2024/09/29(日) - 09:34
雨という悪条件の中行われたロード世界選手権女子エリート+U23ロードレースは、小集団スプリントで強さ見せたロッテ・コペッキー(ベルギー)が2連覇を達成。U23はプック・ピーテルセ(オランダ)が優勝し、日本代表の與那嶺は73位、木下は74位、垣田はDNFだった。
スイスのウスターを出発後グライフェン湖を1周し、26.9kmコースを4周半する154.1kmで行われたロード世界選手権女子エリート+U23ロードレース。連日続く雨はこの日も選手たちに降り注ぎ、前日よりも低い気温11度のなか194名の選手たちがスタート地点に集う。女子ジュニアロードレースで落車し、命を落としたミュリエル・フラー(スイス)への黙祷が捧げられた後、アルカンシエルを懸けたレースが始まった。
クライマーやパンチャー向きと言える獲得標高差2,384mのレースは、カロリーネ・バウア(スイス)とサラ・マルティン(スペイン)、ニナ・ベルトン(ルクセンブルク)ら3名の逃げによって始まる。日本代表として出場した與那嶺恵理と木下友梨菜、垣田真穂(U23)の3名が入るメイン集団では序盤から落車が多発。グライフェン湖を1周し、チューリッヒ湖の西側に設定された26.9kmコースへの繋ぎ区間でロッテ・コペッキー(ベルギー)が早くも動いた。
このペースアップには昨年2位のデミ・フォレリング(オランダ)やツール・ド・フランス・ファムの総合優勝者であるカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)がマーク。決定的な動きには繋がらなかったものの、バウアが先に遅れた逃げとの差が縮まる。そして残り102kmで逃げ集団は吸収され、レースは振り出しに戻った。
直後にサラ・ジガンテ(オーストラリア)が集団を飛び出し、ウルシュカ・ジガート(スロベニア)と共に先頭に立つ。遅れてニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド)やフェムケ・マルクス(オランダ)などが合流。更に前ヨーロッパ王者であるミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ)らも加わり、レース中盤で11名の新たな逃げ集団が形成された。
プロトンでは唯一逃げに2名を送ったオランダが牽引する。そのハイペースには2021年の世界王者であるエリーザ・バルサモ(イタリア)が遅れ、優勝候補にも挙げられたポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)も脱落。雨が容赦なく降り続けるなか、残り74km地点で集団を先導するパウリーナ・ローイヤッカース(オランダ)が逃げ集団を捉えた。
直後にミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ)がスピードアップし、オレンジ軍団が有利にレースを進めていく。そして人数の絞られた集団はラスト2周目に突入した。
登り区間でフォレリングが加速し、チームメイトであるマリアンヌ・フォス(オランダ)らニエウィアドマなど優勝候補に挙げられた選手たちが遅れていく。その後エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)やジュリエット・ラブース(フランス)などがアタック。しかしいずれも決め手に欠き、リーアンヌ・マルクス(オランダ)とジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー)が飛び出し先頭に立った。
マルクスら2名には、登りで遅れたフォスとルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア)が合流する。それを1分差で追いかける21名の集団にはコペッキーとフォレリング、ロンゴボルギーニなどはもちろん、ニエウィアドマもなんとかジョイン。そのまま最終周回に入り、更に5名まで絞られた追走集団から残り20km地点でロンゴボルギーニがアタックした。
ライバルの動きにはフォレリングが反応する一方で、コペッキーが遅れる。逃げに追いつく直前にフォレリングが踏み込み、合流後も先頭でペースを作る。しかしフォレリングの動きに共鳴する選手が現れなかったため、遅れたクロエ・ダイガート(アメリカ)は残り15kmで先頭に合流。またマイペースに切り替えたコペッキーも遅れたフォスと共に追いついた。
雨でより一層テクニカルとなった下り区間を前に、残り13km地点で先頭集団は9名。その中でもオランダは3名、ベルギーは2名を残す有利な展開を作り、登坂距離の短い登り返しでフォレリングがアタック。しかしフォレリングはライバルは引き離すことはできなかったばかりか、チームメイトであるマルクスとフォスを失い、同じくヘキエーレが遅れたコペッキーが下りでスピードアップした。
その後再びフォレリングがペースを作る集団から、残り5kmでロンゴボルギーニが仕掛ける。その動きは一時コペッキーとフォレリングの牽制を誘発したものの、フォレリングが自ら脚を使いロンゴボルギーニをキャッチ。コペッキーはリアヌ・リッパート(ドイツ)の背後で巧みに力を溜め、勝負は先頭6名によるスプリントに持ち込まれた。
