2009/04/21(火) - 15:15
アルデンヌ・クラシック2戦目、第73回フレーシュ・ワロンヌが4月22日、ベルギー南部ワロン地域において開催される。最大勾配20%オーバーの「ユイの壁(Mur de Huy)」にゴールするこのワンディクラシックに、今年は新城幸也(Bboxブイグテレコム)、別府史之、土井雪広(スキル・シマノ)の出場が決まった。
ユイの壁を含む11の急坂が登場
アルデンヌ・クラシックの一つに数えられ、アムステル・ゴールドレースとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに開催時期を挟まれたフレーシュ・ワロンヌ。ツール・ド・フランスと同じASO(アモリー・スポルト・アルガニザシオン)が主催するワンディレースであり、今年はUCIヒストリカルレースとして開催される。
レースの舞台となるのはベルギー南部のワロン地域で、他の2レース(アムステルとリエージュ)と同じく連続して登場する短い上りがコースの特徴。起伏のあるワロン地域を選手たちが矢のように駆け抜ける様から、フランス語で「矢」を意味する「フレーシュ」をレース名に冠する。
コース全長は200kmに満たない195kmで、数あるワンディクラシックの中では短めの部類に入る。シャルルロワをスタートした一行は、リエージュ方向に向かって平坦な67kmのコースを東進。そこから「ユイの壁」を起点とした大小2種類の周回コースを回る。
まず1周29.5kmの小周回をこなし、その後1周99kmの大周回に突入。合計11の急坂をこなすと、ようやくゴール地点ユイに辿り着く。いずれの上りも長さは1〜3kmほどで、平均勾配は3〜9%。距離、坂の多さともに、他の2レースと比べると難易度は低いが、それはレースの高速化を意味している。
数ある坂の中でもやはり注目は、合計3回通過し、ゴール地点でもある「ユイの壁」だ。長さ1300m、高低差121m、平均勾配9.3%の「壁」は、その名の通り最大勾配が20%を超える激坂。上り後半にかけて勾配が増し、局所的に25%に達するともいわれている。アムステルで登場したカウベルグよりも、断然難易度&過酷度は高い。
ゴール11km手前に登場するアイン峠は、集団を大きく絞り込む絶好のアタックポイント。中盤からのアップダウンを攻略して重要な動きに反応し、最速で「壁」を駆け上がった選手が栄光を掴む。
登場する11の急坂
1 67km地点 Mur de Huy(1回目) 1300m・9.3%
2 85km地点 Cote d'Ereffe 2100m・5.9%
3 96km地点 Mur de Huy(2回目) 1300m・9.3%
4 136km地点 Cote de Peu d'Eau 2700m・3.9%
5 141km地点 Cote de Haut-Bois 1600m・4.8%
6 151km地点 Cote de Thon 1000m・8.5%
7 159km地点 Cote de Bonneville 900m・9.7%
8 170km地点 Cote de Bohisseau 1300m・7.6%
9 173km地点 Cote de Bousalle 1700m・4.9%
10 184km地点 Cote de Ahin 2300m・6.5%
11 195km地点 Mur de Huy(ゴール) 1300m・9.3%
上りスプリント力が必須、新城・別府・土井の出場決定
急坂を攻略しなければ勝機は無い。上りをこなす登坂力と、勝負どころでのアタック力を兼ね備えた選手がレースの主役。自ずと注目はパンチ力のあるオールラウンダーに集まる。
昨年はユイで小集団による上りスプリント勝負が繰り広げられ、雨の中飛び出したキム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)が初優勝を果たした。しかしキルシェンは2月のカリフォルニアで負った鎖骨と肋骨の骨折から完調しておらず、連覇は難しい状態だ。
キルシェンに代わって、チームコロンビアはモンテパスキ・エロイカを制したトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)に期待を寄せる。アムステルで逃げを打ったマイケル・ロジャース(オーストラリア)やマークス・ブルグハート(ドイツ)の積極的な走りにも注目だ。
昨年大会3位のダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)は、連覇が期待されたアムステルで戦略ミスにより5位に。コンディションは良く、ユイでのリベンジに燃える。当然アムステルで優勝したセルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)も優勝候補の一角だ。
