世界最高峰のトレイルを駆けるニュージーランドの5日間MTBステージレース ヴォルカニックエピックを走った池田祐樹さんが、実戦を例にステージレースの走り方を解説。5日間ステージレースの「リアル」を分析してノウハウをお届けします。

ヴォルカニックエピックは5日間あるとはいえ、毎日スタートから全力を尽くすのがステージレースだ ©︎Volcanic Epic
前編ではヴォルカニックエピックの魅力をお伝えしましたが、では実際にはレースとしてはどのような5日間だったのか。この後編ではステージレースへの準備や対策などを含めたレースレポートにしてみました。これからステージレースに出たいという人たちへのヒントになればと思います。
ピーキングとコンディションメイク
ヴォルカニックエピックで上位を目指すには、高いフィジカル、テクニック、そしてコンディション適応力が問われる。極めて総合力の高いステージレースだ。今回のレースに向けては、近年の中でも最も精度高くピークを合わせることができた。

ステージレースへ向けての体重と体脂肪の推移
レース初日のコンディション指標はCTL 111 / ATL 80 / TSB +25
しっかりと疲労を抜きながらもパフォーマンスは維持され、“自信を持った状態でスタートラインに立てた”という実感があった。さらに身体面でも大きな変化があった。

過去最高に仕上げた身体と言っても過言ではない ©︎Yuki Ikeda
今年初めの1月8日時点では体重65.9kg/体脂肪率9.5%。そこからレースまでの約2ヶ月半で61.0kg/体脂肪率5%まで絞り込みながら、パワーは維持した。単なる減量ではなく、パフォーマンスを落とさずに身体を絞り、仕上げることができたことは、今回のレースのパフォーマンスを支える強固なベースとなった。
天候がレースを変えた
今年のレース展開を語る上で外せないのが天候だった。Stage2、Stage3は終日雨。気温も低く、身体を冷やし続けるタフなコンディションとなった。
174名がスタートし、5日間を通じた完走者数は114名。この数字が示す通り、単純な走力だけでは乗り切れないレースだった。体調管理、補給、集中力の維持といった“見えない部分”が結果に直結したこと。
リーダーズジャージが生む “もう一つの戦い”

総合、オープン、マスターズ(40歳+)、グランドマスターズ(50歳+)のソロ・ペア/男女)、Eバイク。合計9カテゴリー・9色のリーダーズジャージが用意されている
この大会では、各カテゴリーの1位にリーダーズジャージが毎日付与される。総合、オープン、マスターズ(40歳+)、グランドマスターズ(50歳+)のソロ・ペア/男女)、Eバイク。合計9カテゴリー・9色のリーダーズジャージと表彰台が用意される。
この存在が総合だけでなく、レースにもう一つの軸を生み、選手達のモチベーションとなる。私も例外ではなく、目標はマスターズ(40代)のカテゴリーでリーダーズジャージを獲得して表彰台へ上がること。そして、カテゴリー抜きの総合でTOP10に入ることだ。
ステージごとの負荷と流れ
今回のステージ毎のレース負荷(TSS)推移は以下の通り:
• Stage1:67 TSS
• Stage2:148 TSS
• Stage3:183 TSS
• Stage4:108 TSS
• Stage5:164 TSS
特にStage2〜3での負荷の跳ね上がりが顕著で、この2日間をどう乗り切るかがレースの分岐点だった。
Stage1:ヘリステージ “楽しさ”の中の駆け引き

ステージ1『カイマナワ・ディセント』コースプロファイル
22.2km/+390m/1:07:27/67TSS
初日はヘリコプターで山頂へと運ばれる特別なステージ。距離は短いが、ロングダウンヒルの中にパンチの効いた細かな登り返しがあり、単純な下りのスピードとスキル勝負ではない。

高山地帯はガレ場も多く、パンクリスクマネージメントも試される ©︎Volcanic Epic
序盤はハイペースになりやすいが、後半に脚を残せるかどうかが重要だった。序盤を抑え、テクニカル区間で差を詰める戦略がハマり、マスターズ優勝。自身としては完璧な入りで、この時点ではまだ“楽しさ”の感覚も強かった。
Stage2:タウポ 低体温との戦い

