2010/09/21(火) - 17:42
今シーズン加入した清水と狩野が強力な切り札となったブリヂストン・アンカー。そして厳しい山岳ステージで、結果はもちろんそれ以降の各チームの走り方も決めた第2ステージ。最終日のクリテリウムはそれを確認するステージになった。
5日間のツール・ド・北海道の締めくくりは札幌市モエレ沼公園のクリテリウム。昨年までとコースが少し変わり、モエレ山の丘越えがなくなり、全くの平坦で少し大きくコースを取る。
焦点は逃げとホットスポットなどのボーナスタイムだ。昨年の鈴木真理のように、逃げてかつボーナスタイムも取れば大逆転の動きも不可能ではない。
レースは9時に63名がスタート。規定により途中で追いつかれても降ろされるが完走扱いになる。
1周目は鈴木真理と畑中勇介(シマノレーシング)が逃げるが吸収される。
3周目、6人の逃げができる。福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)、辻善光(宇都宮ブリッツェン)、畑中勇介(シマノレーシング)、吉田隼人(鹿屋体育大学)、フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)、ユム・ジュンファン(大韓民国チーム)だ。スピードマンが多いが、このままゴールまで逃げ切れば、辻がやや有利なメンバーだ。
メイン集団はこれを追わず6人の逃げとメイン集団の構図に。差は30秒にまで開く。メイン集団はリーダーチームのBSアンカーと、宮澤崇史でステージと総合ポイント賞を狙うニッポが牽引する。
メイン集団の先頭はBSアンカーが4名、ニッポが3名で引く。その後には宮澤、清水、総合2位の佐野淳哉(TEAM NIPPO)が続き、さらにスプリンターのパク・スンベク(大韓民国チーム)がぴったりマーク。見事にこの並びのまま中盤から終盤まで走り続ける。
終盤に向けてメイン集団がいよいよ加速、逃げの6名を追う。そして最終周回に入る手前でついに吸収。大集団でのゴールスプリントへ向かう。
シマノ、愛三も加わり位置取りが繰り広げられるが、ホームストレートに先頭で現れたのはパク。やや長い距離だが圧倒的なロングスプリントで悠々の1位。2位以下には鈴木真理、宮澤らが入る。中央大学の笠原恭輔が5位に入り健闘。清水自身も10位に入り個人総合優勝を達成。
チームブリヂストン・アンカーは第2ステージで、上位に清水と狩野の2名を送り込んだのが最大の勝因だ。この2人は今シーズンから同チームへ加入したメンバーだ。ヒルクライマーからオールラウンダーに成長した清水、「日本の山岳王」でスピードも持ち合わせる狩野の2人の加入は、チームに戦い方の幅を広げさせた。
TEAM NIPPOにとっても第2ステージがすべてだった。佐野が清水についで2位。これでチームとしては個人総合優勝をあきらめざるを得なかった。宮澤自身は個人総合3連覇がかかっていたが、厳しい山岳の第2ステージでこれも手放した。あとはステージ優勝と個人総合ポイント賞だが、これもかつてのチームメイトのパクにすべて持っていかれた。
今年は大学生が活躍した大会でもあった。特に第3ステージの山本元喜(鹿屋体育大学)の優勝は想像を越えるもので快挙だ。同チームが掲げる「世界を見据えたチーム作り」を体現したもの。もはやコンチネンタルチーム以上の動きと強さを見せた。
出場5人がすべて完走の日本大学の粘りも特筆すべきだろう。同大を代表するロード選手たちである窪木、越海、高橋、榎本を抜いたメンバーでも十分に走れることを5人は証明した。
外国選手の中では、大韓民国チームの活躍が光った。ステージ2勝のパクは圧倒的なパワーで自在な走り方で大きな差を見せ付けた。第1ステージは宮澤の番手から僅差で勝利、第4ステージはロングスプリントで圧勝。第3ステージのメイン集団ゴールは、ゴール数十メートル手前から一気に数人を抜いて頭を取った。
山岳賞のジャンは積極的に逃げ続け、その粘り強さは驚異的だった。
今年は例年と比べて1ステージ少なかった。しかし選手たちが口にするように、今年の第2ステージはそれを補っても余りあるコースだった。
ここ数年はスピードマンが有利だった本大会。ゴールやホットスポットのボーナスタイム争いで優勝争いをするのが通例だった。それが今年は第2ステージだけでスピードマンたちは6分もの差をつけられ、総合をあきらめざるを得なくなった。公道ステージは3つだけだったが、平坦の大集団ゴール、厳しい山岳のサバイバルレース、そして少人数の逃げが決まった山岳コースと、バランスの取れたレイアウト。
第2ステージは国内では久しぶりの、山岳に強い選手が活躍できたステージだった。
国内選手の多くは休む間もなく23日(木)の全日本実業団ロードの舞台、修善寺へ向かう。
結果
第4ステージ 63km 札幌市モエレ沼 クリテリウム
1位 パク・スンベク(大韓民国チーム)1時間23分42秒
2位 鈴木真理(シマノレーシング)
3位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)
4位 シャオ・シーシン(アクションサイクリングチーム)
5位 笠原恭輔(中央大学)
6位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
