ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)との直接対決第2ラウンドもマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)に軍配。砂のパワーコースで世界王者が飛ぶような走りを披露した。

ファンデルプールとファンアールトの直接対決第2戦。無数のファンが会場を埋め尽くした photo:CorVos
クリスマスから年末年始にかけての超過密スケジュールをフルスロットルで消化している欧州シクロクロスカレンダー。12月20日(土)のUCIシクロクロスW杯第5戦、翌21日(日)の同第6戦に続く22日(月)に開催されたのは、ベルギーのフランダースブラバントに位置する街ホフスターデを舞台にしたX2Oトロフェーの第4戦「プラージュクロス」だ。
海からは遠く離れた内陸ではあるものの、プラージュ(ビーチ)の名の通り、美しい池に造られた人工ビーチをたっぷりと含んだコースが特徴。同じ砂でも前日のコクサイデの砂丘とは一味異なる、ピュアなパワーレースが展開された。
4日連続の過密スケジュールを避けてUCIワールドカップでのポイント獲得を主眼に置く選手たちは参加を見合わせたものの、男子エリートレースにはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)、ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)といったトップ選手たちが集結。激しいバトルを前に、コースを幾重にも囲んだベルギーファンが会場の熱気を最高潮にまで盛り上げた。
女子エリート:ブラントが3日間3連勝、今季勝利数を13に伸ばす

圧倒的な走りで連勝記録を更新したルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) photo:CorVos
豪華な男子エリート出場メンバーに比べると、女子エリートの主たるトップ選手は絶好調のルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)とチームメイトのシリン・ファンアンローイ(オランダ)、マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン)と少々寂しい様相に。スタートから間髪入れずに3名がトップグループを組み、2周目に入る前に深い砂区間でブラントが加速する。今季圧倒的な強さを誇る元世界女王に渡り合える選手はもはや誰もいなかった。
今季実に8連勝。波に乗るブラントは食い下がろうとしたバッカーを置き去りにし、足切りルールが追いつかないほどの猛烈なペースで周回。ラップアウトされながらも進路を譲らない選手たちにフラストレーションをぶつけながら、フィニッシュまでの45分間を先頭で走り切った。

X2Oトロフェー2025-2026第2戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos
今季勝率を15戦13勝に伸ばしたブラントは「最終ラップで周りを見渡す時間があったけれど、こんなにたくさんの人が観に来てくれるなんて信じられない気分になった。本来は走ってはいけない場所(今日の会場)に乗っているのに、みんな喜んでくれている。本当に素晴らしいことだと思う」と喜びをコメント。本来あまり得意としていなかった砂レースで連勝していることについて聞かれると「トレーニングキャンプで砂の特訓をしたことが活きていると思う。砂で差をつける走りができているのでとても楽になった」と、スキル練習の重要性を説いている。
男子エリート:ファンデルプール圧勝、ファンアールトも2位で好調ぶりを披露

華麗な砂捌きを披露するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
男子エリートレースにはオランダベース/ウォータスレイの梶鉄輝と岡山優太が連続参戦。ファンデルプール、ファンアールト、ネイス、そしてW杯でランキング首位を走るローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン)たちが互いの様子を伺いながら1周目を消化。2周目に入るといよいよレースが動き出した。
ジュニア時代からライバル関係を築くファンデルプールとファンアールトは4,5番手で走っていたが、まずスピードが乗る180度コーナーでファンアールトが痛恨の落車。大人数の先頭グループ内でポジションを失ったことが響き、続く砂区間で加速したファンデルプールの背中を捉えることは最後まで叶わなかった。

ファンデルプールに食い下がったティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)は後退。4位に終わった photo:CorVos

