冷たい雨が静かな展開をもたらしたティレーノ~アドリアティコ第3ステージは、一転して白熱のスプリントで決着。絶好のリードアウトを得たトビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、デカトロンCMA CGM)が、強豪を退けて勝利した。



3月11日に行われたティレーノ~アドリアティコ第3ステージ photo:RCS Sports

終盤にストラーデビアンケを彷彿とさせる未舗装路が登場し、マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が勝利したティレーノ~アドリアティコ2日目。その一夜明けた3月11日、第3ステージが221kmの長丁場で行われた。細かいアップダウンを進みながらアペニン山脈に登るレイアウトであったものの、スプリンターを退けるほどの難易度ではなかった。

前日が過酷なステージだったことに加え、序盤から冷たい雨が選手たちに降り注いだためか、積極的に逃げを狙う選手は現れず、ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ)が単独で飛び出す。それを容認したメイン集団はアルペシン・プレミアテックが先導し、2日連続で逃げたセビーリャに最大5分のリードを許す。セビーリャはコース前半に設定された山岳をトップ通過し、山岳賞で首位に浮上すると、脚を緩め、そのままプロトンへと戻っていった。

単独で逃げを打ったディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ) photo:RCS Sports

レース前半で逃げを捉え、プロトンはスローペースで進んだ photo:RCS Sports

その後もアタックが見られることはなく、踏切で列車の通過を待つため、レースが一時ニュートラルになる場面もあった。しかし一団のまま進むレース展開に影響はなく、残り25km地点で、イーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ)とヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)、リアム・スロック(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)の3名が飛び出し、ようやくレースは動き出した。

しかしこれもわずか5km足らずで捉まり、レースは再び落ち着きを取り戻す。そして残り10km地点から、集団スプリントに向けた激しい位置取り争いが勃発。フィニッシュ手前500mからトルド・グドメスタ(ノルウェー、デカトロンCMA CGM)が先頭に立ち、トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク)をリードアウト。しかしその間に入ったジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が先んじて踏み込んだ。

残り200mの緩い左コーナーを前に先頭に立ったミラン。しかしフィニッシュラインまでそのスピードを維持することはできず、左からヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)、右からアンドレースンに追い抜かれる。さらにアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)も迫る混戦のスプリントは、アンドレースンが先着した。

混沌のスプリントを制したトビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、デカトロンCMA CGM) photo:RCS Sports

今季、ヨーロッパ初勝利を飾ったトビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、デカトロンCMA CGM) photo:RCS Sports

「完璧なトレインから信じられないほど素晴らしい形で、僕をフィニッシュまで導いてくれた。集団の左側でトレインを展開する計画を完璧に実行できた。これはレースではなかなか実現が難しいこと。これほど強いスプリンターたちに勝てたんだ。チーム全員が喜ぶ勝利となった」と、23歳の若きエーススプリンターは喜んだ。

ツアー・ダウンアンダーで区間1勝&スプリント賞を獲得し、カデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースでも勝利と波に乗るアンドレースンが、ヨーロッパで掴んだ今季初勝利。さらに「今大会でもう1勝を狙いたい」とも意気込みを語った。
ティレーノ〜アドリアティコ2026第3ステージ結果
1位 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、デカトロンCMA CGM) 5:29:22
2位 アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)
3位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)
4位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
5位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
6位 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)
7位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
8位 オデッド・コグット(イスラエル、NSNサイクリングチーム)
9位 マディス・ミケルス(エストニア、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL)
個人総合成績
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 10:35:22
2位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:04
3位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:14
4位 アラン・ハザリー(南アフリカ、ジェイコ・アルウラー) +0:18
5位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:19
6位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:21
7位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:32
8位 ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) +0:35
9位 ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:37
10位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:38
その他の特別賞
ポイント賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)
山岳賞 ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ)
ヤングライダー賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)
チーム総合成績 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa
photo:RCS Sports