毎年のようにモニュメントの市民レースにチャレンジしているキット北村さんから2026年のレポートが届きました。今年はロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベの二連戦に二度目のチャレンジとなります。まずはプロローグからお届けします。
2019年にチャレンジした時の記事は→https://www.cyclowired.jp/tag/term/15012
『ミラノ~サンレモに向けて、2026年のモニュメントを制する旅はチームで活動する!』と昨年から宣言していたキット北村さん。ドイツに住んでいる志を同じくしている日本人サイクリストの友人とチームとしての初戦をどうするか?と話しあったところ、『地理的にも時期的にも合うロンド・ファン・フラーンデレンで行きましょう!』となりました。アメリカ軍がイランへ軍事行動をとった事による航空会社の混乱、旅の最後には成田空港の滑走路の閉鎖!何故キット北村の旅の道のりには様々な壁が立ち塞がるのだろうか?“石畳を制する旅・再び2026”のスタート地点に向かうまでのドタバタな珍道中記!
石畳を制する旅・再び2026 Vol.1プロローグ

キット北村さんが再びロンドとルーベの2連戦に挑む photo:Kitto Kitamura
2019年から5大モニュメント制覇を目指しているウィリエールの日本国内担当者“キット北村さん”。 5大モニュメントを残すはミラノ~サンレモだけなのだが、ミラノ~サンレモのプロレースが3月下旬で台北サイクルショーとスケジュールがいつもバッティング!さらにミラノ~サンレモの市民レースはチームとして挑まないと、キット北村の貧弱な脚力では単騎で完走出来そうにもありません。そこで昨年の試乗会レポートで宣言した通り、キット北村のモニュメントを制する旅は今回初めてチームとして動きました。
モニュメントを制する旅で出会った仲間達、日本だけでなく海外でも5大モニュメントを渡り歩いているサイクリストとの繋がり!2019年から積み重ねた事が徐々にミラノ~サンレモへの道へと向かいます。
それでは、“石畳を制する旅・再びへのプロローグ”のお話です。

今年はチームを組んで参戦することとなった。メンバーの中村さんと柳澤さん photo:Kitto Kitamura
2025年11月、試乗会イベントが一息ついて、ドイツ在住の日本人サイクリストで、最長コースで5大モニュメント制覇を計画している中村孝司・栁澤楓カップルとLINEミーティング(写真は去年帰国した時の焼肉屋での写真)。2026年のクラシックレースで初めて北村とチームを組んで、ヨーロッパのグランフォンドイベントに参戦する事になった。いつもであれば、一匹狼のキット北村は単独行動で好き勝手に動いているのだが、今回は中村キャプテンに宿泊予定やスケジュールを決めてもらい、それに沿って行動する事にした。海外遠征での負担がどれくらい軽くなるのか?興味津々である。

シマノの新型のSPDクリートCL-MT001(左)が手に入ったので、早速マイシューズにセット photo:Kitto Kitamura 
シディのラバーブロックを新品に交換 photo:Kitto Kitamura
2025年12月、新型のSPDクリートCL-MT001が手に入ったので、マイシューズ達にセット。新しいビンディングシューズ(レイク)を購入しているので、古いビンディングシューズ(シディ)で参戦するつもりはありませんでしたが、1~3月が予想以上に仕事が忙しく、新しい靴に慣れる時間的余裕が無かったので、今回も引き続き使い慣れたシディでヨーロッパへ行くことにしました。(写真左が新型のCL-MT001、右が従来のSM-SH51)
正直、新型クリート(CL-MT001)vs 旧型クリート(SM-SH51)で大きな差は生まれないと思っていましたが、クリートが嵌る感触が驚くほど変わりました。確かに色んな方向からクリートがSPDペダルに嵌る。クリートが嵌った後、少し緩めな固定力なのかな?と思っていましたが、逆にしっかりとした固定力を発揮しました。とても気に入ったので、持っている全てのSPDシューズ用分の新型クリートを複数追加購入。また、このタイミングでシディの靴底も新しい物に交換しました。

脊椎の間隔が狭いことが発覚、不安を抱えての出発へ photo:Kitto Kitamura 
A.A.TH腹巻&カーフカバー、遠征装備が揃った photo:Kitto Kitamura
2026年1月、ストレッチや整体で調整していましたが、目眩がして右手が少し痺れています。レントゲンを撮りましたが、どうも脊椎の間隔が狭まっているらしく、神経を圧迫しているようです。この事が後々パリ~ルーベに響く事になるとは思いも寄りませんでした。
2026年2月上旬、イタリア出張から帰って、オンヨネ(株)の関泰寛さんに注文していたA.A.THの腹巻とカーフカバー類が自宅に届きました。2018年からA.A.THの商品を使っていますが、お腹が冷えるとすぐにお腹を壊してしまう私にとって、A.A.THの腹巻は手離せません。そして、40代後半に入って両脚の疲れが取れにくくなっているので、飛行機の機内や就寝中のカーフカバーとサイクリング中のカーフカバーを追加購入しました。

