サルデーニャ島開催のUCIシクロクロスW杯第3戦は泥飛沫の高速レースに。ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が連続表彰台記録を52に伸ばすと共に、男子レースではマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ)が復活勝利を挙げた。

泥と砂の高速レース。やや特殊なコースでUCIシクロクロスワールドカップ第3戦が開催された photo:CorVos
欧州シクロクロスレースの最高峰「UCIシクロクロスワールドカップ」第3戦の舞台は、大国ベルギー・オランダを飛び出して地中海へ。昨年に新開催地としてスケジュールに加わったものの、強風のため開催見送りとなったイタリアのサルデーニャラウンドが今年改めて帰ってきた。
温暖なドライレースという予想を180度裏切って、ローカル風情溢れる港町に用意されたコースは固く締まった土と草地を基本に、海沿いの湿地(?)と、長い砂区間を組み合わせたものに。長距離移動を嫌って何人ものトップ選手が参加を見送る中、泥と砂でバイクがコーティングされる、機材に過酷なコンディションでスピードレースが繰り広げられた。
女子エリート:独走したブラントが女子歴代最高の52戦連続表彰台を獲得

重たい砂場で前に出るルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) photo:UCI
女子エリートレースでホールショットを決めたのは、前戦でW杯初優勝を挙げ、ランキング首位に浮上したアニック・ファンアルフェン(オランダ、セブンレーシング)。しかし最初の砂区間に入ると「アニックが失速していたので前に出て、状況がどうなるか見てみようと思った」と言うルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が軽々と先頭を奪い取った。
持ち前のパワーを武器に、水を得た魚のようにサルデーニャのスピードコースを飛ばすブラントは2周目に確固たるリードを得て独走体制に。ファンアルフェンとシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)、母国開催に燃えるサラ・カサソラ(イタリア、クレラン・コレンドン)たちが追いかけたものの、その差は埋まるどころか広がる一方。30秒リードを得て巡航体制に入った元世界女王がフィニッシュラインまで突っ走った。

海沿いの平坦路を独走するルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) photo:UCI 
亡くなった母親への涙とキスでフィニッシュするルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) photo:UCI

UCIシクロクロスワールドカップ2025-2026 第3戦 女子エリート表彰台 photo:UCI
亡くなった母親への涙とキスを見せて、フィニッシュラインを超えたブラント。連勝記録を5に伸ばすと同時に、連続表彰台記録を女子歴代最高の52に伸ばして記録を打ち立てた。「2周目が始まった時は厳しい戦いになるだろうと思った。でも突然、全員バラバラになって、後ろにはチームメイトのファンアンローイもいた。チームで走ることができたのはアドバンテージだった」と言うブラント。レース後はチームメイトと一緒に海で泥を洗い流すシーンも放送されていた。
ファンアルフェンが2位でランキング首位をキープし、ファンアンローイが2年ぶりにシクロクロスの表彰台に登壇。「最後半周でメカトラになってしまったのが残念だけど、復調できてとても嬉しい」とレースを振り返っている。
男子エリート:ファントーレンハウトが接戦を制す

ファントーレンハウトやニューウェンハイスを含む4人の先頭グループが泥を突き進む photo:CorVos
翌週のマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)復帰を前にした男子レースで、序盤から攻める走りを見せたのはヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム)とマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ)。後方からは弟のフィリッポと共にEFエデュケーション・イージーポストのシクロクロスプログラムに加入したばかりの22歳、フィリッポ・アゴスティナッキオ(イタリア)も目覚ましい走りで追い上げてくる。
過酷ながら差がつきにくいパワーコースを周回するうちに先頭グループに残ったのは、ニューウェンハイスとファントーレンハウト、ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)、そしてローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン)の4人。夕陽が水面を照らす中、最終周回まで4人のパワー勝負が繰り広げられた。

8位フィニッシュ。母国大会で健闘したフィリッポ・アゴスティナッキオ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

接戦を制したマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ) photo:CorVos
最終周回の泥区間でも砂区間でも差はつかず、周回後半のコーナー区間での激しい競り合いを経てファントーレンハウト先頭で最後の短い砂区間に突入。「調子は良かったので思いきり攻め抜いた」というファントーレンハウトが1,2秒のリードを積み、フィニッシュに向かう舗装路区間でもロングスパートで後続勢との差を僅かに広げていく。最終コーナーを抜け、観客が詰めかけた最終ストレートをもがき抜いたファントーレンハウトが優勝をかっさらった。
今季序盤戦は3勝していたものの、その後は8戦で表彰台が2回だけという、本来の力とは程遠いコンディションに甘んじていた元欧州王者が勝利した。「再び優勝を争えて嬉しいよ。最終ラップでは幸運にもイン側につけることができた。あの少し不調だった時期はこれで過ぎ去ったと願っているよ」と、ファントーレンハウトはレース直後のインタビューに泥だらけの安堵した表情で答えている。

UCIシクロクロスワールドカップ2025-2026 第3戦 男子エリート表彰台 photo:UCI
2位はニューウェンハイス、3位はスウェーク。アゴスティナッキオはイタリア王者のジョエーレ・ベルトリーニ(アレ・コルナゴ)を大きく引き離して8位フィニッシュ。シクロクロス世界選手権の男子ジュニアで勝利した弟マッティアと共にこの先注目の存在となりそうだ。

