第81回ブエルタ・ア・エスパーニャでマイヨロホを狙うのは、2019年以来の出場となるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)。絶対王者に挑むログリッチやガル、アルメイダ、スペイン勢のマスやランダなど有力勢と共に、勝負を左右するステージをプレビューする。



2025年大会でマイヨロホを獲得したヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ジロのピンクに、ツールのイエロー、そして今年最後のグランツールであるブエルタ・ア・エスパーニャを表わすのは赤。それはマイヨロホと呼ばれ、各ステージの所要時間を積算し、その合計タイムが最も少ない選手が翌日のステージで着用する個人総合成績のリーダージャージだ。そして最終日、グラナダのフィニッシュ地点でマイヨロホを着ている選手が、ブエルタの総合優勝に輝く。

リーダージャージがそれまでの金色(マイヨオロ)から赤色に変更されたのは2010年と、その歴史は意外にも浅い。マイヨロホのスポンサーを2013年より務めるのが、世界大手のスーパーマーケットチェーン「カルフール」だ。

今大会は2度の個人タイムトライアルが登場するが、初日は9.4kmと短く、大きなタイム差は生まれにくい。それよりも第18ステージは32kmと長く、また大会終盤にあることから単純なTT能力だけでなく、3週間を戦った末のコンディションもタイム差に直結する。

第4ステージ アンドラ・ラ・ベリャ〜アンドラ・ラ・ベリャ image:A.S.O.

第19ステージ ベレス=マラガ〜ペニャス・ブランカス image:A.S.O.
第20ステージ ラ・カラホラ〜コジャド・デル・アルグアシル image:A.S.O.


大会最初の山頂フィニッシュは第3ステージだが、マイヨロホ争いが本格的に動き始めると見られるのは、その翌日の第4ステージ。104.8kmという短い距離に3つの1級山岳と最後の3級山岳が詰め込まれているからだ。また1週目を締めくくる第9ステージは1級山岳アルト・デ・アイタナにフィニッシュし、2週目も第12、14ステージに本格山岳の頂上フィニッシュが設定されている。

そして総合争いは最終決戦の場、1級山岳ペニャス・ブランカス(距離18.7km/平均6.5%)を駆け上がる第19ステージと、獲得標高5,000mに達し、超級山岳コジャド・デル・アルグアシル(距離8.3km/平均9.8%)を登り詰める第20ステージで決着。その第20ステージの頂上で、実質的なマイヨロホの最終的な持ち主が決まる。



ポガチャル参戦で一変した総合争い

開幕前の記者会見に臨んだタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が史上最多となる5度目の総合優勝を決めることができるのか。阻止するとすればジョアン・アルメイダかミケル・ランダかエンリク・マスか。

ツール・ド・フランスが閉幕してから1週間ほど、今大会のマイヨロホ争いの焦点はそのようなものだった。しかし8月3日、突如としてUAEチームエミレーツXRGはタデイ・ポガチャル(スロベニア)のブエルタ出場を発表。それによって総合争いの勢力図は一変した。ここ何年もツールで総合を争ってきたヨナス・ヴィンゲゴーハンセンもレムコ・エヴェネプールも、今大会にはいないからだ。

つまり今大会最大の焦点は、ツールで2位に6分26秒という大差をつけて5度目の総合優勝を果たしたポガチャルに、他の選手たちがどこまで食らいつけるかということになる。6つある山岳ステージや2度の個人TTで、ポガチャルが区間何勝を挙げるのかまで気になるほどだ。

それほどツールで見せた力は圧倒的だった。そのためチーム内での注目は、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル)がポガチャルの山岳アシストを務めるのか、それともダブルエース体制を取り、ツールで総合3位に入ったイサーク・デルトロ(メキシコ)のように、自身の総合順位も狙う立場となるのかという点だ。

万全ではないログリッチ 好調ガルやスペイン勢が挑む

ツールではなくブエルタに出場予定のログリッチ photo:CorVos

ポガチャルに主役の座を奪われた感があるのが、同じスロベニア出身のログリッチ。7月のトレーニング中に車と接触して骨折はなかったものの、怪我を負い、ブエルタに向けた準備期間の大半をリハビリに費やした。開幕前のインタビューでも「間違いなくまだ(負傷の影響は)感じている。右側を下にして寝ることもできない」と答えており、「自分がどんな状態なのか全く分からない」と語っている。少なくとも、5度目の総合優勝を狙う上で万全の状態ではないことは確かだ。

下馬評では今年のジロで総合2位に入ったフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)を推す声も大きい。前哨戦のブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)では区間1勝で総合優勝を挙げており、申し分ない状態で総合表彰台を目指す。また同じブルゴスでは5秒差で総合2位に終わったオスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)もコンディションはよく、山岳で上位勢に食らいつく走りが期待される。

第3ステージで独走勝利したフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) photo:Vuelta a Burgos
新エースとして今年加入したオスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) photo:CorVos


スペインのスター選手の1人であるミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

ポガチャルと同じくツールからの連戦組では、トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)やマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)に加え、ツールで区間2勝と山岳賞に輝いたリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)も注目。さらに地元スペイン出身の人気クライマーとしては、ランダとマスが揃って出場する。

さらにヴィスマ・リースアバイクには2023年の総合優勝者、セップ・クス(アメリカ)が出場する。ツール第20ステージでは、2度の落車により勝利を取りこぼしたことが記憶に新しいクス。総合争いをするかどうかは不明だが、ジロ、ツールに続き、今季3つ目のグランツール出場となる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ歴代総合優勝者
2025年 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)
2024年 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
2023年 セップ・クス(アメリカ)
2022年 レムコ・エヴェネプール(ベルギー)
2021年 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
2020年 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
2019年 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
2018年 サイモン・イェーツ(イギリス)
2017年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2016年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2015年 ファビオ・アル(イタリア)
2014年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2013年 クリストファー・ホーナー(アメリカ)
2012年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2011年 クリストファー・フルーム(イギリス)
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O. CorVos

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