2011年2月19日、ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.1)第4ステージが行なわれ、上り基調のスプリントでアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)が勝利。スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)はラスト10kmで落車しながらも総合首位を守った。

好天のアルガルヴェ地方を駆け抜ける好天のアルガルヴェ地方を駆け抜ける photo:Cor Vos第4ステージはアルブフェイラからタヴィラまでの167.3km。前日の山岳ステージと翌日の重要な個人タイムトライアルを繋ぐ平坦ステージだ。

レース中盤に3級山岳が設定されているが、あとは比較的平坦なコースが続く。スプリンターにとってはステージ優勝のラストチャンスである。

メイン集団をコントロールするチームスカイメイン集団をコントロールするチームスカイ photo:Cor Vos27km地点でグレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック)やセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)、ケヴィン・イスタ(ベルギー、コフィディス)を含む6名が飛び出し、4分20秒のリードを得てエスケープ。メイン集団はリーダージャージ擁するチームスカイがフルメンバーでコントロールした。

3級山岳はヨハン・コーネン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)が先頭通過したが、リカルド・メストレ(ポルトガル、タヴィラ)の山岳賞首位の座は揺るがない。ローカルチームのメストレはこの時点で山岳賞獲得を決定づけた。

リーダージャージを着て走るスティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)リーダージャージを着て走るスティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vosレース後半に入り、ゴールまで30kmを残してタイム差が2分まで縮まると逃げグループが分裂。アタックして逃げ続けたのはラスト、ラグティン、コーネンの3名。メイン集団のコントロールにはサクソバンク・サンガードが合流した。

結局ラスト、ラグティン、コーネンの3人は、ゴールまで14kmを残した地点で吸収され、メイン集団は一段とスピードを上げてタヴィラのゴール地点へと向かう。ラスト10km地点でリーダージャージのクミングスが落車するトラブルが発生したが、何とかゴールまでに集団に復帰している。

スプリントで競り合うマイケル・マシューズ(オーストリア、ラボバンク)とアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)スプリントで競り合うマイケル・マシューズ(オーストリア、ラボバンク)とアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vos最後はスプリンターチームが入り乱れる混戦のスプリントに持ち込まれ、緩い登り勾配のゴール前でユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)に発射されたグライペルが先頭に。マイケル・マシューズ(オーストリア、ラボバンク)を僅差でかわしたグライペルが先着した。

シーズン初戦のツアー・ダウンアンダーで2度ステージ2位に入りながらも、勝利を掴めずにいたグライペルにとってこれがシーズン初勝利。レース後の勝利者インタビューでグライペルは「ハイスピードなステージだったけど、最後はチームメイトの完璧なリードアウトに発射された。このシーズン初勝利は自信に繋がるよ」と興奮気味に語った。

今シーズン初勝利を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)今シーズン初勝利を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vos総合上位陣は動かず、ラスト10kmで落車しながらも集団でゴールしたクミングスがリーダージャージをキープ。チームスカイのショーン・イェーツ監督はチーム公式サイトの中で「チームの力でスティーブを集団に復帰させた。グレッグ(ヘンダーソン)もスティーブを待ったので、スプリントに参加できなかったんだ。スティーブは右半身に傷を負ったけど、チームとしてジャージをキープできてホッとしたよ」と胸を撫で下ろす。

しかしクミングスの総合リードは決して大きくない。最終第5ステージの個人タイムトライアルでの総合逆転は充分にあり得る。6秒差の総合2位につける昨年の総合優勝者アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)や、10秒差の総合3位につける生粋のTTスペシャリスト、トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)らがステージ上位に絡むのは間違いない。

レース展開と選手コメントはレース公式情報配信サイトjornalciclismo.comより。

ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2011第4ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、HTC・ハイロード)       3h56'55"
2位 マイケル・マシューズ(オーストリア、ラボバンク)
3位 アントニー・ラヴァール(フランス、アージェードゥーゼル)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
5位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
6位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)
7位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)
8位 ボイ・ファンポッペル(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)

個人総合成績
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)        18h27'42" 
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)    +06"
3位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)             +10"
4位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)       +12"
5位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)            +18"
6位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)         +26"
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)
8位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ)
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、 ヴァカンソレイユ・DCM)        +30"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)          +31"

ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)

スプリント賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)

山岳賞
リカルド・メストレ(ポルトガル、タヴィラ)

チーム総合成績
HTC・ハイロード

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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