2011/02/19(土) - 11:37
2011年2月18日、ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.1)第3ステージが行なわれ、2級山岳マルハオ峠の頂上ゴールで総合争いが激化。アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)らのアタックに反応し、少人数スプリントを制したスティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)が優勝した。クミングスは同時に総合首位に立っている。
大西洋に面したタヴィラからローレ近郊のマルハオ峠までの196km。標高500mクラスの3級山岳が4つ連続して登場し、最後は標高差250m・登坂距離2.7kmの2級山岳マルハオ峠を駆け上がってゴールを迎える。今大会最初で最後の頂上ゴールだ。
この日はマルティン・マースカント(オランダ、ガーミン・サーヴェロ)やウィリアム・クラーク(オーストラリア、レオパード・トレック)、ジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック)ら6名が12km地点からエスケープを敢行。最大4分のタイム差を得て山岳地帯を進んだ。
逃げグループは3つの3級山岳を先頭でこなしたが、リーダージャージ擁するオメガファーマ・ロットによって射程圏内に抑え込まれる。結局ゴールまで46kmを残して逃げは全て吸収。4つ目の3級山岳で2番手通過したリカルド・メストレ(ポルトガル、タヴィラ)は山岳賞リーダーの座を守った。
ここからレディオシャックやサクソバンク・サンガード、ガーミン・サーヴェロがメイン集団を率い、アタックを許さないハイスピードな展開に持ち込む。80名ほどに縮小したメイン集団が最後のマルハオ峠に差し掛かった。
登りが始まると、すぐにリーダージャージのフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が脱落してしまう。サクソバンク・サンガードのアシストに発射されたアルベルト・コンタドール(スペイン)のアタックによって集団は破壊された。
コンタドールにはタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)とトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)、レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)らが反応。しかし独走に持ち込むことはできず、遅れてクミングスが合流して先頭は5名に。
2人を揃えるHTC・ハイロードのマルティンとヴァンガーデレンが攻撃を仕掛けたが決まらない。最後は5名によるスプリント勝負に持ち込まれ、ライバルたちを突き放したクミングスが片手を突き上げた。
「ハードなステージだった。予定より長い190km以上のコースは、アップダウンの繰り返し。でもツール・メディテラネアンで手応えを感じていたので、自分のリズムを保てば最後にチャンスが回ってくると思っていたんだ。」レース後の勝利者インタビューでクミングスはそう語る。
「このアルガルヴェにはツール・メディテラネアンと同じチームメンバーが出場している。お互いを理解できているし、何より団結力が強い。彼らのおかげで風から身を守ることができ、そして最後の峠の麓で好位置をキープできたんだ。」
クミングスは過去にランドバウクレジット、ディスカバリーチャンネル、バルロワールドに所属し、昨年母国イギリスで立ち上がったチームスカイに合流した。現在29歳。これまでトラック競技を中心に成績を残しており、2004年アテネ五輪団体追い抜きで銀メダル、2005年世界選手権団体追い抜きで金メダルを獲得している。
チームスカイのエースとしてこのアルガルヴェ一周に挑み、頂上ゴールでコンタドールらを打ち負かしたクミングス。久々の勝利を「たぶんこれがキャリア最高の勝利だ。(2008年に優勝した)コッパ・ベルノッキの方が大きな大会だと人は言うかも知れないけど、今日相手にしたライバルの顔ぶれを見ると、また価値が違ってくる」と言い表した。
登りで積極的にアタックしたコンタドールは6秒差の総合2位。総合優勝に向けて順調な走りを見せているが、昨年大会で見せた圧倒的な力は影を潜めている。本人は「他の選手は今シーズンすでに数レースを走っているのでコンディションが整っている。ライバルたちは強力だ。総合優勝は厳しくなるだろう」とコメント。同時に「チームメイトたちは素晴らしい働きをしてくれた。サクソバンク・サンガードの一員になることができて本当に嬉しいよ」と語っている。
クミングスは「明日からはジャージキープに専念したい」と意気込んでいるが、ライバルはコンタドールだけではない。個人TTを得意とするマルティンが10秒差の総合3位、ヴァンガーデレンが12秒差の総合4位につけている。僅差の総合争いは、最終日の17.2km個人TTで決着が付けられる。
レース展開はレース公式情報配信サイトjornalciclismo.com、選手コメントは各チーム公式サイト(チームスカイ、サクソバンク・サンガード)より。
ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2011第3ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ) 4h56'19"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
4位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
5位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)
6位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +06"
7位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ) +16"
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)
9位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)
10位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)
個人総合成績
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ) 14h30'47"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) +06"
3位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) +10"
4位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +12"
5位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +18"
6位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +26"
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)
8位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ)
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、 ヴァカンソレイユ・DCM) +30"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +31"
ポイント賞
フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
スプリント賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