ステージ2『クレーターズMTBパーク』コースプロファイル
44.6km/+973m/2:32:08/148TSS
状況は一変する。冷たい雨が降り続く中、体温が奪われ続ける。楽しいフロートレイルでスピードは出るが、その分、身体の消耗が大きい。初日優勝したことにより、リーダーズジャージ着用でのレースだ。

リーダーズジャージを纏ってのレースだったが力負けして2位 ©︎Volcanic Epic
1位を死守する意気込みで走ったが、力負けして結果はマスターズ2位。残念ながら1日でリーダーズジャージは奪われてしまった。

ライバルだけではなく、冷たい雨との戦いも過酷だった ©︎Volcanic Epic
この日に重要だったのは「レース後の過ごし方」。レース後も雨は降り続け、震えるほど体温が下がっていたが、すぐに着替えと洗車を終えて暖房をかけた車内で暖まりながらリカバリードリンクと食事を摂った。この日のダメージ管理をうまくマネジメントできたおかげで翌日へのダメージを最小限に抑えられた。
Stage3:クイーンステージ 試される総合力

ステージ3『テ・プタケ・オ・タワ〜クイーンステージ〜』コースプロファイル
49.9km/+1,600m/2:58:11/183TSS
最大負荷のステージ。終日雨の中でのロングレースは、フィジカルだけでなくメンタルも削る。ここで求められたのは、崩れない能力とペース管理。上げすぎれば終盤で確実に落ちる。しかし守りすぎても順位は上がらない。このバランスが極めて難しいことを改めて痛感。

ステージ3は最長ステージ&雨というハードコンディション ©︎Volcanic Epic
結果はマスターズ3位。順位を落とし、経験豊富なトップ選手達との差が明確に出てしまったステージだった。
Stage4:トコロア 回復と再構築

ステージ4『クーガーMTBパーク』コースプロファイル
32.1km/+717m/1:40:26/108TSS
ようやく快晴に恵まれた。距離も短く登りも少ないコースで、今日は「回復しながら攻める」ステージ。無理をしすぎれば最終日に響く心配もあるが、マスターズの表彰台争いは超接戦だった。

少しでもタイムを稼ぐために果敢に攻めたステージ4 ©︎Volcanic Epic
ステージ4の結果はマスターズ2位。4日目を終えての順位も2位。1位の選手には毎日ジリジリと離されてしまっているが、3位の選手との差はわずか24秒差。このステージレースならではの緊張感がレーサーの闘争心を掻き立て、明日へのモチベーションとなる。

レース中でもトレイルを楽しむことは忘れずに ©︎Volcanic Epic
Stage5:最終日 すべてを出し切る

ステージ5『ワカレワレアフォレスト』コースプロファイル
52.4km/+1,269m/2:56:46/164TSS

最後の最後まで全力を尽くした5日間 ©︎Volcanic Epic
疲労が蓄積した中での最終日。ここで重要なのはもはやフィジカルだけではない。
気持ちでどこまで踏めるか。マスターズ優勝の夢を諦めずに最初から全力で攻めて1−2位パックで前半を戦った。しかし、強度を維持できずに後半に3位の選手に刺されてしまった。最終結果はマスターズ3位。
最終日で順位を落として2位を逃したのは非常に悔しいが、全てを出し尽くしての結果だったので仕方ない。
自分のレース 成果と課題
結果は総合8位、マスターズ3位。近年で一番のピークを合わせることができたこともあり、総合トップ10、マスターズ表彰台という目標は達成した。しかし優勝には届かなかった。