熊川店長から借り受けたシーコンのバイクケース photo:Kitto Kitamura
2026年3月上旬、次にウィリエールコンセプトストアのプントロッソ東京:熊川博店長からシーコンのバイクケースをお借りしました。これはウィリエールがオリジナルで販売していた物で、10年以上前に販売していた商品なのでリムブレーキ用です。今回、シクロワイアードの磯部さんがイタリアで試乗した車体をそのまま私が借りる予定なので、ディスクブレーキ用に対応するため手を加えねばなりません。どうも熊川店長は前後のフレームエンドにとっておきの秘策を持っているようです。
フロントはBIKE HANDのスルーアクスルアダプターで簡単に対応出来ました!かなりしっかりしたアダプターで安心感があります。

BIKE HANDのアダプターでフロントの問題はクリア photo:Kitto Kitamura

ミノウラのアダプターネジで対応する予定だが、伝達ミスで思わぬ落とし穴が photo:Kitto Kitamura
リアはミノウラの後輪スルーアクスル用アダプターネジ(ローラー台で使用する際に使う)です。これを使えば上手く行くはずなんですが、熊川店⻑にベルギー・フランスで乗る車種を伝え忘れていたため、失敗してしまいます。
フィランテSLR-ID2がUDHの規格なので、持っているアダプターネジが適合しません。そこで塩ビパイプを使う事にしました。

塩ビパイプ+タイラップ、苦肉の策で完成した自作アダプター photo:Kitto Kitamura 
フィランテをシーコンに詰め込む予行演習 photo:Kitto Kitamura
内径13mm×外径18mmの塩ビパイプを142mm幅に切って、滑らないようにゴムチューブを敷いてタイラップで固定します。フロント周りに比べてリヤはかなり見た目が頼りないですが、台北ショー出張が迫っており時間がありませんので、ぶっつけ本番これで行きます!
とりあえず、会社にあるフィランテSLR-ID2の試乗車をシーコンのバイクケースにセットしてみました。とりあえずバイクケースにキレイに収納出来たので、多分問題無いと信じたいです。

台北ショーで受け取ったスクラッチM5-PASの3Dサドル photo:Kitto Kitamura

プロトタイプの証、黄色い鉛筆で記された「58-2」の番号 photo:Kitto Kitamura
2025年のストラーデ・ビアンケ参戦の際にナゴR4-PAS137の3Dサドルを使いましたが、ちょっとしっくりと来なかったので、少しコンフォートなナゴR4-PASかスクラッチM5-PASの3Dサドルで北村の尻圧に設定した物をリクエストしていました。
3Dプリンター製ですから北村用に座面の硬さの微調整ぐらいは出来ると踏んでいたので、イタリアのオフィスで、そしてメールで、一年以上サルバトーレGMにプレッシャーかけ続けました。ベルギーへの出発何とかギリギリでしたが、台北ショーでプロトタイプNo.58-2のスクラッチM5-PASの3Dサドルを受け取り準備完了です。(写真を見て分かる通りシリアルナンバーのステッカーは無く、黄色の鉛筆で58-2と記載されています。)

台北ショー直前にキャスターがもげていることに気が付く photo:Kitto Kitamura

左が脱落した旧型、右がサスペンション付きの最新型キャスター photo:Kitto Kitamura 
新キャスターに換装完了、これで移動も楽々 photo:Kitto Kitamura
実は台北ショー出張の出発前日、バイクケースを移動させようとしたら、上手くキャスターが転がらない事に今更ながら気付きました。これはやばいかも?と感じたので、バイクケースをひっくり返しました。驚いたことに、何とキャスターがもげて無くなっているではありませんか!台北ショーに出発しなければならないので、とりあえずどうする事も出来ませんでした。これはバイクケースの持ち主の熊川店長に解決策を調べて、準備してもらえるように連絡するしかありませんでした。
キット北村が台北ショー出張中で動けないので、熊川店長がシーコンの代理店メニーズさんに注文し、何とかバイクケースのキャスターを入手出来ました。最新型のキャスターはサスペンション付きな事に驚きました!メニーズさん、迅速な対応をして頂いてありがとうございました。ボーナスが出たら必ず自分用のシーコンのバイクケース買いますのでその時はよろしくお願いします!
バイクケースをひっくり返して、キャスターを最新型に変更しました。バイクケースが上手く転がるようになって、これでヨーロッパでの電車移動は楽々です。これで後はスーツケースにヘルメットとレーシングウェアを詰めたら準備完了なんですが…。実はここに至るまでに今年のモニュメントを制する旅を中止しようかと諦めかけていた時があります。

