2010/09/14(火) - 14:57
9月12日(日)、長野県東筑摩郡山形村において全日本学生ロードレースシリーズ2010第5戦となる 信濃山形清水高原サイクルロードレースが開催された。通称「山形村ヒルクライムラウンド」として定着したヒルクライムレースで、地元のクラブ「レガルスィ・イナーメ」が主催するホビーレースも併催される。
2007年に始まり、今年で4回を迎えるこの若い大会。コースがなんといっても特徴的で、清水高原観光道路を走る距離6.5km、標高差507mのコースを、3ヒートで争われる。
日本学生自転車競技連盟と山形村が共催するこの大会。学連選手に加え日本自転車競技連盟(JCF)登録競技者も参加できる混合大会で、競技はクラス1、クラス2、クラス3、女子の4カテゴリー。
クラス1がBR-1、クラス2がBR-2相当。クラス3が一般登録者、そして女子がJCF登録者で争われる。それぞれ同時スタートの混走で3ヒート行い、3回の合計順位で各カテゴリー優勝を争う。
また、地元の信濃山形自転車クラブ(レガレスィ・イナ-メ)が運営するイナーメ・ヒルクライムは1ヒートのみだが、登録資格を問わないのでホビーレーサー誰もが参加できる。
3回の各ヒートごとに、全カテゴリーを通じたタイム計測をフィニッシュ地点にて行う。結果は3ヒートの合算タイムで記録される。
まるでフランドルの激坂!
コースは村内の清水高原観光道路。登坂距離5.8km。ゴール地点は標高1472m、スタートからゴールの標高差445m。コース上部のラスト2kmには16~20%の石畳の坂があり、最大の難所となる。スリップ防止のディンプルの施された簡易舗装はまるでロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・ド・フランドル)のオウデ・クワレモントの坂のようで、インナー×ローでハンドルにしがみつきながら上る激坂だ。
勝負を決めるこの名物坂には応援団がチョークで選手の名前を路面に書き、フランドルさながら。「フランドルへようこそ」の応援メッセージも実際に見られた。コースの概要はルートラボ(外部リンク)を参照。ただしその厳しさはグラフからは伝わってこないが。
コースが一般道のため交通規制時間が厳しく、そのラスト2kmの石畳区間に入る前に5分以上遅れた選手はそこでストップを命ぜられる。
ローカル色の濃い大会ながら、この厳しさが評判を呼び、今年のクラス1は多くのヒルクライムスターが集まった。学連シリーズチャンプを守る西薗良太(東京大学)、乗鞍優勝の森本誠、 鵜沢祐也(共にイナーメ・アイランド信濃山形)、おきなわ市民200kmチャンプの武井亨介(チーム・フォルツァ!)、(チームブリヂストン・アンカーの平野星矢と辻浦圭一など、豪華な顔ぶれ。もっともイナーメの地元であり、近辺に自転車選手が多く住む事情もあるのだが。
クラス1は西薗良太と秋山尚徳(岩井商会GANWELL RACING)の一騎打ちの様相を呈した。2人がリードして石畳区間に入り、西園が最後に力で秋山を引き離すという展開。乗鞍の覇者森本らは距離の短さとダッシュ力が必要な急勾配に手を焼いたようだ。
西園は先のインカレでは大学院試験に集中していたため本調子でなかったが、試験期間を空けて再び好調にもってきた。
「距離が短いのでヒルクライムと言うには難しいレースだったが、ロードレース的な展開に持ち込んで瞬発力で勝負した」と言う。調子の良さを確信し、さらにツール・ド・北海道を木曜日に控え、意欲満々だ。
そばの里で美味しい賞品に舌鼓をうつ
協賛各社からの賞品に加えて山形村特産の長芋やネギが授与された。というのも「イナーメ(igname)」とは、フランス語で長芋の意味だそうだ。
レース後は観光施設であるスカイランドきよみずでの展望風呂の入浴券と食事券が選手に配られた。そして県外から来た入賞者を喜ばせたのは下山したところにある唐沢そばの店での食事券のプレゼント。
この唐沢そば集落は全国的にそば通に有名。約500メートルの集落に9件のそば屋が軒を連ね、民家風の”お座敷スタイル”の店が多く、アットホームな雰囲気のおもてなしが楽しめる名店ばかりで、そばの食べ歩きには最高の土地だ。
山形村は塩尻と松本に近いアルプスの小さな村。周囲は信州らしいリンゴや梨、ぶどう畑、そして白い花咲く蕎麦畑が広がり、清々しい空気をいっぱい吸えるさわやかな土地。季節は違うがスイカで有名な波田も近い(夏の畑にはスイカがごろごろ転がっていて圧巻だ)。
富士ヒルクライムや乗鞍などの有名ヒルクライム大会とは違う、山形村とイナーメクラブと学連が力をあわせて開催する運営のアットホームさが魅力の小さな大会だ。ぜひ一度脚を運んでみてはいかがだろう?
