日本でも人気が高まるグラベルイベントの最高峰にあるのがニセコグラベルだ。3年目を迎えて600人超の参加者が集まったNISEKO GRAVEL オータムライドにCW編集部・綾野が仲間たちと参加。前後でもプライベートライドを楽しんだ3日間の遠征旅の様子をお伝えしよう。



綾野真(CW編集部)と愛車のchapter2 Kaha GRX Di2仕様

走った人:綾野 真(シクロワイアード編集部)
アンバウンドグラベルに3年連続出場。日本ではグラベル黎明期より今までにJEROBOAM、グラインデューロ斑尾、信越グラベル、野辺山グラベルチャレンジ、グラベルクラシックやくらいなど日本各地のグラベルイベントを取材しつつ走ってきた。普段から関東の武蔵野、房総、上州エリアなどでグラベルライドを楽しんでいる。



ニセコ駅前のかわいいかぼちゃのディスプレイ
会場にはメーカーブースが並んで華やか


筆者はここ数年グラベルづいていて、アメリカのアンバウンドグラベルをはじめ日本各地のグラベルイベントを走ってきたが、なぜかニセコグラベルだけは今まで縁がなく、走ったことが無かった。それが、地元で一緒に走っているクラブの仲間で一緒に出場しようと盛り上がって、今回は9人の大所帯での3日間の遠征となった。

レンタカーのハイエース2台に9台の自転車を積んで
9人で借りたコテージはなかなか快適でした



こうして原稿を書いているから仕事といえば仕事だけど、ほぼプライベートでの参加。ニセコは遠いだけに敷居が高いけど、一緒に行く仲間が居れば色々とハードルが下がる。対して旅の手配は大変にはなるけれど。

北海道に行くには飛行機輪行が必須だし、ニセコは新千歳空港から約110kmの距離がある。今回は成田発のJETSTAR便を選び、土曜早朝に埼玉からワンボックスカー2台で移動、新千歳空港からニセコまでもレンタカー2台で移動した。宿はAirbnbで探した会場近くのコテージを借りて、皆で割り勘。安く済ませることができた。

シェイクアウトライドでグラベルの走行感をつかめる photo:Makoto AYANO

ニセコグラベルは春・秋の年2回開催。春のSpring rideが5月開催で距離が少し短め・大会規模も少し小さめに対し、Autumn rideは9月21・22日の2日間開催。ご存知のとおり日本最大の人気を誇るグラベルイベントであり、ニセコ町、蘭越町、倶知安町などをまたいで広域で開催される。距離もEx Long125km、Long100km、Middle66km、初心者向けファンライド30〜40kmから選ぶことができる。今年は初めて定員超えの620人が参加した。

飛行機+レンタカー移動で土曜の昼に会場のニセコ町・中央倉庫群に到着。急いで自転車を組み立てて、14時からのパナレーサーのサポートプロライダーの竹下佳映さんとのシェイクアウトライドに参加した。

グラベルキングのCMモデルになった人だ!
シェイクアウトライドのノベルティでGRAVELKINGサコッシュをもらいました



シェイクアウトライドとは試走のこと。組んだばかりのバイクでグラベルを走って身体を慣らすことと、タイヤの空気圧を調整して路面の荒れ具合に合わせて調整する。それ以上にここで会う参加者同士が一緒に走ることでまずは顔見知りになるという、ソーシャルライド的な側面があるグラベル特有のカルチャーだ。

メイン会場にはこんな記念撮影用ブースが用意されていて嬉しい photo:Makoto AYANO

走るのは約30km、グラベル率25%程度で2時間程度。目を三角にして走るわけじゃないから、SNSだけでつながっている人、トモダチのトモダチなど、何かきっかけをみつけては一緒に走る人と話が弾むのがシェイクアウトライドの良いところ。実際僕らのグループ内でも初対面に近い人同士で打ち解け、一緒に共同生活&アクティビティをこなすことで仲良くなっていくのだ。

農家の手作りという黄金(こがね)温泉。気に入って2日間通いました
黄金温泉名物の新米おにぎりは感動的な味でした



走り終えた夕方は、周囲に何も無い郊外の黄金(こがね)温泉へ。なんでも農家が営業する手づくり温泉で、おにぎりが美味しいことで有名。後で判ったが、毎年エイドで好評のおにぎりはこの農家の提供ということだった。その夜は皆で美味しいジンギスカンを食べに行き、大満足。