エミレーツ航空、空域閉鎖で運航停止の衝撃通知 photo:Kitto Kitamura
皆さん、ご存知の通り3月上旬にアメリカとイスラエルが突然イランを攻撃し、ドバイ空港の離発着が出来なくなりました。私は渡欧する時にいつもエミレーツ航空を利用しているのですが、出発の1ヶ月前、飛ぶか飛ばないか?分からないエミレーツの航空券をキャンセルせざるを得ませんでした。
新しい航空券を探すのが、国内出張や台北ショー出張で忙しい中、非常にストレスでした。気持ちはグチャグチャでしたが、それでも成⽥発の全⽇空便でベルギーに⾏くルートを何とか確保。しかし、フライトスケジュールの変更による損が発⽣しマイナス16万円。ただでさえ円安ユーロ高なのにこれは痛い。正直もう行くのを止めようかな?と3月上旬は諦めモードでした。

左からキット北村、ホイールを貸してくれたマニュエルさん、今回⾃転⾞を貸してくれたフランチェスコさん、シクロワイアードの磯部さんです photo:Kitto Kitamura
3月はウィリエール、ミケ、プロロゴの3社の記事が毎週シクロワイアードで掲載されイタリア本社の連中はテンション上がりましたが、その一方でキット北村のテンションはトランプ大統領の軍事作戦のおかげでドン底でした。しかし、シクロワイアード編集部の磯部さんのあとがき(未発表・未掲載)で、何とかメンタルを持ち直しました。
このあとがきはその内容がウィリエール、ミケ、プロロゴの記事と全く関係が無いので、結局は掲載を取り止めてもらったものです。しかし、このあとがきを読んで“やっぱりここで私が足を止めてはダメだよね。メディアの後輩達にキット北村の背中を見せねば!”と奮起。金銭的には大損こきましたが、今年もモニュメントを制する旅に出発する決断をしました。
以下、シクロワイアード磯部編集員の書いた未発表・未掲載の幻のあとがきです。
『イタリア名門3社への取材で、各社のプロダクト以上に驚かされた事がある。それはキット北村さんだ。
これほどまでに、一代理店のスタッフがブランド本社の深層部に深くコミットしている例を私は他に知らない。立ち入り禁止エリアに平然と足を踏み入れ、「それは撮っちゃダメだろ!」という機密事項まで、バシバシとスマホで撮影し、自分の「KITTO」ステッカー(それも著名なデザイナーに作らせたものだ)を至る所に貼り付け…。「Kittoがもう2人いたら嵐になってしまう」とイタリア人に言わしめるほど、なんならその立ち居振る舞いは普通の日本人からしたら失礼一歩手前、いや相手先と揉め事になるレベルだ。
でも、絶妙なジョークセンスと「コミュ力おばけ」としか言いようのない人間性で、誰からも許され懐に入り込んでしまう。ウィリエール社内にプロ選手の写真と並んで北村さんのステッカーや写真が飾られ、ウィリエールとミケの本社の壁には歴代のチャンピオンジャージの隣にしれっと北村さんのマリアネッラジャージが飾られている光景は、もはやシュールだ。「ボクがポガチャルサドルのデザインを考えた」という話は流石に嘘だろうと思っていたら、プロロゴスタッフに聞いたところどうやら本当らしい。
北村さんは年に2度はイタリアへ渡る。速く走るのは不得意だけど、根っからの自転車好き。「モニュメントを制する旅」をプライベートで実行し、オン・オフ問わず現地に溶け込み築き上げた人脈で(時には元プロ選手やチームメカニックのお家で朝・夕食事付きの無料宿泊までこなしながら)友好を深めていく。オンラインで完結できる仕事が増えた現代だからこそ、こうした「泥臭くも圧倒的な人間関係」が、ブランドの日本でのパワーを支えているのだと思い知らされた。自転車業界の裏側には、理屈を超えた熱量を持つ、こうした「やばい人」が確かに存在しているのだ。』
キット北村は磯部さんにとって“やばい⼈”にカテゴリーされているのね(笑)。今回の遠征で⾃転⾞を貸してくれたフランチェスコさん、ホイールを貸してくれたマニュエルさん、そしてモチベーションを上げてくれた磯部さんに感謝です。