3ヒートのクラス別 合計順位結果
<Class1> 結果 タイムは3レースの合算
1位 西薗良太(東京大学) 1:03'27'' 平均時速18.83km/h
2位 秋山尚徳(岩井商会GANWELL RACING)+0:01'46''
3位 森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形)+0:00'52''
4位 武井亨介(チーム・フォルツァ!) +0:01'08''
5位 平野星矢(チームブリヂストン・アンカー)+0:00'47''
6位 小嶋洋介(岩井商会GANWELL RACING)+0:00'39''
7位 宇野誓(京都大学)1:10'48'' 0:02'07''
8位 鵜沢祐也(イナーメ・アイランド信濃山形)+0:01'53''
9位 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) +0:00'45''
10位 丸山厚(MASSA-FOCUS)+0:01'47''
11位 吉岡直哉(京都産業大学)+0:00'59''
12位 山本聖吾(スワコレーシング)+0:02'42''
13位 新井康文(チーム・フォルツァ!)+0:00'59''
<Class2> 結果 タイムは3レースの合算
1位 角谷健吾(大阪大学) 1:04'58'' +0:22'42''
2位 吉浦 満(京都大学)+0:01'53''
3位 佐々木英雄(Tacurino.net)+0:00'00''
<Class3> 結果 タイムは3レースの合算
1位 岩井航太(立教大学) 1:09'58''
2位 伊奈佑純(駒澤大学) +0:02'25''
3位 北中悠貴(関西大学) +0:03'26''
<Class女子> 結果 タイムは3レースの合算
1位 金子広美(レガルスィ・イナーメ)0:55'51" 平均時速17.83km/h
2位 成瀬ふたば(明星大学)+0:20'17"
■イナーメヒルクライムin信濃山形
1位 兼子 博昭(スワコレーシング) 23:46:00
2位 斉藤 厚(イナーメ・アイランド信濃山形) +0:17:00
3位 黒田 直樹 +0:34:00
4位 皆瀬 貴宏(ミタニサイクルマインド) +1:22:00
5位 今野 直仁(スワコレーシング) +1:39:00
6位 遠矢 寛(松本CC) +1:46:00
7位 渡辺 晃(松本CC) +3:04:00
8位 川上 鎭一(松本CC) +3:22:00
9位 福田 和博(スワコレーシング) +4:13:00
10位 山田 憲司 +5:20:00
photo&text:MakotoAYANO
2007年に始まり、今年で4回を迎えるこの若い大会。コースがなんといっても特徴的で、清水高原観光道路を走る距離6.5km、標高差507mのコースを、3ヒートで争われる。
日本学生自転車競技連盟と山形村が共催するこの大会。学連選手に加え日本自転車競技連盟(JCF)登録競技者も参加できる混合大会で、競技はクラス1、クラス2、クラス3、女子の4カテゴリー。
クラス1がBR-1、クラス2がBR-2相当。クラス3が一般登録者、そして女子がJCF登録者で争われる。それぞれ同時スタートの混走で3ヒート行い、3回の合計順位で各カテゴリー優勝を争う。
また、地元の信濃山形自転車クラブ(レガレスィ・イナ-メ)が運営するイナーメ・ヒルクライムは1ヒートのみだが、登録資格を問わないのでホビーレーサー誰もが参加できる。
3回の各ヒートごとに、全カテゴリーを通じたタイム計測をフィニッシュ地点にて行う。結果は3ヒートの合算タイムで記録される。
まるでフランドルの激坂!