フォレリングを先頭に最終ストレートに入り、集団最後尾につけたロンゴボルギーニが残り250mからスプリントを開始する。それを合図に6名全員が踏みはじめ、なかでもトップスピードに乗ったコペッキーが先頭に立つ。高出力で踏み続けるコペッキーにはロンゴボルギーニやフォレリングは敵わず、大外から追い上げたダイガートも届かない。
そして雄叫びを上げながらフィニッシュしたコペッキーが、昨年に続く大会連覇を達成した。
「まずはミュリエル(フラー)の家族に哀悼の意を表したい。スタート前にスイスチームの選手たちが涙を流す姿は見たくないものだった。彼女たちにとって辛いものだろう」と、まず亡くなったフラーへの気持ちを述べたコペッキー。
「雨と寒さによって不快に感じるレースだった。登りで温まった身体が下りで冷えてしまうなか、頭を冷静に保つことを意識した。デミ(フォレリング)のアタックについていくことはできなかったが、自分のペースを守り追いついた。心理戦が繰り広げられるなか、冷静に適切なタイミングで自分の力を発揮した。オーストラリア人選手(ローズマンギャノン)が後ろから速いスピードで迫ってきたので、反応するように踏み込んだ。それが完璧なタイミングとなった」と、コペッキーは過酷なレースを振り返った。
優勝候補に筆頭に挙げられ、決して好調ではないコペッキーが掴んだ2度目のアルカンシエル。2位にはダイガートが入り、3位はロンゴボルギーニ、積極的な走りを見せたフォレリングは5位でレースを終えている。
U23は全体の13位でフィニッシュしたプック・ピーテルセ(オランダ)が優勝。2位にはニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア)、3位はアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ)が入り、表彰台に上がっている。また日本勢は垣田がDNFだった一方で、與那嶺は73位(21分5秒遅れ)、同タイムでフィニッシュした木下は74位だった。
スイスのウスターを出発後グライフェン湖を1周し、26.9kmコースを4周半する154.1kmで行われたロード世界選手権女子エリート+U23ロードレース。連日続く雨はこの日も選手たちに降り注ぎ、前日よりも低い気温11度のなか194名の選手たちがスタート地点に集う。女子ジュニアロードレースで落車し、命を落としたミュリエル・フラー(スイス)への黙祷が捧げられた後、アルカンシエルを懸けたレースが始まった。
クライマーやパンチャー向きと言える獲得標高差2,384mのレースは、カロリーネ・バウア(スイス)とサラ・マルティン(スペイン)、ニナ・ベルトン(ルクセンブルク)ら3名の逃げによって始まる。日本代表として出場した與那嶺恵理と木下友梨菜、垣田真穂(U23)の3名が入るメイン集団では序盤から落車が多発。グライフェン湖を1周し、チューリッヒ湖の西側に設定された26.9kmコースへの繋ぎ区間でロッテ・コペッキー(ベルギー)が早くも動いた。
このペースアップには昨年2位のデミ・フォレリング(オランダ)やツール・ド・フランス・ファムの総合優勝者であるカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)がマーク。決定的な動きには繋がらなかったものの、バウアが先に遅れた逃げとの差が縮まる。そして残り102kmで逃げ集団は吸収され、レースは振り出しに戻った。
直後にサラ・ジガンテ(オーストラリア)が集団を飛び出し、ウルシュカ・ジガート(スロベニア)と共に先頭に立つ。遅れてニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド)やフェムケ・マルクス(オランダ)などが合流。更に前ヨーロッパ王者であるミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ)らも加わり、レース中盤で11名の新たな逃げ集団が形成された。
プロトンでは唯一逃げに2名を送ったオランダが牽引する。そのハイペースには2021年の世界王者であるエリーザ・バルサモ(イタリア)が遅れ、優勝候補にも挙げられたポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)も脱落。雨が容赦なく降り続けるなか、残り74km地点で集団を先導するパウリーナ・ローイヤッカース(オランダ)が逃げ集団を捉えた。
直後にミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ)がスピードアップし、オレンジ軍団が有利にレースを進めていく。そして人数の絞られた集団はラスト2周目に突入した。
登り区間でフォレリングが加速し、チームメイトであるマリアンヌ・フォス(オランダ)らニエウィアドマなど優勝候補に挙げられた選手たちが遅れていく。その後エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)やジュリエット・ラブース(フランス)などがアタック。しかしいずれも決め手に欠き、リーアンヌ・マルクス(オランダ)とジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー)が飛び出し先頭に立った。
