登りスプリントで決着したジロ・デ・イタリアの第13ステージ。先に仕掛けたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)がファンアールトを退け、今大会4度目となるステージ優勝を飾った。

元チームメイトと談笑するピドコック photo:CorVos 
好調ぶりを見せるベルナル photo:CorVos

この日も笑顔で登場したマリアローザのイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

ジロ・デ・イタリア2025第13ステージ コースプロフィール image:RCS Sport イタリアのヴェネト州まで北上してきた第108回ジロ・デ・イタリアの第13ステージは、ロヴィーゴからヴィチェンツァまでの180kmが舞台。序盤に登場する3級山岳を除けば、最初の121kmはほぼ完全な平坦路で、そこからカテゴリーなき丘を越え、まずは4級山岳をクリア。そしてラストは最大勾配12%の4級山岳ヴィチェンツァ(距離2.5km/平均5%)を2度登る。
ピュアスプリンターの出番はなく、パンチャーや総合上位勢も動いてくるかもしれないレイアウト。大方の予想はマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)による対決で、実際その通りのレース展開となった。
比較的スムーズに9名による逃げ集団が形成された。その中には5名のイタリア人選手を含め、2022年大会の第18ステージで逃げ切り勝利を決めたドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール)が入り、一気に2分のリードを得る。一方のメイン集団は連勝狙うヴィスマ・リースアバイクやリドル・トレックに加え、トーマス・ピドコック(イギリス)をエースに据えるQ36.5プロサイクリングも牽引に選手を送った。

序盤に形成された9名による逃げグループ photo:RCS Sport

プロトンではヴィスマ・リースアバイクを中心にハイペースで牽引した photo:RCS Sport
3級山岳を先頭通過したのは、2022年から4年連続で出場中のマッティア・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)。毎年逃げからレースを盛り上げるバイスは続く中間スプリントも先頭通過し、地元(隣のトレンティーノ・アルト・アディジェ州ロヴェレート)近くを走るステージでアピールする。逃げグループは良いスピードでローテーションを回したものの、プロトンが平均スピード50km/hを越えるハイペースを維持したため、その差が3分以上に拡がることはなかった。
コースのちょうど中間地点に設定された2つ目の中間スプリントは、デボントが先頭通過する。しかしここから4級山岳に向かうプロトンが追走に本腰を入れる。そのため中間スプリントで1分42秒あったタイム差はみるみる縮まり、逃げグループが登坂距離4.9kmある4級山岳に入った時点で1分を切った。

ロレンツォ・ジェルマーニ(イタリア、グルパマFDJ)に追いついたクリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ) photo:RCS Sport
プロトンではイネオス・グレナディアーズがハイペースに持ち込み、集団の選別に入る。そのためすぐに逃げ集団は引き戻されたものの、ロレンツォ・ジェルマーニ(イタリア、グルパマFDJ)が唯一抗い単独先頭に立つ。23歳のジェルマーニの21秒後方では、マリアローザを着るイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)など、総合上位陣にピドコックなどを加えた10名程度の精鋭集団が形成された。
しかしテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が先頭を引き始めると、ペースは落ち着きを取り戻す。そのため集団から遅れたフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)やピーダスン、ファンアールトらも集団に合流。そして4級山岳の頂上は、ジェルマーニではなくプロトンから飛び出したクリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ)が先頭通過した。

テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)による牽引でプロトンの動きが落ち着く photo:CorVos

