悪天候のためレース距離が短縮されたパリ〜ニース7日目は、1級山岳オロンを駆け上がる山岳ステージ。マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング)がアラフィリップのアシストを受け、逃げ切り勝利を決めた。



スタートを待つポイント賞のピーダスンと総合首位のジョーゲンソン photo:A.S.O.

パリ〜ニース第7ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
ヴィスマ・リースアバイクが横風分断を成功させた前日から一夜明け、第83回パリ〜ニースは第7ステージを迎えた。連日続く悪天候の影響で、ニースを出発するコースは約40kmの短縮が発表される。そのため終盤の山岳が削除されたものの、フィニッシュ地点は変わらず1級山岳オロン(距離7.3km/平均7.2%)というタフなレイアウトのままとなった。

総合首位のマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)と2位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)との差は40秒。前日に遅れを取ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)は5位(2分40秒遅れ)のなか、レースはスタートした。直後にジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング)を含む15名が逃げ集団を形成した。

チューダー・プロサイクリングが3名入れた逃げ集団は15名 photo:A.S.O.

アイウェアをして集団を牽引するヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

スタート時は止んでいた雨が降り出すなか、残り51km地点でマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)がメイン集団内で落車する。中央分離帯に乗り上げ、身体を地面に叩きつけられたスケルモースは肘を縫う怪我を負ってリタイア。総合3位が姿を消したプロトンはヴィスマのコントロールの下、強力な逃げグループを追いかけた。

マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)など有力勢を含む逃げ集団では、マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング)のためにアラフィリップが高速牽引を見せる。そのため残り25kmを切っても逃げは3分差を保ち、プロトンはレッドブル・ボーラ・ハンスグローエやXDSアスタナが先頭に人数を集めてペースを上げる。ストーラーは中間スプリントポイントを先頭で通過し、ボーナスタイム6秒を得た。

沿道に雪はないものの、雨と厳しい寒さのなか逃げ集団は1級山岳オロン(距離7.3km/平均7.2%)に足を踏み入れる。その時点でメイン集団との差は1分55秒。アラフィリップが役割を終えて遅れ、先頭集団の人数は絞られていった。

アシストに徹するジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング) photo:A.S.O.

単独先頭に立ったマイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) photo:A.S.O.

逃げからはゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)が遅れ、残されたのはストーラーとシュミットの2名。後続では総合4位のテイメン・アレンスマン(オランダ)のため、イネオス・グレナディアーズがハイペースで逃げを追う。しかし最後までその差はゼロになることはなく、レース先頭では残り2.7km地点でストーラーがスイス王者のシュミットを引き離した。

プロトンからはフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)の飛び出しにレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)が反応し、総合タイムを稼ぎに行く。しかしこの2名も前に追いつくことはなく、冷たい雨が降るフィニッシュ地点にストーラーが到着した。

逃げ切り勝利したマイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) photo:A.S.O.

グルパマFDJから昨年移籍したチューダーに、ようやく勝利をもたらしたストーラー。「なんて素晴らしい日なんだ!ジュリアン(アラフィリップ)だけが逃げに乗る予定だったが、マルコ(ハラー)と共に動きに反応したんだ。逃げでは2度の世界王者であるジュリアンが僕をサポートしてくれた。本当に信じられない勝利だよ」と、喜びを語った。

2位には20秒遅れでシュミットがフィニッシュ。プロトンから飛び出したフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)が57秒遅れの6位に入り、区間12位でレースを終えたジョーゲンソンは総合首位キープに成功している。

勝利を喜ぶマイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) photo:A.S.O.

パリ〜ニース2025第7ステージ結果
1位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) 2:43:31
2位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) +0:20
3位 ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:30
4位 イバン・ロメオ(スペイン、モビスター) +0:45
5位 ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー) +0:50
6位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:57
7位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:04
8位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:11
9位 クレモン・シャンプッサン(フランス、XDSアスタナ) +1:14
10位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
個人総合成績
1位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) 23:37:42
2位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:37
3位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) +1:20
4位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) +2:25
5位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) +2:40
6位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +2:54
7位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +3:05
9位 クレモン・シャンプッサン(フランス、XDSアスタナ) +3:22
9位 トビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ) +3:28
10位 アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) +3:36
その他の特別賞
ポイント賞 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
山岳賞 トマ・ガシニャール(フランス、トタルエネルジー)
ヤングライダー賞 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O.
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