2009年3月29日、ベルギーのフランドル地方で開催されたブラバンツ・ペイル(UCI1.1)は、逃げた8人によるゴールスプリントに持ち込まれ、アントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー)が制した。

ファビアン・ウェーグマンとクリスティアン・クネース(ともにドイツ、チームミルラム)ファビアン・ウェーグマンとクリスティアン・クネース(ともにドイツ、チームミルラム) photo:CorVosベルギーの自転車熱の盛んなブラームス・ブラバント県を代表するセミクラシックレースがブラバンツ・ペイルだ。

前日に行われたE3プライス・フラーンデレンとの土・日曜連戦であり、一週間後にはロンド・ファン・フラーンデレンを控える、ブラームス自転車週間の一戦だ。今年で49回目の開催で、レース名は「ブラバントの矢」を意味する。昨年覇者はシルヴァン・シャバネル(08年はコフィディス所属)だ。

集団をコントロールするポール・マルテンス(ラボバンク)集団をコントロールするポール・マルテンス(ラボバンク) photo:CorVosブラームス・ブラバント県の県庁所在地ルーヴェンをスタートするコースは、フランドルのセミクラシックでありながら石畳がほとんどないことが特徴の193.5km。日本の別府史之(スキルシマノ)と新城幸也(Bboxブイグテレコム)も出場リストに名を連ねた。

レースは序盤から新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)が逃げに乗り、フレデリック・ゲドン(フランス、フランセーズデジュー)やテオ・エルティンク(オランダ、スキル・シマノ)らとともに逃げる展開。

逃げは1分30秒のリードを得たが、選手を送り込んでいないサクソバンクやサイレンス・ロットの集団コントロールによりタイム差は広がらず。やがてレース後半の周回コースに入ると、先頭グループは人数とリードを減らしながらエスケープを続行。しかしラスト50kmで吸収された。

追走を見せるサーヴェロテストチーム。ここからフロレンシオが発射された追走を見せるサーヴェロテストチーム。ここからフロレンシオが発射された photo:CorVosここからは勝負を狙う選手のアタック合戦。ラスト30kmでジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)らのアタックが決まり、これにカルステン・クローン(オランダ、サクソバンク)らが合流して先頭は8名。この逃げが決定的となった。

逃げに入ったのは他にも、ファビアン・ウェーグマン&クリスティアン・クネース(ともにドイツ、チームミルラム)、フレデリック・ヴィレムス(ベルギー、リクイガス)、サビエル・フロレンシオ(スペイン、サーヴェロ)、ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ)、そしてジェラン。

動きに乗り遅れたフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)が決死のカウンターアタックで追走したが届かず、先頭8名が30秒に満たないリードを守りきった。

最後はスプリント勝負に持ち込まれ、ラスト250mでドイツチャンピオンジャージを着るウェーグマンが発射。これをピノーやクローン、ルークマンスが束になってスプリントで応戦し、ジェランがウェーグマンをパス。僅差で刺しきったジェランが、勢い良く両手を広げた。2位は昨年までジェランとチームメイトだったピノーだ。

ブラバンツ・ペイルを制したアントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー)ブラバンツ・ペイルを制したアントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー) photo:CorVos8人は追走集団に15秒の差をもってラスト1kmへ。勝負は緩い上り勾配のスプリント合戦へ持ち込まれた。
牽制合戦の中、ウェーグマンがラスト250mでカウンターアタックをかけて飛び出して先行するが、これに落ち着いて対処したジェランが追い込み、ゴール前で交わした。2位は昨年までジェランとチームメイトだったピノーだ。

ジェランは2007年世界選手権ロードで銅メダル(3位)になって以来のビッグタイトル獲得。最近の勝利としては2008年のツール・ド・ドウブ(フランス、UCI1.1)優勝が挙げられる。

なお新城幸也は70位で完走、別府史之はリタイアとなった。






ゴール後、追走がかなわず失望のフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)ゴール後、追走がかなわず失望のフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) photo:CorVosジェランのコメント
「自分のキャリアの中で最大の勝利だ。ウェーグマンが早く仕掛けたけれど、フィニッシュライン方向から向かい風が吹いていたから追い抜くことができたんだ。チームにとってすごい日になった。最後のスプリントに向けて脚を温存していたけど、ウェーグマンが早く飛び出して皆を驚かせたんだ。路肩のバリアと他の選手の間に挟まれてしまったけど、抜け出すことができたよ」。

ピノーのコメント
「2位はすごいことだよ。でも、今日僕は勝つ脚があった。調子は最高だ。クラシックはすごそこ。チームは強い。期待していい思うよ」

ウェーグマンのコメント
「もちろん失望している。僕らは勝利のすぐそこまで迫ったのに! クネースと僕は今日スーパーだった。ゴール前においてもね。クネースは強かったけど、僕のために最後まで尽くしてくれたんだ。ゴール250m手前で最高のスプリントを開始したけど、結局は30m早かったんだ。でも悔やんでなんかいられない。次はチームに勝利で返すよ」

ブラバンツ・ペイル2009結果
1位アントニー・ジェラン(フランス、フランセーズデジュー)     4h00'22"
2ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)
3 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、チームミルラム)
4 ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ)
5 カールステン・クローン(オランダ、サクソバンク)
6 フレデリック・ヴィレムス(ベルギー、リクイガス)   +0.03
7 サビエル・フロレンシオ(スペイン、サーヴェロテストチーム)
8 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームミルラム) +0.07
9 フィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) +0.20
10 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)

text:Makoto.AYANO
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)