路面状況の悪さから、最終山岳の手前残り5km地点からレースが再開されたアルウラー・ツアー第2ステージ。急勾配坂で絞られた集団からトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)がアタックを決め、新加入チームに初勝利をもたらした。



スポンサーであるアルウラーの地で勝利がほしいジェイコ・アルウラー photo:A.S.O.

アルウラー・ツアー2025第2ステージ image:A.S.O.
白熱のスプリントバトルで開幕したアルウラー・ツアー(UCI2.1)は2日目にして、総合争いを左右するクイーンステージを迎えた。アルウラー旧市街から出発した選手たちは、後半にビール・ジャイダ山(距離2.9km/平均9.2%)を含むコースを2周半する157.7kmを走る予定だった。しかしレースがスタートした後、後述するコース変更がなされた。

JCLチーム右京は2日連続で逃げに選手を送ることに成功。この日は新加入の23歳、シモーネ・ラッカーニ(イタリア、JCLチーム右京)ら3名が逃げ集団を形成した。一方、UAEチームエミレーツXRGやピクニック・ポストNLなどワールドチームがペースを作るメイン集団は、逃げと4分弱のタイム差をキープした。

5名いた逃げは、このあと3名まで絞られた photo:A.S.O.

ラクダの横を通るプロトン photo:A.S.O.

小石が転がる状態の悪いアスファルトのためか、前日勝者のティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が機材トラブルで遅れを取る。さらには前日に落車し、総合タイムを6分以上失ったラファル・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ・XRG)も前輪をパンク。合計3度登坂するビール・ジャイダ山に逃げとプロトンが至ると、選手たちがレースオフィシャルに対し路面状況の悪さを訴えた。

ラッカーニが粘る逃げは2名となり、1度目のビール・ジャイダ山を2分17秒差で通過する。そしてプロトンが下りに入り、レース主催者は砂や小石による路面の悪さを理由にレースを一時中断(ニュートラル)。そのためレースはビール・ジャイダ山に入る直前の、残り5kmからレースは再開される措置が取られた。

1度目の登坂後、レースはニュートラルに入った photo:CorVos

残り5km地点までオフィシャルカーの先導で進む選手たち photo:A.S.O.

レースが再開されるまで脚を温存していたメイン集団は、レースが再開されるとすぐに逃げの2人を吸収。ビール・ジャイダ山に入ると、総合優勝の可能性が消えたマイカがペースを作り、集団を絞り込んでいく。そして残り1km地点で先頭はUAEの下部チーム所属の18歳、アンドレア・ペリカス(スペイン)に代わると、ウーゴ・アスナル(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が仕掛けた。

力強いダンシングで踏み込むアスナルだったが、背後につくトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)やエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)など有力選手を引き離すことはできない。そして10名前後に絞られた集団は牽制に入ると、優勝候補筆頭のピドコックがアタック。フィニッシュ手前400mからの鋭い仕掛けには、誰も反応することはできなかった。

残り400mからのアタックを成功させ、移籍後初勝利を得たトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) photo:CorVos

そのまま最後まで踏み続け、何度も後ろを振り返る余裕を見せたピドコックがフィニッシュラインに到着。イネオス・グレナディアーズからQ36.5への電撃移籍から僅か1ヶ月足らずで、早速勝利を手に入れた。

「新しいチームで臨む今日のステージは重要だった。チームによる素晴らしいサポートもあり、自分自身の調子の良さも感じていた。だが機材の変更で難しい部分もあった。残り500mを過ぎ、勾配が緩くなる区間で仕掛けた。総合優勝よりもステージ優勝にフォーカスしていた」と、ピドコックは語った。

4秒遅れの2位はライナー・ケップリンガー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が入り、3位にはこれがプロデビュー2戦目となった28歳のアラン・ハザリー(南アフリカ、ジェイコ・アルウラー)が入っている。

総合でも首位に立ったトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) photo:A.S.O.
アルウラー・ツアー2025第2ステージ結果
1位 トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) 3:18:15
2位 ライナー・ケップリンガー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:04
3位 アラン・ハザリー(南アフリカ、ジェイコ・アルウラー) +0:07
4位 エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) +0:18
5位 ステファン・デボッド(南アフリカ、トレンガヌ・サイクリング) +0:21
6位 フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:27
7位 ヤニス・ヴォワザール(スイス、チューダー・プロサイクリング)
8位 ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)
9位 ウーゴ・アスナル(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) +0:30
10位 アレッサンドロ・ファンチェル(イタリア、JCLチーム右京) +0:34
個人総合成績
1位 トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) 6:28:26
2位 ライナー・ケップリンガー(オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:08
3位 アラン・ハザリー(南アフリカ、ジェイコ・アルウラー) +0:13
4位 エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) +0:28
5位 ステファン・デボッド(南アフリカ、トレンガヌ・サイクリング) +0:31
6位 フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:34
7位 ヤニス・ヴォワザール(スイス、チューダー・プロサイクリング) +0:37
8位 オドネ・ホルテル(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:44
9位 フランク・ファンデンブルーク(オランダ、ピクニック・ポストNL) +0:48
10位 ウナイ・イリバール(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) +0:50
その他の特別賞
ポイント賞 トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)
ヤングライダー賞 オドネ・ホルテル(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
チーム総合成績 ウノエックス・モビリティ

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