アムステルでエースを託されたフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)は、昨年大会2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア)を引き連れての出場。ワロン地域出身のジルベールのモチヴェーションは高いハズだ。
2006年大会優勝のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)は、アムステルで精彩を欠いた。バルベルデ不調の場合、ティレーノ〜アドリアティコの最大勾配21%モンテルポーネで連覇を果たしたホアキン・ロドリゲス(スペイン)がエースを担う。
他にも2006年大会2位のサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)や、アムステルで果敢にアタックしたスプリンターのオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)など、有力なスペイン人選手は多い。軽量スプリンターのフレイレは2005年大会5位に入っている。
アルデンヌ3連勝という偉業を2004年に成し遂げたダヴィデ・レベッリン(イタリア、ディキジョヴァンニ)は、前週に体調を崩したためアムステルで本領を発揮できず。しかし本人曰く復調の兆しを見せており、このフレーシュ・ワロンヌと続くリエージュでの復権が期待される。
アムステルではフランク・シュレク(ルクセンブルク)が落車リタイアしながらも、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)が攻撃を仕掛け、カルステン・クローン(オランダ)が結果2位に入ったサクソバンク。厚い選手層を誇っており、起伏のあるワンディクラシックを得意とするアレクサンドル・コロブネフ(ロシア)も後ろに控える。Fシュレク出場の可能性もあるが、2006年大会3位のクローンを中心に戦略を練るだろう。
そして忘れてはならないのが日本から参戦する3選手だ。アムステルで逃げに乗った新城幸也は急遽出場が決定。別府史之と土井雪広は2年連続の出場である。
土井雪広はこのフレーシュ・ワロンヌとリエージュをシーズン前半の目標レースとして捉え、トレーニングに打ち込んだ。世界最高峰のオールラウンダーたちを相手に、存在感ある走りを期待せずにはいられない。
ユイの壁を含む11の急坂が登場
アルデンヌ・クラシックの一つに数えられ、アムステル・ゴールドレースとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに開催時期を挟まれたフレーシュ・ワロンヌ。ツール・ド・フランスと同じASO(アモリー・スポルト・アルガニザシオン)が主催するワンディレースであり、今年はUCIヒストリカルレースとして開催される。
レースの舞台となるのはベルギー南部のワロン地域で、他の2レース(アムステルとリエージュ)と同じく連続して登場する短い上りがコースの特徴。起伏のあるワロン地域を選手たちが矢のように駆け抜ける様から、フランス語で「矢」を意味する「フレーシュ」をレース名に冠する。
コース全長は200kmに満たない195kmで、数あるワンディクラシックの中では短めの部類に入る。シャルルロワをスタートした一行は、リエージュ方向に向かって平坦な67kmのコースを東進。そこから「ユイの壁」を起点とした大小2種類の周回コースを回る。
まず1周29.5kmの小周回をこなし、その後1周99kmの大周回に突入。合計11の急坂をこなすと、ようやくゴール地点ユイに辿り着く。いずれの上りも長さは1〜3kmほどで、平均勾配は3〜9%。距離、坂の多さともに、他の2レースと比べると難易度は低いが、それはレースの高速化を意味している。
数ある坂の中でもやはり注目は、合計3回通過し、ゴール地点でもある「ユイの壁」だ。長さ1300m、高低差121m、平均勾配9.3%の「壁」は、その名の通り最大勾配が20%を超える激坂。上り後半にかけて勾配が増し、局所的に25%に達するともいわれている。アムステルで登場したカウベルグよりも、断然難易度&過酷度は高い。
ゴール11km手前に登場するアイン峠は、集団を大きく絞り込む絶好のアタックポイント。中盤からのアップダウンを攻略して重要な動きに反応し、最速で「壁」を駆け上がった選手が栄光を掴む。
登場する11の急坂
1 67km地点 Mur de Huy(1回目) 1300m・9.3%
2 85km地点 Cote d'Ereffe 2100m・5.9%
