兄弟対決が実現したUAEツアー第4ステージの集団スプリント。兄ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が弟マッテオ・ミラン(イタリア、グルパマFDJユナイテッド)らを退け、勝利を手に入れた。



初日の落車で負った擦過傷が見えるジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:UAE Tour

中東最大のステージレースであるUAEツアー(UCIワールドツアー)は、大会折り返しとなる第4ステージを迎えた。オマーン湾に面するフジャイラを発着地点とする182kmコースは、細かいアップダウンのある平坦路。残り35km地点からフィニッシュまでは下り基調のため、ピュアスプリンターの躍動が予想されたレイアウトだ。

海洋地殻が大陸の上に乗り上げる、世界的に珍しい地域を進むこの日は、前日の山頂フィニッシュで独走勝利したアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)を先頭に集団は走り出す。逃げ切りも十分可能性のあるこの日、逃げ集団を形成したのは5名。名選手ジョージ・ヒンカピーをGMにし、今年創設されたモダンアドベンチャープロサイクリングは、プロチームに戻ってきたステファン・デボッド(南アフリカ)を送った。

パトリック・ガンパー(オーストリア、ジェイコ・アルウラー)ら5名が逃げた photo:UAE Tour

追いかけるメイン集団は、集団牽引を得意とするアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)がペースを作る。狙いは初日に落車しながらも、大きな怪我はなかったジョナタン・ミラン(イタリア)でのスプリント勝利。リーダーチームであるバーレーン・ヴィクトリアスやイネオス・グレナディアーズも牽引に選手を送りながら、岩山の間に敷かれたコースを進んでいった。

今年ワールドチームに昇格したウノエックス・モビリティもプロトンのペース作りに加わり、徐々に逃げとのタイム差が縮まっていく。そんななか残り29km地点で落車が発生。ロベ・ヘイス(ベルギー、デカトロンCMA CGM)がリタイアするなか、腸骨動脈の血流障害からの完全復活を目指すスプリンター、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ピクニック・ポストNL)が巻き込まれ、ジャージ右側を破りながらもレースを続行させた。

なかなか逃げとのタイム差が縮まらないプロトン photo:UAE Tour

4名となった逃げは残り1kmバナーを過ぎても逃げ続け、デボッドがもがきながら最終ストレートに先頭で突入する。しかしXDSアスタナが先頭に立ったプロトンは逃げを捉え、残り250m地点からミランが真っ先に腰を上げ、特徴的な頭を上下に揺らすスプリントを開始。そのトップスピードにイーサン・ヴァーノン(イギリス、NSNサイクリングチーム)や弟のマッテオ・ミラン(イタリア、グルパマFDJユナイテッド)たちは、横に並ぶことすらできなかった。

スプリント勝利したジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

弟マッテオの健闘を称えるジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:UAE Tour

落車で逃した初日の悔しさを晴らす、圧巻のスプリント勝利を挙げたミラン。「逃げとの差をコントロールし続けたチームメイトのおかげ。どうしても洗濯機のようにぐちゃぐちゃになるラスト1kmの集団でも、チームメイトが常に良い位置をキープしてくれた」と喜び、また「フィニッシュ直後、弟のマッテオに『3位だった』と伝えられ、さらに嬉しくなった。今日は負かされなくて良かったが、いつかそうなる日がくるかもしれない」と、今年プロデビューした弟の表彰台を喜んだ。

同じ中東で1月に行われたアルウラー・ツアーで区間2勝したミランにとって、これが今季3勝目。ワールドツアーでは昨年のツール・ド・フランス第17ステージ以来の勝利となった。
UAEツアー2026第4ステージ結果
1位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 4:03:06
2位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、NSNサイクリングチーム)
3位 マッテオ・ミラン(イタリア、グルパマFDJユナイテッド)
4位 ヘルベン・テイッセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)
5位 ロバン・フロワドゥヴォー(スイス、チューダープロサイクリング)
6位 マッテオ・マルチェッリ(イタリア、XDSアスタナ)
7位 ステフェン・デシュハイテニール(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)
8位 ライリー・ピックレル(カナダ、モダンアドベンチャープロサイクリング)
9位 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)
10位 エマニュエル・ウク(フランス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)
個人総合成績
1位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 11:12:09
2位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:21
3位 アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) +1:00
4位 レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ) +1:07
5位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +1:19
6位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +1:21
7位 デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) +1:22
8位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) +1:28
9位 ヨルゲン・ノードハーゲン(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク) +1:30
10位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +1:43
11位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:44
その他の特別賞
ポイント賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)
ヤングライダー賞 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツXRG
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, UAE Tour