落車や抗議デモなどが重なったブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ。24.1kmのチームタイムトライアルは、アユソやアルメイダを中心とするUAEチームエミレーツXRGがトップタイムをマーク。区間2位だったヴィスマ・リースアバイクのヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が再びマイヨロホを手にした。

ブエルタ第5ステージのスタート地点となったダリ劇場美術館 photo:A.S.O.
8月27日(水)第5ステージ
フィゲレス〜フィゲレス 24.1km(チームTT)
獲得標高差86m
ようやくスペイン本土に入ったブエルタは、その初日にチームタイムトライアルが行われた。舞台はスペイン本土の北東端に位置する街で、画家サルバドール・ダリの生誕地であるフィゲレス。スタート直後に下り、フィニッシュまで緩斜面の登りが続くが、波乱を誘発するようなレイアウトではない。有利なのは24.1kmを安定して牽引できるルーラーやTTスペシャリストを多く抱えるチームだ。
前日の時点でチーム総合成績が最下位であるロットから順に、巨大な卵が特徴的なダリ劇場美術館の前からスタートを切る。袖が黄色とピンクのアシンメトリーなスペシャルジャージで臨んだベルギーのプロチームは25分53秒、平均時速55.866km/hをマークし、しばらくこれが最速タイムとなった。

今大会スペシャルジャージで臨んだロットは区間10位と好走 photo:A.S.O.

得意のTTでチームを牽引したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.
そのトップタイムを更新したのは、ここ4日間で勝利こそないものの、主役級の活躍を見せるリドル・トレックだった。TTを得意とするマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)のマッズ・ピーダスン(デンマーク)はもちろん、今年のジロ・デ・イタリアの個人TTで区間優勝したダーン・ホーレ(オランダ)を擁するリドルは、後半につれてスピードを増すなか、最後尾のカルロス・ベローナ(スペイン)がコーナーを曲がりきれずに落車する場面もあった。
しかしフィニッシュの計測対象である4名に揃えて走り、ロットのタイムを18秒更新。結果的にそのタイムを超えられたのは2チームのみだった。
グランツールで総合に初挑戦中のトーマス・ピドコック(イギリス)を擁するQ36.5プロサイクリングは、リドルから13秒遅れと好走を見せ、最終的に区間8位と健闘。昨年大会ではプロ初勝利を含む区間2勝を飾ったパブロ・カストリーリョ(スペイン)のいるモビスターも、オールイス・アウラール(ベネズエラ)のコースアウトというトラブルがありながら、リドルの8秒遅れ(区間6位)とまずまずの結果を残す。

ステージ6位に入ったモビスター photo:A.S.O.

フィリッポ・ガンナ(イタリア)がイネオス・グレナディアーズを牽引する photo:A.S.O.
そして過去にTT世界選手権を2連覇し、現イタリアTT王者であるフィリッポ・ガンナを先頭にイネオス・グレナディアーズが走り出す。第1中間計測(7.8km)で7分57秒のトップ通過。しかし後半での伸びを欠き、リドルよりも7秒遅い25分42秒でフィニッシュ。ステージ優勝は逃したものの、エガン・ベルナル(コロンビア)の総合成績に貢献した。
全体の18番目に走り出したイスラエル・プレミアテックは、コース途中でガザでの戦争に抗議するデモグループがコースを塞いだ。先導するモトバイクがなんとか進路を確保したが、数名は一時停止を余儀なくされ、それでも区間14位と健闘した。
ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)を総合エースに据えるレッドブル・ボーラ・ハンスグローエは、TTスペシャリストであるマッテオ・ソブレロ(イタリア)が落車するものの、リドルに3秒差まで迫る好走(区間4位)。受け身を取り、再スタートを切ったソブレロは、ジャージが破れた状態ながらも無事フィニッシュしている。