3 96km地点 Mur de Huy(2回目) 1300m・9.3%
4 136km地点 Cote de Peu d'Eau 2700m・3.9%
5 141km地点 Cote de Haut-Bois 1600m・4.8%
6 151km地点 Cote de Thon 1000m・8.5%
7 159km地点 Cote de Bonneville 900m・9.7%
8 170km地点 Cote de Bohisseau 1300m・7.6%
9 173km地点 Cote de Bousalle 1700m・4.9%
10 184km地点 Cote de Ahin 2300m・6.5%
11 195km地点 Mur de Huy(ゴール) 1300m・9.3%
上りスプリント力が必須、新城・別府・土井の出場決定
急坂を攻略しなければ勝機は無い。上りをこなす登坂力と、勝負どころでのアタック力を兼ね備えた選手がレースの主役。自ずと注目はパンチ力のあるオールラウンダーに集まる。
昨年はユイで小集団による上りスプリント勝負が繰り広げられ、雨の中飛び出したキム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)が初優勝を果たした。しかしキルシェンは2月のカリフォルニアで負った鎖骨と肋骨の骨折から完調しておらず、連覇は難しい状態だ。
キルシェンに代わって、チームコロンビアはモンテパスキ・エロイカを制したトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)に期待を寄せる。アムステルで逃げを打ったマイケル・ロジャース(オーストラリア)やマークス・ブルグハート(ドイツ)の積極的な走りにも注目だ。
昨年大会3位のダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)は、連覇が期待されたアムステルで戦略ミスにより5位に。コンディションは良く、ユイでのリベンジに燃える。当然アムステルで優勝したセルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)も優勝候補の一角だ。
アムステルでエースを託されたフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)は、昨年大会2位のカデル・エヴァンス(オーストラリア)を引き連れての出場。ワロン地域出身のジルベールのモチヴェーションは高いハズだ。
2006年大会優勝のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)は、アムステルで精彩を欠いた。バルベルデ不調の場合、ティレーノ〜アドリアティコの最大勾配21%モンテルポーネで連覇を果たしたホアキン・ロドリゲス(スペイン)がエースを担う。
他にも2006年大会2位のサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)や、アムステルで果敢にアタックしたスプリンターのオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)など、有力なスペイン人選手は多い。軽量スプリンターのフレイレは2005年大会5位に入っている。
アルデンヌ3連勝という偉業を2004年に成し遂げたダヴィデ・レベッリン(イタリア、ディキジョヴァンニ)は、前週に体調を崩したためアムステルで本領を発揮できず。しかし本人曰く復調の兆しを見せており、このフレーシュ・ワロンヌと続くリエージュでの復権が期待される。
アムステルではフランク・シュレク(ルクセンブルク)が落車リタイアしながらも、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)が攻撃を仕掛け、カルステン・クローン(オランダ)が結果2位に入ったサクソバンク。厚い選手層を誇っており、起伏のあるワンディクラシックを得意とするアレクサンドル・コロブネフ(ロシア)も後ろに控える。Fシュレク出場の可能性もあるが、2006年大会3位のクローンを中心に戦略を練るだろう。
そして忘れてはならないのが日本から参戦する3選手だ。アムステルで逃げに乗った新城幸也は急遽出場が決定。別府史之と土井雪広は2年連続の出場である。
土井雪広はこのフレーシュ・ワロンヌとリエージュをシーズン前半の目標レースとして捉え、トレーニングに打ち込んだ。世界最高峰のオールラウンダーたちを相手に、存在感ある走りを期待せずにはいられない。
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