ディナーは超人気のジンギスカンのお店へ photo:Makoto AYANO



ニセコグラベルの朝は早い。今回申し込んだEx(エクストラ)ロングのスタート時間は朝6時半。宿は会場からすぐの場所なのでブリーフィングに間に合うよう30分前に会場へ向かう。

キャノンデール販売店関係者の皆さんも揃ってイベントを満喫 photo:Nobuhiko Tanabe

朝の気温は8℃。天気は曇りで肌寒いが、夕方まで雨の心配は少なそうだ。ウェアは半袖にウォーマー類を組み合わせて。北海道だから涼しいが、晴れたら暑くなるし、もし雨に降られるとかなり厳しくなるのでレインジャケットは念のため持つことが欠かせない。

RCC大阪の皆さん photo:Makoto AYANO

お揃いウェアが決まったPas Normal Studioの皆さん photo:Makoto AYANO

Exロングのコースは距離125km、グラベル率40~50%、獲得標高2,250~2,350m。エイドステーションは5箇所が予定されていて、各エイドでは必ず立ち寄ってチェックを受けるルール。行動中に伴う補給食、チューブ、熊鈴などを持つことも必要なセルフライドイベントだ。

6時半の早朝スタートからこのハイテンションです photo:Nobuhiko Tanabe

レースじゃないからゆったりスタートで、和やかに走り出す。Exロングは前半に登りが集中したコースレイアウトで、皆が健脚自慢のクラスだからスタートからスピードが速く、着いていくのが少しキツく感じる。それでも空に拓けた一直線の道に北海道を感じて、さっそく「ほっかいどーは、でっかいど〜」と叫びたくなる。

まっすぐな直線路が続くのはさすが北海道だ photo:Makoto AYANO

森のなかのグラベルをワイワイと楽しげに進む photo:Nobuhiko Tanabe

さっそく砂利の上りに入ると、肌寒く感じていたのに暑くてジャケットを脱ぐことに。汗もかくので水分補給も欠かせない。皆さん勾配キツめの坂もジャリジャリ登るのはさすが。グラベルはガレておらず、とても走りやすい。

パナレーサー GRAVELKING X1 40Cを使いました photo:Makoto AYANO

今回はもちろんパナレーサーの新製品、GRAVELKING X1を装着してきているけど、舗装区間も多いので40Cでちょうどいい感じ。同じX1ユーザーが多いので空気圧やセッティングの情報交換をしながら走るのも楽しい。ちょうど数日前に担当したGRAVELKING開発ストーリー特集記事がアップされたばかりなので、皆さんそれをよく読んでくれているようで、「グラベルキング特集読みました」と、よく声をかけられる。

曇り空のなか走り出す photo:Makoto AYANO

1時間しないうちに到達する最初の頂上が、今日のルート上でいちばん標高のある峠(420m)だ。ウォーターエイドでボトルに水を足し、少しタイヤのエア圧を調整して、ごきげんな下りへ。砂利は少し深いけど、かっ飛ばす気持ちよさはニセコグラベルならでは。

静かな森の中のグラベルをにぎやかに進む photo:Nobuhiko Tanabe

再び森の中のグラベルを進むと、渡渉(としょう/ 川渡り)が登場。さすがに水は冷たいので、一気に進入して足を着かないように乗り切るも、水跳ねでお尻は濡れてしまう。こうした渡渉はルート上に3箇所もあった。

勢いをつけて濡れないように川を渡る photo:Makoto AYANO

そして草原の展望が拓けたところに唐突に豪華なソファが置いてあった。そこで仲間と一緒に記念写真を撮るのは本場のグラベルイベントのお約束。こうしたソファは今回3箇所に設置されているとのことで、なんでもキャノンデールの山本カズさんらが北海道の家具店で購入してきて設置したらしい。

草原に向かって拓けた場所に置かれたソファで記念撮影 photo:Makoto AYANO

32km地点の豊浦エイドではホタテいっぱいのクラムチャウダーが提供された。ホタテがゴロゴロとたっぷり入っていて美味しく、ダウンヒルで冷えた身体が温まった。竹下佳映さんともここで記念写真をパチリ。Kaeさんはできるだけ多くの人と交流したいと、コースを決めずに走っているとのことで、さすがのプロ意識。

