ロードヨーロッパ選手権の女子エリートロードレースでデミ・フォレリング(オランダ)が37kmの独走。ツール・ファムやロード世界選手権での悔しさを晴らして自身初戴冠と共に、オランダに7年連続の王者ジャージをもたらした。



フランス南東部のアルデシュ県で行われたロードヨーロッパ選手権の女子エリートロードレース photo:CorVos

フランス南東部のドローム県とアルデシュ県にまたがり開催中のロードヨーロッパ選手権。最終日前日である10月4日に女子エリートのロードレースが行われ、79名の選手たちによって白地に3種の青横線、そして欧州旗の星があしらわれたヨーロッパ王者ジャージが争われた。

コースはアルデシュ県のプリヴァからギュイラン・グランジュに向かう116.1kmで、平坦基調ではあるものの、後半にサン・ロマン・ド・レルプス(登坂距離7km/平均勾配7.2%)が登場。その後もフィニッシュまでに距離の短い急勾配の丘が3つ設定された丘陵ステージとなった。そのためスプリンターの姿はなく、クライマーや総合系の選手たちが多数出場した。

タイムトライアルで世界選手権と欧州選手権の2冠を達成したマーレン・ロイサー(スイス)は出場せず。ツール・ド・フランス・ファムの総合優勝者であるポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)はルワンダでの世界選手権後に体調を崩し、3月に負った足首の手術をするためにも、今シーズン終了を宣言している。優勝候補の2名を欠くレースがスタートすると、カリーナ・シュレンプ(オーストリア)ら3名が逃げた。

オランダチームによる高速牽引が集団の人数を絞っていく photo:UEC

しかしレース中盤で捉えられると、前世界王者であるロッテ・コペッキーのいないベルギーからマルゴ・ファンパクテンベーケが下り区間でアタックする。一時は1分半のリードを稼ぐも集団に吸収され、最大勾配14%のサン・ロマン・ド・レルプスに突入。頂上手前2km、フィニッシュまで39kmを残した地点でデミ・フォレリング(オランダ)が加速した。

優勝候補筆頭のフォレリングのアタックにはカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)とエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)、そしてチームメイトであるアンナ・ファンデルブレッヘンの3名しか反応できない。再びアタックしたフォレリングはロンゴボルギーニ以外を振り落とし、3度目のアタックでそのロンゴボルギーニもドロップ。残り37km地点で単独先頭に立った。

残り37km地点で単独先頭に立ったデミ・フォレリング(オランダ) photo:UEC

初優勝を飾ったデミ・フォレリング(オランダ) photo:CorVos

今年はストラーデビアンケで優勝するものの、ワンデーレースでは表彰台に上がりながらも勝ちきれないレースが続いたフォレリング。ツール・ファムでは2年連続の2位に終わり、ロード世界選手権ではTTで3位に入ったものの、優勝候補に挙げられたロードでは豊富なチームメイトを擁しながら7位。そんな悔しさを払拭する激走を披露しながら、ギュイラン・グランジュに設けられたフィニッシュラインを通過した。

2019年から7年連続でオランダ人優勝者となったフォレリング。「このチャンピオンジャージをオランダに持ち帰ることができて誇りに思う。私たちは完璧なレース展開に持ち込み、自分自身調子もよく、自信もあった。それに世界選手権に向けて行ったTTのトレーニングも積んでいたので、長い距離の独走を狙った。世界選手権から続く素晴らしいチームの走りを勝利で締めくくりたかった」と、喜びを語った。

追走集団からロンゴボルギーニは遅れ、マーク役に徹したファンデルブレッヘンを最後振り切ったニエウィアドマが1分18秒遅れの2位。3位はファンデルブレッヘンでオランダはワンツースリーフィニッシュを果たした。

オランダに7年連続の欧州王者ジャージをもたらしたデミ・フォレリング(オランダ) photo:UEC

チームメイトと勝利を喜ぶデミ・フォレリング(オランダ) photo:UEC
ロードヨーロッパ選手権2025 女子エリートロードレース結果
1位 デミ・フォレリング(オランダ) 2:57:53
2位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド) +1:18
3位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) +1:24
4位 エリーズ・シャベイ(スイス) +2:31
5位 フランシスカ・コッホ(ドイツ)
6位 ジュリエット・ラブース(フランス)
7位 マビ・ガルシア(スペイン)
8位 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ) +3:08
9位 セドリーヌ・ケルバオル(フランス) +4:38
10位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア) +4:42
text:Sotaro.Arakawa
photo:UEC, CorVos