2010/11/20(土) - 18:10
ツール・ド・フランスで7連覇を果たしたランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)のドーピング捜査を行なうアメリカ捜査員一行がフランスに上陸。リヨンのインターポール(国際刑事警察機構)本部に拠点を置き、フランス、スペイン、イタリアの当局と協力体制を確認した。
アームストロングにまつわるドーピング捜査は、フロイド・ランディス(アメリカ)の告発に端を発する。
元チームメイトのランディスは今年4月、かつてアームストロングが所属していたUSポスタルのチーム内で、ドーピングが常習化していたことを告発。その結果、当時のチームメイトたちが連邦大陪審で証言し、長期に渡ってスポンサー関係にあるナイキ社、オークリー社、トレック社が情報を提供する事態に至った。
一連の捜査を指揮しているのは、アメリカ食品医薬品局の捜査官であるジェフ・ノヴィツキー氏だ。10月22日にアームストロングのチームメイトであるヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)を証人として召喚したとして、その名前が一気に世界に広まった。
ポポヴィッチは2005年にディスカバリーチャンネルのメンバーとしてアームストロングのツール7勝目をサポートした。一時引退しながらも現役復帰したアームストロングの要望により、2009年はアスタナに所属。今年レディオシャックでアームストロングと一緒に走っている。
イタリアに居を構えるポポヴィッチは、アームストロングが興したチャリティーライド「リブストロング・チャレンジ」に参加するために訪れていたアメリカ・テキサス州オースティンで召喚された。ポポヴィッチはヨーロッパ帰国を先延ばしし、11月3日に90分間の証言を行なった。
イタリア警察がポポヴィッチのトスカーナ州の自宅を家宅捜索したのは、ポポヴィッチの帰国直後、11月11日のこと。ガゼッタ紙によると、イタリア警察はポポヴィッチ家から複数の携帯電話とPCを証拠品として押収。リヨンのインターポールに拠点を置くノヴィツキー氏の手に届けられた。
ノヴィツキー氏は今回、アメリカの連邦検事ダウグ・ミラー氏と、同じくアメリカのアンチドーピング機構代表トラヴィス・タイガート氏を引き連れて渡欧している。AP通信によると、ノヴィツキー氏らは11月18日にAFLD(フランスアンチドーピング機関)にも出向き、情報を交換した。
彼らの目的は、アームストロングにまつわる様々な証拠物を再検査すること。1999年以降のツール期間中に採取され、EPO(エリスロポエチン)の痕跡が見られる6つの尿サンプルや、昨年のツール期間中にチームのゴミ箱から発見された医療器具などが含まれる。
捜査はイタリアとフランスだけに留まらない。ノヴィツキー氏らはスペインの治安警察の代表らと面会。大きな成功を上げることなくオペラシオン・プエルトが幕切れを迎えた今、スペイン当局は捜査に協力する姿勢を見せている。手始めに、ランディスが血液を保存していたと証言するジローナのアパートメントと、アームストロングがトレーニングで度々訪れていたテネリフェ島を捜索する予定だ。
ランディスの告発は、アームストロングが長期に渡ってパフォーマンス向上を目的とした禁止薬物を使用していたというもの。しかしアームストロング本人はそれを完全に否定している。アームストロングは7月に“キャリア最後”のツールを完走。“国外最終レース”として、2011年1月にオーストラリアで開催されるツアー・ダウンアンダーに出場する予定だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
アームストロングにまつわるドーピング捜査は、フロイド・ランディス(アメリカ)の告発に端を発する。
元チームメイトのランディスは今年4月、かつてアームストロングが所属していたUSポスタルのチーム内で、ドーピングが常習化していたことを告発。その結果、当時のチームメイトたちが連邦大陪審で証言し、長期に渡ってスポンサー関係にあるナイキ社、オークリー社、トレック社が情報を提供する事態に至った。
一連の捜査を指揮しているのは、アメリカ食品医薬品局の捜査官であるジェフ・ノヴィツキー氏だ。10月22日にアームストロングのチームメイトであるヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)を証人として召喚したとして、その名前が一気に世界に広まった。
ポポヴィッチは2005年にディスカバリーチャンネルのメンバーとしてアームストロングのツール7勝目をサポートした。一時引退しながらも現役復帰したアームストロングの要望により、2009年はアスタナに所属。今年レディオシャックでアームストロングと一緒に走っている。
イタリアに居を構えるポポヴィッチは、アームストロングが興したチャリティーライド「リブストロング・チャレンジ」に参加するために訪れていたアメリカ・テキサス州オースティンで召喚された。ポポヴィッチはヨーロッパ帰国を先延ばしし、11月3日に90分間の証言を行なった。
イタリア警察がポポヴィッチのトスカーナ州の自宅を家宅捜索したのは、ポポヴィッチの帰国直後、11月11日のこと。ガゼッタ紙によると、イタリア警察はポポヴィッチ家から複数の携帯電話とPCを証拠品として押収。リヨンのインターポールに拠点を置くノヴィツキー氏の手に届けられた。
ノヴィツキー氏は今回、アメリカの連邦検事ダウグ・ミラー氏と、同じくアメリカのアンチドーピング機構代表トラヴィス・タイガート氏を引き連れて渡欧している。AP通信によると、ノヴィツキー氏らは11月18日にAFLD(フランスアンチドーピング機関)にも出向き、情報を交換した。
彼らの目的は、アームストロングにまつわる様々な証拠物を再検査すること。1999年以降のツール期間中に採取され、EPO(エリスロポエチン)の痕跡が見られる6つの尿サンプルや、昨年のツール期間中にチームのゴミ箱から発見された医療器具などが含まれる。
捜査はイタリアとフランスだけに留まらない。ノヴィツキー氏らはスペインの治安警察の代表らと面会。大きな成功を上げることなくオペラシオン・プエルトが幕切れを迎えた今、スペイン当局は捜査に協力する姿勢を見せている。手始めに、ランディスが血液を保存していたと証言するジローナのアパートメントと、アームストロングがトレーニングで度々訪れていたテネリフェ島を捜索する予定だ。
ランディスの告発は、アームストロングが長期に渡ってパフォーマンス向上を目的とした禁止薬物を使用していたというもの。しかしアームストロング本人はそれを完全に否定している。アームストロングは7月に“キャリア最後”のツールを完走。“国外最終レース”として、2011年1月にオーストラリアで開催されるツアー・ダウンアンダーに出場する予定だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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