シーコンとスーツケースを従え、いよいよ成田から旅立つ photo:Kitto Kitamura
ブリュッセル行きの直行便は朝10時出発なので、前日から成田入りして、バイクケースと共に出発です。宮古島トライアスロン等が日程的に近いせいか、全日空の空港スタッフから『お客様、トライアスロンですか?』と聞かれる事が多かったです。

全日空スタッフから電動変速バッテリーについて確認を受ける photo:Kitto Kitamura
次に全日空の空港スタッフから電動変速のバッテリーの事で説明がありました。モバイルバッテリーによる航空機火災の事例が増えたため、かなりモバイルバッテリー関係に関してはここ数年厳しくなっているという印象です。昨年のストラーデ・ビアンケの時にも少し書きましたが、バッテリーが容易に外せるというシステムは輸送の際にメカニカルトラブルが減るので重要です。ましてや自転車と飛行機で旅行するという事象に置いては非常に有益です。
シマノのXTRやGRXが無線化を果たした今、ロードのコンポーネントでも早く無線化してもらえるとシマノ党としては助かるんだけどなぁ…フロントシングルならとりあえずロードバイクにGRX-Di2で組んでも良いか…と妄想中。

大型荷物専用カートで運ばれるシーコン、無事ベルギーに到着 photo:Kitto Kitamura 
空港まで迎えに来てくれたレミーさんに生牡蠣は食べないと宣言(2019年に当たりました) photo:Kitto Kitamura
14時間もの長期フライトで腰がおかしくなっています。 幸いな事に両脚はA.A.THのカーフカバーのおかげで、フライト後のいつもの浮腫みはありませんでした。さて、無事にシーコンのバイクケースは届いたでしょうか?通常の荷物サイズではないバイクケースはベルトコンベアーでは流れて来ないので、大型荷物受け取り場所でピックアップします。
いつも通り、ウィリエールのベルギーエージェント:レミーさんにブリュッセル空港まで迎えに来てもらいました。とりあえず“生牡蠣はもう食べないぞ!(2019年にベルギーでレミーさんと生牡蠣に当たったので)”と宣言しておきます。

レミーさん宅の裏手にあるホテルでオーナー家族とティータイム photo:Kitto Kitamura
ベルギーに着いたらレミーさん家の裏⼿にある常宿:ヘット・ウォウオにチェックイン。このお宿に泊まるのも3回目、ホテルのオーナー家族とお茶をします。翌日はイタリアから送ってもらった愛車をバイクケースに入れる準備をします。お茶菓子のチョコレートを食べたら、時差ボケ酷いので早くに就寝します。
イタリアからベルギーに送られていたデモバイクをレミーさんのオフィスで確認します。何とシマノ完成車のはずがスラム完成車で届いていました!日本からはシマノの充電器しか持って来ていません…何か悪い予感がします。

レミーさんのオフィスでフィランテをシーコンに収納、予行演習通りに完了(コンポーネントが想定と違いました) photo:Kitto Kitamura 
バイクケースは無事無傷。キャスターのコロコロ転がり具合も確認しました photo:Kitto Kitamura
イタリアから届いた箱をひっくり返して確認しましたが、どうもウィリエールのイベント担当:フランチェスコさんはスラムの充電器を入れ忘れているようです。仕方なくレミーさんから充電器を借りて、フィランテSLR-ID2をシーコンのバイクケースに収納します。日本で予行演習していたので、収納時間はそんなにかかりませんでした。しかし、この時にペダル用の8mmの六角レンチをレミーさん家に忘れてしまいます。
航空会社に預けたバイクケース、アメリカ系の航空会社だと壊れている可能性もありますが、全日空だったので 基本的に心配はしていませんでした。しかし、キット北村は最近不運が続くので、フィランテSLR-ID2の収納を終えた後に、キャスターのコロコロ転がり具合を確認します。

プントロッソベルギー:トライパフォーマンスに⽴ち寄りました photo:Kitto Kitamura
バイクケースへの収納を終えレミーさんにアントワープまで運んでもらいます。その道中で知人のウィリエール・プントロッソストア:トライパフォーマンスに寄ります。今回奥さんのヴァネッサさんとは会えませんでしたが、ヨハン店長とは会えました。
Wilier Punto Rosso Belgium | Triper4mance
https://www.triper4mance.be/