プロライダーの竹下佳映さんを見つけて記念撮影!
ホタテたっぷりのクラムチャウダー



またまた登場する河渡。水しぶきで下半身はすっかりびしょ濡れだが、実は河渡が多いことは前日に聞いていたので、バックパックには換えのソックスを持ってきていたのでした。空は曇ったままだが日中になって気温は16℃ほどに落ち着く。

クリアだけど冷たい水の河渡 photo:Makoto AYANO

58km地点のタチカワエイドでソックスを換えながら、補給食に出されたプチトマトとほおずきをいただく。薄皮に覆われたほおずきって食べられるんですね。ほんのり甘酸っぱく、果物とはちょっと違う不思議な味でした。でもそれだけではカロリーが足りないところにスポンサーのPOWBARもいただけて、エネルギー補給としては問題なし。

プチトマトとフルーツほおずき。ほんのりと甘かった
参加者に渡されるチェックシートには必要情報が満載



グラベルセクターごとに名がつけられる「Cannondale Rankoshi Gravel 」 photo:Makoto AYANO

ルート上に登場する主要なグラベルには名前が冠されている。ちょっとキツめのBEAR HUNT Gravelへ。訳せば「熊狩り」だけど、北海道では熊の出没が多く、今回のライド中にも熊鈴の装着が強く推奨されていた。あたりは鬱蒼とした森。ルート上に明らかに熊のものと思える糞が落ちていたり、ちょっと獣臭が漂っていたりと、独りで走るにはちょっと恐怖かも。

楽しげに進むキャノンデール・ジャパンの一行 photo:Nobuhiko Tanabe

スムーズでスピードに乗るグラベルのダウンヒルをこなし、森から出て踏切を渡るとEx longとLongの分岐があった。82km地点のナコマエイドでは巨峰、かまぼこ、バームクーヘンをいただく。この巨峰が甘くて美味しくてたまらなかった。

ミドルクラスの参加者さんも合流して賑やかに
ナコマエイドの巨峰、かまぼこ、バームクーヘン



蘭越町に入って森の中にこの日2つ目のソファで、また記念撮影をパチリ。ニセコ名物のかぼちゃが撮影小物として置いてあるのも芸が細かい。

ミドルコースのルートと合流してからは上り勾配も優しく、グラベルも難易度が低くなり、走りやすくなる。午前中あれだけ多いと感じた参加者も、中盤以降はルート上の人影がまばらとなって誰にも会わない時間が多く寂しくなっていたから、にぎやかになっていい。

キャノンデール・ジャパン一行がソファで揃って記念撮影 photo:Nobuhiko Tanabe

お待ちかねのメロンをいただいてご機嫌です photo:Makoto AYANO

尻別川の河川敷のルートをしばらく走るとランラン公園エイドに到着。ここではメロンとおにぎりが供された。メロンは昨年も大好評だったが、食べ放題のような間違った情報が出回って、遅れて到着する人のぶんが無くなるという事態が発生してしまったらしく、今年は1人1個ルールで配られた。

そして、一緒に提供された蘭越町林農場の新米おにぎりは、ANA国際線ファーストクラスにも採用されているという美味しい蘭越米を使ったおにぎりで、先に挙げた黄金温泉の農家の手作り。甘いメロンとおにぎりはお腹の減る終盤に向けて嬉しい補給だ。

スピードが出る蘭越町の乾いたグラベル photo:Makoto AYANO

ここでミドルコースを走っていた同行のクラブの仲間たちが合流してきた。設置してある今日3つ目のソファで皆で記念写真を撮って、せっかくだからここから一緒に走ることにする(とは言ってもやはりペースが違うのでまたバラけるのだけれど...)。

最後のエイドからの終盤ルートは楽めなプロフィールだったけど、一箇所、工事を終えたばかりの急勾配で砂利の深いグラベルの登りがあり、足が無くなった状態では登りながらタイヤを取られて足を着いてしまう難しさで、精神的に参ってしまう。

尻別川沿いのグラベルの先に羊蹄山が見えてきた photo:Makoto AYANO

ミドル、ロング、Exロングの3つが一緒のルートになる最終盤。上級者から初心者まで、ロードバイクのカスタマイズ車からMTB、親子連れまでが一緒に走る。向かう先には羊蹄山が見えてきて、フィニッシュまでの距離感がわかるのもいい。

ちなみに昨年まではスキー場への長くて急な登りをこなした先がフィニッシュに設定されていて、その登りが不評(恨み?)をかっていたようだが、今回は平坦のままフィニッシュに向かう。この変更が何よりという声をよく聞いた。確かに脚が売り切れるロングライドの締めにヒルクライムは、ちょっと嫌だ(笑)。

