初出場で初優勝を飾った2021年から4連勝中のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が狙うは、大会史上初となる5連覇。今年はコモを発ちベルガモにフィニッシュするため、終盤のガンダ峠が鍵となるコースの要点と、世界王者に挑む選手たちを紹介する。

今年はベルガモにフィニッシュする photo:CorVos
2月に幕開けしたヨーロッパでのUCIワールドツアーも、本日10月11日に最終戦を迎える。それは「モニュメント(5大クラシック)」の最後の一つであり、初開催が1905年まで遡る伝統の一戦。また秋に開催され、コース上には赤と黄色に色づいた木の葉が散らばるため、「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」とも呼ばれている。
総距離241kmに4,500mを超える獲得標高差のため、有利なのはクライマーやパンチャーといった脚質の選手たち。最大の特徴は毎年スタートとフィニッシュ地点が入れ替わることで、奇数年の今年はコモを出発して、ベルガモが着地点となる。
2年前はガンダ峠の下りで勝負が決まる

イル・ロンバルディア2025 コースプロフィール image:RCS Sport
越えるのは6つの登り。まずはサイクリストの聖地「マドンナ・デル・ギザッロ教会」の丘を登り、鐘の音を聴いた選手たちはレッコ湖沿いを南下、蛇行しながらロンコラ(距離9.4km/平均6.6%)とベルベンノ(距離6.8km/平均4.6%)をクリア。コース後半に入り、パッソ・デッラ・クロチェッタ(距離11.0km/平均6.2%)とザンブラ・アルタ(距離9.5km/平均3.5%)を越え、最後に残り40.7km地点から始まるパッソ・ディ・ガンダ(距離9.2km/平均7.3%)が待ち受ける。
ガンダは頂上手前に最大勾配15%が登場し、アタックには絶好の場所。同じコースを走った2年前はポガチャルが頂上手前で仕掛け、食らいついた5名をその下りで引き離し、31kmの独走勝利を決めた。

イル・ロンバルディア2025 コースマップ image:RCS Sport
5連覇狙うポガチャルを止められるのは?

2024年にアルカンシエルを纏い、4度目の優勝を果たしたタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:CorVos
ポガチャルは初出場だった2021年はファウスト・マスナダ(イタリア、現XDSアスタナ)をマッチスプリントで退け、初優勝。翌年も一騎打ちでエンリク・マス(スペイン、モビスター)を下し、2023年は31km、そして昨年の48kmと2年連続での独走優勝を決めている。つまりフィニッシュがベルガモであろうと、コモであろうとポガチャルには関係ないのだ。
ファウスト・コッピ(イタリア)が1946〜49年に記録した4連覇に並ぶポガチャルにとって、今年優勝すれば史上初の5連覇となる。通算優勝回数でもコッピの5勝とタイに並ぶ大一番。ツール・ド・フランスで総合優勝して以降、この秋はロード世界選手権で連覇を達成し、ヨーロッパ選手権では圧巻の75km独走勝利。直近の前哨戦でも22kmを独走優勝と、その記録達成に立ちはだかりそうなライバルが見当たらないのが現状だ。
ポガチャルに次ぐ優勝候補がチームメイトのイサーク・デルトロ(メキシコ)であることも、ポガチャルの優勝予想を強める要因になっている。秋のイタリアでのワンデーレースではその積極的なスタイルを用いて9戦6勝と絶好調。また初出場だった5月のジロ・デ・イタリアでは11日間にわたりマリアローザを着用と、イタリアとの相性も抜群で、プロ2年目の21歳ながら、ポガチャルを差し置いて優勝しても不思議ではない強さを誇る。

イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

初優勝狙うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
隙のないUAEに挑むのは昨年2位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)で、世界選手権と欧州選手権ではポガチャルの加速に追従することができずどちらも2位。しかし直前の記者会見では「タデイ(ポガチャル)に勝てると思っていなければここにはいない」と自信を見せ、また「このチームで走る最後のレースなので特別なモチベーションがある」と7年過ごし、今年末で離れるチームへの惜別を語った。
共にイギリス人のトーマス・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)やオスカー・オンリー(ピクニック・ポストNL)も有力で、お隣の国アイルランド出身のベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)も世界選手権で3位と好調。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)と新星ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)と強力布陣で挑む。
また4月のアムステルゴールドレースでポガチャルとエヴェネプールをスプリントで退けたマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)や、テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)、ジャパンカップにも来るレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)の走りにも期待したい。

