2010/10/01(金) - 01:28
個人タイムトライアルが終わると、いよいよロードレースが始動する。舞台となるのはジーロングの15.9km周回コース。ここではコースの詳細と勝負ポイントについて見ておこう。
チャランブラ・クレセントとクイーンズパークの上りに注目
ロードレースのメイン会場は、メルボルンの南西に位置するジーロング。全てのカテゴリーが、このジーロング中心部を発着する15.9kmのコースを使用する。
全長262.7kmで行なわれるエリート男子のみ、ヴィクトリア州の州都であるメルボルンをスタート。83kmの平坦区間を経てジーロングの周回コースに突入する。真っ平らな平野部を駆け抜ける前半の平坦区間は、遮るものの無い直線路。横風が吹けば、前半から荒れた展開に持ち込まれる可能性もある。
南半球オーストラリアの季節は春。現地スタッフ曰く、この時期は風向きが変わりやすい。日によって180度風向きが変わることもあるため、当日になってみないと平坦区間の展開は予想しにくい。
コース全体の獲得標高差は3076m。前年のメンドリシオ大会が4655mだったことを考えると、難易度は低いように思われる。数字だけを見ると、コース発表時から「難易度の低いスプリンター向きのコース」と取り上げられてきたのも頷ける。
しかしレース前半の83kmがほぼ真っ平らだということを忘れてはならない。つまり、後半の180kmに獲得標高差3076mの上りが詰め込まれているのだ。周回コースには勾配のある上りが幾つか設定されており、難易度は決して低いとは言えない。エリート男子はこの周回コースを時計回りに11周(プラス83kmで合計262.7km)、エリート女子は8周(127.2km)、U23は10周(159km)する。
ジーロング周回コース最大の難所は、バーウォン川沿いからコース最高地点シーニック・ロードまで一気に駆け上がる「チャランブラ・クレセント」の上り(コースマップ①)だ。小高い丘に作られた住宅地の中を貫くこの上りは、登坂距離1km強で高低差100m。平均勾配は8%で、頂上が近づくに連れて勾配が増す。試しに歩いてみると、あまりの勾配に面食らう。頂上手前の勾配は瞬間的に20%近くまで跳ね上がる。
この「チャランブラ・クレセント」を終えると、約3kmのハイスピードダウンヒル。選手たち曰く、このダウンヒル区間は集団のスピードが80km/hを超える。
そんなハイスピードな集団を待ち受けるのが、バーウォン川に架かる特設ブリッジだ。レインボーカラーがあしらわれたこの橋は、集団を減速させるために作られたようなもの。この橋に向かう連続コーナーは逆バンクで、しかも一気に道が狭くなる。
集団はこの危険なコーナーで縦に伸び、減速した状態で次の上り区間に突入する。アフラジア・ストリートに至るこの「クイーンズ・パーク・ロード」の上り(コースマップ②)は、登坂距離が500mに満たない急坂。平均勾配は10%オーバーで、上り始めの勾配は15%近い。これらの上りが、確実に選手たちのパワーを削ぎ落としていく。
「クイーンズ・パーク・ロード」の頂点からゴールまでは5.9km。なだらかな下り基調の直線路と幾つかの直角コーナーを経て、ラスト700mで最終ストレート「ムーラブール・ストリート」に突入。勾配3%ほどの緩斜面を駆け上がってゴールを迎える。
急勾配の上りとハイスピードダウンヒル、そしてテクニカルなコーナーが連続して登場するため、一度ポジションを落とすと大きく体力を消耗してしまう。コースの難易度を考えると、大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性は低い。試走した選手たちは「昨年より難易度は低いが、決してスプリンター向きのコースではない。街中も郊外も風が強く、休める場所が無い。気温が低いので、雨が降れば過酷な闘いになる」と口を揃える。
全体的に路面は荒く(レース用に舗装されていない)、しかもテクニカルなコーナーが多い。スプリンターが太刀打ち出来ないようなアタッカー向きのレース展開に持ち込まれる可能性が高い。