フィニッシュした頃から雨が降りはじめた photo:Nobuhiko Tanabe

Exロングながら早めのフィニッシュになった僕らのグループも、フィニッシュでは皆が勢揃い。サイコンの実測データでは走行距離125.65 km、タイム:8時間6分48秒(実走行時間6時間28分)、平均時速19.4km/h、獲得標高2,429mでした。

完走してこの笑顔! photo:Nobuhiko Tanabe

会場の中央倉庫群にはフードトラックもたくさん出店していて、すぐさまハンバーガーにビールで乾杯。協賛スポンサーから色々なノベルティがもらえるのが嬉しい。

中央倉庫群の会場は参加者で賑わう photo:Nobuhiko Tanabe

会場にはごきげんな音楽がかかり、しばしのリラックスタイム。ビールを飲みながらトークショーなどを聞き、続々とフィニッシュする仲間たちと乾杯を交わす。

あったかいコーヒーで完走の乾杯
抽選会でパナレーサーのロードタイヤをもらいました!



この日、アフターイベントとしてもっとも注目したかったのがキャノンデール・ジャパンの社員によるバンド演奏。今年限りで解散となるキャノンデール・ジャパンは9月末日を持って活動を停止する。その最後の協賛イベントがこのニセコグラベルであり、イベントを走った社員全員でバンド演奏を行うというのだ。

ステージイベントのトリはキャノンデール・ジャパン社員のバンド演奏 photo:Nobuhiko Tanabe

ニセコグラベルに限らず、先日のグラベルクラシックやくらいなど、日本のグラベルイベントを多くサポートしてくれたキャノンデール・ジャパン。今回のニセコグラベルでも大会をスポンサードし、かつ日本全国の販売店をイベントに招待し、多くのサイクルショップスタッフがこのニセコグラベルを走った。Topstoneはグラベルイベントのトップシェアを占める人気バイクにもなり、同社とグラベルイベントは切っても切れない関係だ。

社長&社員ノリノリ。つくづく解散が惜しいチームワークだ
Leftyフォークも楽器に早変わり



今後、同社と関係が深いインターテックが日本でのキャノンデール代理店として事業を引き継ぎ、CJスタッフの何人かも移籍するとのことで、来季は新たな体制で再スタートになるという。キャノンデール・ジャパンが日本のグラベルシーンに果たした役割はあまりに大きく、発展に寄与してくれた同社に感謝したい。

全員揃って一緒に走ったキャノンデール・ジャパンの一行はフィニッシュ時間が遅くなり、冷たい雨も降り出してきたため、筆者は後ろ髪引かれる想いで宿に引き揚げてしまったため演奏を聴くことが出来なかったのは心残りだ。



日本のグラベルイベントの先駆けであり、高い人気を誇るニセコグラベル。初めて走ってみて、事前に聞いていた通りの素晴らしさだった。北海道ならではの大自然、ニセコならではの走りやすい締まった極上グラベル。世界に誇れるリゾートの雰囲気と、グルメや宿泊も申し分無しのクオリティとキャパシティ。旅で訪れるだけでも気持ちがいいエリア一帯の魅力を、思う存分肌で感じながら走れるグラベルライドの素晴らしさを堪能することが出来た。

ニセコの大地に伸びるグラベルを走る photo:Nobuhiko Tanabe

「ニセコのコースはかなり過酷」と聞いていたが、個人的な感想では今年はグラベルクラシックやくらいのほうが気象条件的にもグラベル率やガレ度からも難易度が高かったように思う。ニセコグラベルExロングは距離が長いものの、気持ちよく滑走できるグラベルと舗装路区間も長く、想像したよりも快適に走ることが出来た(それでも過酷には違いないが)。

一緒に走った仲間とソファで撮る写真は楽しい photo:Nobuhiko Tanabe

今年で3年目の開催だが、初年度は参加者5人で実施したイベントが、今や600人の定員超え。メインスポンサーをつとめるパナレーサーの大和社長が「今年はようやく日本のグラベル元年だと感じた」と表現したように、もうマイナーなイベントを脱しつつある。一度走った人は必ずリピーターになる素晴らしい雰囲気があると感じた。