マルクスら2名には、登りで遅れたフォスとルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア)が合流する。それを1分差で追いかける21名の集団にはコペッキーとフォレリング、ロンゴボルギーニなどはもちろん、ニエウィアドマもなんとかジョイン。そのまま最終周回に入り、更に5名まで絞られた追走集団から残り20km地点でロンゴボルギーニがアタックした。
ライバルの動きにはフォレリングが反応する一方で、コペッキーが遅れる。逃げに追いつく直前にフォレリングが踏み込み、合流後も先頭でペースを作る。しかしフォレリングの動きに共鳴する選手が現れなかったため、遅れたクロエ・ダイガート(アメリカ)は残り15kmで先頭に合流。またマイペースに切り替えたコペッキーも遅れたフォスと共に追いついた。
雨でより一層テクニカルとなった下り区間を前に、残り13km地点で先頭集団は9名。その中でもオランダは3名、ベルギーは2名を残す有利な展開を作り、登坂距離の短い登り返しでフォレリングがアタック。しかしフォレリングはライバルは引き離すことはできなかったばかりか、チームメイトであるマルクスとフォスを失い、同じくヘキエーレが遅れたコペッキーが下りでスピードアップした。
その後再びフォレリングがペースを作る集団から、残り5kmでロンゴボルギーニが仕掛ける。その動きは一時コペッキーとフォレリングの牽制を誘発したものの、フォレリングが自ら脚を使いロンゴボルギーニをキャッチ。コペッキーはリアヌ・リッパート(ドイツ)の背後で巧みに力を溜め、勝負は先頭6名によるスプリントに持ち込まれた。
フォレリングを先頭に最終ストレートに入り、集団最後尾につけたロンゴボルギーニが残り250mからスプリントを開始する。それを合図に6名全員が踏みはじめ、なかでもトップスピードに乗ったコペッキーが先頭に立つ。高出力で踏み続けるコペッキーにはロンゴボルギーニやフォレリングは敵わず、大外から追い上げたダイガートも届かない。
そして雄叫びを上げながらフィニッシュしたコペッキーが、昨年に続く大会連覇を達成した。
「まずはミュリエル(フラー)の家族に哀悼の意を表したい。スタート前にスイスチームの選手たちが涙を流す姿は見たくないものだった。彼女たちにとって辛いものだろう」と、まず亡くなったフラーへの気持ちを述べたコペッキー。
「雨と寒さによって不快に感じるレースだった。登りで温まった身体が下りで冷えてしまうなか、頭を冷静に保つことを意識した。デミ(フォレリング)のアタックについていくことはできなかったが、自分のペースを守り追いついた。心理戦が繰り広げられるなか、冷静に適切なタイミングで自分の力を発揮した。オーストラリア人選手(ローズマンギャノン)が後ろから速いスピードで迫ってきたので、反応するように踏み込んだ。それが完璧なタイミングとなった」と、コペッキーは過酷なレースを振り返った。
優勝候補に筆頭に挙げられ、決して好調ではないコペッキーが掴んだ2度目のアルカンシエル。2位にはダイガートが入り、3位はロンゴボルギーニ、積極的な走りを見せたフォレリングは5位でレースを終えている。
U23は全体の13位でフィニッシュしたプック・ピーテルセ(オランダ)が優勝。2位にはニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア)、3位はアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ)が入り、表彰台に上がっている。また日本勢は垣田がDNFだった一方で、與那嶺は73位(21分5秒遅れ)、同タイムでフィニッシュした木下は74位だった。
ロード世界選手権2024 女子エリートロードレース結果
1位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー) | 4:05:26 |
2位 | クロエ・ダイガート(アメリカ) | |
3位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア) | |
4位 | リアヌ・リッパート(ドイツ) | |
5位 | デミ・フォレリング(オランダ) | |
6位 | ルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア) | |
7位 | ジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー) | +1:06 |
8位 | マリアンヌ・フォス(オランダ) | |
9位 | リーアンヌ・マルクス(オランダ) | |
10位 | カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー) | +3:00 |
73位 | 與那嶺恵理 | +21:05 |
74位 | 木下友梨菜 |
ロード世界選手権2024 女子U23ロードレース結果
1位 | プック・ピーテルセ(オランダ) | 4:08:26 |
2位 | ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア) | |
3位 | アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ) | |
DNF | 垣田真穂 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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