お台場にて2年ぶりの開催となったシクロクロス東京で、男子エリートは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が、女子エリートは渡部春雅(明治大学)が砂地を攻略して勝利。マスターズカテゴリーやそのほかのカテゴリーと共にレポートしていく。



東京都港区「お台場海浜公園」特設コースで開催された「弱虫ペダル×Champion System CYCLOCROSS TOKYO 2025」 photo:Michinari TAKAGI

2月8日(土)と9日(日)に、「弱虫ペダル×Champion System CYCLOCROSS TOKYO 2025」が開催された。通称シクロクロス東京と呼ばれるレースの舞台となったのはレインボーブリッジを一望でき、ダイバーシティ東京などのショッピングモールや商業施設が近くに近くに立ち並ぶお台場海浜公園。そこに砂浜や森林、フライオーバーで構成された魅力的なコースが用意された。

東京五輪のため5年ぶりだった前回大会を経て、今回は2年ぶりの開催。そのためエントリーはキャンセル待ちになる種目も多く、参加者も待ちに待ったシクロクロス東京となった。またJCFシクロクロスシリーズ第11戦とAJOCC JCXシリーズ最終戦ということもあり、全国各地から多くのシクロクロッサ―が集結。2日間で延べ7,500人が来場した。

内陸の轍をトレースするか、波打ち際を走るかが勝敗を分ける photo:Michinari TAKAGI



女子エリート:サンドセクションで乗車とランニングを巧みに使い分けた渡部春雅(明治大学)が優勝

WE1の最前列には世界選手権に出場していた渡部春雅(明治大学)、JCXランキング上位の石田唯(TRKWorks)と竹村舞葉(SHIDO-WORKS)が揃う photo:Michinari TAKAGI

女子の最高峰であるWE1の最前列には、先日のシクロクロス世界選手権に出場していた渡部春雅(明治大学)、JCXランキング上位の石田唯(TRKWorks)と竹村舞葉(SHIDO-WORKS)、西形舞(TRC PANAMA REDS)ら有力選手たちが揃った。

14時05分の号砲と共に勢いよくスタートし、渡部がホールショットを獲得していく。WE1の選手たちがお台場海浜公園の深い砂地へ突入すると、混戦を抜け出した石田が逆転し、トップに躍り出た。

渡部春雅(明治大学)がホールショットを獲得 photo:Michinari TAKAGI

サンドセクションで渡部春雅(明治大学)と石田唯(TRKWorks)、石川七海(MOPS)の先頭パックが形成される photo:Michinari TAKAGI

安藤沙弥(SHIDO-WORKS)が先頭パックを追いかける photo:Michinari TAKAGI
5番手を走る竹村舞葉(SHIDO-WORKS) photo:Michinari TAKAGI


テクニカルなサンドセクションで渡部と石田、石川七海(MOPS)の先頭パックが形成され、後続は共にSHIDO-WORKS所属の安藤沙弥と竹村が追いかける展開に。先頭パックでは昨年のアジアパシフィック・トレイルランニング選手権のU23で銀メダルを獲得している渡部が、得意なランニングでサンドセクションで駆け、石田からトップを奪い返し単独先頭に立つ。

中盤からは渡部がサンドセクションで乗車とランニングを巧みに使い分け、後続とのリードを徐々に広げながら独走を続ける。一方で、後続は石田と石川がそれぞれ単独で先頭を追いかけていく展開で、レースは終盤に突入した。

渡部春雅(明治大学)が得意なランニングでトップを走る石田唯(TRKWorks)を抜き去る photo:Michinari TAKAGI

乗車とランニングを巧みに使い分ける渡部春雅(明治大学) photo:Michinari TAKAGI
石田唯(TRKWorks)はサンドセクションを乗車でクリア photo:Michinari TAKAGI


お台場のビーチを攻略した渡部春雅(明治大学)が独走優勝 photo:Michinari TAKAGI

安定した力強い走りで独走状態をキープし、お台場のビーチを攻略した渡部がマチュー・ファンデルプール(オランダ)と同じ、時計をアピールするポーズで優勝を決めた。2位は石田、3位は石川で表彰台に上がった。

渡部は「優勝できてよかったです。でも、まだまだ課題はあるので、もっと上を目指して頑張ろうと思います。そしてタイで開催されるロードレースのアジア選手権にも出場するので、シクロクロスだけでなくロードレースでも頑張ろうと思います。たくさんの応援ありがとうございました」と優勝した喜びと、今後の抱負を語った。



