トリノで開催されたジロ・デ・イタリア2011年大会のコースプレゼンテーションに出席したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)は、不敵な笑顔を見せていた。第94回大会はニーバリの地元シチリア島を走る。エトナ火山の頂上ゴールを始め、ニーバリに有利な山岳ステージが多く設定された。

コースプレゼンテーションが行なわれたトリノのカリニャーノ劇場コースプレゼンテーションが行なわれたトリノのカリニャーノ劇場 photo:Riccardo Scanferla最も注目を集めたのは、チームメイトで今年のジロ覇者であるイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)との役割分担だ。バッソはメキシコで開催される興行的なクリテリウムレースに出席するため、コースプレゼンテーションに出席しなかった。

「イヴァンはすでにコースをチェックしているはず。彼がどんな印象をもったのか聞くのが楽しみだ」。ニーバリは笑顔でそう語る。

プレゼンテーションに出席した有力選手たちプレゼンテーションに出席した有力選手たち photo:Riccardo Scanferlaコースプレゼンテーションに先立ち、レース主催者RCSスポルトはディフェンディングチャンピオンのバッソに優先的にコースの全容を明らかにした。バッソはツールとジロのコースを比較済み。ジロをパスし、ツールに照準を合わす可能性が高い。つまりジロではニーバリがリクイガスのチームリーダーを担う。

今年ニーバリはバッソのジロ総合優勝を支えただけでなく、自身もステージ優勝を飾り、3日間マリアローザを着用し、そして総合3位でレースを終えた。そこで自信を得たニーバリはスペインのブエルタに優勝候補の一角として出場。見事に総合優勝を飾ってみせた。

優勝候補のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)優勝候補のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) photo:Riccardo Scanferlaそして今、ニーバリは地元イタリアのジロに目標を切り替える。コースプレゼンテーションで明らかにされた全長3496kmのコースはニーバリ向きだと言われている。2つの個人タイムトライアルと1つのチームタイムトライアル、そして7つの頂上ゴール。シチリア島のステージがあることも忘れてはならない。

「僕向きのジロだって?確かにそうかも知れない。全体的に厳しいコースだし、エトナ火山を上るステージも有るしね。しかもそのステージは地元メッシーナをスタートするんだ」。

エトナ火山にゴールする第9ステージエトナ火山にゴールする第9ステージ image:RCS Sportメッシーナをスタート後、選手たちはヨーロッパ最大の活火山として知られるエトナ火山を2度上る。まず標高1631mのレンツァを上り、続いて標高1904mのサピエンツァ避難所まで駆け上がってゴールを迎える。

「まだまだこれからコースを研究しなきゃならない。実は南側からアプローチするサピエンツァ避難所の上りは走ったことがないんだ。レース展開を占う上でも重要なステージになると思うし、何より地元のファンが大勢集まってくれると思う。シチリアにとって良い起爆剤になると思う」。

エトナ火山にゴールする第9ステージエトナ火山にゴールする第9ステージ image:RCS Sportエトナ火山にゴールすると、ジロは1回目の休息日を迎える。休息日とは言っても実質的には移動日。選手たちは空路で次のスタート地点テルモリに飛ぶ。一方、スタッフたちは9時間のドライブを強いられる。

その後はドロミテやアルプスの山岳に向かってひたすら北上。今年バッソが優勝したモンテ・ゾンコランの第14ステージと、ガルデッチャにゴールする第15ステージでレースが大きく動くとニーバリは予想する。

「特にガルデッチャのステージには5つもカテゴリー山岳が設定されているんだ。距離も長いし、厳しい闘いになるのは間違いない。平均スピードも落ちるだろうから、かなり長いステージになると思う」。

トリノでのコースプレゼンテーション後、ニーバリはトスカーナ州の自宅に戻った。ドロミテやアルプスの山々が雪で閉ざされる前に、ニーバリはある程度コースを試走したいと考えている。そして何よりもまず、バッソと話し合いの場を持つ必要がある。2011年のジロに対するニーバリのモチヴェーションは高い。

text:Gregor Brown
photo:Riccardo Scanferla
translation:Kei Tsuji

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