7位 リー・ウェイチェン(アクションサイクリングチーム)
8位 チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)
9位 小室雅成(湘南ベルマーレ)
10位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)
個人総合時間賞
1位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)16時間05分51秒
2位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)+05秒
3位 チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)+12秒
4位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+22秒
5位 村上純平(シマノレーシング)+23秒
6位 ベル・ステファン(ARBO-KTM-ゲブリューデルヴァイス)+43秒
7位 内間康平(鹿屋体育大学)+52秒
8位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+1分6秒
9位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)+5分15秒
10位 ユム・ジュンファン(大韓民国チーム)+5分16秒
個人総合ポイント賞
1位 パク・スンベク(大韓民国チーム)70点
2位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)58点
3位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)43点
個人総合山岳賞
1位 ジャン・キュング(大韓民国チーム)28点
2位 ブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)18点
3位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)14点
個人総合時間賞U23
1位 内間康平(鹿屋体育大学)16時間06分43秒
2位 吉田隼人(鹿屋体育大学)+5分53秒
3位 中田匠(日本大学)+6分14秒
団体総合時間賞
1位 チームブリヂストン・アンカー 48時間25分31秒
2位 TEAM NIPPO +3分51秒
3位 シマノレーシング +3分55秒
photo&text:高木秀彰
5日間のツール・ド・北海道の締めくくりは札幌市モエレ沼公園のクリテリウム。昨年までとコースが少し変わり、モエレ山の丘越えがなくなり、全くの平坦で少し大きくコースを取る。
焦点は逃げとホットスポットなどのボーナスタイムだ。昨年の鈴木真理のように、逃げてかつボーナスタイムも取れば大逆転の動きも不可能ではない。
レースは9時に63名がスタート。規定により途中で追いつかれても降ろされるが完走扱いになる。
1周目は鈴木真理と畑中勇介(シマノレーシング)が逃げるが吸収される。
3周目、6人の逃げができる。福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)、辻善光(宇都宮ブリッツェン)、畑中勇介(シマノレーシング)、吉田隼人(鹿屋体育大学)、フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)、ユム・ジュンファン(大韓民国チーム)だ。スピードマンが多いが、このままゴールまで逃げ切れば、辻がやや有利なメンバーだ。
メイン集団はこれを追わず6人の逃げとメイン集団の構図に。差は30秒にまで開く。メイン集団はリーダーチームのBSアンカーと、宮澤崇史でステージと総合ポイント賞を狙うニッポが牽引する。
メイン集団の先頭はBSアンカーが4名、ニッポが3名で引く。その後には宮澤、清水、総合2位の佐野淳哉(TEAM NIPPO)が続き、さらにスプリンターのパク・スンベク(大韓民国チーム)がぴったりマーク。見事にこの並びのまま中盤から終盤まで走り続ける。
終盤に向けてメイン集団がいよいよ加速、逃げの6名を追う。そして最終周回に入る手前でついに吸収。大集団でのゴールスプリントへ向かう。
シマノ、愛三も加わり位置取りが繰り広げられるが、ホームストレートに先頭で現れたのはパク。やや長い距離だが圧倒的なロングスプリントで悠々の1位。2位以下には鈴木真理、宮澤らが入る。中央大学の笠原恭輔が5位に入り健闘。清水自身も10位に入り個人総合優勝を達成。
チームブリヂストン・アンカーは第2ステージで、上位に清水と狩野の2名を送り込んだのが最大の勝因だ。この2人は今シーズンから同チームへ加入したメンバーだ。ヒルクライマーからオールラウンダーに成長した清水、「日本の山岳王」でスピードも持ち合わせる狩野の2人の加入は、チームに戦い方の幅を広げさせた。