2月に幕開けしたヨーロッパでのUCIワールドツアーも、本日10月11日に最終戦を迎える。それは「モニュメント(5大クラシック)」の最後の一つであり、初開催が1905年まで遡る伝統の一戦。また秋に開催され、コース上には赤と黄色に色づいた木の葉が散らばるため、「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」とも呼ばれている。
総距離241kmに4,500mを超える獲得標高差のため、有利なのはクライマーやパンチャーといった脚質の選手たち。最大の特徴は毎年スタートとフィニッシュ地点が入れ替わることで、奇数年の今年はコモを出発して、ベルガモが着地点となる。
2年前はガンダ峠の下りで勝負が決まる

越えるのは6つの登り。まずはサイクリストの聖地「マドンナ・デル・ギザッロ教会」の丘を登り、鐘の音を聴いた選手たちはレッコ湖沿いを南下、蛇行しながらロンコラ(距離9.4km/平均6.6%)とベルベンノ(距離6.8km/平均4.6%)をクリア。コース後半に入り、パッソ・デッラ・クロチェッタ(距離11.0km/平均6.2%)とザンブラ・アルタ(距離9.5km/平均3.5%)を越え、最後に残り40.7km地点から始まるパッソ・ディ・ガンダ(距離9.2km/平均7.3%)が待ち受ける。
ガンダは頂上手前に最大勾配15%が登場し、アタックには絶好の場所。同じコースを走った2年前はポガチャルが頂上手前で仕掛け、食らいついた5名をその下りで引き離し、31kmの独走勝利を決めた。

5連覇狙うポガチャルを止められるのは?

ポガチャルは初出場だった2021年はファウスト・マスナダ(イタリア、現XDSアスタナ)をマッチスプリントで退け、初優勝。翌年も一騎打ちでエンリク・マス(スペイン、モビスター)を下し、2023年は31km、そして昨年の48kmと2年連続での独走優勝を決めている。つまりフィニッシュがベルガモであろうと、コモであろうとポガチャルには関係ないのだ。
ファウスト・コッピ(イタリア)が1946〜49年に記録した4連覇に並ぶポガチャルにとって、今年優勝すれば史上初の5連覇となる。通算優勝回数でもコッピの5勝とタイに並ぶ大一番。ツール・ド・フランスで総合優勝して以降、この秋はロード世界選手権で連覇を達成し、ヨーロッパ選手権では圧巻の75km独走勝利。直近の前哨戦でも22kmを独走優勝と、その記録達成に立ちはだかりそうなライバルが見当たらないのが現状だ。
ポガチャルに次ぐ優勝候補がチームメイトのイサーク・デルトロ(メキシコ)であることも、ポガチャルの優勝予想を強める要因になっている。秋のイタリアでのワンデーレースではその積極的なスタイルを用いて9戦6勝と絶好調。また初出場だった5月のジロ・デ・イタリアでは11日間にわたりマリアローザを着用と、イタリアとの相性も抜群で、プロ2年目の21歳ながら、ポガチャルを差し置いて優勝しても不思議ではない強さを誇る。


隙のないUAEに挑むのは昨年2位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)で、世界選手権と欧州選手権ではポガチャルの加速に追従することができずどちらも2位。しかし直前の記者会見では「タデイ(ポガチャル)に勝てると思っていなければここにはいない」と自信を見せ、また「このチームで走る最後のレースなので特別なモチベーションがある」と7年過ごし、今年末で離れるチームへの惜別を語った。
共にイギリス人のトーマス・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)やオスカー・オンリー(ピクニック・ポストNL)も有力で、お隣の国アイルランド出身のベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)も世界選手権で3位と好調。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)と新星ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)と強力布陣で挑む。
また4月のアムステルゴールドレースでポガチャルとエヴェネプールをスプリントで退けたマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)や、テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)、ジャパンカップにも来るレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)の走りにも期待したい。
イル・ロンバルディア歴代優勝者
2024年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
2023年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
2022年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
2021年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
2020年 | ヤコブ・フルサン(デンマーク) |
2019年 | バウケ・モレマ(オランダ) |
2018年 | ティボー・ピノ(フランス) |
2017年 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) |
2016年 | エステバン・チャベス(コロンビア |
2015年 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) |
2014年 | ダニエル・マーティン(アイルランド) |
1954年 | ファウスト・コッピ(イタリア) |
1949年 | ファウスト・コッピ(イタリア) |
1948年 | ファウスト・コッピ(イタリア) |
1947年 | ファウスト・コッピ(イタリア) |
1946年 | ファウスト・コッピ(イタリア) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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