トラックの年齢別世界チャンピオンも来店していたので記念撮影しました photo:Kitto Kitamura
お店にはちょうどトラックの年齢別世界チャンピオンも来ておられたので、記念撮影しました。帰りしなにセールになっていたショップオリジナルの靴下2足を買おうとすると、『お前はうちの広告塔だから』とヨハン店長から靴下を頂いてしまいました。
アントワープの街に入ると、ロンド・ファン・フラーンデレンのプロのスタート地点が車から見えました。今回はアントワープ中心のアパートを中村さんが借りてくれました。どんな所なのか?期待でワクワクが止まりません。

車窓から見えたロンドのスタートゲート、テンションが上がる瞬間 photo:Kitto Kitamura
アントワープ駅近でドイツ在住の友達3人と合流します。イル・ロンバルディア、そして日本で既に会っている中村孝司・栁澤楓カップルと今回初めて自転車のイベントに参加する日本文化が大好きなフィリップ・キャスパーさんです。今回のチーム編成は少なめですが、中村さんをキャプテンにモニュメントレースに各自挑みます。
ロンド・ファン・フラーンデレン2026参戦記につづく…

アントワープ駅で中村・栁澤カップル、フィリップと4人チーム結成 photo:Kitto Kitamura
Special Thanks to
Hiroshi Kumagawa (Punto Rosso Tokyo)
Remy Ooms (Erlo Sports)
Francesco Cignini (Wilier Triestina)
Team Wilier Mechanics
Salvatore Truglio (Prologo)
Manuel Calesso (Miche)
Yasuhiro Seki (ONYONE)
Wilier Punto Rosso Belgium Triper4mance
So Isobe (Cyclowired)
Koji Nakamura
Kaede Yanagisawa
Philipp Kasper
Report:Kitto Kitamura
2019年にチャレンジした時の記事は→https://www.cyclowired.jp/tag/term/15012
『ミラノ~サンレモに向けて、2026年のモニュメントを制する旅はチームで活動する!』と昨年から宣言していたキット北村さん。ドイツに住んでいる志を同じくしている日本人サイクリストの友人とチームとしての初戦をどうするか?と話しあったところ、『地理的にも時期的にも合うロンド・ファン・フラーンデレンで行きましょう!』となりました。アメリカ軍がイランへ軍事行動をとった事による航空会社の混乱、旅の最後には成田空港の滑走路の閉鎖!何故キット北村の旅の道のりには様々な壁が立ち塞がるのだろうか?“石畳を制する旅・再び2026”のスタート地点に向かうまでのドタバタな珍道中記!
石畳を制する旅・再び2026 Vol.1プロローグ

2019年から5大モニュメント制覇を目指しているウィリエールの日本国内担当者“キット北村さん”。 5大モニュメントを残すはミラノ~サンレモだけなのだが、ミラノ~サンレモのプロレースが3月下旬で台北サイクルショーとスケジュールがいつもバッティング!さらにミラノ~サンレモの市民レースはチームとして挑まないと、キット北村の貧弱な脚力では単騎で完走出来そうにもありません。そこで昨年の試乗会レポートで宣言した通り、キット北村のモニュメントを制する旅は今回初めてチームとして動きました。
モニュメントを制する旅で出会った仲間達、日本だけでなく海外でも5大モニュメントを渡り歩いているサイクリストとの繋がり!2019年から積み重ねた事が徐々にミラノ~サンレモへの道へと向かいます。
それでは、“石畳を制する旅・再びへのプロローグ”のお話です。

2025年11月、試乗会イベントが一息ついて、ドイツ在住の日本人サイクリストで、最長コースで5大モニュメント制覇を計画している中村孝司・栁澤楓カップルとLINEミーティング(写真は去年帰国した時の焼肉屋での写真)。2026年のクラシックレースで初めて北村とチームを組んで、ヨーロッパのグランフォンドイベントに参戦する事になった。いつもであれば、一匹狼のキット北村は単独行動で好き勝手に動いているのだが、今回は中村キャプテンに宿泊予定やスケジュールを決めてもらい、それに沿って行動する事にした。海外遠征での負担がどれくらい軽くなるのか?興味津々である。