1度目のフィニッシュラインを通過するプロトン photo:RCS Sport
そして先頭の2名はヴィチェンツァに設定された最大勾配12%の4級山岳(距離2.5km/平均5%)に入る。その頂上に引かれた1度目フィニッシュ地点の直前、回廊に沿う最終ストレートでスカローニはジェルマーニを引き離し、単独先頭に立つ。スプリンターが遅れ、総合チームとステージ優勝狙う選手たちに絞られたプロトンはUAEチームエミレーツXRGが牽引を担う。そしてスカローニが先頭通過したレッドブルKM(残り10.4km)では、アユソ、デルトロの順に通過してそれぞれボーナスタイム(アユソ4秒、デルトロ2秒)を加算した。
スカローニを吸収し、ひと塊になった集団からはロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)とマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)が飛び出す。現役最後のグランツールを走るバルデと好調ヴァチェクは、フィニッシュの待つ2度目の4級山岳14秒差で突入。集団は登りに耐えたカーデン・グローブス(オーストラリア)を擁するアルペシン・ドゥクーニンクが先頭で追いかけ、フィニッシュ手前400mで2名を捉えた。

ヴィチェンツァに設定された最終ストレート photo:CorVos
先頭でペースメイクするエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の背後にはデルトロがつき、その後ろにはファンアールト。登りの最終ストレートに入っても引き続けるプランカールトだが、肝心のグローブスは遅れていくなか、マリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るピーダスンが真っ先にスプリントを開始した。
残り200mで先頭に立ったピーダスンのスピードに、食らいつくことができたのはファンアールトとデルトロの2名だけ。しかしピーダスンのスピードにマリアローザが諦めて腰を下ろし、ファンアールトはもがきながら迫る。そして最後までファンアールトに並ばせることすら許さなかったピーダスンが、フィニッシュして右拳を握った。

先に仕掛けたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)にワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が食らいつく photo:CorVos

ファンアールトを退けたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos
大会初日と同じくファンアールトを退け、今大会4勝目を手に入れたピーダスン。「フェンスに近い右側でスプリントをしなければならなかったので、少し早めの仕掛けとなった。だけどハードな日で、最後がこのようなレイアウトのレースでは、皆の脚が限界なので早めに仕掛けるのも悪くない。ヴァチェクがアタックし、僕らは後ろに控える理想的な状況だった。ローマはまだ遠いが、再び掴んだステージ勝利に感動しているよ」と、マリアチクラミーノのリード拡大にも成功したピーダスンは語った。
「マッズのスプリントに良い反応をすることができたが、追い抜くことはできなかった」と悔しがったファンアールトは、今大会2度目の2位。そして3位だったデルトロはボーナスタイム4秒を加算し、このステージだけで合計6秒のリードを得ている。

フィニッシュ後、ファンアールトに声を掛けるデルトロ photo:RCS Sport

チームメイトと喜びを分かち合うマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:RCS Sport




ピュアスプリンターの出番はなく、パンチャーや総合上位勢も動いてくるかもしれないレイアウト。大方の予想はマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)による対決で、実際その通りのレース展開となった。
比較的スムーズに9名による逃げ集団が形成された。その中には5名のイタリア人選手を含め、2022年大会の第18ステージで逃げ切り勝利を決めたドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール)が入り、一気に2分のリードを得る。一方のメイン集団は連勝狙うヴィスマ・リースアバイクやリドル・トレックに加え、トーマス・ピドコック(イギリス)をエースに据えるQ36.5プロサイクリングも牽引に選手を送った。


3級山岳を先頭通過したのは、2022年から4年連続で出場中のマッティア・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)。毎年逃げからレースを盛り上げるバイスは続く中間スプリントも先頭通過し、地元(隣のトレンティーノ・アルト・アディジェ州ロヴェレート)近くを走るステージでアピールする。逃げグループは良いスピードでローテーションを回したものの、プロトンが平均スピード50km/hを越えるハイペースを維持したため、その差が3分以上に拡がることはなかった。
コースのちょうど中間地点に設定された2つ目の中間スプリントは、デボントが先頭通過する。しかしここから4級山岳に向かうプロトンが追走に本腰を入れる。そのため中間スプリントで1分42秒あったタイム差はみるみる縮まり、逃げグループが登坂距離4.9kmある4級山岳に入った時点で1分を切った。