TEAM NIPPOにとっても第2ステージがすべてだった。佐野が清水についで2位。これでチームとしては個人総合優勝をあきらめざるを得なかった。宮澤自身は個人総合3連覇がかかっていたが、厳しい山岳の第2ステージでこれも手放した。あとはステージ優勝と個人総合ポイント賞だが、これもかつてのチームメイトのパクにすべて持っていかれた。
今年は大学生が活躍した大会でもあった。特に第3ステージの山本元喜(鹿屋体育大学)の優勝は想像を越えるもので快挙だ。同チームが掲げる「世界を見据えたチーム作り」を体現したもの。もはやコンチネンタルチーム以上の動きと強さを見せた。
出場5人がすべて完走の日本大学の粘りも特筆すべきだろう。同大を代表するロード選手たちである窪木、越海、高橋、榎本を抜いたメンバーでも十分に走れることを5人は証明した。
外国選手の中では、大韓民国チームの活躍が光った。ステージ2勝のパクは圧倒的なパワーで自在な走り方で大きな差を見せ付けた。第1ステージは宮澤の番手から僅差で勝利、第4ステージはロングスプリントで圧勝。第3ステージのメイン集団ゴールは、ゴール数十メートル手前から一気に数人を抜いて頭を取った。
山岳賞のジャンは積極的に逃げ続け、その粘り強さは驚異的だった。
今年は例年と比べて1ステージ少なかった。しかし選手たちが口にするように、今年の第2ステージはそれを補っても余りあるコースだった。
ここ数年はスピードマンが有利だった本大会。ゴールやホットスポットのボーナスタイム争いで優勝争いをするのが通例だった。それが今年は第2ステージだけでスピードマンたちは6分もの差をつけられ、総合をあきらめざるを得なくなった。公道ステージは3つだけだったが、平坦の大集団ゴール、厳しい山岳のサバイバルレース、そして少人数の逃げが決まった山岳コースと、バランスの取れたレイアウト。
第2ステージは国内では久しぶりの、山岳に強い選手が活躍できたステージだった。
国内選手の多くは休む間もなく23日(木)の全日本実業団ロードの舞台、修善寺へ向かう。
結果
第4ステージ 63km 札幌市モエレ沼 クリテリウム
1位 パク・スンベク(大韓民国チーム)1時間23分42秒
2位 鈴木真理(シマノレーシング)
3位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)
4位 シャオ・シーシン(アクションサイクリングチーム)
5位 笠原恭輔(中央大学)
6位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
7位 リー・ウェイチェン(アクションサイクリングチーム)
8位 チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)
9位 小室雅成(湘南ベルマーレ)
10位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)
個人総合時間賞
1位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)16時間05分51秒
2位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)+05秒
3位 チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)+12秒
4位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+22秒
5位 村上純平(シマノレーシング)+23秒
6位 ベル・ステファン(ARBO-KTM-ゲブリューデルヴァイス)+43秒
7位 内間康平(鹿屋体育大学)+52秒
8位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+1分6秒
9位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)+5分15秒
10位 ユム・ジュンファン(大韓民国チーム)+5分16秒
個人総合ポイント賞
1位 パク・スンベク(大韓民国チーム)70点
2位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)58点
3位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)43点
個人総合山岳賞
1位 ジャン・キュング(大韓民国チーム)28点
2位 ブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)18点
3位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)14点
個人総合時間賞U23
1位 内間康平(鹿屋体育大学)16時間06分43秒
2位 吉田隼人(鹿屋体育大学)+5分53秒
3位 中田匠(日本大学)+6分14秒
団体総合時間賞
1位 チームブリヂストン・アンカー 48時間25分31秒
2位 TEAM NIPPO +3分51秒
3位 シマノレーシング +3分55秒
photo&text:高木秀彰
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