サイクルアクセサリーブランドのguee(グイー)が手掛けるTPUチューブ「AEROLITE」。軽量で携帯性に優れ、金属バルブを採用し、チューブレスバルブとしても使えるTPUチューブをインプレッションしていく。



guee TPU TUBES AEROLITE INNER TUBE photo:Michinari TAKAGI

インターテックが取り扱うサイクルアクセサリーブランド、グイー。2010年に創業し、バーテープやフラットバー用グリップ、TPUチューブ、マグネット式ボトル、ソックスなどのアイテムを手掛けている。

ロード用TPUチューブ「AEROLiteインナーチューブ」は700×20-32Cの仕様で約36gと、ブチルチューブの約1/3から1/4程度の軽さを実現している。コンパクトにもなるため、携帯性に優れ持ち運びやすい。

TPU素材はタイヤとチューブの摩擦抵抗を低減してくれる photo:Michinari TAKAGI

金属製バルブを採用 photo:Michinari TAKAGI

近年その勢いを増すTPUチューブは、その圧倒的な軽量性に加え、タイヤとチューブの摩擦抵抗を低減することによる低転がり抵抗が大きな魅力。強度も高く、ブチルチューブに比べて耐パンク性にも優れている。

そんなTPUチューブの中でもこのAeroliteが持つ大きなメリットは金属製バルブを採用している点だ。接着の難易度もあり、通常のTPUチューブでは樹脂製バルブを採用しているが、金属バルブを搭載することで耐久性が向上し、バルブコアの着脱も可能となっている。さらに、チューブがパンクしてしまった後でも、バルブ部分を切り離してチューブレスバルブとして再利用できるという、ユニークでエコな特徴も持っている。

根元から切り離すことで、チューブレスタイヤ用のバルブとして再利用できる photo:Gakuto Fujiwara
TPUチューブの繋ぎ目はしっかりと接着されている photo:Michinari TAKAGI

チューブ全体にインストールガイドラインが設けられており、取り付け時のねじれを目視で確認しやすいように。作業性も向上し、嚙み込みパンクのトラブルも回避できる工夫がされている。

バルブ長は60mmと75mmの2種類がラインアップされ、ホイールに合わせて選択できる。価格は3,520円で、取り扱いはインターテックだ。

それでは、編集部インプレッションへ移っていこう。



―編集部インプレッション

実測値は34g photo:Michinari TAKAGI

guee TPU TUBES AEROLITE INNER TUBEのインプレッションを担当するのは多くのブランドのタイヤやチューブを使用し、TPUチューブもいくつかテストしてきた編集部員の高木。因みに身長は175cmと体重は60kgだ。

今回のテストホイールはシマノ ULTEGRA C50 TL。リムハイトは50mmでグイー TPU TUBES AEROLITE INNER TUBEの60mmを取り付けてみたが、バルブの長さは空気入れのヘッドのパッキンが食いつくのに十分だった。

重量を測ると34g。TPU素材を採用する他ブランドのインナーチューブとほぼ同等のスペック、と言いたいところだがこのチューブは金属バルブを採用している分、重量面では本来不利なハズ。その点を鑑みればかなり軽量な部類のTPUチューブと言えるだろう。

インストールガイドラインが設けられており、取り付け時のねじれを防いでくれる photo:Gakuto Fujiwara

TPUチューブは耐久性に優れているが、いくつか注意点がある。熱可塑性、つまり高熱下で変形しやすくなるため、ブレーキによる摩擦でリムが高温になる可能性のあるリムブレーキでの使用は推奨されないこと。ゴムチューブよりも弾力性が低く一度大きく膨らむと元に戻りづらいため、タイヤに装着する際に膨らませすぎないよう注意が必要なこと。さらに、太いタイヤで使用したものを細いタイヤで再利用することもできない。以上の注意点は一読してもらいたい。

タイヤを取り付け、AEROLITE INNER TUBEに0.5barの空気を入れて装着していく。クリアなチューブに描かれたオレンジの「インストールガイドライン」によって、取り付け時に起こりやすいチューブのねじれが目視しやすいのはこれまでに無かったアイディアだ。着色しやすいTPUチューブならではの工夫でもある。しっかりと効率的に装着でき、作業ミスのリスクも軽減してくれる。

今回のテストではミシュラン LITHION4と組み合わせてAEROLITE INNER TUBEをテストしていく photo:Gakuto Fujiwara

今回はミシュラン LITHION4と組み合わせてテストしていく。乗り出してからまず感じられたのは転がりの軽さ。ホイール外周部の重量を軽くしてくれるため漕ぎ出しや加速時の軽さは、一般的なブチルチューブから変えるだけで驚くほど。

また、ホイール外周部の軽量化は慣性を軽減してくれるため、右に左に切り返していく峠のテクニカルなダウンヒルでも思うがままに操れるように。TPUチューブは薄くしなやかであるため、乗り心地もよくなり、路面追従性も高くなる。

運動性能が上がり、コーナーリングしやすい photo:Gakuto Fujiwara

ホイール外周部の軽量化でヒルクライムでも武器になる photo:Gakuto Fujiwara

軽量なクリンチャータイヤと組み合わせれば、レーシングチューブレスレディタイヤ+シーラントと同等の重量になるため、ロードレースやヒルクライムでも武器になるだろう。

さて、このチューブ最大の特徴でもある金属バルブだが、信頼性という意味では樹脂バルブより数段上なのは間違いない。TPUチューブでバルブコアを外す必要はないかもしれないが、携帯ポンプ、とくにホースを介さないタイプのポンプを使用する際にも安心感がある。

また、携帯電動ポンプの愛用者にとっては、更に大きなメリットとなるだろう。空気を圧縮する際に生まれる熱によって、携帯電動ポンプは高熱を発生させ、樹脂バルブを変形させてしまうリスクがある。

そのため、巷間ではTPUチューブと携帯電動ポンプの組み合わせはNGとされているが、金属バルブを採用するAEROLITE INNER TUBEであればそのタブーを乗り越えられる。バルブから熱が伝わりチューブとの接合部に影響を与える可能性はあるが、樹脂バルブ採用製品に比べれば、そのリスクは圧倒的に低く抑えられているだろう。

チューブレスタイヤ用のバルブとして再利用でき、エコである photo:Gakuto Fujiwara

軽量なレーシングクリンチャータイヤと組み合わせればロードレースやヒルクライムでおすすめ photo:Gakuto Fujiwara

常用するにも申し分のない性能だが、スペアチューブとしても魅力的。ブチルチューブ1本分のスペースに、AEROLITE INNER TUBEは2本を収納可能なほどコンパクト。サドルバッグやツール缶の限られた容量の中で、バックアップの数を増やせるのは安心だし、よりスマートなストレージに乗り換えることも出来る。

金属バルブの頑丈さは予備チューブとして収納している際にも効果を発揮する。少し強めに押し込んでも、折れたりする心配もない。

優れた軽量性と転がり性能でロードレースやヒルクライムで真価を発揮しつつ、金属バルブ採用による扱いやすさを兼ね備えたAEROLITE INNER TUBE。

TPUチューブのネガティブを排除し、その性能をより身近にしてくれる。全てのサイクリストに一度試してみてほしい逸品だ。


guee TPU TUBES AEROLITE INNER TUBE
重量:36g
対応タイヤ幅:25-32C
バルブ:仏式
バルブ長:60mm、75mm
価格:3,520円(税込)

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