マスターズ優勝のマッカーシー選手(現NZマスターズナショナルチャンピオン)と ©︎Yuki Ikeda
勝ったギャビン・マッカーシー選手は現ニュージーランド・マスターズナショナルチャンピオン。2位のベンジャミン・ヴィサー選手も経験豊富なローカルプロ。完敗だった。
5日間を通して感じた差は、日々の安定した高い出力の維持だった。自分の走りが大きく崩れたわけではない。スキル部分ではむしろトップ2選手よりアドバンテージを感じた。しかし、踏む場面でのわずかな出力の差の積み重ねが結果を分けた。

5日間総合表彰台のシャンパンシャワー ©︎Volcanic Epic
正直かつてないほどに身体を仕上げたつもりだったが、優勝するにはまだ実力不足。優勝を狙うにはさらなるフィットネスの向上が必須課題だ。強固なエアロビックベースを時間かけてつくり、そこに5日間に渡り高強度の出力を安定して出し続けられる脚をつくる。途方もない作業だが、既にモチベーションは高く、強くなるための様々なトレーニングプランの妄想が止まらない。

マスターズ5日間総合表彰台 竹村舞葉さんは女性総合2位という輝かしい成績を残した ©︎Volcanic Epic
総合トップ選手の強さと日本人女性の快挙!
男子総合優勝はフレッチャー・アダムス(NZ)。U19オセアニア王者で、ナショナルチャンピオンの実績を持つ若きホープ。2位はマッキー・フランクリン(USA)。XCからエンデューロまでエリートトップレベルでこなすオールラウンダーだ。3位はキーラン・マクファーソン(NZ)。プロのオフロードトライアスロン選手というマルチアスリート。さらにマシュー・フェアブラザーの5位も特筆すべき結果。グラビティ系をベースとしながらトップレベルのエンデュランス競技にも通用する稀有な存在だ。

女性総合2位という輝かしい成績を残した竹村舞葉選手 ©︎Volcanic Epic
女子では全ステージ1位のシド・シャルツ(USA)が完全優勝。そしてここで強調すべきは、日本の竹村舞葉選手の総合2位、マスターズ優勝だ。日本のXCOナショナルシリーズチャンピオンが、初の海外MTBステージレースで準優勝という快挙を達成した。
これは単なる好成績ではなく、日本人選手の新たな可能性を示した結果と言える。3位に入ったトライアスリートのスザンナ・リンチ(NZ)も含め、今回のレースではマルチアスリートの強さも際立っていた。
回復戦略 ステージレースの核心
今回徹底したのは「毎日回復しきること」。回復の指標としたのはガーミンのヘルスデータの「Body Battery」を毎日90以上に戻すこと。結果、5日間平均は91、最低値は3日目の84、最終日は88。フィーリングも疲労感は少なく戦略は成功したと言っていいだろう。

レース中のドリンクとジェル。レース中のエネルギーだけじゃなく、翌日への回復も考えてハイカーボを意識した ©︎Yuki Ikeda
回復のために努めたこと:
・レース中の高炭水化物摂取(1時間あたり80〜100g補給を意識。レース中にもしっかりカーボを摂ることはレース後の回復速度アップに繋がる。)
・レース後のクールダウンと炭水化物+タンパク質+抗酸化物質の即摂取
・レース後から就寝までに約2Lの水分を摂る
・内臓に負担をかけない、脂質を控えた、炎症を抑える植物性中心の食事
・睡眠の質を高めるために早めの夕食。

抗酸化物質豊富な植物性メインの食事が内臓負担少なく、疲労回復を促進してくれる ©︎Yuki Ikeda 
アスリートフード研究家・池田清子が用意してくれるプラントベース食は私の回復に欠かせない大事な要素だ ©︎Yuki Ikeda
胃が重い状態は睡眠の質が下がるので、夕飯から就寝まで最低2時間できれば3時間をあける。食事は基本自炊で食べるものをコントロール。アスリートフード研究家である妻・池田清子の食事サポートはとても心強い。