欧州シクロクロスレースの最高峰「UCIシクロクロスワールドカップ」第3戦の舞台は、大国ベルギー・オランダを飛び出して地中海へ。昨年に新開催地としてスケジュールに加わったものの、強風のため開催見送りとなったイタリアのサルデーニャラウンドが今年改めて帰ってきた。
温暖なドライレースという予想を180度裏切って、ローカル風情溢れる港町に用意されたコースは固く締まった土と草地を基本に、海沿いの湿地(?)と、長い砂区間を組み合わせたものに。長距離移動を嫌って何人ものトップ選手が参加を見送る中、泥と砂でバイクがコーティングされる、機材に過酷なコンディションでスピードレースが繰り広げられた。
女子エリート:独走したブラントが女子歴代最高の52戦連続表彰台を獲得

女子エリートレースでホールショットを決めたのは、前戦でW杯初優勝を挙げ、ランキング首位に浮上したアニック・ファンアルフェン(オランダ、セブンレーシング)。しかし最初の砂区間に入ると「アニックが失速していたので前に出て、状況がどうなるか見てみようと思った」と言うルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が軽々と先頭を奪い取った。
持ち前のパワーを武器に、水を得た魚のようにサルデーニャのスピードコースを飛ばすブラントは2周目に確固たるリードを得て独走体制に。ファンアルフェンとシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)、母国開催に燃えるサラ・カサソラ(イタリア、クレラン・コレンドン)たちが追いかけたものの、その差は埋まるどころか広がる一方。30秒リードを得て巡航体制に入った元世界女王がフィニッシュラインまで突っ走った。



亡くなった母親への涙とキスを見せて、フィニッシュラインを超えたブラント。連勝記録を5に伸ばすと同時に、連続表彰台記録を女子歴代最高の52に伸ばして記録を打ち立てた。「2周目が始まった時は厳しい戦いになるだろうと思った。でも突然、全員バラバラになって、後ろにはチームメイトのファンアンローイもいた。チームで走ることができたのはアドバンテージだった」と言うブラント。レース後はチームメイトと一緒に海で泥を洗い流すシーンも放送されていた。
ファンアルフェンが2位でランキング首位をキープし、ファンアンローイが2年ぶりにシクロクロスの表彰台に登壇。「最後半周でメカトラになってしまったのが残念だけど、復調できてとても嬉しい」とレースを振り返っている。
男子エリート:ファントーレンハウトが接戦を制す

翌週のマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)復帰を前にした男子レースで、序盤から攻める走りを見せたのはヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム)とマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ)。後方からは弟のフィリッポと共にEFエデュケーション・イージーポストのシクロクロスプログラムに加入したばかりの22歳、フィリッポ・アゴスティナッキオ(イタリア)も目覚ましい走りで追い上げてくる。
過酷ながら差がつきにくいパワーコースを周回するうちに先頭グループに残ったのは、ニューウェンハイスとファントーレンハウト、ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)、そしてローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン)の4人。夕陽が水面を照らす中、最終周回まで4人のパワー勝負が繰り広げられた。


最終周回の泥区間でも砂区間でも差はつかず、周回後半のコーナー区間での激しい競り合いを経てファントーレンハウト先頭で最後の短い砂区間に突入。「調子は良かったので思いきり攻め抜いた」というファントーレンハウトが1,2秒のリードを積み、フィニッシュに向かう舗装路区間でもロングスパートで後続勢との差を僅かに広げていく。最終コーナーを抜け、観客が詰めかけた最終ストレートをもがき抜いたファントーレンハウトが優勝をかっさらった。
今季序盤戦は3勝していたものの、その後は8戦で表彰台が2回だけという、本来の力とは程遠いコンディションに甘んじていた元欧州王者が勝利した。「再び優勝を争えて嬉しいよ。最終ラップでは幸運にもイン側につけることができた。あの少し不調だった時期はこれで過ぎ去ったと願っているよ」と、ファントーレンハウトはレース直後のインタビューに泥だらけの安堵した表情で答えている。

2位はニューウェンハイス、3位はスウェーク。アゴスティナッキオはイタリア王者のジョエーレ・ベルトリーニ(アレ・コルナゴ)を大きく引き離して8位フィニッシュ。シクロクロス世界選手権の男子ジュニアで勝利した弟マッティアと共にこの先注目の存在となりそうだ。
UCIシクロクロスワールドカップ2025-2026 第3戦 女子エリート結果
| 1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) | 47:14 |
| 2位 | アニック・ファンアルフェン(オランダ、セブンレーシング) | +0:20 |
| 3位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) | +0:33 |
| 4位 | レオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ) | +1:02 |
| 5位 | サラ・カサソラ(イタリア、クレラン・コレンドン) | |
| 6位 | マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン) | +1:11 |
| 7位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ、デクースター・バウプント) | +1:26 |
| 8位 | レベッカ・ガリボルディ(イタリア) | +1:48 |
| 9位 | ルシア・ブラマーティ(イタリア) | +1:52 |
| 10位 | アンマリー・ワースト(オランダ、セブンレーシング) | +1:58 |
UCIシクロクロスワールドカップ2025-2026 第3戦 男子エリート結果
| 1位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ) | 1:03:17 |
| 2位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム) | +0:01 |
| 3位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) | |
| 4位 | ライアン・カンプ(オランダ) | +0:07 |
| 5位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:11 |
| 6位 | ヴィクトール・ファンデプッテ(ベルギー、デスハフト・ヘンスCXチーム) | +0:13 |
| 7位 | トーン・ファンデボシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +0:23 |
| 8位 | フィリッポ・アゴスティナッキオ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:33 |
| 9位 | メース・ヘンドリクス(オランダ、ヘイゾマット・キューブ) | +0:59 |
| 10位 | ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) | +1:13 |
text:So.Isobe
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