コースは村内の清水高原観光道路。登坂距離5.8km。ゴール地点は標高1472m、スタートからゴールの標高差445m。コース上部のラスト2kmには16~20%の石畳の坂があり、最大の難所となる。スリップ防止のディンプルの施された簡易舗装はまるでロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・ド・フランドル)のオウデ・クワレモントの坂のようで、インナー×ローでハンドルにしがみつきながら上る激坂だ。
勝負を決めるこの名物坂には応援団がチョークで選手の名前を路面に書き、フランドルさながら。「フランドルへようこそ」の応援メッセージも実際に見られた。コースの概要はルートラボ(外部リンク)を参照。ただしその厳しさはグラフからは伝わってこないが。
コースが一般道のため交通規制時間が厳しく、そのラスト2kmの石畳区間に入る前に5分以上遅れた選手はそこでストップを命ぜられる。
ローカル色の濃い大会ながら、この厳しさが評判を呼び、今年のクラス1は多くのヒルクライムスターが集まった。学連シリーズチャンプを守る西薗良太(東京大学)、乗鞍優勝の森本誠、 鵜沢祐也(共にイナーメ・アイランド信濃山形)、おきなわ市民200kmチャンプの武井亨介(チーム・フォルツァ!)、(チームブリヂストン・アンカーの平野星矢と辻浦圭一など、豪華な顔ぶれ。もっともイナーメの地元であり、近辺に自転車選手が多く住む事情もあるのだが。
クラス1は西薗良太と秋山尚徳(岩井商会GANWELL RACING)の一騎打ちの様相を呈した。2人がリードして石畳区間に入り、西園が最後に力で秋山を引き離すという展開。乗鞍の覇者森本らは距離の短さとダッシュ力が必要な急勾配に手を焼いたようだ。
西園は先のインカレでは大学院試験に集中していたため本調子でなかったが、試験期間を空けて再び好調にもってきた。
「距離が短いのでヒルクライムと言うには難しいレースだったが、ロードレース的な展開に持ち込んで瞬発力で勝負した」と言う。調子の良さを確信し、さらにツール・ド・北海道を木曜日に控え、意欲満々だ。
そばの里で美味しい賞品に舌鼓をうつ
協賛各社からの賞品に加えて山形村特産の長芋やネギが授与された。というのも「イナーメ(igname)」とは、フランス語で長芋の意味だそうだ。
レース後は観光施設であるスカイランドきよみずでの展望風呂の入浴券と食事券が選手に配られた。そして県外から来た入賞者を喜ばせたのは下山したところにある唐沢そばの店での食事券のプレゼント。
この唐沢そば集落は全国的にそば通に有名。約500メートルの集落に9件のそば屋が軒を連ね、民家風の”お座敷スタイル”の店が多く、アットホームな雰囲気のおもてなしが楽しめる名店ばかりで、そばの食べ歩きには最高の土地だ。
山形村は塩尻と松本に近いアルプスの小さな村。周囲は信州らしいリンゴや梨、ぶどう畑、そして白い花咲く蕎麦畑が広がり、清々しい空気をいっぱい吸えるさわやかな土地。季節は違うがスイカで有名な波田も近い(夏の畑にはスイカがごろごろ転がっていて圧巻だ)。
富士ヒルクライムや乗鞍などの有名ヒルクライム大会とは違う、山形村とイナーメクラブと学連が力をあわせて開催する運営のアットホームさが魅力の小さな大会だ。ぜひ一度脚を運んでみてはいかがだろう?
3ヒートのクラス別 合計順位結果
<Class1> 結果 タイムは3レースの合算
1位 西薗良太(東京大学) 1:03'27'' 平均時速18.83km/h
2位 秋山尚徳(岩井商会GANWELL RACING)+0:01'46''
3位 森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形)+0:00'52''
4位 武井亨介(チーム・フォルツァ!) +0:01'08''
5位 平野星矢(チームブリヂストン・アンカー)+0:00'47''
6位 小嶋洋介(岩井商会GANWELL RACING)+0:00'39''
7位 宇野誓(京都大学)1:10'48'' 0:02'07''
8位 鵜沢祐也(イナーメ・アイランド信濃山形)+0:01'53''
9位 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) +0:00'45''
10位 丸山厚(MASSA-FOCUS)+0:01'47''
11位 吉岡直哉(京都産業大学)+0:00'59''
12位 山本聖吾(スワコレーシング)+0:02'42''
13位 新井康文(チーム・フォルツァ!)+0:00'59''
<Class2> 結果 タイムは3レースの合算
1位 角谷健吾(大阪大学) 1:04'58'' +0:22'42''
2位 吉浦 満(京都大学)+0:01'53''
3位 佐々木英雄(Tacurino.net)+0:00'00''
<Class3> 結果 タイムは3レースの合算
1位 岩井航太(立教大学) 1:09'58''
2位 伊奈佑純(駒澤大学) +0:02'25''
3位 北中悠貴(関西大学) +0:03'26''
<Class女子> 結果 タイムは3レースの合算
1位 金子広美(レガルスィ・イナーメ)0:55'51" 平均時速17.83km/h
2位 成瀬ふたば(明星大学)+0:20'17"
■イナーメヒルクライムin信濃山形
1位 兼子 博昭(スワコレーシング) 23:46:00
2位 斉藤 厚(イナーメ・アイランド信濃山形) +0:17:00
3位 黒田 直樹 +0:34:00
4位 皆瀬 貴宏(ミタニサイクルマインド) +1:22:00
5位 今野 直仁(スワコレーシング) +1:39:00
6位 遠矢 寛(松本CC) +1:46:00
7位 渡辺 晃(松本CC) +3:04:00
8位 川上 鎭一(松本CC) +3:22:00
9位 福田 和博(スワコレーシング) +4:13:00
10位 山田 憲司 +5:20:00
photo&text:MakotoAYANO
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