遠征に欠かせないコンディショニングツール達 ©︎Yuki Ikeda 
回復に欠かせないエアマッサージ機。レース後、凝り固まりやすい脚の血流を促進してくれる ©︎Yuki Ikeda
さらに、荷物は嵩張るがコンプレッションマッサージ機器、フォームローラー、マッサージガンを日本から持参しての活用。
もちろん、回復力を高めるには日々のトレーニングが最重要となる。今回もステージレース対策のために休養日無しの3〜5日間連続の高負荷トレーニングブロックを数度実施した。
ステージレースは回復力の競技でもある。ステージレースの本質は1日のパフォーマンスではなく、5日間の積み重ね。翌日のスタートまでに、いかにフレッシュな状態まで戻せているかが結果に直結する。

各ステージを象徴するアイコンが刻印されたクールなフィニッシャーズメダル。見るたびに5日間の最高の思い出が蘇ってくる ©︎Volcanic Epic
次のステージへ
このレースは確実に自分の可能性を引き上げてくれた。次はさらに強くなって戻ってきて、頂上を目指す勝負をしたい。日本からも、さらに参戦者が増えることを個人的に望んでいる。求む、チャレンジャー!

池田祐樹(プロマウンテンアスリート) 池田祐樹(プロマウンテンアスリート) プロフィール
TOPEAK ERGON RACING TEAM USA (MTB)/TEAM ALTRA(トレイルラン)
2011-2017年の7年間連続で、MTBマラソン世界選手権日本代表として参加。MTBの長距離、耐久レースの国内第一人者とされる。2019年からMTB競技のみならずトレイルランを本格的に始め、2種目のウルトラ競技(100マイルやステージレースなど)をトップレベルで戦う山の総合エンデュランスアスリート「マウンテンアスリート」の第一人者として活動中。
instagram:https://www.instagram.com/yukiikeda/
池田祐樹公式サイト:https://yukiikeda.net/

前編ではヴォルカニックエピックの魅力をお伝えしましたが、では実際にはレースとしてはどのような5日間だったのか。この後編ではステージレースへの準備や対策などを含めたレースレポートにしてみました。これからステージレースに出たいという人たちへのヒントになればと思います。
ピーキングとコンディションメイク
ヴォルカニックエピックで上位を目指すには、高いフィジカル、テクニック、そしてコンディション適応力が問われる。極めて総合力の高いステージレースだ。今回のレースに向けては、近年の中でも最も精度高くピークを合わせることができた。

レース初日のコンディション指標はCTL 111 / ATL 80 / TSB +25
しっかりと疲労を抜きながらもパフォーマンスは維持され、“自信を持った状態でスタートラインに立てた”という実感があった。さらに身体面でも大きな変化があった。

今年初めの1月8日時点では体重65.9kg/体脂肪率9.5%。そこからレースまでの約2ヶ月半で61.0kg/体脂肪率5%まで絞り込みながら、パワーは維持した。単なる減量ではなく、パフォーマンスを落とさずに身体を絞り、仕上げることができたことは、今回のレースのパフォーマンスを支える強固なベースとなった。
天候がレースを変えた
今年のレース展開を語る上で外せないのが天候だった。Stage2、Stage3は終日雨。気温も低く、身体を冷やし続けるタフなコンディションとなった。
174名がスタートし、5日間を通じた完走者数は114名。この数字が示す通り、単純な走力だけでは乗り切れないレースだった。体調管理、補給、集中力の維持といった“見えない部分”が結果に直結したこと。
リーダーズジャージが生む “もう一つの戦い”

この大会では、各カテゴリーの1位にリーダーズジャージが毎日付与される。総合、オープン、マスターズ(40歳+)、グランドマスターズ(50歳+)のソロ・ペア/男女)、Eバイク。合計9カテゴリー・9色のリーダーズジャージと表彰台が用意される。
この存在が総合だけでなく、レースにもう一つの軸を生み、選手達のモチベーションとなる。私も例外ではなく、目標はマスターズ(40代)のカテゴリーでリーダーズジャージを獲得して表彰台へ上がること。そして、カテゴリー抜きの総合でTOP10に入ることだ。
ステージごとの負荷と流れ
今回のステージ毎のレース負荷(TSS)推移は以下の通り:
• Stage1:67 TSS
• Stage2:148 TSS
• Stage3:183 TSS
• Stage4:108 TSS
• Stage5:164 TSS
特にStage2〜3での負荷の跳ね上がりが顕著で、この2日間をどう乗り切るかがレースの分岐点だった。
Stage1:ヘリステージ “楽しさ”の中の駆け引き

