キュングの逃走劇は実らず　ヴァインが終盤アタックから今季3勝目

残り1kmからのアタックを成功させたジェイ・ヴァイン（オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG）が勝利。ツール・ド・ロマンディ第3ステージで総合順位は大きく動かず、アレックス・ボーダン（フランス、EFエデュケーション・イージーポスト）が首位のまま翌日の山頂フィニッシュに臨む。

---

総合争いが本格的に動き出したツール・ド・ロマンディ（UCIワールドツアー）は4日目。第3ステージはコソネを発着する183.1kmで、勝負所と見られたのは後半に登場する登坂距離14kmの2級山岳。フィニッシュ地点はそこから下りを経て、登り返した先にある。

前日に区間2位に入り、総合首位に立ったアレックス・ボーダン（フランス、EFエデュケーション・イージーポスト）を先頭にレースはスタート。地元スイス屈指のTTスペシャリストであるシュテファン・キュング（グルパマFDJ）やバウケ・モレマ（オランダ、リドル・トレック）に、今年プロデビューした若手のフープ・アルツ（オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ）という3名が逃げる。特にキュングは3級山岳や中間スプリントなど、全てを先頭通過する積極的な走りを見せた。

EFが先導するメイン集団に対し、2分40秒で進む逃げグループは2級山岳に差し掛かると、残り52km地点でキュングがアタック。これにアルツが追従した一方、モレマが遅れて先頭は2名に。キュングは頂上手前でも仕掛け、単独先頭に立った。

しかしバーレーン・ヴィクトリアスなどもプロトンのペースメイクに加わったため、残り11kmでキュングは敢えなく引き戻される。そのまま集団はフィニッシュ手前の登りに入り、ハビエル・ロモ（スペイン、モビスター）が先頭に立つ。総合上位につける選手たちがお互いの様子を窺い牽制に入るなか、残り1km地点を過ぎ、ジェイ・ヴァイン（オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG）がアタックした。

切れ味鋭く飛び出したヴァインの動きに反応する選手はおらず、何度も後ろを振り返るヴァインは高出力で踏み続ける。そしてそのままフィニッシュラインに到着。右手の人差し指を突き上げ、ツール・ド・ロマンディ第3ステージ勝者に輝いた。

「昨年の首の怪我から回復に時間がかかっていた。2度目となるジロに向けて弾みのつく勝利。これで今シーズン3勝目かつ、久しぶりのワールドツアーでの勝利だ。明日と最終日のタイムトライアルでも良い走りがしたい」と、ヴァインは勝利を喜んだ。

2秒遅れでやってきた集団の先頭はレニー・マルティネス（フランス、バーレーン・ヴィクトリアス）が取り、レムコ・エヴェネプール（ベルギー、スーダル・クイックステップ）は7位でフィニッシュしている。

この結果、総合順位に大きな変動はなく、ボーダンが黄色のリーダージャージ保持に成功している。