山岳賞
リカルド・メストレ(ポルトガル、タヴィラ)
チーム総合成績
HTC・ハイロード
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
大西洋に面したタヴィラからローレ近郊のマルハオ峠までの196km。標高500mクラスの3級山岳が4つ連続して登場し、最後は標高差250m・登坂距離2.7kmの2級山岳マルハオ峠を駆け上がってゴールを迎える。今大会最初で最後の頂上ゴールだ。
この日はマルティン・マースカント(オランダ、ガーミン・サーヴェロ)やウィリアム・クラーク(オーストラリア、レオパード・トレック)、ジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック)ら6名が12km地点からエスケープを敢行。最大4分のタイム差を得て山岳地帯を進んだ。
逃げグループは3つの3級山岳を先頭でこなしたが、リーダージャージ擁するオメガファーマ・ロットによって射程圏内に抑え込まれる。結局ゴールまで46kmを残して逃げは全て吸収。4つ目の3級山岳で2番手通過したリカルド・メストレ(ポルトガル、タヴィラ)は山岳賞リーダーの座を守った。
ここからレディオシャックやサクソバンク・サンガード、ガーミン・サーヴェロがメイン集団を率い、アタックを許さないハイスピードな展開に持ち込む。80名ほどに縮小したメイン集団が最後のマルハオ峠に差し掛かった。
登りが始まると、すぐにリーダージャージのフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が脱落してしまう。サクソバンク・サンガードのアシストに発射されたアルベルト・コンタドール(スペイン)のアタックによって集団は破壊された。
コンタドールにはタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)とトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)、レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)らが反応。しかし独走に持ち込むことはできず、遅れてクミングスが合流して先頭は5名に。
2人を揃えるHTC・ハイロードのマルティンとヴァンガーデレンが攻撃を仕掛けたが決まらない。最後は5名によるスプリント勝負に持ち込まれ、ライバルたちを突き放したクミングスが片手を突き上げた。
「ハードなステージだった。予定より長い190km以上のコースは、アップダウンの繰り返し。でもツール・メディテラネアンで手応えを感じていたので、自分のリズムを保てば最後にチャンスが回ってくると思っていたんだ。」レース後の勝利者インタビューでクミングスはそう語る。
「このアルガルヴェにはツール・メディテラネアンと同じチームメンバーが出場している。お互いを理解できているし、何より団結力が強い。彼らのおかげで風から身を守ることができ、そして最後の峠の麓で好位置をキープできたんだ。」
クミングスは過去にランドバウクレジット、ディスカバリーチャンネル、バルロワールドに所属し、昨年母国イギリスで立ち上がったチームスカイに合流した。現在29歳。これまでトラック競技を中心に成績を残しており、2004年アテネ五輪団体追い抜きで銀メダル、2005年世界選手権団体追い抜きで金メダルを獲得している。
チームスカイのエースとしてこのアルガルヴェ一周に挑み、頂上ゴールでコンタドールらを打ち負かしたクミングス。久々の勝利を「たぶんこれがキャリア最高の勝利だ。(2008年に優勝した)コッパ・ベルノッキの方が大きな大会だと人は言うかも知れないけど、今日相手にしたライバルの顔ぶれを見ると、また価値が違ってくる」と言い表した。
登りで積極的にアタックしたコンタドールは6秒差の総合2位。総合優勝に向けて順調な走りを見せているが、昨年大会で見せた圧倒的な力は影を潜めている。本人は「他の選手は今シーズンすでに数レースを走っているのでコンディションが整っている。ライバルたちは強力だ。総合優勝は厳しくなるだろう」とコメント。同時に「チームメイトたちは素晴らしい働きをしてくれた。サクソバンク・サンガードの一員になることができて本当に嬉しいよ」と語っている。
クミングスは「明日からはジャージキープに専念したい」と意気込んでいるが、ライバルはコンタドールだけではない。個人TTを得意とするマルティンが10秒差の総合3位、ヴァンガーデレンが12秒差の総合4位につけている。僅差の総合争いは、最終日の17.2km個人TTで決着が付けられる。
レース展開はレース公式情報配信サイトjornalciclismo.com、選手コメントは各チーム公式サイト(チームスカイ、サクソバンク・サンガード)より。
ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2011第3ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ) 4h56'19"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
4位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
5位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)
6位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +06"
7位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ) +16"
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)
9位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)
10位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)
個人総合成績
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ) 14h30'47"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) +06"
3位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) +10"
4位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +12"
5位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +18"
6位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +26"
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)
8位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ)
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、 ヴァカンソレイユ・DCM) +30"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +31"
ポイント賞
フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
スプリント賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
山岳賞
リカルド・メストレ(ポルトガル、タヴィラ)
チーム総合成績
HTC・ハイロード
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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