22.2km/+390m/1:07:27/67TSS
初日はヘリコプターで山頂へと運ばれる特別なステージ。距離は短いが、ロングダウンヒルの中にパンチの効いた細かな登り返しがあり、単純な下りのスピードとスキル勝負ではない。

序盤はハイペースになりやすいが、後半に脚を残せるかどうかが重要だった。序盤を抑え、テクニカル区間で差を詰める戦略がハマり、マスターズ優勝。自身としては完璧な入りで、この時点ではまだ“楽しさ”の感覚も強かった。
Stage2:タウポ 低体温との戦い

44.6km/+973m/2:32:08/148TSS
状況は一変する。冷たい雨が降り続く中、体温が奪われ続ける。楽しいフロートレイルでスピードは出るが、その分、身体の消耗が大きい。初日優勝したことにより、リーダーズジャージ着用でのレースだ。

1位を死守する意気込みで走ったが、力負けして結果はマスターズ2位。残念ながら1日でリーダーズジャージは奪われてしまった。

この日に重要だったのは「レース後の過ごし方」。レース後も雨は降り続け、震えるほど体温が下がっていたが、すぐに着替えと洗車を終えて暖房をかけた車内で暖まりながらリカバリードリンクと食事を摂った。この日のダメージ管理をうまくマネジメントできたおかげで翌日へのダメージを最小限に抑えられた。
Stage3:クイーンステージ 試される総合力

49.9km/+1,600m/2:58:11/183TSS
最大負荷のステージ。終日雨の中でのロングレースは、フィジカルだけでなくメンタルも削る。ここで求められたのは、崩れない能力とペース管理。上げすぎれば終盤で確実に落ちる。しかし守りすぎても順位は上がらない。このバランスが極めて難しいことを改めて痛感。

結果はマスターズ3位。順位を落とし、経験豊富なトップ選手達との差が明確に出てしまったステージだった。
Stage4:トコロア 回復と再構築

32.1km/+717m/1:40:26/108TSS
ようやく快晴に恵まれた。距離も短く登りも少ないコースで、今日は「回復しながら攻める」ステージ。無理をしすぎれば最終日に響く心配もあるが、マスターズの表彰台争いは超接戦だった。

ステージ4の結果はマスターズ2位。4日目を終えての順位も2位。1位の選手には毎日ジリジリと離されてしまっているが、3位の選手との差はわずか24秒差。このステージレースならではの緊張感がレーサーの闘争心を掻き立て、明日へのモチベーションとなる。

Stage5:最終日 すべてを出し切る

52.4km/+1,269m/2:56:46/164TSS

疲労が蓄積した中での最終日。ここで重要なのはもはやフィジカルだけではない。
気持ちでどこまで踏めるか。マスターズ優勝の夢を諦めずに最初から全力で攻めて1−2位パックで前半を戦った。しかし、強度を維持できずに後半に3位の選手に刺されてしまった。最終結果はマスターズ3位。
最終日で順位を落として2位を逃したのは非常に悔しいが、全てを出し尽くしての結果だったので仕方ない。
自分のレース 成果と課題
結果は総合8位、マスターズ3位。近年で一番のピークを合わせることができたこともあり、総合トップ10、マスターズ表彰台という目標は達成した。しかし優勝には届かなかった。

勝ったギャビン・マッカーシー選手は現ニュージーランド・マスターズナショナルチャンピオン。2位のベンジャミン・ヴィサー選手も経験豊富なローカルプロ。完敗だった。
5日間を通して感じた差は、日々の安定した高い出力の維持だった。自分の走りが大きく崩れたわけではない。スキル部分ではむしろトップ2選手よりアドバンテージを感じた。しかし、踏む場面でのわずかな出力の差の積み重ねが結果を分けた。