落車でファンデルプールとの直接勝負を逃したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)。レース中盤から盛り返して2位に入った photo:CorVos
アタック一発でリードを築いた世界王者に唯一食い下がったのはベルギーの期待を背負うネイスだった。後ろを気にせず踏み続けるファンデルプールにかろうじて付いていったものの、勝負所の砂区間で一気に差をつけられてしまう。脚を使い切ってしまったネイスは失速、エンジンの掛かったファンアールトに追い抜かれ、さらに3番手グループ内で他選手を巻き込みながら砂区間で激しく落車してしまう。こうして先頭ファンデルプールと2番手ファンアールトがそれぞれ独走、混戦の3番手グループという構図が出来上がった。
湖をオレンジに照らす夕陽を浴びながら、飛ぶように走ったファンデルプールがフィニッシュラインに帰還。レース後半にかけて調子を上げたファンアールトを48秒引き離して3日間3連勝をマークした。
復帰からわずか1週間余りで既に4勝を挙げたファンデルプール。世界チャンピオンの満足感はインタビューからも伝わってきた。「自分のリズムを見つけ、今日は本当に良い感触だった。今日は完璧だったし、自分のペースで走れるレースはとても楽しい。子供の頃にプロ選手のレースを観戦していた時に覚えている数少ないレースの一つで勝てたので嬉しいよ」と満足げに振り返った。

表彰台に登ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
また、この日ファンデルプールはコース脇の観客から煙草の煙を吹きかけられる事態にも見舞われた。「故意だったかどうかは分からないけど視界には入った」と不満げなコメントを残している。
一方でファンアールトは復帰2戦目にして、ファンデルプール以外のライバルを置き去りにする仕上がりを披露。レース後には同会場で開催されたレッドブルスポンサードのインフルエンサーや元プロ選手が集結したファンレース「ターボクロス」にも姿を見せた。本日開催され、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)も出場するスーパープレスティージュ第5戦にはファンデルプールが出場しないため、今季初勝利が期待されている。

クリスマスから年末年始にかけての超過密スケジュールをフルスロットルで消化している欧州シクロクロスカレンダー。12月20日(土)のUCIシクロクロスW杯第5戦、翌21日(日)の同第6戦に続く22日(月)に開催されたのは、ベルギーのフランダースブラバントに位置する街ホフスターデを舞台にしたX2Oトロフェーの第4戦「プラージュクロス」だ。
海からは遠く離れた内陸ではあるものの、プラージュ(ビーチ)の名の通り、美しい池に造られた人工ビーチをたっぷりと含んだコースが特徴。同じ砂でも前日のコクサイデの砂丘とは一味異なる、ピュアなパワーレースが展開された。
4日連続の過密スケジュールを避けてUCIワールドカップでのポイント獲得を主眼に置く選手たちは参加を見合わせたものの、男子エリートレースにはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)、ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)といったトップ選手たちが集結。激しいバトルを前に、コースを幾重にも囲んだベルギーファンが会場の熱気を最高潮にまで盛り上げた。
女子エリート:ブラントが3日間3連勝、今季勝利数を13に伸ばす

豪華な男子エリート出場メンバーに比べると、女子エリートの主たるトップ選手は絶好調のルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)とチームメイトのシリン・ファンアンローイ(オランダ)、マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン)と少々寂しい様相に。スタートから間髪入れずに3名がトップグループを組み、2周目に入る前に深い砂区間でブラントが加速する。今季圧倒的な強さを誇る元世界女王に渡り合える選手はもはや誰もいなかった。
今季実に8連勝。波に乗るブラントは食い下がろうとしたバッカーを置き去りにし、足切りルールが追いつかないほどの猛烈なペースで周回。ラップアウトされながらも進路を譲らない選手たちにフラストレーションをぶつけながら、フィニッシュまでの45分間を先頭で走り切った。

今季勝率を15戦13勝に伸ばしたブラントは「最終ラップで周りを見渡す時間があったけれど、こんなにたくさんの人が観に来てくれるなんて信じられない気分になった。本来は走ってはいけない場所(今日の会場)に乗っているのに、みんな喜んでくれている。本当に素晴らしいことだと思う」と喜びをコメント。本来あまり得意としていなかった砂レースで連勝していることについて聞かれると「トレーニングキャンプで砂の特訓をしたことが活きていると思う。砂で差をつける走りができているのでとても楽になった」と、スキル練習の重要性を説いている。
男子エリート:ファンデルプール圧勝、ファンアールトも2位で好調ぶりを披露