2025年12月、新型のSPDクリートCL-MT001が手に入ったので、マイシューズ達にセット。新しいビンディングシューズ(レイク)を購入しているので、古いビンディングシューズ(シディ)で参戦するつもりはありませんでしたが、1~3月が予想以上に仕事が忙しく、新しい靴に慣れる時間的余裕が無かったので、今回も引き続き使い慣れたシディでヨーロッパへ行くことにしました。(写真左が新型のCL-MT001、右が従来のSM-SH51)
正直、新型クリート(CL-MT001)vs 旧型クリート(SM-SH51)で大きな差は生まれないと思っていましたが、クリートが嵌る感触が驚くほど変わりました。確かに色んな方向からクリートがSPDペダルに嵌る。クリートが嵌った後、少し緩めな固定力なのかな?と思っていましたが、逆にしっかりとした固定力を発揮しました。とても気に入ったので、持っている全てのSPDシューズ用分の新型クリートを複数追加購入。また、このタイミングでシディの靴底も新しい物に交換しました。


2026年1月、ストレッチや整体で調整していましたが、目眩がして右手が少し痺れています。レントゲンを撮りましたが、どうも脊椎の間隔が狭まっているらしく、神経を圧迫しているようです。この事が後々パリ~ルーベに響く事になるとは思いも寄りませんでした。
2026年2月上旬、イタリア出張から帰って、オンヨネ(株)の関泰寛さんに注文していたA.A.THの腹巻とカーフカバー類が自宅に届きました。2018年からA.A.THの商品を使っていますが、お腹が冷えるとすぐにお腹を壊してしまう私にとって、A.A.THの腹巻は手離せません。そして、40代後半に入って両脚の疲れが取れにくくなっているので、飛行機の機内や就寝中のカーフカバーとサイクリング中のカーフカバーを追加購入しました。

2026年3月上旬、次にウィリエールコンセプトストアのプントロッソ東京:熊川博店長からシーコンのバイクケースをお借りしました。これはウィリエールがオリジナルで販売していた物で、10年以上前に販売していた商品なのでリムブレーキ用です。今回、シクロワイアードの磯部さんがイタリアで試乗した車体をそのまま私が借りる予定なので、ディスクブレーキ用に対応するため手を加えねばなりません。どうも熊川店長は前後のフレームエンドにとっておきの秘策を持っているようです。
フロントはBIKE HANDのスルーアクスルアダプターで簡単に対応出来ました!かなりしっかりしたアダプターで安心感があります。


リアはミノウラの後輪スルーアクスル用アダプターネジ(ローラー台で使用する際に使う)です。これを使えば上手く行くはずなんですが、熊川店⻑にベルギー・フランスで乗る車種を伝え忘れていたため、失敗してしまいます。
フィランテSLR-ID2がUDHの規格なので、持っているアダプターネジが適合しません。そこで塩ビパイプを使う事にしました。


内径13mm×外径18mmの塩ビパイプを142mm幅に切って、滑らないようにゴムチューブを敷いてタイラップで固定します。フロント周りに比べてリヤはかなり見た目が頼りないですが、台北ショー出張が迫っており時間がありませんので、ぶっつけ本番これで行きます!
とりあえず、会社にあるフィランテSLR-ID2の試乗車をシーコンのバイクケースにセットしてみました。とりあえずバイクケースにキレイに収納出来たので、多分問題無いと信じたいです。


2025年のストラーデ・ビアンケ参戦の際にナゴR4-PAS137の3Dサドルを使いましたが、ちょっとしっくりと来なかったので、少しコンフォートなナゴR4-PASかスクラッチM5-PASの3Dサドルで北村の尻圧に設定した物をリクエストしていました。
3Dプリンター製ですから北村用に座面の硬さの微調整ぐらいは出来ると踏んでいたので、イタリアのオフィスで、そしてメールで、一年以上サルバトーレGMにプレッシャーかけ続けました。ベルギーへの出発何とかギリギリでしたが、台北ショーでプロトタイプNo.58-2のスクラッチM5-PASの3Dサドルを受け取り準備完了です。(写真を見て分かる通りシリアルナンバーのステッカーは無く、黄色の鉛筆で58-2と記載されています。)



実は台北ショー出張の出発前日、バイクケースを移動させようとしたら、上手くキャスターが転がらない事に今更ながら気付きました。これはやばいかも?と感じたので、バイクケースをひっくり返しました。驚いたことに、何とキャスターがもげて無くなっているではありませんか!台北ショーに出発しなければならないので、とりあえずどうする事も出来ませんでした。これはバイクケースの持ち主の熊川店長に解決策を調べて、準備してもらえるように連絡するしかありませんでした。
キット北村が台北ショー出張中で動けないので、熊川店長がシーコンの代理店メニーズさんに注文し、何とかバイクケースのキャスターを入手出来ました。最新型のキャスターはサスペンション付きな事に驚きました!メニーズさん、迅速な対応をして頂いてありがとうございました。ボーナスが出たら必ず自分用のシーコンのバイクケース買いますのでその時はよろしくお願いします!
バイクケースをひっくり返して、キャスターを最新型に変更しました。バイクケースが上手く転がるようになって、これでヨーロッパでの電車移動は楽々です。これで後はスーツケースにヘルメットとレーシングウェアを詰めたら準備完了なんですが…。実はここに至るまでに今年のモニュメントを制する旅を中止しようかと諦めかけていた時があります。