正直かつてないほどに身体を仕上げたつもりだったが、優勝するにはまだ実力不足。優勝を狙うにはさらなるフィットネスの向上が必須課題だ。強固なエアロビックベースを時間かけてつくり、そこに5日間に渡り高強度の出力を安定して出し続けられる脚をつくる。途方もない作業だが、既にモチベーションは高く、強くなるための様々なトレーニングプランの妄想が止まらない。

総合トップ選手の強さと日本人女性の快挙!
男子総合優勝はフレッチャー・アダムス(NZ)。U19オセアニア王者で、ナショナルチャンピオンの実績を持つ若きホープ。2位はマッキー・フランクリン(USA)。XCからエンデューロまでエリートトップレベルでこなすオールラウンダーだ。3位はキーラン・マクファーソン(NZ)。プロのオフロードトライアスロン選手というマルチアスリート。さらにマシュー・フェアブラザーの5位も特筆すべき結果。グラビティ系をベースとしながらトップレベルのエンデュランス競技にも通用する稀有な存在だ。

女子では全ステージ1位のシド・シャルツ(USA)が完全優勝。そしてここで強調すべきは、日本の竹村舞葉選手の総合2位、マスターズ優勝だ。日本のXCOナショナルシリーズチャンピオンが、初の海外MTBステージレースで準優勝という快挙を達成した。
これは単なる好成績ではなく、日本人選手の新たな可能性を示した結果と言える。3位に入ったトライアスリートのスザンナ・リンチ(NZ)も含め、今回のレースではマルチアスリートの強さも際立っていた。
回復戦略 ステージレースの核心
今回徹底したのは「毎日回復しきること」。回復の指標としたのはガーミンのヘルスデータの「Body Battery」を毎日90以上に戻すこと。結果、5日間平均は91、最低値は3日目の84、最終日は88。フィーリングも疲労感は少なく戦略は成功したと言っていいだろう。

回復のために努めたこと:
・レース中の高炭水化物摂取(1時間あたり80〜100g補給を意識。レース中にもしっかりカーボを摂ることはレース後の回復速度アップに繋がる。)
・レース後のクールダウンと炭水化物+タンパク質+抗酸化物質の即摂取
・レース後から就寝までに約2Lの水分を摂る
・内臓に負担をかけない、脂質を控えた、炎症を抑える植物性中心の食事
・睡眠の質を高めるために早めの夕食。


胃が重い状態は睡眠の質が下がるので、夕飯から就寝まで最低2時間できれば3時間をあける。食事は基本自炊で食べるものをコントロール。アスリートフード研究家である妻・池田清子の食事サポートはとても心強い。


さらに、荷物は嵩張るがコンプレッションマッサージ機器、フォームローラー、マッサージガンを日本から持参しての活用。
もちろん、回復力を高めるには日々のトレーニングが最重要となる。今回もステージレース対策のために休養日無しの3〜5日間連続の高負荷トレーニングブロックを数度実施した。
ステージレースは回復力の競技でもある。ステージレースの本質は1日のパフォーマンスではなく、5日間の積み重ね。翌日のスタートまでに、いかにフレッシュな状態まで戻せているかが結果に直結する。

次のステージへ
このレースは確実に自分の可能性を引き上げてくれた。次はさらに強くなって戻ってきて、頂上を目指す勝負をしたい。日本からも、さらに参戦者が増えることを個人的に望んでいる。求む、チャレンジャー!

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2011-2017年の7年間連続で、MTBマラソン世界選手権日本代表として参加。MTBの長距離、耐久レースの国内第一人者とされる。2019年からMTB競技のみならずトレイルランを本格的に始め、2種目のウルトラ競技(100マイルやステージレースなど)をトップレベルで戦う山の総合エンデュランスアスリート「マウンテンアスリート」の第一人者として活動中。
instagram:https://www.instagram.com/yukiikeda/
池田祐樹公式サイト:https://yukiikeda.net/
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