イタリア中部アブルッツォ州で開催中のジロ・ダブルッツォ2日目は山岳ステージが舞台。イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が終盤アタックを決め、チームに2日連続の勝利をもたらした。



第2ステージに臨むイスラエル・プレミアテック photo:Il Giro d'Abruzzo

アドリア海側に位置するイタリア半島中部、アブルッツォ州で開催中のジロ・ダブルッツォ(UCI2.1)は2日目を迎えた。本大会にはJCLチーム右京やアンテルマルシェ・ワンティの一員として今村駿介と島崎将男らが参戦。第2ステージの舞台138kmと比較的短い距離に、山岳が詰め込まれたクライマーズステージだ。

初日3位に入ったアレッサンドロ・ファンチェル(イタリア、JCLチーム右京)が白いヤングライダー賞ジャージを着用し、選手たちはトッコ・ダ・カザウリアをスタート。逃げを目指したアタックが連続した末に、共に地元イタリア出身のシモーネ・ペティッリ(アンテルマルシェ・ワンティ)とサムエーレ・ゾッカラート(ポルティ・ビジットマルタ)が逃げる。序盤に設定された超級山岳をゾッカラートが先頭通過し、山岳賞ランキングのトップに立った。

シモーネ・ペティッリ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ)を捉えたプロトン photo:Il Giro d'Abruzzo

この日は2名がエスケープした photo:Il Giro d'Abruzzo

リーダーチームであるUAEチームエミレーツXRGがコントロールするメイン集団からは、ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、Q36.5プロサイクリング)が飛び出す場面も。しかしこの動きは容認されず、プロトンはまずペティッリをキャッチ。残り23km地点でパンクに見舞われたファンチェルは、チームメイトで今大会最年長である増田成幸のアシストを受けながら、無事に集団復帰を果たした。

残り16km地点で粘りを見せたゾッカラートも吸収され、フィニッシュに向けて緊張感高まるプロトンから19歳のマルコ・マルティーニ(イタリア、チーム・テクニペス)がアタック。しかしこれはポルティの先導によって引き戻され、残り1.3km地点からイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が仕掛けた。

これにゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ)が反応したものの、緩斜面を高出力で踏み続けるオリヴェイラには追いつかなかった。迫るプロトンを僅差で振り切り、元ポルトガル王者のオリヴェイラがチームに2日連続のステージ優勝をもたらした。

アタックを成功させ、勝利を飾ったイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) photo:Il Giro d'Abruzzo

フィニッシュ後は涙を流したイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) photo:Il Giro d'Abruzzo

2019年からUAEに所属するアシスト選手が掴んだプロ4勝目。「コーヴィのアシストをする予定だったが、彼に残り4kmで”僕が仕掛けるから背後についてきて”と伝えた。そして飛び出したら勝つことができた。これまで飾った3勝はプロローグや国内選手権だったので、実質これがプロ初勝利。言葉がなく、信じられないほど嬉しいよ」と、オリヴェイラは喜びを語った。

4秒遅れでフィニッシュした集団の先頭はフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が獲り、2日連続のステージ2位。そのためコーヴィを逆転し、総合首位に躍り出た。

日本人最上位は3分25秒遅れ(54位)の今村。JCLチーム右京はステージ6位のファンチェルがヤングライダー賞ジャージを手放したものの、7位にシモーネ・ラッカーニ(イタリア)、8位にナホム・ゼレイ(エリトリア)と、トップ10に3名を送り込んでいる。
ジロ・ダブルッツォ2025第2ステージ結果
1位 イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) 3:21:19
2位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) +0:04
3位 マルコ・ブレンナー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
4位 アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツXRG)
5位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
個人総合成績
1位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) 6:55:21
2位 アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツXRG) +0:02
3位 マルコ・ブレンナー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング) +0:08
4位 アレッサンドロ・ファンチェル(イタリア、JCLチーム右京)
5位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) +0:12
その他の特別賞
ポイント賞 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
山岳賞 サムエーレ・ゾッカラート(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)
ヤングライダー賞 マルコ・ブレンナー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
チーム総合成績 VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ
text:Sotaro.Arakawa