アルデンヌクラシック3連戦の2戦目、フレーシュ・ワロンヌを前にした土井雪広(スキル・シマノ)に電話インタビュー。奇しくもこのレースはチームメイトの別府史之、そして新城幸也(Bboxブイグテレコム)の日本人3選手が揃って出場することに。アルデンヌ常連の「ユキ」の心境は?

-土井クンにとってもはや定番のアルデンヌクラシックですが、アムステルはスキップでしたね。フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ~バストーニュ~リエージュの出場予定は?

ワロンヌとリエージュに出ます。

-今年アムステルには出場しなかったのはなぜですか?

年度はじめに、チームミーティングで「アムステルを外して、ワロンヌとリエージュに集中して欲しい」と言う話がありました。当初からのプログラムですね。

-今の調子はどうですか?

悪くもないし、絶好調ともいえないですね。でも安定感はあるように思います。

-ここ数週の、直近2週間ほどのレースと走りで自分的に印象に残るものは? 調整という意味合いでも。

クリテリウム・インターナショナルでメイン集団を牽引する土井雪広(日本、スキル・シマノ)クリテリウム・インターナショナルでメイン集団を牽引する土井雪広(日本、スキル・シマノ) クリテリウムインターナショナルかな。そのときに初めてカーボンの新しいライト(軽量)バイクを使用したのですが、それがとても良くて。

そのレースは総合に絡む走りと言うよりは、エースを守る立場だったので、アシスト固定でしたが、このバイクを使用すれば自分のポテンシャルを十分に発揮できるんじゃないかと。
そのほかのレースも悪い印象はあまりありません。今期のニューバイクは半端じゃないぐらい良い自転車だと僕は思います。

-身体のほうは十分走れてきてますか? 順調な春先のシーズンでしたか?

完璧じゃなかったですね。

-それはなぜですか?

土井雪広のコガ製ロードバイク軽量バージョン。デュラエースDi2+SRM土井雪広のコガ製ロードバイク軽量バージョン。デュラエースDi2+SRM photo:Yukihiro.Doiパリ~ニースも目標のレースだったんですが、そのメンバーには選ばれなかったんです。その間の1ヶ月、何もなかったんです。

-レーススピードでの調整ができなかったということですね。

そういうことです。僕は本来ステージレースで体調をあげます。でも今年はドーピングの問題で、ドイツのレースが激減し、本来なら例年走っていたステージレースがなくなってしまったのです。ですので、調整は難しいです。毎日SRMトレーニングシステム(パワーメーター)とのにらめっこです。

-アルデンヌクラシック3連戦での出場経験回数、年度と成績や走りを教えてください。

アムステルは2005年、2007年、2008年、出場回数は3回です。ワロンヌは2008年と今年の2回目です。
成績? アムステルは3回中2回リタイア。一昨年は大クラッシュでリタイア。2005年は経験不足でリタイア。2008年は100位前後だったかな? たしか9分遅れぐらいだったかと思います。フレッシュは、去年のアムステル後に風邪を引いて、170kmほどでバイクを降りました。

-今年、どのあたりを目標に掲げますか? チームからのオーダーは。

チームオーダーはまだ出ていませんが、僕は先行逃げに加わる走りになると思います。ワロンヌ、リエージュ共に。
僕的にはフレッシュである程度の成績を残して、リエージュはなにがなんでも逃げに乗りたいと思っています。

-それぞれどんなレースですか? 難しさは?

ワロンヌは3回登るHUY(ユイ)の坂がとても厳しい。でもユイ以外はそれほど厳しい登りはないんです。ですので難易度は、アムステル、ワロンヌ、リエージュ3つの中で、1番ワロンヌが低いと思います。最後のHUYの登り口で15番以内で突っ込めば成績は残せると思います。

リエージュは序盤から坂はあるけれど、コース的には難易度が高いとはいえない。後半150キロ過ぎから始まる3~4kmの坂を1つ1つ攻略していかなければならない。それも、後半になるにつれて、難易度は増してくるんです。今年は先週試走しましたが、とてもきつい。

あいにく坂の名前などは覚えてないんですが、後半に高速道路の横を走る3キロほどの坂(※編集部注 226km地点のラ・ルドゥット)があるんですけど、そこをうまく越えれば完走は問題なくできると思います。

-スキル・シマノはどういうチーム戦略で走るのでしょう。エースは決まってるんでしょうか?

エースはジョナタン・イベールになると思います。しかし、彼自身も経験不足で、勝負に絡める走りは厳しいと言われています。
戦略は...。監督によっても違うんですけど、とにかく逃げに乗ろうという感じです。

-ツールが近づいてきています 意識しますか?

そうですねぇ。出たい気持ちももちろんありますけど、僕にはまだ早いか、と思う面もあります。

-なぜ? 何が足りないと?

いろいろなトップ選手に話を聞きますが、「ツールは別格だ」と皆が口をそろえて言います。ちょっとビビってます(笑)。

-そうですね、それは確かな意見なのかもしれません。ツールのレベルはちょっと異常な感じですからね。

普通じゃ走りきれないと思います。僕の経験の中でも、今までに走ったトップレースを思い返すと...。
でも、フレッシュとリエージュをきちんと走れれば、ツールも見えてくるでしょうね。ツールはそのあとに考えれば良いかと。

ツールに関しては、とにかく選ばれたらベストを尽くします。それのみですね。


interview:綾野 真

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