スクリーン越しではない、リアルな興奮。宇都宮ジャパンカップ初日の朝、ジャイアント主催のジェイコ・アルウラーとのファン交流イベントが実現した。ファンそしてプロライダーたちの笑顔に包まれた、濃密なソーシャルライドの模様をレポートします。



セルフィーに応えるクーン・ボウマン(オランダ)。実はジャパンカップ参戦は6年ぶりだ photo:ジャイアント・ジャパン
今シーズンの走りをファンと共に振り返るマイケル・マシューズ photo:ジャイアント・ジャパン


ファンに囲まれながらチルクライムを楽しむプロの皆様 photo:ジャイアント・ジャパン

ホンモノのプロライダーたちが街中を行き交う、ひとときの非日常。10月18日からの2日間、宇都宮は年一回の特別な空気に包まれる。憧れのレーサーとの夢のひとときを叶える、ファン待望の交流イベントが実現した。

題して「ジェイコ・アルウラー・ライド&ミート」。ジャイアントの「プロライダーとの密な交流を楽しんでほしい」という想い、そしてジェイコ・アルウラーの全面協力のもとで叶ったファン待望のソーシャルライドイベントだ。ちなみにチームのジャパンカップ参戦は今年で3年連続、通算6回目だが、ファン交流会はこれが初めてだ。

会場は翌日のロードレースコースである「宇都宮市森林公園」。開催12日前と短い募集期間ながら、エントリー定員50名はほぼ完売の勢いでファンが集結。ジャイアントのバイクオーナーから長年の(グリーンエッジ時代から数えて)ファンまで、老若男女幅広い参加者が揃った。

貸切状態のレースコースをプロと思いのままに走れる。チームはこの後、驚異的なスピードで後ろを置き去りにした photo:ジャイアント・ジャパン

来日組のメンバーは選手5名、監督1名、メカニック1名にソワニエ2名。選手はマイケル・マシューズ(オーストラリア)、フェリックス・エンゲルハート(ドイツ)、マイケル・ヘップバーン(オーストラリア)、クーン・ボウマン(オランダ)、マウロ・シュミット(スイス)。そして、かつてパリ〜ルーべを制した名監督マシュー・ヘイマン(オーストラリア)がチームカーのハンドルを握る。

まずはジャパンカップ公式イベントの「オープニング・フリーラン」の一団として、約10kmの森林公園周回コースを1周する。プロの走りを間近に拝めるのはもちろん、貸切のままにコースを心ゆくまで走れる機会でもあり、毎年人気を博しているプログラムだ。

「まだ下見をしていない」と前日に語ったマシューズは、このフリーランがコース初試走だ。参加者と足並みを揃えてゆったりと古賀志林道を登り切り、ファンたちを従えてコースを流していく。惚れ惚れするような美しいペダリングにファンから熱い視線が送られていた。

ラスト1kmのボードからは、レースさながらのスプリントトレインが発車(おそらく本番へのシミュレーションと思われる)!とある参加者が「800Wで踏んでも追いつけなかった」と舌を巻くほどのハイスピードであっという間に1ラップを完走。先頭付近にいた参加者は、プロペロトンのゴールスプリントを擬似体験できたはず。

神社の鳥居をバックにヒルスプリント! photo:ジャイアント・ジャパン

参加者のバイクに興味津々なマシューズ。気さくで自転車愛に溢れたナイスガイだった photo:ジャイアント・ジャパン

前日のチームプレゼンテーション、そして会場でも一際大きな声援を浴びていたのは、高い激坂適正でロードレースの大本命を張るマイケル・マシューズ。前週にイル・ロンバルディアを終えたばかりだが、疲れも見せずリラックスした様子で過ごしていた。

会場でひとしきり交流を楽しんだのち、ファンたちと共に約7kmのエクストラコースへ。鶴カントリークラブ(かつてジャパンカップの本コースだったショートクライム)を越え、のどかな田舎道へとクルージングしていく。道中の激坂区間では、マシューズのサービス精神溢れる(?)スプリントが飛び出す場面も。終始リラックスしたムードでライドは進む。

地元の観光名所「大谷資料館」にてサイン会が実施された photo:ジャイアント・ジャパン

お待ちかねのサイン会。このイベントのために選手一人一人にポストカードが用意された photo:ジャイアント・ジャパン
チームサンウェブ時代のツールポイント賞レプリカカラー。わざわざグリーンにカスタムペイントしたというこだわりっぷり! photo:ジャイアント・ジャパン


未来の世界王者?と記念撮影 photo:ジャイアント・ジャパン

ゴール地点の「大谷資料館」は、ジャパンカップの優勝トロフィーにも採用されたことのある地元の名石にちなんだ施設。そびえ立つ岩壁をバックにサイン会場が開かれ、ファンが長い行列を作った。ボトルにサコッシュ、果てはオリジナルペイントのフレームセットまで、様々なファングッズに直筆サインが添えられていく。

ラストは記念グループフォトで締め、ファンミーティングは盛況のうちに終幕。その撮影時には、ヘイマンが大谷石製のブランドロゴ(逆三角形のGマーク)を掲げる一幕も。パリルーベの優勝トロフィーになぞらえた演出はマニア達の笑いを誘った。

チームスポンサーであるシーコンのアイウェアに直筆サインをゲット photo:ジャイアント・ジャパン
チームボトルにもサインをゲット photo:ジャイアント・ジャパン


締めの全員集合フォト。右のヘイマン監督が抱える”あるもの”に注目 photo:ジャイアント・ジャパン

熱烈なファンの姿に、ジェイコのライダーたちの表情は明るかった。初の試みであったが、選手一同おそらくここまでの盛り上がりは想定してなかったのではと思う。

総じて、ジャイアントのスタッフの言葉を借りれば「大成功」なファンミーティングとなった。本イベントを皮切りに、今後もプロアスリートとの密な交流機会を設けていくという。ぜひ期待して待ちたいところだ。


All Photo by GIANT JAPAN
text by Ryota Nakatani

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