トップタイムを叩き出し、ステージ優勝したUAEチームエミレーツXRG photo:CorVos
そして最後から3番目に、TTの得意な選手を多数擁する優勝候補・UAEチームエミレーツXRGがスタート。母国スペインの地でマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るフアン・アユソがまず先頭に立ち、全体のリズムを作る。第1中間計測をイネオスと同じトップタイムで通過すると、第2計測(16.6km)はトップのリドルよりも4秒遅れで通過。しかし残り7.5kmでスピードを上げ、リドルを9秒上回る25分26秒でフィニッシュした。
そしてチーム総合首位だが、アクセル・ジングレ(フランス)のリタイアで1名少ないヴィスマ・リースアバイクが走り出す。第1計測では3秒遅れとまずまずのペースだったものの、第2計測ではトップタイムから17秒遅れと後退。ここからヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)を中心に驚異的な追い上げを見せ、最終的にリドルを1秒上回る25分34秒、UAEから8秒遅れでフィニッシュ。堂々の区間2位に食い込んだ。

8秒遅れの区間2位だったヴィスマ・リースアバイク photo:A.S.O.

マイヨロホを手放したダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) photo:A.S.O.

ステージ優勝を喜ぶフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
そして最後はマイヨロホを着るダヴィド・ゴデュ(フランス)のグルパマFDJが走り出し、24秒遅れの区間9位でレースを終える。この結果、ゴデュが総合6位に転落し、ヴィンゲゴーが総合首位に返り咲く。総合2位はアユソ、3位はジョアン・アルメイダ(ポルトガル)、4位はマルク・ソレル(スペイン)と、上位3名が8秒差にひしめく状況となった。
チームに今シーズン74勝目をもたらしたアルメイダは「ステージ優勝を狙えることは分かっていたが、他にも強いチームがいた。だからこそ現実を見据えながら、完璧に近い走りができた。本当は美しく、初めてとなるマイヨロホを着用したかった。でも確実に近づいている。だからこそここからも戦い続ける」と語った。
一方、マイヨロホを取り戻したヴィンゲゴーは「昨日失ってしまった美しいマイヨロホを、再び着用できて本当に嬉しい。明日は今大会最初の厳しい(山岳)ステージ。また集中し直して、戦いに向けて準備しなければならない」と、喜びと同時に翌日への意気込みを語った。

ステージ優勝し、アユソとアルメイダを総合トップ3に入れたUAEチームエミレーツXRG photo:CorVos

再びマイヨロホに袖を通したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

8月27日(水)第5ステージ
フィゲレス〜フィゲレス 24.1km(チームTT)
獲得標高差86m
ようやくスペイン本土に入ったブエルタは、その初日にチームタイムトライアルが行われた。舞台はスペイン本土の北東端に位置する街で、画家サルバドール・ダリの生誕地であるフィゲレス。スタート直後に下り、フィニッシュまで緩斜面の登りが続くが、波乱を誘発するようなレイアウトではない。有利なのは24.1kmを安定して牽引できるルーラーやTTスペシャリストを多く抱えるチームだ。
前日の時点でチーム総合成績が最下位であるロットから順に、巨大な卵が特徴的なダリ劇場美術館の前からスタートを切る。袖が黄色とピンクのアシンメトリーなスペシャルジャージで臨んだベルギーのプロチームは25分53秒、平均時速55.866km/hをマークし、しばらくこれが最速タイムとなった。


そのトップタイムを更新したのは、ここ4日間で勝利こそないものの、主役級の活躍を見せるリドル・トレックだった。TTを得意とするマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)のマッズ・ピーダスン(デンマーク)はもちろん、今年のジロ・デ・イタリアの個人TTで区間優勝したダーン・ホーレ(オランダ)を擁するリドルは、後半につれてスピードを増すなか、最後尾のカルロス・ベローナ(スペイン)がコーナーを曲がりきれずに落車する場面もあった。
しかしフィニッシュの計測対象である4名に揃えて走り、ロットのタイムを18秒更新。結果的にそのタイムを超えられたのは2チームのみだった。
グランツールで総合に初挑戦中のトーマス・ピドコック(イギリス)を擁するQ36.5プロサイクリングは、リドルから13秒遅れと好走を見せ、最終的に区間8位と健闘。昨年大会ではプロ初勝利を含む区間2勝を飾ったパブロ・カストリーリョ(スペイン)のいるモビスターも、オールイス・アウラール(ベネズエラ)のコースアウトというトラブルがありながら、リドルの8秒遅れ(区間6位)とまずまずの結果を残す。


