2011年2月9日、ツアー・オブ・カタール(UCI2.1)第3ステージが強風吹き付ける平坦コースで行なわれ、リーダージャージを着るトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)らが集団から脱落する中、20名ほどの集団スプリントでハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)が2連勝。総合首位に浮上した。

真っ平らなコースを高速で駆け抜ける真っ平らなコースを高速で駆け抜ける photo:A.S.O.第3ステージはカタールの首都ドーハ南部に位置するアルワクラをスタートし、65kmの大きな周回コースを2周半してメサイードにゴールする150.5km。直線基調で真っ平らなコースだが、前日よりも強さを増した風が容赦なく選手たちに吹き付けた。

周回コースは頻繁に針路を変え、それに伴って風向きが変わる。スタート直後の追い風区間で集団が早速ばらけたが、有力選手は誰も遅れず。逃げが決まったのは36km地点だった。

横風区間で集団が分裂し、エシュロンが形成される横風区間で集団が分裂し、エシュロンが形成される photo:A.S.O.逃げを試みたのはラッセル・ダウニング(イギリス、チームスカイ)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)、ロナン・ファンザンデベーク(オランダ、スキル・シマノ)、タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)、アンドリュー・フェン(イギリス、アンポスト・ショーンケリー)、ステイン・ネイリンク(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)の6名。

真っ平らなコースを高速で駆け抜ける真っ平らなコースを高速で駆け抜ける photo:A.S.O.メイン集団がペースダウンしたため、43km地点で先頭6名のリードは最大12分15秒に。メイン集団では横風区間でペースアップが図られ、ここで総合4位ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)は脱落してしまう。

メイン集団のペースアップによって先頭6名のリードは縮小し、ゴールまで50kmを残して早くも吸収。カヴェンディッシュを含む集団は何とかメイン集団に合流したが、カンチェラーラを含む50名ほどの選手たちは最後までメイン集団に追いつけなかった。

マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)を含む先頭集団マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)を含む先頭集団 photo:A.S.O.ラスト45km地点で総合10位ドミニク・ロラン(カナダ、FDJ)を含む10名が飛び出したものの、リードを稼げずに吸収される。再びのトップスプリンターによるバトルに注目が集まったが、リーダージャージを着るボーネンがパンクで後退。先行した30名に対し、ラスト15kmの時点でボーネンは1分40秒遅れ。総合優勝の野望は断たれた。

ゴールまで5kmを切ると、ガーミン・サーヴェロやレオパード・トレックが牽引する先頭集団からサイモン・クラーク(オーストラリア、アスタナ)がアタック。吹き付ける風の中、クラークは懸命に逃げ続けたがラスト500mで吸収。それと同時にスプリンターたちの闘いが始まった。

スプリント勝負を制したハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)スプリント勝負を制したハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ) photo:A.S.O.先頭でスプリントを繰り広げたのはダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)、マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)、そしてハウッスラー。横一線でスプリントするこの3名の中から飛び出したポイント賞ジャージのハウッスラーが、ゴールラインで悠々と手を挙げた。

ハウッスラーは怒濤の2連勝。帯同するガーミン・サーヴェロのジョニー・ウェルツ監督は「砂漠を駆け抜ける過酷なステージだった。風が非常に強くて、集団はずっとバラバラな状態だった。最終的にチームメンバー4名が先頭集団に入り、完璧な形でハインリッヒをスプリントに連れて行ってくれた。」とメンバーの走りを讃えている。

最終的にボーネンが3分02秒遅れでゴールしたため、総合2位だったハウッスラーが総合首位に浮上。この日スプリントバトルを交えたレンショーとベンナーティが4秒差と15秒差で続く。よほどの逃げが決まらない限り、総合争いはこの3名と総合4位・18秒遅れのフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)に絞られたと言って良いだろう。

レース展開はレース公式サイト、コメントはガーミン・サーヴェロ公式サイトより。

ツアー・オブ・カタール2011第3ステージ結果
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ) 3h28'04"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)
4位 ドミニク・ロラン(カナダ、FDJ)
5位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
6位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ISD)
7位 ロジャー・ハモンド(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)
8位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
9位 ヘルト・ステーグマン(ベルギー、クイックステップ)
10位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)

個人総合成績
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)9h34'30"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)        +04"
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)      +15"
4位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)         +18"
5位 ジェレミー・ハント(イギリス、チームスカイ)             +28"
6位 ドミニク・ロラン(カナダ、FDJ)
7位 ロジャー・ハモンド(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)         +30"
8位 ガブリエル・ラッシュ(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)       +37"
9位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)        +42"
10位 ヘルト・ステーグマン(ベルギー、クイックステップ)         +46"

ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)

新人賞
ニコラス・マース(ベルギー、クイックステップ)

チーム総合成績
ガーミン・サーヴェロ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.