女子ブエルタ・ア・ブルゴスで区間2勝を挙げたマーレン・ロイサー(スイス、モビスター)が総合優勝を達成。垣田真穂(ビーピンク・イマトラ・ボンジョアンニ)は初のワールドツアーレース完走を果たしている。



スペイン・ブルゴス県で開催されたUCI女子ワールドツアーレース「ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナス」。クラシックレースから再始動したトップ選手が多数集結した photo:Vuelta a Burgos

2025年5月22日から25日にかけて、スペイン・ブルゴス県で開催された全4ステージの女子ステージレースが「ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナス」。1週間前にバスクで開催された「イツリア・ウィメン」に続くUCI女子ワールドツアーレースであり、今年は第3ステージに超級山岳「ピコン・ブランコ」の山頂フィニッシュが登場し、最終日は9.4kmの個人タイムトライアルが開催されるなど、総合力が問われるステージ構成となった。

レースには世界女王ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)やエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ)、トップスプリンターのロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)、エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)など、アルデンヌクラシック後の休息明けでツール・ド・フランス・ファムを目指す選手たちが集結。ビーピンク・イマトラ・ボンジョアンニからは垣田真穂が自身初のワールドツアーステージレースに出場を果たした。

第1ステージ:ステージ終盤にエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ)らがアタックを仕掛ける photo:Vuelta a Burgos

第1ステージ:ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)が圧勝して総合首位に photo:CorVos

ブルゴスをスタートする第1ステージは後半の登坂区間で激しいアタックが掛かったものの、スプリンターチームがまとめあげて平均5.9%の登坂フィニッシュへ。欧州女王ウィーベスが持ち前の爆発力でバルサモらを退けて初日リーダージャージを手にした。

第2ステージ:マーレン・ロイサー(スイス、モビスター)が登坂で抜け出してステージ2位&総合2位に photo:CorVos

第3ステージ:マーレン・ロイサー(スイス、モビスター)が超級フィニッシュを制し、総合首位浮上に成功する photo:CorVos

ウィーベスがステージ優勝と総合首位、コペッキーが同3位と最良の形で滑り出したSDワークスだったが、2日目のステージ後半に発生した集団落車にコペッキーが巻き込まれ遅れる事態に。コペッキーを置き去りにして突き進む第1グループではロンゴボルギーニが登坂区間でアタックし、続いたマーレン・ロイサー(スイス、モビスター)がミーエビョルンダル・オッテスタッド(ノルウェー、ウノエックスモビリティ)を引き連れて2人逃げ。最後はオッテスタッドが自身初のワールドツアー優勝と首位躍進を挙げ、一本引きし続けたロイサーは総合2位に浮上。1分46秒遅れたコペッキーは総合圏外に脱落する悔しい一日になった。

総合成績を大きく左右する第3ステージでは、やはり距離8.2kmで平均勾配9%を刻む超級山岳「ピコン・ブランコ」で登坂バトルが勃発。ジュリエット・ラブース(フランス、FDJ・スエズ)が刻むハイペースに首位オッテスタッドが遅れ、続けざまに総合2位ロイサーが強烈なアタックを放つ。唯一追従したヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)を置き去りにして、総合首位浮上を叶えるステージ優勝を挙げている。

最終第4ステージ:マーレン・ロイサー(スイス、モビスター)が得意のTTでステージ優勝。そのまま総合優勝を決めた photo:Vuelta a Burgos

ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスの最終日となった9.4kmの短距離個人タイムトライアルは、序盤から次々とトップタイムが更新される僅差の争いに。ゾーイ・バックステッド(イギリス、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)が、TT欧州女王コペッキーが、2日目勝者オッテスタッドが、さらには総合8位ラブースが最速タイムを出したものの、最終走者のTT巧者ロイサーはラブースを6秒上回って勝利。TTを得意としない総合2位のカステラインを突き放したロイサーの総合優勝が決まった。

昨年のロンド・ファン・フラーンデレンでの大クラッシュで顎と歯8本を折り、耳も損傷するという大怪我からの復活を遂げたロイサーは、「昨年の大きな怪我からの復帰戦で、こんなに素晴らしい結果を出せるとは思っていなかった。特にピコン・ブランコの山頂フィニッシュでの勝利は、私にとって特別な意味がある。個人タイムトライアルでは、久しぶりの出走(約2年ぶり)で不安もあったけれど、チームのサポートと自分の力を信じて走れた。総合優勝を果たせて本当に嬉しいし、この勝利は私だけでなく、チーム全体の努力の賜物。これからも一戦一戦を大切にし、次の目標に向けて頑張りたい」とコメントする。SDワークスからモビスターに移籍し、TTだけではなく登坂力を伸ばしてジロとツールを見据えるロイサーにとって、ロンゴボルギーニらを山岳で退けた意味は大きいと言えるだろう。

また、垣田は2日目の落車に巻き込まれながらも総合105位で厳しいワールドツアーレースを初完走した。初日終了後には「やっと(このレベルのレースを)完走できました。まだまだ弱いけれど今の全力尽くして頑張ってきます」とTeam NIPPOのSNSにコメントを寄せている。

ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナス2025第1ステージ結果
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) 3:22:31
2位 エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)
3位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)
4位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ)
5位 アグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)
ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナス2025第2ステージ結果
1位 ミーエビョルンダル・オッテスタッド(ノルウェー、ウノエックスモビリティ) 3:02:56
2位 マーレン・ロイサー(スイス、モビスター)
3位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:18
4位 エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)
5位 アグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)
ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナス2025第3ステージ結果
1位 マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) 2:47:35
2位 ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:40
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) +1:17
4位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、リドル・トレック) +1:22
5位 ペトラ・スティアスニー(スイス、ローランド) +1:25
ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナス2025第4ステージ結果
1位 マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) 12.51
2位 ジュリエット・ラブース(フランス、FDJ・スエズ) +0:06
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) +0:08
4位 ミーエビョルンダル・オッテスタッド(ノルウェー、ウノエックスモビリティ) +0:12
5位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) +0:14
個人総合成績
1位 マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) 9:25:40
2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) +1:51
3位 ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +1:58
4位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、リドル・トレック) +2:46
5位 ジュリエット・ラブース(フランス、FDJ・スエズ) +2:47
text:So Isobe

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