そして過去にTT世界選手権を2連覇し、現イタリアTT王者であるフィリッポ・ガンナを先頭にイネオス・グレナディアーズが走り出す。第1中間計測(7.8km)で7分57秒のトップ通過。しかし後半での伸びを欠き、リドルよりも7秒遅い25分42秒でフィニッシュ。ステージ優勝は逃したものの、エガン・ベルナル(コロンビア)の総合成績に貢献した。
全体の18番目に走り出したイスラエル・プレミアテックは、コース途中でガザでの戦争に抗議するデモグループがコースを塞いだ。先導するモトバイクがなんとか進路を確保したが、数名は一時停止を余儀なくされ、それでも区間14位と健闘した。
ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)を総合エースに据えるレッドブル・ボーラ・ハンスグローエは、TTスペシャリストであるマッテオ・ソブレロ(イタリア)が落車するものの、リドルに3秒差まで迫る好走(区間4位)。受け身を取り、再スタートを切ったソブレロは、ジャージが破れた状態ながらも無事フィニッシュしている。

そして最後から3番目に、TTの得意な選手を多数擁する優勝候補・UAEチームエミレーツXRGがスタート。母国スペインの地でマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るフアン・アユソがまず先頭に立ち、全体のリズムを作る。第1中間計測をイネオスと同じトップタイムで通過すると、第2計測(16.6km)はトップのリドルよりも4秒遅れで通過。しかし残り7.5kmでスピードを上げ、リドルを9秒上回る25分26秒でフィニッシュした。
そしてチーム総合首位だが、アクセル・ジングレ(フランス)のリタイアで1名少ないヴィスマ・リースアバイクが走り出す。第1計測では3秒遅れとまずまずのペースだったものの、第2計測ではトップタイムから17秒遅れと後退。ここからヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)を中心に驚異的な追い上げを見せ、最終的にリドルを1秒上回る25分34秒、UAEから8秒遅れでフィニッシュ。堂々の区間2位に食い込んだ。



そして最後はマイヨロホを着るダヴィド・ゴデュ(フランス)のグルパマFDJが走り出し、24秒遅れの区間9位でレースを終える。この結果、ゴデュが総合6位に転落し、ヴィンゲゴーが総合首位に返り咲く。総合2位はアユソ、3位はジョアン・アルメイダ(ポルトガル)、4位はマルク・ソレル(スペイン)と、上位3名が8秒差にひしめく状況となった。
チームに今シーズン74勝目をもたらしたアルメイダは「ステージ優勝を狙えることは分かっていたが、他にも強いチームがいた。だからこそ現実を見据えながら、完璧に近い走りができた。本当は美しく、初めてとなるマイヨロホを着用したかった。でも確実に近づいている。だからこそここからも戦い続ける」と語った。
一方、マイヨロホを取り戻したヴィンゲゴーは「昨日失ってしまった美しいマイヨロホを、再び着用できて本当に嬉しい。明日は今大会最初の厳しい(山岳)ステージ。また集中し直して、戦いに向けて準備しなければならない」と、喜びと同時に翌日への意気込みを語った。


ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第5ステージ
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 25:26 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +0:08 |
3位 | リドル・トレック | +0:09 |
4位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +0:12 |
5位 | イネオス・グレナディアーズ | +0:16 |
6位 | モビスター | +0:17 |
7位 | デカトロンAG2Rラモンディアール | |
8位 | Q36.5プロサイクリング | +0:22 |
9位 | グルパマFDJ | +0:24 |
10位 | ロット | +0:27 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 16:11:24 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:08 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | |
4位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | |
5位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | +0:09 |
6位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +0:16 |
7位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
8位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:20 |
9位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:22 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 78pts |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 76pts |
3位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 75pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | 11pts |
2位 | ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 9pts |
3位 | アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・B&Bホテルズ) | 8pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 16:11:32 |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:12 |
3位 | ベン・トゥレット(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:39 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 47:43:44 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク) | +0:06 |
3位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +0:35 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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