「無線とパワーメーターが壊れ、状況がわからず走っていた」と明かしたのは、パリ〜ルーベ史上3人目となる3連覇を達成したマチュー・ファンデルプール(オランダ)。「人生で最も厳しいレース」と語ったポガチャルなど、選手たちの言葉でレースを振り返ります。
優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

3連覇を達成したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
3連覇という結果は特別で、プロになった時には想像すらできなかった。パリ〜ルーベのようなレースで3年連続の勝利は、運も必要だからね。先週の体調不良からコンディションを上げ、今日はしっかり調子を戻すことができた。だから理想的な形でクラシックシーズンを締めくくることができたよ。
(レース中盤にポガチャルとフィリプセンを3名になり)1度目に仕掛けた際、遅れたフィリプセンの合流を待った。だが2度目のアタックで彼との差が拡がり過ぎたため、そのまま突き進む判断をした。

コーナーで曲がりきれず、落車したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
タデイ(ポガチャルは)コーナーに突入するスピードが少し速すぎたようだ。曲がりきれない彼の姿は見たが、落車シーン自体は見ていない。だから後ろを振り返り、しばらく彼を待ったのだが、結局彼の姿が見えなかったのでそのまま行った。
あの距離から単独になるとは予想していなかった。ラスト2つの石畳区間では向かい風が強く、(ポガチャルがいれば)お互い振り切ることが難しい展開になっていただろう。
無線だけでなくパワーメーターも故障していたんだ。だから後続とのタイム差や自分の出力がわからず、終盤のパンクもすぐにチームカーへ伝えることができなかった。でも最終的に問題にはならず、無事単独でフィニッシュすることができた。

健闘を称え合うポガチャルとファンデルプール photo:CorVos
今回の優勝を含め、3つのパリ〜ルーベで最も記憶に残っているのはアルカンシエルを着て勝利した昨年。あの時は嬉しさに加え走る感覚が最高のものだった。比較すると今日はラスト2つの石畳区間で向かい風に苦しみ、石畳にぶつかりながら進む感覚だった。調子が良い時はまるで飛ぶように走っていけるのにね。
―残り33km地点で観客から投げ込まれ、顔に当たったボトルについて
勝利の喜びを阻害するほどではないにせよ、レースであっては絶対にいけないこと。ほぼ満杯だったので500gほどのボトルが時速50kmで走る僕にぶつかった。まるで石が当たったように思ったよ。これは受け入れ難いことで、唾やビールを浴びせられるとは違う話。法的な対応が必要だと思う。
タデイの走りに驚きはなかった。彼はいま世界最高であり、過去を見ても最高の選手だと言える。だからこそ彼はまたパリ〜ルーベに戻ってきて優勝を狙うことだろう。
アムステルゴールドレース(4月20日)には出場せず、この後はしばらく身体を休める予定だ。
2位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

懸命に追走するタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
全力で走っている時に、前方にいたオードバイが曲がらなかったので「コーナーはないのだな」と思ってしまった。でもオードバイが突然停止したんだ。もちろんコーナーの存在は把握しておくべきだったから言い訳はできないよ。
マチュー(ファンデルプール)と争うことができて光栄に思う。もしいま僕が子どもだったら、彼は僕のアイドルだっただろう。そんな選手と戦うことはモチベーションに繋がっている。
平坦路にもかかわらず、いままの人生で一番厳しいレースとなった。石畳が身体に与えるダメージは大きい。でもこの経験のおかげで、次回走る時はそれほど辛くは感じないだろう。グラスゴー(2023年のロード世界選手権)と比べても出力は高く、体力の消費は激しかった。
―ファンデルプールとフィリプセンの3名集団の時に何を思ったか?
世界最速の2人とヴェロドロームに行きたくないなと思った。だからその前に仕掛けなければと考え、その後ヤスペル(フィリプセン)が遅れ、対するマチューは強すぎた。
3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

2年連続の3位で表彰台に上がったマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos
あそこでパンクしなければと思うが、それがレースの美しさの一つ。自分に不運が起こることもあれば、他の人が見舞われることもある。今日は僕に不運が最悪なタイミングで起こったまで。よりによってタデイがアタックした瞬間なんてついていなかった。
遅れてからは6〜7名を背後につけながら懸命に追いかけたものの、タデイとマチューには追いつかなかった。3位を争っていたことは理解していたものの、いつ何が起こるかわからないレースなので、最後まで力の限りを尽くしたよ。
4位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

追走を強いられる苦しいレースとなったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
表彰台(3位)に上がることができず残念だ。マッズは強く、彼のアーリースプリントには敵わなかった。レース序盤の落車で力を使っていたため、最も厳しいアランベールで先頭から少し離れざるを得なかった。それでも表彰台を争えたこと自体は嬉しく、マシュー(ブレナン)と共に終始追走する展開となった。(初出場だった)マシューの走りは素晴らしかったよ。
今日はマチューとタデイ、マッズが僕より強かっただけ。これは妥当な結果だ。(タイヤの空気圧を調整する)Gravaa(グラバー)システムは完璧に機能した。レースでアドバンテージになり、パリ〜ルーベのようなレースでは理想的なものだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

3連覇という結果は特別で、プロになった時には想像すらできなかった。パリ〜ルーベのようなレースで3年連続の勝利は、運も必要だからね。先週の体調不良からコンディションを上げ、今日はしっかり調子を戻すことができた。だから理想的な形でクラシックシーズンを締めくくることができたよ。
(レース中盤にポガチャルとフィリプセンを3名になり)1度目に仕掛けた際、遅れたフィリプセンの合流を待った。だが2度目のアタックで彼との差が拡がり過ぎたため、そのまま突き進む判断をした。

タデイ(ポガチャルは)コーナーに突入するスピードが少し速すぎたようだ。曲がりきれない彼の姿は見たが、落車シーン自体は見ていない。だから後ろを振り返り、しばらく彼を待ったのだが、結局彼の姿が見えなかったのでそのまま行った。
あの距離から単独になるとは予想していなかった。ラスト2つの石畳区間では向かい風が強く、(ポガチャルがいれば)お互い振り切ることが難しい展開になっていただろう。
無線だけでなくパワーメーターも故障していたんだ。だから後続とのタイム差や自分の出力がわからず、終盤のパンクもすぐにチームカーへ伝えることができなかった。でも最終的に問題にはならず、無事単独でフィニッシュすることができた。

今回の優勝を含め、3つのパリ〜ルーベで最も記憶に残っているのはアルカンシエルを着て勝利した昨年。あの時は嬉しさに加え走る感覚が最高のものだった。比較すると今日はラスト2つの石畳区間で向かい風に苦しみ、石畳にぶつかりながら進む感覚だった。調子が良い時はまるで飛ぶように走っていけるのにね。
―残り33km地点で観客から投げ込まれ、顔に当たったボトルについて
勝利の喜びを阻害するほどではないにせよ、レースであっては絶対にいけないこと。ほぼ満杯だったので500gほどのボトルが時速50kmで走る僕にぶつかった。まるで石が当たったように思ったよ。これは受け入れ難いことで、唾やビールを浴びせられるとは違う話。法的な対応が必要だと思う。
タデイの走りに驚きはなかった。彼はいま世界最高であり、過去を見ても最高の選手だと言える。だからこそ彼はまたパリ〜ルーベに戻ってきて優勝を狙うことだろう。
アムステルゴールドレース(4月20日)には出場せず、この後はしばらく身体を休める予定だ。
2位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

全力で走っている時に、前方にいたオードバイが曲がらなかったので「コーナーはないのだな」と思ってしまった。でもオードバイが突然停止したんだ。もちろんコーナーの存在は把握しておくべきだったから言い訳はできないよ。
マチュー(ファンデルプール)と争うことができて光栄に思う。もしいま僕が子どもだったら、彼は僕のアイドルだっただろう。そんな選手と戦うことはモチベーションに繋がっている。
平坦路にもかかわらず、いままの人生で一番厳しいレースとなった。石畳が身体に与えるダメージは大きい。でもこの経験のおかげで、次回走る時はそれほど辛くは感じないだろう。グラスゴー(2023年のロード世界選手権)と比べても出力は高く、体力の消費は激しかった。
―ファンデルプールとフィリプセンの3名集団の時に何を思ったか?
世界最速の2人とヴェロドロームに行きたくないなと思った。だからその前に仕掛けなければと考え、その後ヤスペル(フィリプセン)が遅れ、対するマチューは強すぎた。
3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

あそこでパンクしなければと思うが、それがレースの美しさの一つ。自分に不運が起こることもあれば、他の人が見舞われることもある。今日は僕に不運が最悪なタイミングで起こったまで。よりによってタデイがアタックした瞬間なんてついていなかった。
遅れてからは6〜7名を背後につけながら懸命に追いかけたものの、タデイとマチューには追いつかなかった。3位を争っていたことは理解していたものの、いつ何が起こるかわからないレースなので、最後まで力の限りを尽くしたよ。
4位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

表彰台(3位)に上がることができず残念だ。マッズは強く、彼のアーリースプリントには敵わなかった。レース序盤の落車で力を使っていたため、最も厳しいアランベールで先頭から少し離れざるを得なかった。それでも表彰台を争えたこと自体は嬉しく、マシュー(ブレナン)と共に終始追走する展開となった。(初出場だった)マシューの走りは素晴らしかったよ。
今日はマチューとタデイ、マッズが僕より強かっただけ。これは妥当な結果だ。(タイヤの空気圧を調整する)Gravaa(グラバー)システムは完璧に機能した。レースでアドバンテージになり、パリ〜ルーベのようなレースでは理想的なものだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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