男子エリートレースにはオランダベース/ウォータスレイの梶鉄輝と岡山優太が連続参戦。ファンデルプール、ファンアールト、ネイス、そしてW杯でランキング首位を走るローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン)たちが互いの様子を伺いながら1周目を消化。2周目に入るといよいよレースが動き出した。
ジュニア時代からライバル関係を築くファンデルプールとファンアールトは4,5番手で走っていたが、まずスピードが乗る180度コーナーでファンアールトが痛恨の落車。大人数の先頭グループ内でポジションを失ったことが響き、続く砂区間で加速したファンデルプールの背中を捉えることは最後まで叶わなかった。


アタック一発でリードを築いた世界王者に唯一食い下がったのはベルギーの期待を背負うネイスだった。後ろを気にせず踏み続けるファンデルプールにかろうじて付いていったものの、勝負所の砂区間で一気に差をつけられてしまう。脚を使い切ってしまったネイスは失速、エンジンの掛かったファンアールトに追い抜かれ、さらに3番手グループ内で他選手を巻き込みながら砂区間で激しく落車してしまう。こうして先頭ファンデルプールと2番手ファンアールトがそれぞれ独走、混戦の3番手グループという構図が出来上がった。
湖をオレンジに照らす夕陽を浴びながら、飛ぶように走ったファンデルプールがフィニッシュラインに帰還。レース後半にかけて調子を上げたファンアールトを48秒引き離して3日間3連勝をマークした。
復帰からわずか1週間余りで既に4勝を挙げたファンデルプール。世界チャンピオンの満足感はインタビューからも伝わってきた。「自分のリズムを見つけ、今日は本当に良い感触だった。今日は完璧だったし、自分のペースで走れるレースはとても楽しい。子供の頃にプロ選手のレースを観戦していた時に覚えている数少ないレースの一つで勝てたので嬉しいよ」と満足げに振り返った。

また、この日ファンデルプールはコース脇の観客から煙草の煙を吹きかけられる事態にも見舞われた。「故意だったかどうかは分からないけど視界には入った」と不満げなコメントを残している。
一方でファンアールトは復帰2戦目にして、ファンデルプール以外のライバルを置き去りにする仕上がりを披露。レース後には同会場で開催されたレッドブルスポンサードのインフルエンサーや元プロ選手が集結したファンレース「ターボクロス」にも姿を見せた。本日開催され、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)も出場するスーパープレスティージュ第5戦にはファンデルプールが出場しないため、今季初勝利が期待されている。
X2Oトロフェー2025-2026第2戦 女子エリート結果
| 1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) | 45:47 |
| 2位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) | +0:22 |
| 3位 | マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン) | +0:25 |
| 4位 | ラウラ・フェルドンショット(ベルギー、デクースター・バウプント) | +1:42 |
| 5位 | ジュリー・ブラウワーズ(ベルギー、シャルル・リエジョワ・ロースタリー) | +1:59 |
| 6位 | レベッカ・ガリボルディ(イタリア、アレ・コルナゴ) | +2:24 |
| 7位 | リヌ・ブルキエ(フランス) | +2:52 |
| 8位 | カテリーナ・ラディコバ(チェコ) | |
| 9位 | ロリアンヌ・デュハフオーグ(フランス) | +2:53 |
| 10位 | プック・ランヘンバーグ(オランダ) | +3:21 |
X2Oトロフェー2025-2026第4戦 男子エリート結果
| 1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 1:01:20 |
| 2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:48 |
| 3位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:58 |
| 4位 | ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) | +1:03 |
| 5位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:05 |
| 6位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム) | +1:06 |
| 7位 | トーン・アールツ(ベルギー、デスハフト・ヘンスCXチーム) | +1:23 |
| 8位 | キャメロン・メイソン(イギリス、セブンレーシング) | +1:30 |
| 9位 | トーン・ファンデボシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:34 |
| 10位 | ライアン・カンプ(オランダ) | +1:37 |
| 37位 | 梶鉄輝(オランダベース/ウォータスレイ) | |
| 38位 | 岡山優太(オランダベース/ウォータスレイ) |
text:So.Isobe
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