グランツールの中でも山岳の厳しさが売りのブエルタ・ア・エスパーニャ。今年は6つの頂上ゴールが設定されており、厳しい山岳バトルが予想されている。そんな山岳ステージで総合争いと並行して行なわれるのが山岳賞ジャージを懸けた争い。山岳賞に輝くピュアクライマーは果たして誰だろうか?

2年連続山岳賞に輝いたダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)2年連続山岳賞に輝いたダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) photo:Unipublicこれまで多くの山岳スペシャリストを輩出してきたクライマー大国スペイン。今年で開催65回目を迎えるブエルタで、実に47回に渡ってスペイン人選手が山岳賞を獲得してきた。そのうち22回は、スペイン人選手が山岳賞ランキングのトップスリーを独占している。

山岳賞争いは本命の総合争いの展開に左右されるため、候補をズバリ言い当てにくい。どれだけ山岳に強いクライマーでも、チーム内に総合狙いのオールラウンダーがいる場合は自由な動きが許されないのだ。

2005年に山岳賞を受賞したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)2005年に山岳賞を受賞したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Cor Vosしかも今大会には6つの山頂フィニッシュが設定されており、狙わずとも総合上位の選手が山岳賞トップに立つ可能性が高い。

獲得ポイントは、大会最高地点であるボラ・デル・ムンド先頭通過で20ポイント、頂上ゴールで15ポイント、1級山岳10ポイント、2級山岳5ポイント、3級山岳3ポイント。つまり低難易度の山岳でポイントをコツコツ積算しても、超級山岳の山頂フィニッシュで一発逆転も起こり得る。

2006年mに山岳賞を受賞したエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)2006年mに山岳賞を受賞したエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル) photo:Cor Vos2008年から2年連続で山岳賞に輝いたダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)は、今年も山岳賞候補の筆頭だ。山岳賞と同時に2年連続でステージ優勝を飾っているモンクティエは、今年母国フランスのツールをスキップ。このブエルタに照準を合わせている。チーム内に総合狙いの選手がいないため、今年も山岳で派手に動いてくるだろう。

モンクティエの3連覇に待ったをかけるのが、2005年大会受賞者のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)と2006年大会受賞者のエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)だ。

フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク) photo:Cor Vos特にロドリゲスは急勾配の上りを得意とする生粋のクライマーであり、昨年はバルベルデの総合優勝をお膳立てしながら総合7位に入っている。カチューシャに移籍した今年はチームリーダーとしての出場で、総合成績が第一目標。総合で遅れた場合は山岳賞に目標をスイッチすることになるだろう。

フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)は山岳力に秀でた選手だが、チーム内にはメンショフという総合優勝候補がいる。アシストとしての責務が解かれない限り自分の走りは許されない。

今年で17年連続ブエルタ出場(歴代最高記録)を果たすイニーゴ・クエスタ(スペイン)はゼッケンNo.1を付けての出場。名アシストとしてサストレのサポートに尽くすと思われるが、チャンスがあれば山岳ステージでチャンスを狙ってくるだろう。

海外勢としてはジロ・デ・イタリアのガヴィアステージを制したヨハン・チョップ(スイス)、ツールのピレネー山岳ステージを制したクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)、オリバー・ザウグ(スイス、リクイガス)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)、ユルゲン・ファンホーレン(ベルギー、オメガファーマ・ロット)らが有力だろう。

ブエルタ歴代山岳賞獲得者
2009年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2008年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 エゴイ・マルティネス(スペイン)
2005年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2004年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2003年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2002年 アイトール・オサ(スペイン)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 カルロス・サストレ(スペイン)
1999年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1998年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1997年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1996年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 リュク・ルブラン(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 カルロス・エルナンデス(スペイン)
1991年 ルイス・エレラ(コロンビア)
1990年 マルティン・ファルファン(コロンビア)

text:Kei Tsuji

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