GRAVELKING ニセコグラベル限定モデル photo:Makoto AYANO

走り終えての機材&エキップメントの振り返りを。タイヤはパナレーサーのGRAVELKING X1 40Cを使用したが、それでちょうど良い感じだった。もし下りを攻めることを楽しみたいというなら45Cなどの太めにするか、サスペンションがあればなお良いだろう。グラベルに穴や溝など掘れた箇所は少ないが、ドロッパーポストがあれば安全に下れるためおすすめだ。

ローギアはなるべく1✕1以下の軽いギアがあるといい photo:Makoto AYANO

総じて下りはなだらかめな設定だが、登りは厳しめ。急勾配な箇所もいくつかあり、ギアは1対1以上の軽いギアがあったほうがいい。パンクは珍しくはないので、修理の用意と対策は必須だ。

エイドの補給は必要最低限なだけはあるが、提供食はどれもカロリーが低め。そして今回はエナジーバーやおにぎり、メロンなどボリュームのある補給食は終盤に出てきたので、やはりエナジージェル等の携帯が欠かせないと感じた。各エイドで給水は可能。終日曇っていたが発汗量は多かったため、スポーツドリンク等のパウダー等も持参すれば良いだろう。ちなみにルート上にコンビニや商店はまったく無かった。

会場エリアはフィニッシュした参加者で賑わう
ステージでは様々なトークショーなどが開催され楽しめた



そして結局はライド中に雨に降られることはなかったが、フィニッシュしてから降られた雨は冷たかった。もし走っている最中に降られたらレインジャケットが無ければ完走はかなり厳しくなるため、レインジャケットの用意と雨対策は必要だ。もし終日雨が降るような天候なら完全な防水と冬装備が必要なはずだ(2023年のSpring rideは雨でかなり過酷だったそうだ)。



番外編 アフターライドはグラベルで千歳空港まで

支笏湖までハイエースで移動してからライドに出発! photo:Makoto AYANO

日曜日開催のニセコグラベルを走り終えてからすぐ帰京するには空港が遠く、せわし無さすぎるため、僕らの一行は会場近くのコテージに連泊した。そして月曜は皆が休暇をとり、夜19時発の便を予約し、どうせならと時間いっぱい使って遊ぶ計画を立てていた。月曜朝に支笏湖まで約50kmをハイエースで移動して、そこから千歳までの約40kmをグラベルで自走して帰路にするという計画だ。

秋晴れの支笏湖畔でランチ photo:Makoto AYANO

支笏湖で名物のヒメマスを食べ、ハイエースは運転してくれる2人が分乗で千歳まで搬送。ライド班は湖畔から林道のグラベルへと進んだ。

支笏湖のヒメマス唐揚げは美味しかった
支笏湖畔から林道へと進む



熊鈴を鳴らしながら原生林のグラベルへと進んでいく photo:Makoto AYANO

地元の人からは「支笏湖から千歳にかけては熊の密度が高いから気をつけなさい」と注意されていたので、皆が熊鈴を鳴らしながら、声高におしゃべりしながら進む。イベント中恵まれなかった陽光が降り注ぎ、落ち葉もあって秋の雰囲気を感じながら走ることが出来た。林道にはキツい登りもあったが、下り基調で日が傾く前に千歳に到着。

晴れた空に白いグラベルが伸びる林道を飛ばす photo:Makoto AYANO

林業で使われている林道とあって貯木場があちこちに
落ち葉に秋の訪れを感じた



千歳市内の日帰り温泉をフィニッシュ地点にしていたので、ハイエース隊と合流してから駐車場でバイクを分解・梱包。夕方に温泉を堪能してさっぱりしてから改めて新千歳空港のラーメン街で乾杯。機上の人となった。

日帰り温泉の駐車場でバイクを梱包した photo:Makoto AYANO

仲間9人と遠征したニセコグラベルオータムライド。前後の移動日含めて3日間すべて走り、北海道を満喫する旅となった。

ランラン公園エイドで、ソファに座ってかぼちゃと記念撮影パチリ photo:Makoto AYANO

コロナ禍を経てようやく戻った日常で、仲間たちと絆を深めることができるグラベルライドは、今誰もが求めるイベントの要素を満たしていると感じる。遠征にかかる距離やコスト含めた労力は大きいが、だからこそ得られる素晴らしい体験ができた。また来年もリピートしたい。素直にそう感じる素晴らしいグラベル遠征の旅だった。


text&photo:Makoto AYANO
official photo:Nobuhiko Tanabe