周の時はきつかったけれど、だいぶプロツールを楽しめるようになりました。多少疲れはありますが、調子は悪くはないですね」と、リタイアとなったがレースを楽しんだようだ。
3人の日本人選手のうち、最後まで走り切ったのは唯一、土井だけだった。最後のユイの壁は、オスカル・ペレイロ(ケスデパーニュ)たちと共に上り、ゴールでは少し差が開いたが、5分38秒遅れの143位で完走を遂げた。
「最後は出し切りました。今日走ってプロツアーのレースの速さを思い出した。このスピードが思い出せたから、次は行けると思う」と、土井は言う。
日曜日のリエージュ~バストーニュ~リエージュに向け、十分な手ごたえをつかんだようだ。
アムステルゴールドレースでは新城が逃げ、今回は別府が逃げた。次はいよいよ土井の出番か? 日曜日のリエージュ~バストーニュ~リエージュも、日本人選手たちの活躍から目が離せなくなりそうだ!
text&photo:岩佐千穂
195.5キロで行われるこのレースの見どころは、3度通過するユイの壁。1.3キロの上りで、平均勾配は9.3%。歩いて上るのも辛いくらいの激坂が続く。このレース、別府は3回目、土井は2回目、新城は初出場となる。
レース前、別府に話を聞いたところ、「ディスカバリーに所属した2年目で出場した時には、ラスト30キロくらいでメイン集団から離れてしまったので、このレースのどこがポイントなのかは分かっています。昨年も出場したけれど、アジア選手権に出場して日本から欧州に戻って3日後だったので、監督に"リエージュを頑張りたいからやめる"と言って150キロ地点で自転車を降りたんです」
「イメージ的には距離もそんな長くないし、感じ良く走れると思います。今日のチームオーダーは、ジョナタン・イベールがリーダーで、あとの7人は最初の逃げに乗るようにと言われているので、うまく走りたいですね」と抱負を語った。
同じくスキル・シマノの土井は、アルデンヌクラシックの経験が豊富だ。「今日はチームではとりあえず誰かが逃げなきゃいけないので、そのうちの一人になれるように走ります。自分の成績は求めていません。ユイは僕にとってきついです。苦しいけれどなんとかします」と、自分の成績よりチームのためにいい走りをしたいと言う。
Bboxブイグテレコムの新城は、「今日も逃げに乗るメンバーに選ばれた。このレースでは逃げに乗るメンバーが3人決められ、自分はそのうちの1人です。アムステル・ゴールドレースもそうでしたが、今回もコースを試走していないので、ユイの壁の激坂具合は全く知りません。まぁどうにかなるでしょう、3回も上るのでっ」と、いつもながら楽天的だ。
レースはスタート開始から、各チームの選手たちが逃げようとアタックを試み、逃げては捕まる。だが7キロ地点、選手たちのアタック合戦が決まらず落ち着いたところで、カウンターアタックで集団からクリストフ・モロー(アグリチュベル)が飛び出した。これに別府史之がついて行く。
チームオーダー通り、逃げに乗った別府はモローと共に集団との差を広げ最大15分30秒差まで開いた。
1度目のユイの壁(67キロ地点)は、別府とモローの2人で上り、2度目となるユイの壁(96.5キロ地点)では、途中別府が少し遅れてしまうも、「1人で逃げきるのは厳しい」と判断したモローは別府を待ち、2人で残り100キロあるゴールを目指した。
しかし、パリ~ルーベのために体重を3キロ増やしていた別府にとって、上りをこなすのは少し辛く、通常のパワーが出せずに、ラスト78キロで一緒に走っていたモローから遅れてしまう。別府は単独で粘って走るも、ペースアップした集団にラスト55キロで捕らえられてしまった。その後、別府はリタイアとなった。
「モローとは前半からうまく回っていました。モローにも2人でベストを尽くして走って行こう、集団は気にするなって言われました。モローから離れてしまった後も、上りを越えて道が細くなるところは集団の前で行きたかったので、追いつかれないように走った。でもラスト60キロでまだ先頭と12分差あったから、集団が必死で追ってきて、その前に捕まってしまった」
「逃げたのは良かったけれど、もっと自分の本当の力を出したかった。今後は体重を落として、山のトレーニングを中心にやっていきたい」。
チームから指示された仕事を十分果たした別府は、監督からもいい仕事をしたこと大いに評価されたようだ。
集団に残った土井と新城は、10分以上開いた先頭との差を縮めるため、後半一気にペースアップした集団の速さに驚きながらも必死でくらいついて行く。だが、新城はラスト22キロ手前、最後の補給のため、あり得ないタイミングでボトルを取りに行き、ボトルを配って終わってしまったのだ。
レース後、新城幸也は「ボトルを渡して上りを上り切ったけれど、その後自分の前で中切れがあり、そこで自分のレースも終わってしまいました。その後、最後のユイの壁は上らずに、麓に停まっていたチームバスに戻って終わりました。だから、今日走ったのは180キロくらい。ユイの壁は良かったですよ。富士山を想像していたのですが、本当に富士山の上りと同じだ、と思いました」
「だんだんプロツールのレースにも慣れてきました。プロツールのレース(今回カテゴリー的にはUCIヒストリカルレース)は速いので、ワクワクします。癖になりそう。上りも速いけど、下りも速くって。今日は楽しんで走りました。バスク1周の時はきつかったけれど、だいぶプロツールを楽しめるようになりました。多少疲れはありますが、調子は悪くはないですね」と、リタイアとなったがレースを楽しんだようだ。
3人の日本人選手のうち、最後まで走り切ったのは唯一、土井だけだった。最後のユイの壁は、オスカル・ペレイロ(ケスデパーニュ)たちと共に上り、ゴールでは少し差が開いたが、5分38秒遅れの143位で完走を遂げた。
「最後は出し切りました。今日走ってプロツアーのレースの速さを思い出した。このスピードが思い出せたから、次は行けると思う」と、土井は言う。
日曜日のリエージュ~バストーニュ~リエージュに向け、十分な手ごたえをつかんだようだ。
アムステルゴールドレースでは新城が逃げ、今回は別府が逃げた。次はいよいよ土井の出番か? 日曜日のリエージュ~バストーニュ~リエージュも、日本人選手たちの活躍から目が離せなくなりそうだ!
text&photo:岩佐千穂
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