text&photo:Kei Tsuji in Geelong, Australia
チャランブラ・クレセントとクイーンズパークの上りに注目
ロードレースのメイン会場は、メルボルンの南西に位置するジーロング。全てのカテゴリーが、このジーロング中心部を発着する15.9kmのコースを使用する。
全長262.7kmで行なわれるエリート男子のみ、ヴィクトリア州の州都であるメルボルンをスタート。83kmの平坦区間を経てジーロングの周回コースに突入する。真っ平らな平野部を駆け抜ける前半の平坦区間は、遮るものの無い直線路。横風が吹けば、前半から荒れた展開に持ち込まれる可能性もある。
南半球オーストラリアの季節は春。現地スタッフ曰く、この時期は風向きが変わりやすい。日によって180度風向きが変わることもあるため、当日になってみないと平坦区間の展開は予想しにくい。
コース全体の獲得標高差は3076m。前年のメンドリシオ大会が4655mだったことを考えると、難易度は低いように思われる。数字だけを見ると、コース発表時から「難易度の低いスプリンター向きのコース」と取り上げられてきたのも頷ける。
しかしレース前半の83kmがほぼ真っ平らだということを忘れてはならない。つまり、後半の180kmに獲得標高差3076mの上りが詰め込まれているのだ。周回コースには勾配のある上りが幾つか設定されており、難易度は決して低いとは言えない。エリート男子はこの周回コースを時計回りに11周(プラス83kmで合計262.7km)、エリート女子は8周(127.2km)、U23は10周(159km)する。
ジーロング周回コース最大の難所は、バーウォン川沿いからコース最高地点シーニック・ロードまで一気に駆け上がる「チャランブラ・クレセント」の上り(コースマップ①)だ。小高い丘に作られた住宅地の中を貫くこの上りは、登坂距離1km強で高低差100m。平均勾配は8%で、頂上が近づくに連れて勾配が増す。試しに歩いてみると、あまりの勾配に面食らう。頂上手前の勾配は瞬間的に20%近くまで跳ね上がる。
この「チャランブラ・クレセント」を終えると、約3kmのハイスピードダウンヒル。選手たち曰く、このダウンヒル区間は集団のスピードが80km/hを超える。
そんなハイスピードな集団を待ち受けるのが、バーウォン川に架かる特設ブリッジだ。レインボーカラーがあしらわれたこの橋は、集団を減速させるために作られたようなもの。この橋に向かう連続コーナーは逆バンクで、しかも一気に道が狭くなる。
集団はこの危険なコーナーで縦に伸び、減速した状態で次の上り区間に突入する。アフラジア・ストリートに至るこの「クイーンズ・パーク・ロード」の上り(コースマップ②)は、登坂距離が500mに満たない急坂。平均勾配は10%オーバーで、上り始めの勾配は15%近い。これらの上りが、確実に選手たちのパワーを削ぎ落としていく。
「クイーンズ・パーク・ロード」の頂点からゴールまでは5.9km。なだらかな下り基調の直線路と幾つかの直角コーナーを経て、ラスト700mで最終ストレート「ムーラブール・ストリート」に突入。勾配3%ほどの緩斜面を駆け上がってゴールを迎える。
急勾配の上りとハイスピードダウンヒル、そしてテクニカルなコーナーが連続して登場するため、一度ポジションを落とすと大きく体力を消耗してしまう。コースの難易度を考えると、大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性は低い。試走した選手たちは「昨年より難易度は低いが、決してスプリンター向きのコースではない。街中も郊外も風が強く、休める場所が無い。気温が低いので、雨が降れば過酷な闘いになる」と口を揃える。
全体的に路面は荒く(レース用に舗装されていない)、しかもテクニカルなコーナーが多い。スプリンターが太刀打ち出来ないようなアタッカー向きのレース展開に持ち込まれる可能性が高い。
text&photo:Kei Tsuji in Geelong, Australia