プロトンではイネオス・グレナディアーズがハイペースに持ち込み、集団の選別に入る。そのためすぐに逃げ集団は引き戻されたものの、ロレンツォ・ジェルマーニ(イタリア、グルパマFDJ)が唯一抗い単独先頭に立つ。23歳のジェルマーニの21秒後方では、マリアローザを着るイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)など、総合上位陣にピドコックなどを加えた10名程度の精鋭集団が形成された。
しかしテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が先頭を引き始めると、ペースは落ち着きを取り戻す。そのため集団から遅れたフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)やピーダスン、ファンアールトらも集団に合流。そして4級山岳の頂上は、ジェルマーニではなくプロトンから飛び出したクリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ)が先頭通過した。


そして先頭の2名はヴィチェンツァに設定された最大勾配12%の4級山岳(距離2.5km/平均5%)に入る。その頂上に引かれた1度目フィニッシュ地点の直前、回廊に沿う最終ストレートでスカローニはジェルマーニを引き離し、単独先頭に立つ。スプリンターが遅れ、総合チームとステージ優勝狙う選手たちに絞られたプロトンはUAEチームエミレーツXRGが牽引を担う。そしてスカローニが先頭通過したレッドブルKM(残り10.4km)では、アユソ、デルトロの順に通過してそれぞれボーナスタイム(アユソ4秒、デルトロ2秒)を加算した。
スカローニを吸収し、ひと塊になった集団からはロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)とマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)が飛び出す。現役最後のグランツールを走るバルデと好調ヴァチェクは、フィニッシュの待つ2度目の4級山岳14秒差で突入。集団は登りに耐えたカーデン・グローブス(オーストラリア)を擁するアルペシン・ドゥクーニンクが先頭で追いかけ、フィニッシュ手前400mで2名を捉えた。

先頭でペースメイクするエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の背後にはデルトロがつき、その後ろにはファンアールト。登りの最終ストレートに入っても引き続けるプランカールトだが、肝心のグローブスは遅れていくなか、マリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るピーダスンが真っ先にスプリントを開始した。
残り200mで先頭に立ったピーダスンのスピードに、食らいつくことができたのはファンアールトとデルトロの2名だけ。しかしピーダスンのスピードにマリアローザが諦めて腰を下ろし、ファンアールトはもがきながら迫る。そして最後までファンアールトに並ばせることすら許さなかったピーダスンが、フィニッシュして右拳を握った。


大会初日と同じくファンアールトを退け、今大会4勝目を手に入れたピーダスン。「フェンスに近い右側でスプリントをしなければならなかったので、少し早めの仕掛けとなった。だけどハードな日で、最後がこのようなレイアウトのレースでは、皆の脚が限界なので早めに仕掛けるのも悪くない。ヴァチェクがアタックし、僕らは後ろに控える理想的な状況だった。ローマはまだ遠いが、再び掴んだステージ勝利に感動しているよ」と、マリアチクラミーノのリード拡大にも成功したピーダスンは語った。
「マッズのスプリントに良い反応をすることができたが、追い抜くことはできなかった」と悔しがったファンアールトは、今大会2度目の2位。そして3位だったデルトロはボーナスタイム4秒を加算し、このステージだけで合計6秒のリードを得ている。


ジロ・デ・イタリア2025第13ステージ結果
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 3:50:24 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
3位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +0:02 |
4位 | レミ・ロシャ(フランス、グルパマFDJ) | +0:05 |
5位 | ドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
6位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
8位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | |
9位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 46:32:59 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:38 |
3位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:18 |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:20 |
5位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:35 |
6位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:07 |
7位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | +2:20 |
8位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) | +2:40 |
9位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) | +2:50 |
10位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:54 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 227pts |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 105pts |
3位 | カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL) | 85pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 157pts |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 54pts |
3位 | マヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 50pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 46:32:59 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:38 |
3位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:18 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 139:35:52 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +20:33 |
3位 | リドル・トレック | +22:50 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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