2024/12/07(土) - 17:00
数多くのプロチームをサポートするサドルブランドのプロロゴ。緊密な関係を築くウィメンズチームのFDJスエズと共同開発を行った女性向けEVAシリーズを展開している。プロ選手の要求に応えるScratchとDimensionの女性モデルを、カトーサイクルの羽田野千晶さんのインプレッションとともに紹介しよう。

プロロゴ Dimension EVA、Scratch EVA
UAEチームエミレーツやグルパマFDJをサポートするサドルブランドのプロロゴ。UCIウィメンズチームも同じように支えており、現在はUAEチームADQとEFオータリー・キャノンデールとともに世界最高峰のレースを戦っている。
現在はスポンサーリストに名前を連ねてないもののFDJスエズの選手はプロロゴを愛用しており、中でもマルタ・カヴァッリは女性用サドルの開発にも協力。そして生み出されたのがScratch EVAと続いて女性モデル化が進められたDimansion EVAだ。

プロロゴ Scratch EVA
Scratch EVAの開発で人間工学的な研究をサドルに落とし込むことと、カヴァッリによるフィールドテストで完成。実際に2022年のアムステルゴールドレース、ラ・フレーシュ・ワロンヌでの優勝を支え、プロ選手の要求に応える女性用サドルを実現したことを証明した。
形状はScratch M5のT字型形状を採用しつつ、女性の体にフィットするようにイチから再設計が行われている。その結果サドルのセンターはユニセックスモデルよりも5mm前方に移動し、幅広の骨盤を支える面積を増加することに成功している。

シンプルな作りのScratch EVA 
大きくラウンドした形状のScratch EVA

Scratch EVAは厚手のクッションで快適性を高める 
Scratch EVAはベースは穴あきだが、表皮で覆われている
また坐骨が位置する部分のパッドは高密度フォームを厚くしており、長時間のライドでも最後までしっかりとサポートする性能を獲得。対して中央と前方は低密度フォームを薄くすることで、前傾姿勢で体にフィットして痺れや痛みの発生を抑えている。パッドの中央部には溝を設けつつ、ベースには穴をあけることで、さらに圧迫感を低減した。
対してDimension EVAは245mmのコンパクトな長さを維持しながら、Dimension 143と比較して13mm幅広の156mmに設計されていることが特徴。サドルセンターはScratchでは前方へ移動していたが、Dimensionでは5mm後退。これによって女性の体をしっかりサポートできる座面を実現している。

プロロゴ Dimension EVA
パッドは低密度フォームを採用し、サドル後端部では8mmまで厚みを増やし快適性を確保。中央部の溝は18%広げられ、深い前傾姿勢を取った時の圧迫を低減している。さらにサドル先端部は13%と広げられており、前乗りポジションでもしっかりとライダーをサポートしてくれる。
どちらのモデルも幅広やパッディングが強化されているが、重量は軽量に抑えられていることが特徴。Scratch EVAではカーボンのNACKレール版で178g、ステンレスのTiroXレール版では226g。Dimension EVAもNACKレール版では183g、TiroXレール版では227gと、重量を気にするアスリートでも選択肢に入れられるはずだ。

Dimension EVAはサドル中央部に大きなカットアウトを設けたPASモデルとなっている
このサドルをカトーサイクルの羽田野千晶さんがインプレッション。様々なレディースサドルも試した上でユニセックスモデルのサドルを使用しているアスリートライダーに、プロロゴのEVAシリーズについて伺った。
ーインプレッション

カトーサイクルに勤める実走派ライダーの羽田野千晶さんがテストを行った (c)Chiaki Hatano
プロロゴの女性用サドルを試してみましたが、女性用とうたってあるだけあって、普段ユニセックスのサドルを使うと気になる部分がちゃんと改善されていて、とても快適でした。座りやすさ、こぎやすさという点で、かなり良いサドルだと思います。
具体的にユニセックスモデルとの違いを感じた部分は坐骨が乗る部分で、やはりサドルが腰を支えている感覚は違いました。今はユニセックスモデルを使っているのですが、100%フィットしていなかったので、女性用として開発されているものを使った方が快適だと実感しました。

サドルのセンター位置がユニセックスモデルとは異なるためポジション調整を行いながらテストした (c)Chiaki Hatano
これまで試乗してきた女性用サドルは、ゲルパッドが体に合わなかったり、重い重量が気になったり、スポーツバイクにマッチしない大きさだったりして、実際に使うまでには至りませんでした。EVAシリーズもパッドは厚めで、手で押したときはクッション感があるのですが、実際に乗った時にパッドの沈み込みやふかふか感がなくて、腰を支えてくれてペダリングトルクが逃げてしまうということはありません。
EVAシリーズはサドルの先端が幅広なので圧迫というより支えてくれる感覚がありますし、中央の溝がストレスになりにくかったです。カーボンレールモデルは重量も軽くて、数少ないながらもある女性用サドルの中でも推せるサドルだと思います。

「とても快適で、推せるサドル」羽田野千晶(カトーサイクル) (c)Chiaki Hatano
スクラッチとディメンションの選び方は好みの問題ですが、プロロゴというブランドの中で自分に合うサドルを探せるというのはいい点だと思います。自分の骨盤の動きに合わせて検討すると良さそうです。どちらのサドルも、女性用として手を抜いている印象は全くありませんでした。
女性ライダーの中には、サドルの悩みをショップの人に相談しづらいこともあるかもしれません。でも我慢は禁物です。自転車とライダーをつなぐ大事な接点であるサドルなので、ぜひ積極的に女性用サドルを知ってもらいたいですし、試してみてもらいたいです。
インプレッション:羽田野千晶(カトーサイクル)
カトーサイクル CWレコメンドショップページはこちら→リンク
プロロゴを扱う服部産業のキット北村さんのインサイドレポート第4弾

リエージュ~バストーニュ~リエージュ観戦中にFDJスエズのバスを探しました (c)服部産業
2024年4月、リエージュ~バストーニュ~リエージュ観戦中のキット北村です。グルパマFDJチームのスタッフから、『おいキット、FDJスエズに超美人の選手がいるから見て来いよ!』と言われて、ドキドキしながらFDJスエズ女子チームのチームバスやメカニックトラックを探しました。

無事に見つけられましたが門前払いされてしまいました (c)服部産業
キット北村の記事を読んでくれている殊勝な読者の皆さんはご存知とは思いますが、ワールドチームへの突撃潜入取材成功率は100%(ちなみに2007年からずっと成功中)!もちろん、取引先関係から長年積み重ねてきたワールドチームのスタッフやメカニックとの人脈があっての事ですが、今まで突撃潜入取材に失敗した事が無かったので自信を持っていました。潜入出来ることが当たり前のような気持ちになっていました!リエージュ~バストーニュ~リエージュの会場で、FDJスエズのチームバスやメカニックトラックを見つけ、“グルパマFDJチームの自転車、帽子、サコッシュ等でFDJ愛”を強くアピールしましたが、グーグル翻訳したフランス語の取材の申し込みは一蹴され門前払いされました。ドンマイです。

プロロゴのサルヴァトーレGMと、FDJスエズのマルタ・カヴァッリ選手 (c)服部産業
この女性用サドル紹介の記事では、私がレース会場で現地取材した写真を使いたかったのですが、FDJスエズで門前払いを喰らってしまい撮影出来なかったので、プロロゴ本社で撮影された写真を使います。サルバトーレ・トゥルーリオGMとマルタ・カヴァッリ選手です。カヴァッリ選手は2022年にアムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌを制し、ジロ・デ・イタリアで総合2位に輝いたFDJスエズのエースです。
マルタ・カヴァッリ選手は穏やかな性格の優しい女性ですが、レースを走るとメチャクチャカッコイイ男前な走りをします。チラリとサドルが見えておりますが、Scratch EVAをレースで使用しています。

カヴァッリ選手はEVAシリーズでレースを優勝しました (c)服部産業 
EFオータリー・キャノンデールの選手もプロロゴを使用している (c)服部産業

UAEチームADQはキアラ・コンソンニ選手がDimension EVAを使用している (c)服部産業
ヨーロッパでの女子レースの人気の高まりは日本では考えられないほどですが、プロロゴ社は幾つかの女子プロチームをサポートしています。その一つがEFオータリー・キャノンデール。パリオリンピックで金メダルを獲得したクリステン・フォークナー選手も所属するチームで有名ですね。
もう一つはUAEチームADQ、キアラ・コンソンニ選手やシルヴィア・ペルシコ選手を中心に、数人のナショナルチャンピオンが在籍する強豪チーム。Dimension EVAを使用するキアラ・コンソンニ選手のジロ・デ・イタリア・ウィメンの第2ステージでの勝利が記憶に新しいですね。
プロロゴ Scratch EVA
カラー:ハードブラック
レールタイプ:Tirox
サイズ:250x140mm
重量:226g
価格:19,800円(税込)
プロロゴ Dimension EVA
カラー:ハードブラック
レールタイプ:Tirox
サイズ:245x156mm
重量:227g
価格:19,800円(税込)

UAEチームエミレーツやグルパマFDJをサポートするサドルブランドのプロロゴ。UCIウィメンズチームも同じように支えており、現在はUAEチームADQとEFオータリー・キャノンデールとともに世界最高峰のレースを戦っている。
現在はスポンサーリストに名前を連ねてないもののFDJスエズの選手はプロロゴを愛用しており、中でもマルタ・カヴァッリは女性用サドルの開発にも協力。そして生み出されたのがScratch EVAと続いて女性モデル化が進められたDimansion EVAだ。

Scratch EVAの開発で人間工学的な研究をサドルに落とし込むことと、カヴァッリによるフィールドテストで完成。実際に2022年のアムステルゴールドレース、ラ・フレーシュ・ワロンヌでの優勝を支え、プロ選手の要求に応える女性用サドルを実現したことを証明した。
形状はScratch M5のT字型形状を採用しつつ、女性の体にフィットするようにイチから再設計が行われている。その結果サドルのセンターはユニセックスモデルよりも5mm前方に移動し、幅広の骨盤を支える面積を増加することに成功している。




また坐骨が位置する部分のパッドは高密度フォームを厚くしており、長時間のライドでも最後までしっかりとサポートする性能を獲得。対して中央と前方は低密度フォームを薄くすることで、前傾姿勢で体にフィットして痺れや痛みの発生を抑えている。パッドの中央部には溝を設けつつ、ベースには穴をあけることで、さらに圧迫感を低減した。
対してDimension EVAは245mmのコンパクトな長さを維持しながら、Dimension 143と比較して13mm幅広の156mmに設計されていることが特徴。サドルセンターはScratchでは前方へ移動していたが、Dimensionでは5mm後退。これによって女性の体をしっかりサポートできる座面を実現している。

パッドは低密度フォームを採用し、サドル後端部では8mmまで厚みを増やし快適性を確保。中央部の溝は18%広げられ、深い前傾姿勢を取った時の圧迫を低減している。さらにサドル先端部は13%と広げられており、前乗りポジションでもしっかりとライダーをサポートしてくれる。
どちらのモデルも幅広やパッディングが強化されているが、重量は軽量に抑えられていることが特徴。Scratch EVAではカーボンのNACKレール版で178g、ステンレスのTiroXレール版では226g。Dimension EVAもNACKレール版では183g、TiroXレール版では227gと、重量を気にするアスリートでも選択肢に入れられるはずだ。

このサドルをカトーサイクルの羽田野千晶さんがインプレッション。様々なレディースサドルも試した上でユニセックスモデルのサドルを使用しているアスリートライダーに、プロロゴのEVAシリーズについて伺った。
ーインプレッション

プロロゴの女性用サドルを試してみましたが、女性用とうたってあるだけあって、普段ユニセックスのサドルを使うと気になる部分がちゃんと改善されていて、とても快適でした。座りやすさ、こぎやすさという点で、かなり良いサドルだと思います。
具体的にユニセックスモデルとの違いを感じた部分は坐骨が乗る部分で、やはりサドルが腰を支えている感覚は違いました。今はユニセックスモデルを使っているのですが、100%フィットしていなかったので、女性用として開発されているものを使った方が快適だと実感しました。

これまで試乗してきた女性用サドルは、ゲルパッドが体に合わなかったり、重い重量が気になったり、スポーツバイクにマッチしない大きさだったりして、実際に使うまでには至りませんでした。EVAシリーズもパッドは厚めで、手で押したときはクッション感があるのですが、実際に乗った時にパッドの沈み込みやふかふか感がなくて、腰を支えてくれてペダリングトルクが逃げてしまうということはありません。
EVAシリーズはサドルの先端が幅広なので圧迫というより支えてくれる感覚がありますし、中央の溝がストレスになりにくかったです。カーボンレールモデルは重量も軽くて、数少ないながらもある女性用サドルの中でも推せるサドルだと思います。

スクラッチとディメンションの選び方は好みの問題ですが、プロロゴというブランドの中で自分に合うサドルを探せるというのはいい点だと思います。自分の骨盤の動きに合わせて検討すると良さそうです。どちらのサドルも、女性用として手を抜いている印象は全くありませんでした。
女性ライダーの中には、サドルの悩みをショップの人に相談しづらいこともあるかもしれません。でも我慢は禁物です。自転車とライダーをつなぐ大事な接点であるサドルなので、ぜひ積極的に女性用サドルを知ってもらいたいですし、試してみてもらいたいです。
インプレッション:羽田野千晶(カトーサイクル)
カトーサイクル CWレコメンドショップページはこちら→リンク
プロロゴを扱う服部産業のキット北村さんのインサイドレポート第4弾

2024年4月、リエージュ~バストーニュ~リエージュ観戦中のキット北村です。グルパマFDJチームのスタッフから、『おいキット、FDJスエズに超美人の選手がいるから見て来いよ!』と言われて、ドキドキしながらFDJスエズ女子チームのチームバスやメカニックトラックを探しました。

キット北村の記事を読んでくれている殊勝な読者の皆さんはご存知とは思いますが、ワールドチームへの突撃潜入取材成功率は100%(ちなみに2007年からずっと成功中)!もちろん、取引先関係から長年積み重ねてきたワールドチームのスタッフやメカニックとの人脈があっての事ですが、今まで突撃潜入取材に失敗した事が無かったので自信を持っていました。潜入出来ることが当たり前のような気持ちになっていました!リエージュ~バストーニュ~リエージュの会場で、FDJスエズのチームバスやメカニックトラックを見つけ、“グルパマFDJチームの自転車、帽子、サコッシュ等でFDJ愛”を強くアピールしましたが、グーグル翻訳したフランス語の取材の申し込みは一蹴され門前払いされました。ドンマイです。

この女性用サドル紹介の記事では、私がレース会場で現地取材した写真を使いたかったのですが、FDJスエズで門前払いを喰らってしまい撮影出来なかったので、プロロゴ本社で撮影された写真を使います。サルバトーレ・トゥルーリオGMとマルタ・カヴァッリ選手です。カヴァッリ選手は2022年にアムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌを制し、ジロ・デ・イタリアで総合2位に輝いたFDJスエズのエースです。
マルタ・カヴァッリ選手は穏やかな性格の優しい女性ですが、レースを走るとメチャクチャカッコイイ男前な走りをします。チラリとサドルが見えておりますが、Scratch EVAをレースで使用しています。



ヨーロッパでの女子レースの人気の高まりは日本では考えられないほどですが、プロロゴ社は幾つかの女子プロチームをサポートしています。その一つがEFオータリー・キャノンデール。パリオリンピックで金メダルを獲得したクリステン・フォークナー選手も所属するチームで有名ですね。
もう一つはUAEチームADQ、キアラ・コンソンニ選手やシルヴィア・ペルシコ選手を中心に、数人のナショナルチャンピオンが在籍する強豪チーム。Dimension EVAを使用するキアラ・コンソンニ選手のジロ・デ・イタリア・ウィメンの第2ステージでの勝利が記憶に新しいですね。
プロロゴ Scratch EVA
カラー:ハードブラック
レールタイプ:Tirox
サイズ:250x140mm
重量:226g
価格:19,800円(税込)
プロロゴ Dimension EVA
カラー:ハードブラック
レールタイプ:Tirox
サイズ:245x156mm
重量:227g
価格:19,800円(税込)
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