皆さん、ご存知の通り3月上旬にアメリカとイスラエルが突然イランを攻撃し、ドバイ空港の離発着が出来なくなりました。私は渡欧する時にいつもエミレーツ航空を利用しているのですが、出発の1ヶ月前、飛ぶか飛ばないか?分からないエミレーツの航空券をキャンセルせざるを得ませんでした。
新しい航空券を探すのが、国内出張や台北ショー出張で忙しい中、非常にストレスでした。気持ちはグチャグチャでしたが、それでも成⽥発の全⽇空便でベルギーに⾏くルートを何とか確保。しかし、フライトスケジュールの変更による損が発⽣しマイナス16万円。ただでさえ円安ユーロ高なのにこれは痛い。正直もう行くのを止めようかな?と3月上旬は諦めモードでした。

3月はウィリエール、ミケ、プロロゴの3社の記事が毎週シクロワイアードで掲載されイタリア本社の連中はテンション上がりましたが、その一方でキット北村のテンションはトランプ大統領の軍事作戦のおかげでドン底でした。しかし、シクロワイアード編集部の磯部さんのあとがき(未発表・未掲載)で、何とかメンタルを持ち直しました。
このあとがきはその内容がウィリエール、ミケ、プロロゴの記事と全く関係が無いので、結局は掲載を取り止めてもらったものです。しかし、このあとがきを読んで“やっぱりここで私が足を止めてはダメだよね。メディアの後輩達にキット北村の背中を見せねば!”と奮起。金銭的には大損こきましたが、今年もモニュメントを制する旅に出発する決断をしました。
以下、シクロワイアード磯部編集員の書いた未発表・未掲載の幻のあとがきです。
『イタリア名門3社への取材で、各社のプロダクト以上に驚かされた事がある。それはキット北村さんだ。
これほどまでに、一代理店のスタッフがブランド本社の深層部に深くコミットしている例を私は他に知らない。立ち入り禁止エリアに平然と足を踏み入れ、「それは撮っちゃダメだろ!」という機密事項まで、バシバシとスマホで撮影し、自分の「KITTO」ステッカー(それも著名なデザイナーに作らせたものだ)を至る所に貼り付け…。「Kittoがもう2人いたら嵐になってしまう」とイタリア人に言わしめるほど、なんならその立ち居振る舞いは普通の日本人からしたら失礼一歩手前、いや相手先と揉め事になるレベルだ。
でも、絶妙なジョークセンスと「コミュ力おばけ」としか言いようのない人間性で、誰からも許され懐に入り込んでしまう。ウィリエール社内にプロ選手の写真と並んで北村さんのステッカーや写真が飾られ、ウィリエールとミケの本社の壁には歴代のチャンピオンジャージの隣にしれっと北村さんのマリアネッラジャージが飾られている光景は、もはやシュールだ。「ボクがポガチャルサドルのデザインを考えた」という話は流石に嘘だろうと思っていたら、プロロゴスタッフに聞いたところどうやら本当らしい。
北村さんは年に2度はイタリアへ渡る。速く走るのは不得意だけど、根っからの自転車好き。「モニュメントを制する旅」をプライベートで実行し、オン・オフ問わず現地に溶け込み築き上げた人脈で(時には元プロ選手やチームメカニックのお家で朝・夕食事付きの無料宿泊までこなしながら)友好を深めていく。オンラインで完結できる仕事が増えた現代だからこそ、こうした「泥臭くも圧倒的な人間関係」が、ブランドの日本でのパワーを支えているのだと思い知らされた。自転車業界の裏側には、理屈を超えた熱量を持つ、こうした「やばい人」が確かに存在しているのだ。』
キット北村は磯部さんにとって“やばい⼈”にカテゴリーされているのね(笑)。今回の遠征で⾃転⾞を貸してくれたフランチェスコさん、ホイールを貸してくれたマニュエルさん、そしてモチベーションを上げてくれた磯部さんに感謝です。

ブリュッセル行きの直行便は朝10時出発なので、前日から成田入りして、バイクケースと共に出発です。宮古島トライアスロン等が日程的に近いせいか、全日空の空港スタッフから『お客様、トライアスロンですか?』と聞かれる事が多かったです。