男子エリート(ME1 TOP35):全日本チャンピオンの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝

日本のトップ選手が集うME1 TOP35 photo:Yuya YAMAMOTO

昨年12月のシクロクロス全日本選手権を目指し、選手たちが必死にJCFポイントの獲得とランキング80位以内を目指していたJCXシリーズ。そんな熾烈な戦いが一段落し、ついにオオトリを飾るシクロクロス東京のElite(ME1top35)が行われた。出場するのはJCXシリーズポイントランキング上位35名と招待選手と、DAY1のME1のトップ3。JCX最終戦に相応しいレベルの高い舞台となった。

最前列には、CX世界選手権を含む欧州での連戦から帰ってきた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や柚木伸元(日本大学)、副島達海(大阪産業大学)、そして前回のシクロクロス東京を制し、世界選手権に監督として帯同した竹之内悠(/slash Cinelli-Vision)らが揃った。

副島達海(大阪産業大学)がホールショットを獲得 photo:Yuya YAMAMOTO

波打ち際が走りやすいラインに沿って世界選手権出場選手の先頭パック photo:Yuya YAMAMOTO
シケインをクリアする先頭パック photo:Yuya YAMAMOTO


2位を走る副島達海(大阪産業大学)にゴセ・ファンデルメール(オランダ、Atari Maeda Racing with Bombtrack and Hunt)が迫る photo:Yuya YAMAMOTO

14時5分、スタートの号砲で最終レースとなるME1 TOP35の28名が一斉に加速していく。副島がホールショットを獲得し、サンドセクションに突入。ちょうど満潮となり、波打ち際が走りやすくなっていたラインに沿って、副島を先頭に織田と柚木が続き、世界選手権出場メンバーがレースを引っ張っていく。

サンドセクションで織田が副島を抜き去り、トップで林間セクションに入っていくと後続との差を徐々に広げていく。後続ではゴセ・ファンデルメール(オランダ、Atari Maeda Racing with Bombtrack and Hunt)が柚木をパスし、そして終盤には副島を抜き去って2位にポジションを上げた。

バニーホップでシケインをクリアする柚木伸元(日本大学 photo:Yuya YAMAMOTO
独走を開始する織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Yuya YAMAMOTO


ゴセ・ファンデルメール(オランダ、Atari Maeda Racing with Bombtrack and Hunt)が副島達海(大阪産業大学)を抜き去る photo:Yuya YAMAMOTO
単独3位の柚木伸元(日本大学)がハイスピードでサンドセクションへ突入 photo:Yuya YAMAMOTO


お台場の砂を攻略した全日本チャンピオンの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝 photo:Yuya YAMAMOTO

しかし、ゴセのチャージは織田には届かず。3年連続で全日本チャンピオンになり、世界選手権やワールドカップを通してさらに成長を続ける織田聖が後続を1分以上離して優勝を決めた。2位は先頭の織田を猛追したファンデルメールが入り、柚木が3位で表彰台へ。

織田は「あまり得意なコースではないんですが、ベルギーで砂のレースを走った経験のおかげで優勝できました。今後はすぐにロードレースシーズンが始まりますが、頑張ります。本当にたくさんの応援ありがとうございました」と笑顔でコメントした。

男子エリート TOP35の表彰式 photo:Michinari TAKAGI

多くの観客が見守る中で行われた男子エリートの表彰式の後には、JCXランキングとJCFランキングのセレモニーも行われた。男子エリートは副島が、女子エリートは石田がJCXランキングのシリーズチャンピオンに輝いた。

JCFランキングは副島が男子エリートとU23をダブルで獲得。女子エリートは石田が、女子U23は渡部、女子ジュニアは石川がシリーズチャンピオンとなった。

JCXランキングの男子エリート表彰 photo:Michinari TAKAGI
JCXランキングの女子エリート表彰 photo:Michinari TAKAGI


各カテゴリーでJCFランキングチャンピオンになった世界選手権出場選手たち photo:Michinari TAKAGI




その他のレース結果

ジュニアは松村拓弥(群馬県工業高等専門学校)が優勝。アンダーカテゴリーのMU17は横田壮一郎(Fine nova LAB)、WU17は小林碧(AX cyclocross team)、MU15は村上蕾夢、WU15は綱嶋勇音(ボンシャンス)が優勝を決めた。

シクロクロス東京の最初の種目「ME4-A」が勢いよくスタート photo:Michinari TAKAGI
ME1は竹内遼が最後尾から優勝し、ME1 TOP35の出場権を獲得 photo:Michinari TAKAGI


女子カテゴリーはWE2とWE3、WU17、WU15、WMが一斉スタート photo:Michinari TAKAGI
ME3は田中遥翔(明星大学)が勝利を挙げ、ME2に昇格 photo:Michinari TAKAGI


MJは松村拓弥(群馬県工業高等専門学校)が独走勝利 photo:Michinari TAKAGI
WU17は砂地をハイスピードで駆け抜けた小林碧(AX cyclocross team)が優勝 photo:Michinari TAKAGI



ME1は竹内遼が優勝し、TOP35の出場権を獲得。ME2は三浦伶央(パラティアムTOKYO dimare)、ME3は田中遥翔(明星大学)ME4Aは五十嵐清(Team轍屋)、ME4Bは園部来夢(ナカザワジム/秋川マウンテンバイクスク)らが上位クラスへの昇格を決めている。女子カテゴリーのWE2は江越未稀(VAPOR CX TEAM)、WE3は山下歩希(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝した。

MM50は生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス)が優勝 photo:Michinari TAKAGI
渡辺航先生(総北高校自転車競技部OB)はMM50に出場し、39位でフルラップ完走 photo:Michinari TAKAGI


MM50に参戦した栗村修(ツアー・オブ・ジャパン)は33位でフィニッシュ photo:Michinari TAKAGI
MM60はゴールスプリントを制した福田和重(ギルファルコン)が優勝 photo:Michinari TAKAGI


マスターズカテゴリーでは恒例の集合写真 photo:Michinari TAKAGI

マスターズクラスのMM35は佐川祐太(SNEL)、MM40は石川正道(Champion System Japan TT 轍え)、MM50は生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス)、MM60は福田和重(ギルファルコン)、WMは西山みゆきが優勝。

シングルスピードのシクロクロスで参戦できるSSCXは男子が先にスタートし、女子が間隔を開けてスタートした。SSCX男子は三宗広歩(JLPW)が、SSCX女子は野下幸(team轍屋)が熱戦を制した。

シングルスピードのSSCXも行われた photo:Michinari TAKAGI
SSCX女子は野下幸(team轍屋)が優勝 photo:Michinari TAKAGI


SSCX男子は三宗広歩(JLPW)が後方から追い上げ、優勝を決めた photo:Michinari TAKAGI
レインボーブリッジと表彰台を背景にSSCXの集合写真を photo:Michinari TAKAGI

エリート女子 リザルト
1位 渡部春雅(明治大学) 45:42
2位 石田唯(TRKWorks) +01:54
3位 石川七海(MOPS) +04:17
4位 安藤沙弥(SHIDO-WORKS) +07:15
5位 西形舞(TRC PANAMA REDS) +07:37
男子エリート TOP35 リザルト
1位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 1:03:27
2位 ゴセ・ファンデルメール(オランダ、Atari Maeda Racing with Bombtrack and Hunt) +01:19
3位 柚木伸元(日本大学) +01:58
4位 副島達海(大阪産業大学) +02:35
5位 竹之内悠(/slash Cinelli-Vision) +03:33
その他カテゴリーのリザルト
ME1 竹内遼
ME2 三浦伶央(パラティアムTOKYO dimare)
ME3 田中遥翔(明星大学)
ME4A 五十嵐清(Team轍屋)
ME4B 園部 来夢(ナカザワジム/秋川マウンテンバイクスク)
SSCX男子 三宗広歩(JLPW)
SSCX女子 野下幸(team轍屋)
WE2 江越未稀(VAPOR CX TEAM)
WE3 山下歩希(弱虫ペダルサイクリングチーム)
WM 西山みゆき
MM35 佐川祐太(SNEL)
MM40 石川正道(Champion System Japan TT 轍え)
MM50 生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス)
MM60 福田和重(ギルファルコン)
MJ 松村拓弥(群馬県工業高等専門学校)
MU17 横田壮一郎(Fine nova LAB)
WU17 小林碧(AX cyclocross team)
MU15 村上蕾夢
WU15 綱嶋勇音(ボンシャンス)
CK3 村上鳳冴
CK2 綱嶋一信(ボンシャンス)
CK1 石井寿弥(Sonic-Racing)
text:Michinari TAKAGI
photo:Yuya YAMAMOTO&Michinari TAKAGI