終盤の落車でレースが大きく揺れたミラノ〜サンレモ・ドンネ。4名スプリントを制した元世界王者のロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)が自身初優勝を飾り、チームに大会連覇をもたらした。



前回覇者ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

1999年から2005年まで「プリマヴェーラ・ローザ」の名で開催され、昨年「ミラノ〜サンレモ・ドンネ」として復活した今大会。コースはリグーリア海に面した港湾都市ジェノヴァからサンレモまでの156kmで、男子レース同様「トレ・カーピ(3つの岬)」からチプレッサ、そしてポッジオを除けば平坦路が続く。そのため予測の難しいコース展開が魅力の一戦だ。

出場する144名の集団先頭でスタートを待ったのは、昨年集団スプリントを制したロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)。チームメイトのロッテ・コペッキー(ベルギー)も出場した一方、優勝候補のデミ・フォレリング(オランダ、FDJユナイテッド・スエズ)は不出場。また、ヴィスマ・リースアバイクからはマリアンヌ・フォス(オランダ)とポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)も出場せず、4月からのアルデンヌクラシックに向かうこととなった。

ジェノヴァを出発し、リグーリア海を西に進む選手たち photo:RCSsport

メイン集団はSDワークス・プロタイムがコントロールを担う photo:RCSsport

スタート後約1時間を要して形成されたのは、地元イタリア人選手たちが多数を占めた9名の逃げ集団。一方、メイン集団は2人のエースを擁するSDワークス・プロタイムがコントロールし、途中ヴィクトワール・ベルトー(フランス、コフィディス・ウィメン)ら2名が集団を飛び出し、逃げ合流を目指す場面もあった。しかしこの動きは実らず、トレ・カーピ(3つの岬)の1つ目であるカーポ・メーレに突入した。

ここでもプロトンからはアタックが起こるも成功せず、最初の勝負所であるチプレッサ(距離5.65km/平均4.1%/最大9%)を前に、3名まで減った逃げを引き戻す。ここではポーランド王者のカタジナ・ニエウィアドマ(キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)が2度のアタックで人数を7名まで絞り込む。しかし、そこからさらに加速する選手が現れなかったため牽制状態に入り、遅れを取ったウィーベスらスプリンターたちが合流した。

チプレッサでアタックしたカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) photo:CorVos

25名前後の精鋭集団からは、チプレッサの頂上手前1km地点でリーケ・ノーイェン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)がアタック。フォスらエースを欠くヴィスマは3名を入れた数的優位を活かすべく、飛び出した183cmの長身ノーイェンは頂上を先頭通過。その17秒後方を追う集団では、下りの左コーナーにオーバースピードで進入したことで集団落車が発生した。

追走集団で落車し、後続の選手に追突されたニエウィアドマはリタイアを強いられ、ガードレールを飛び越えて側道へと落下したマルゴー・ヴィジー(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)はレースに復帰。一方で、後続集団で横たわるニエウィアドマらを避けようとハンドルを切ったデボラ・シルヴェストリ(イタリア、ラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディ)も側道へと落下。ヴィジーよりも高い位置からだったが命に別状はなく、検査の結果、肋骨5本と肩甲骨の骨折を負ったことが報じられている。

プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・プレミアテック)がポッジオで人数を絞り込む photo:CorVos

ノーイェンはリードを保ったままポッジオ(距離3.7km/平均3.7%/最大8%)に入り、追走集団から飛び出したニコラ・ノスコヴァ(チェコ、コフィディス・ウィメン)が合流。その後ノスコヴァが単独先頭に立ったものの、後続が追いつき、カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)の高速牽引によって集団は再び活性化した。そして頂上まで残り1km地点で、プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・プレミアテック)がアタックし、ノスコヴァを追い抜きレースの先頭に立つ。

マウンテンバイクとシクロクロスの3種目で活躍するピーテルセの加速には、コペッキーとノエミ・リュエッグ(スイス、EFエデュケーション・オートリー)しか反応できない。その後、UAEチームADQのエレオノラ・ガスパリーニ(イタリア)とドミニカ・ヴウォダルチク(ポーランド)が合流し、5名が頂上を通過。数的優位な状況を活かすべくヴウォダルチクが仕掛けるものの、コペッキーがこれを許さない。

ウィーベスやエリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)らスプリンターを含む大集団の追走を背後に、アシストを買って出たヴウォダルチクを先頭に最終ストレートに突入。最後はヴウォダルチクが遅れ、先頭4名によるスプリントへ。ほぼ同時に開始されたスプリントは、ヴウォダルチクの背後を取っていたコペッキーが先行する。小集団スプリントが得意なリュエッグが迫るものの、元世界王者のトップスピードには届かなかった。

4名によるスプリントを制したロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

チームメイトと勝利を喜ぶロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:RCSsport

「チームとして今日は、自分が勝負するプランだった。脚の感触もよく、チプレッサに良い位置で入ることができた。終盤でUAEのどちらかがアタックしてくると思い、警戒していた。全員がスプリントに自信のあるメンバーだったが、自分も自信があった。完璧なタイミングで踏み始め、そしてこの美しいミラノ〜サンレモを勝つことができた」と、コペッキーは喜んだ。

2023年、24年とロード世界選手権を制覇したコペッキー。2025年は春のロンド・ファン・フラーンデレンで優勝したものの、体調面やメンタル面の不調が続き、9月のレースでは落車し椎骨を骨折。復活を目指した今シーズンは直前のダニリス・ノケレ・クールセで勝利し、その好調をビッグレースへと繋げた。

2位はリュエッグで、数的優位を活かせなかったガスパリーニは3位。ポッジオでアタックしたピーテルセは表彰台を逃した。そして9秒遅れでやってきた追走集団はウィーベスが先着し、仲間の勝利を喜んだ。

ミラノ〜サンレモ・ドンネを初制覇したロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos
ミラノ〜サンレモ・ドンネ2026結果
1位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) 3:47:17
2位 ノエミ・リュエッグ(スイス、EFエデュケーション・オートリー)
3位 エレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ)
4位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・プレミアテック)
5位 ドミニカ・ヴウォダルチク(ポーランド、UAEチームADQ) +0:04
6位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:09
7位 アリー・ウォラストン(ニュージーランド、FDJユナイテッド・スエズ)
8位 エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)
9位 シャーロッテ・コール(オランダ、フェニックス・プレミアテック)
10位 キアラ・コンソンニ(イタリア、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos