超級山岳を越え、1級山岳にフィニッシュしたボルタ・ア・カタルーニャ第3ステージ。フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が登りスプリントでログリッチとのハンドル投げを制し、区間優勝と共に総合首位浮上を果たした。



セップ・クス(アメリカ)で勝利を狙うヴィスマ・リースアバイク photo:A.S.O.

ボルタ・ア・カタルーニャ第3ステージ コースプロフィール image:A.S.O.

7日間をかけてスペイン北東部カタルーニャ州を巡るボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)は3日目。その舞台は地中海から北の山岳地帯を目指す218.6kmで、超級山岳を含む4つのカテゴリー山岳を登坂。最後は1級山岳ラ・モリーナ(距離12.1km/平均5.%)を登り、フィニッシュ地点は1度下ってから登り返した先にある。

獲得標高差が5,000mに迫る今大会最初の本格山岳ステージで逃げたのは、ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)を含む4名。メイン集団は強力クライマーを擁するUAEチームエミレーツXRGとロットが中心に牽引。2023年大会の総合優勝者であるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は集中した表情で脚を回した。

4名の逃げグループが形成された photo:A.S.O.

超級山岳で飛び出し、単独先頭に立ったブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) photo:A.S.O.

最初2つの山岳はプロ1年目のマッツ・ヴェンツェル(ルクセンブルク、エキポ・ケルンファルマ)が連続して先頭通過。登坂距離21.2kmの超級コル・デ・ラ・クレエタに逃げグループが2分11秒差で入ると、アルミライユがアタックを仕掛ける。フランスの現タイムトライアル王者は沿道に雪が残る頂上をトップ通過し、山岳ポイントを大量ゲット(26点)して山岳賞ジャージを獲得した。

2分遅れで山頂にやってきたプロトンではレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)が落車するシーンもありながら、逃げから遅れた3名を吸収。1級山岳ラ・モリーナの登り口でアルミライユも捉え、この日の勝負はクライマーと総合優勝狙うオールラウンダーたちに委ねられた。

ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)やセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)などがアタックを仕掛けるものの、いずれも決定打に欠く。しかしマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)とロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)の動きにクスが追いつき、先頭の3名は頂上を通過。しかし後続からは15秒のリードしか得られず、残り700m地点で引き戻された。

1級山岳ラ・モリーナに突入したプロトン photo:A.S.O.

ステージ優勝の目がなくなったソレルがリードアウトする背後から、先に踏み込んだのはフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)ではなくログリッチだった。しかしヘアピンコーナーを抜けた所でアユソはログリッチをかわし、先頭に立つとフィニッシュラインにハンドルを投げる。写真判定に持ち込まれた僅差を、22歳のアユソが制した。

ログリッチとのハンドル投げを制したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) photo:A.S.O.

ポイント賞のマシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

そのまま沿道の雪に倒れ込み、勝利を噛み締めたアユソ。「ラ・モリーナの最後がああいう形(スプリント)に持ち込まれると予想していた。息をつく箇所が多く、風が強かったから早くは動かなかった。だから終盤まで踏み込むタイミングを待った。総合優勝が一番大きな目標だが、ステージ優勝はとても大切な結果なので嬉しいよ」と、10秒のボーナスタイムを得て総合首位に立ったアユソは喜んだ。

3位には2秒遅れでミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)が入り、4秒のボーナスタイムを加算し総合でも3位に上がっている。

ボルタ・ア・カタルーニャ2025第3ステージ
1位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) 5:49:29
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) +0:02
4位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:04
5位 レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット)
6位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)
7位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
8位 ハロルド・ロペス(エクアドル、XDSアスタナ)
9位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)
個人総合成績
1位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) 14:30:49
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:06
3位 ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) +0:11
4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +0:14
5位 ウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:17
6位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)
7位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)
8位 ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ)
9位 レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット)
10位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
その他の特別賞
ポイント賞 マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)
山岳賞 ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
ヤングライダー賞 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)
チーム総合成績 ヴィスマ・リースアバイク
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos