2024/10/13(日) - 08:46
ヨーロッパでのワールドツアーを締めくくるイル・ロンバルディアで、48.4kmを独走した世界王者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が4連覇。大会の最多タイ記録となる、ファウスト・コッピ以来75年振りの快挙を成し遂げた。
欧州における今年最後の大一番、イル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)の舞台はレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州。1905年に第1回大会が開催され、今年で118回目を迎える伝統の一戦はモニュメント(世界5大クラシック)の一つとして数えられ、例年秋に開催されることからイタリア国内では「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼び親しまれている。
スタートとフィニッシュ地点が毎年入れ替わることで知られ、今年はベルガモからコモを目指す255km。獲得標高差は4,800mに迫るレイアウトは名のついた8つの丘を越え、後半に登場するサイクリストの聖地マドンナ・デル・ギザッロ(距離8.6km/平均6.2%)とコルマ・ディ・ソルマノ(距離12.9km/平均6.4%)が勝負所と予想された。
現在3連覇中のロード世界王者、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を先頭に全25チーム/175名がスタートを切る。アタックが繰り返される慌ただしい序盤から、早速コナー・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)ら3名が集団を抜け出す。しかし1つ目の丘であるフォルチェリーノ・ディ・ビアンツァーノの途中で引き戻され、今度はマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)ら7名がエスケープした。
マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)も入ったこの強力な逃げ集団には、エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)やダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)などエース級の選手たちがジョイン。更にティシュ・ベノート(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)なども加わり、残り170km地点で先頭は23名による大きな逃げ集団となる。一方のメイン集団はUAEチームエミレーツが先導し、特にプロ1年目で20歳のヤン・クリステン(スイス)が序盤から積極的にペースを作った。
最大4分半の差は残り90km地点を境に、クリステンに加えフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド)やラファウ・マイカ(ポーランド)の牽引によって縮まっていく。頂上に教会が待つマドンナ・デル・ギザッロ(距離8.6km/平均6.2%)でも逃げとプロトンに動きはなく、続くコルマ・ディ・ソルマノ(距離12.9km/平均6.4%)に逃げ集団は1分6秒差で入った。
すると麓から逃げに乗ったルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)がアタックし、続いてクサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が飛び出す。単独先頭に立ったムーリッセにはテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が追いついたものの、アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)の高速牽引が差を一気に縮め、同時にプロトンの人数は21名に絞られる。そして先頭を代わったパヴェル・シヴァコフ(フランス、UAEチームエミレーツ)が残り48.5kmでムーリッセたちを捉えると、直後にポガチャルが仕掛けた。
アルカンシエルを纏ったポガチャルのアタックにはレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)でさえ反応できない。そのため追走を強いられたパリ五輪の金メダリストには、エンリク・マス(スペイン、モビスター)とレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)が追従したものの、2人は先頭交代を拒否。コルマ・ディ・ソルマノの頂上で1分のリードを得たポガチャルは、テクニカルな下りで更にそのリードを拡げていった。
2人の協力を得られないと判断したエヴェネプールは単独追走に切り替え、第2追走となったマスとファンイートヴェルトには抑え役のシヴァコフがジョイン。レース先頭では昨年大会も31kmの独走を見せたポガチャルが順調に脚を回し、同時にエヴェネプールとのタイム差も拡げていく。
ポガチャルは残り10kmで2分24秒のリードを得ると、残り5.1kmに頂上がくるサンフェルモ・デッラ・バッターリア(距離2.7km/平均7.2%)で2分50秒まで拡大させる。そして大観衆の待つコモに到着したポガチャルが、両手を拡げてフィニッシュに到着。直後にバイクを降りると、アルカンシエルと同じ白と虹色に染められた勝利者バイクを高々と掲げた。
今シーズンはジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスで総合優勝、そしてロード世界選手権を制しトリプルクラウンを達成したポガチャル。キャリアハイと呼べる実績に、ファウスト・コッピ(イタリア、1946〜49年)以来75年振りとなる大会4連覇を加えた。
「どの勝利も特別だ。そしてこの勝利もチームメイトがハードワークをしてくれたから掴めたもの。今日も重要かつ長いレースとなり、僕らは自ら動いて展開を作る、とても良い走りができた。作戦通りのアタックが決まり、(コルマ・ディ・ソルマノで)ある程度のリードを得ることができればそのまま勝てると考えていた。最後は観客からの声援を楽しみ、またオフシーズンのことを考えながら走っていたよ」と、ポガチャルは笑顔で喜んだ。
一方、フィニッシュ直後に涙を流したエヴェネプールは3分16秒遅れの2位。「ベルガモからコマにフィニッシュした4年前のこのレースで、僕がどういうことになったのか皆知っていることだろう。だから2位という結果は個人的な勝利と呼ぶことができる。タデイ(ポガチャル)がどこで仕掛けるかはわかっていたが、自分のペースで登るしかなかった。その後は一騎打ちのような展開となり、現時点で誰が最も強いのかが明らかとなった」とエヴェネプールは語っている。
3位には追走集団を飛び出したジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が入り、母国レースで表彰台に上がった。
欧州における今年最後の大一番、イル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)の舞台はレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州。1905年に第1回大会が開催され、今年で118回目を迎える伝統の一戦はモニュメント(世界5大クラシック)の一つとして数えられ、例年秋に開催されることからイタリア国内では「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼び親しまれている。
スタートとフィニッシュ地点が毎年入れ替わることで知られ、今年はベルガモからコモを目指す255km。獲得標高差は4,800mに迫るレイアウトは名のついた8つの丘を越え、後半に登場するサイクリストの聖地マドンナ・デル・ギザッロ(距離8.6km/平均6.2%)とコルマ・ディ・ソルマノ(距離12.9km/平均6.4%)が勝負所と予想された。
現在3連覇中のロード世界王者、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を先頭に全25チーム/175名がスタートを切る。アタックが繰り返される慌ただしい序盤から、早速コナー・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)ら3名が集団を抜け出す。しかし1つ目の丘であるフォルチェリーノ・ディ・ビアンツァーノの途中で引き戻され、今度はマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)ら7名がエスケープした。
マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)も入ったこの強力な逃げ集団には、エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)やダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)などエース級の選手たちがジョイン。更にティシュ・ベノート(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)なども加わり、残り170km地点で先頭は23名による大きな逃げ集団となる。一方のメイン集団はUAEチームエミレーツが先導し、特にプロ1年目で20歳のヤン・クリステン(スイス)が序盤から積極的にペースを作った。
最大4分半の差は残り90km地点を境に、クリステンに加えフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド)やラファウ・マイカ(ポーランド)の牽引によって縮まっていく。頂上に教会が待つマドンナ・デル・ギザッロ(距離8.6km/平均6.2%)でも逃げとプロトンに動きはなく、続くコルマ・ディ・ソルマノ(距離12.9km/平均6.4%)に逃げ集団は1分6秒差で入った。
すると麓から逃げに乗ったルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)がアタックし、続いてクサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が飛び出す。単独先頭に立ったムーリッセにはテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が追いついたものの、アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)の高速牽引が差を一気に縮め、同時にプロトンの人数は21名に絞られる。そして先頭を代わったパヴェル・シヴァコフ(フランス、UAEチームエミレーツ)が残り48.5kmでムーリッセたちを捉えると、直後にポガチャルが仕掛けた。
アルカンシエルを纏ったポガチャルのアタックにはレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)でさえ反応できない。そのため追走を強いられたパリ五輪の金メダリストには、エンリク・マス(スペイン、モビスター)とレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)が追従したものの、2人は先頭交代を拒否。コルマ・ディ・ソルマノの頂上で1分のリードを得たポガチャルは、テクニカルな下りで更にそのリードを拡げていった。
2人の協力を得られないと判断したエヴェネプールは単独追走に切り替え、第2追走となったマスとファンイートヴェルトには抑え役のシヴァコフがジョイン。レース先頭では昨年大会も31kmの独走を見せたポガチャルが順調に脚を回し、同時にエヴェネプールとのタイム差も拡げていく。
ポガチャルは残り10kmで2分24秒のリードを得ると、残り5.1kmに頂上がくるサンフェルモ・デッラ・バッターリア(距離2.7km/平均7.2%)で2分50秒まで拡大させる。そして大観衆の待つコモに到着したポガチャルが、両手を拡げてフィニッシュに到着。直後にバイクを降りると、アルカンシエルと同じ白と虹色に染められた勝利者バイクを高々と掲げた。
今シーズンはジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスで総合優勝、そしてロード世界選手権を制しトリプルクラウンを達成したポガチャル。キャリアハイと呼べる実績に、ファウスト・コッピ(イタリア、1946〜49年)以来75年振りとなる大会4連覇を加えた。
「どの勝利も特別だ。そしてこの勝利もチームメイトがハードワークをしてくれたから掴めたもの。今日も重要かつ長いレースとなり、僕らは自ら動いて展開を作る、とても良い走りができた。作戦通りのアタックが決まり、(コルマ・ディ・ソルマノで)ある程度のリードを得ることができればそのまま勝てると考えていた。最後は観客からの声援を楽しみ、またオフシーズンのことを考えながら走っていたよ」と、ポガチャルは笑顔で喜んだ。
一方、フィニッシュ直後に涙を流したエヴェネプールは3分16秒遅れの2位。「ベルガモからコマにフィニッシュした4年前のこのレースで、僕がどういうことになったのか皆知っていることだろう。だから2位という結果は個人的な勝利と呼ぶことができる。タデイ(ポガチャル)がどこで仕掛けるかはわかっていたが、自分のペースで登るしかなかった。その後は一騎打ちのような展開となり、現時点で誰が最も強いのかが明らかとなった」とエヴェネプールは語っている。
3位には追走集団を飛び出したジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が入り、母国レースで表彰台に上がった。
イル・ロンバルディア2024結果
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 6:04:58 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +3:16 |
3位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | +4:31 |
4位 | ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) | +4:34 |
5位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
6位 | パヴェル・シヴァコフ(フランス、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | |
8位 | ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | +4:58 |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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