次に全日空の空港スタッフから電動変速のバッテリーの事で説明がありました。モバイルバッテリーによる航空機火災の事例が増えたため、かなりモバイルバッテリー関係に関してはここ数年厳しくなっているという印象です。昨年のストラーデ・ビアンケの時にも少し書きましたが、バッテリーが容易に外せるというシステムは輸送の際にメカニカルトラブルが減るので重要です。ましてや自転車と飛行機で旅行するという事象に置いては非常に有益です。
シマノのXTRやGRXが無線化を果たした今、ロードのコンポーネントでも早く無線化してもらえるとシマノ党としては助かるんだけどなぁ…フロントシングルならとりあえずロードバイクにGRX-Di2で組んでも良いか…と妄想中。


14時間もの長期フライトで腰がおかしくなっています。 幸いな事に両脚はA.A.THのカーフカバーのおかげで、フライト後のいつもの浮腫みはありませんでした。さて、無事にシーコンのバイクケースは届いたでしょうか?通常の荷物サイズではないバイクケースはベルトコンベアーでは流れて来ないので、大型荷物受け取り場所でピックアップします。
いつも通り、ウィリエールのベルギーエージェント:レミーさんにブリュッセル空港まで迎えに来てもらいました。とりあえず“生牡蠣はもう食べないぞ!(2019年にベルギーでレミーさんと生牡蠣に当たったので)”と宣言しておきます。

ベルギーに着いたらレミーさん家の裏⼿にある常宿:ヘット・ウォウオにチェックイン。このお宿に泊まるのも3回目、ホテルのオーナー家族とお茶をします。翌日はイタリアから送ってもらった愛車をバイクケースに入れる準備をします。お茶菓子のチョコレートを食べたら、時差ボケ酷いので早くに就寝します。
イタリアからベルギーに送られていたデモバイクをレミーさんのオフィスで確認します。何とシマノ完成車のはずがスラム完成車で届いていました!日本からはシマノの充電器しか持って来ていません…何か悪い予感がします。


イタリアから届いた箱をひっくり返して確認しましたが、どうもウィリエールのイベント担当:フランチェスコさんはスラムの充電器を入れ忘れているようです。仕方なくレミーさんから充電器を借りて、フィランテSLR-ID2をシーコンのバイクケースに収納します。日本で予行演習していたので、収納時間はそんなにかかりませんでした。しかし、この時にペダル用の8mmの六角レンチをレミーさん家に忘れてしまいます。
航空会社に預けたバイクケース、アメリカ系の航空会社だと壊れている可能性もありますが、全日空だったので 基本的に心配はしていませんでした。しかし、キット北村は最近不運が続くので、フィランテSLR-ID2の収納を終えた後に、キャスターのコロコロ転がり具合を確認します。

バイクケースへの収納を終えレミーさんにアントワープまで運んでもらいます。その道中で知人のウィリエール・プントロッソストア:トライパフォーマンスに寄ります。今回奥さんのヴァネッサさんとは会えませんでしたが、ヨハン店長とは会えました。
Wilier Punto Rosso Belgium | Triper4mance
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お店にはちょうどトラックの年齢別世界チャンピオンも来ておられたので、記念撮影しました。帰りしなにセールになっていたショップオリジナルの靴下2足を買おうとすると、『お前はうちの広告塔だから』とヨハン店長から靴下を頂いてしまいました。
アントワープの街に入ると、ロンド・ファン・フラーンデレンのプロのスタート地点が車から見えました。今回はアントワープ中心のアパートを中村さんが借りてくれました。どんな所なのか?期待でワクワクが止まりません。

アントワープ駅近でドイツ在住の友達3人と合流します。イル・ロンバルディア、そして日本で既に会っている中村孝司・栁澤楓カップルと今回初めて自転車のイベントに参加する日本文化が大好きなフィリップ・キャスパーさんです。今回のチーム編成は少なめですが、中村さんをキャプテンにモニュメントレースに各自挑みます。
ロンド・ファン・フラーンデレン2026参戦記につづく…

Special Thanks to
Hiroshi Kumagawa (Punto Rosso Tokyo)
Remy Ooms (Erlo Sports)
Francesco Cignini (Wilier Triestina)
Team Wilier Mechanics
Salvatore Truglio (Prologo)
Manuel Calesso (Miche)
Yasuhiro Seki (ONYONE)
Wilier Punto Rosso Belgium Triper4mance
So Isobe (Cyclowired)
Koji Nakamura
Kaede Yanagisawa
Philipp Kasper
Report:Kitto Kitamura
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